2015年10月16日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十五

 それにしても「京都市まちねこ活動支援事業」(以下、「まちねこ事業」という)は、どのようにしてできたのだろうか?

 まちねこ事業が実施されたのは平成2241日から。筆者の調べでは、それまでに京都市は、会議を6回開いている。会議の名称は「飼い主のいない猫対策検討会議」。

 その第一回目は、平成211130日午後3時から430分にかけて、京都市家庭動物相談所(京都市南区内)で行われた。

 出席者は、多田二郎(北保健所)、谷口哲彦(左京保健所)、河野誠(中京保健所)、松原三佳(山科保健所)、辻尚信(伏見保健所)、北村喜一(家庭動物相談所)、■■(社団法人京都市獣医師会)、永井善彦・仲俊典・田邊輝彦(生活衛生課)。

 そこでは、次の意見交換がなされた。

 ■■「市獣医師会として参画するからには、決定前に意見を聞いておきたい。手術はよりスムーズに行っていけるように進めていってほしい。現場としては、ソトネコを野良ネコとして安くしてほしいと連れてくることがある。どこまでが野良猫であるかという判断の整理とともに地域の認可が必要である。野良ネコとしてやってくれと、どんどんやっていくとして窓口が対応しきれるのか。手術を行う場所での技術提供していくが、手術の手法には獣医師により幅があり、経費面と安全面の問題を考えていかなければならない。また、寺、公園や大学内の猫はどのように対応するか」

 前出の通り■■とは、京都市獣医師会の黒塗りの人物であるが、のっけから、消極的で迷惑そうな言いぶりでる。特に注目なのは、「地域の認可が必要である」と言い切っている点である。これは後のまちねこ事業、エサやり禁止条例に直結する“縛り”である。

 この■■の発言に対し、生活衛生課の辻氏は、こう言った。

 「外で餌をやっているが自分の猫でないという方や家から離れたところまでいって猫のいるところで餌をやっている方がいる。飼い猫との境界があいまいで、識別が難しい。餌の始末や糞の始末の問題がある。餌やりをされている方に非常に期待感がある。しかしながら、受け入れる許容量、相談所の業務との兼ね合い、予算などを含めてどの程度なのか。東京のやり方は、モデル地域からハルスプラン(※筆者註:「人と動物との調和のとれた共生社会の実現」を意味するHuman and Animal Live Together in Harmonyの頭文字HALTHPlanの意味で「東京都動物愛護管理推進計画」を指す)、制度の実施と段階を踏んで行われてきている。地域の取捨選択が生じた場合の問題。団体のノウハウを活用することは必要であろう。活動に際して、合意形成、捕獲、術後のケアなど住民にはどこまでを求めるのか」

 このように辻氏は、手術費用が軽減されるため、エサやりには期待感がある、と言いつつ、予算や業務の増大などを理由に、「受け入れる許容量」は「どの程度なのか」と、迷惑そうな物言いで、さらに地域の「合意形成」の必要性など、■■同様、“縛り”を講じることを念頭にしゃべっている。

 また、「地域の取捨選択」と言っても言っている。これは、避妊去勢手術の助成は、地域により「取捨選択」するという意味と見られる。つまり、自治体全域に助成を適用させるのではなく、ある地域では助成する一方、別の地域では自腹で手術させる、という“差別思想”がはなから見て取れる。

 (続く)

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2015年10月14日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十四

 「平成23118日 16時 ■■さんに電話(対応:力身)

 ・飼主への聴取内容について報告した。

 ・餌やりをやめさせてほしい。何回も訪問し、苦情を伝えてほしい。

 ・■■さんはいい加減な人なので、今まで何回も苦情を言ってきたが無駄だった。周辺の住人も困っているので何とかしてほしい。

 ・保健センターに強制力がないのは理解する。

 ・まち猫活動支援事業については聞いているが、この地域でやるのは無理。

 ・餌をやっていることは飼い猫と同様。避妊手術も個人でやってほしい」

「平成26122日」

 「■■でのまちねこ相談について■■ ■■氏から伏見保健センターへ電話があった。(受電:清水)

 強く要望があったことを受けての問い合わせであり、以下の内容を説明した。

 ■■でのまちねこ活動の相談はたまにある。活動は管理者の了解なしには受けられないものであり、そもそも■■はペット禁止であることや、餌場やトイレが公共の場所となるため、基本的にはできない」

 「123日、家庭動物相談所(岩田所長)から情報提供があった。(受電:田邊)

122日の昼過ぎ、家庭動物相談所へ野良猫の不妊去勢手術を自腹で行うなどの活動をしているという■■と名乗る女性から、醍醐の■■周辺で野良猫が増えており、まちねこ活動をしたいと考えている、■■には活動をしようという方もおり実施できないか、という相談があった。まちねこ活動には、実施する場所の管理者の了承、地域住民等の理解が必要であるとの説明をした」

 「124日 1540分 受付 相談者 ■■氏(野良猫の不妊去勢手術を自腹で行う活動者)」

 「■■に猫がたくさんおり、糞尿の被害で団地の住民が困っている。個人的に去勢手術をしているが、費用の面で限界がある。そのため、京都市が行っているまちねこ活動を団地で行うことはできないのか?」

 「平成2362日、増えている。■■氏は猫が好きなので、不要に猫が増え、車にはねられたりして死んでしまうのが、かわいそうだと思っている。

 まちねこ活動を知ったので、どうにか活用し、猫を減らしていけないだろうかと考えている」

 回答「まちねこ活動について、説明をした。(中略)

7/415:00 ■■氏が来所。

 『3名の賛同者を集めたので、次の段階へすすみたい』とのこと。町内の承諾を得ること、具体的な活動内容の取りきめについて、考えておくよう説明した。

8/114:50 ■■氏が来所。

 町内の賛同を得られず、まちねこ活動を断念しようと思う。

 今後、猫のことを思うとかわいそうでならない。まちねこ活動のハードルを下げる避妊手術又しやすくする等、改革をしていってほしい」

 (続く)

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2015年10月13日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十三

 「平成26929日 1615分」

 「家庭動物相談所 伊東係長から伏見区内での猫の苦情について情報提供があった。

92916時頃 苦情者から相談所に電話があった。内容は、苦情者宅の庭が猫に荒らされ、迷惑している。また、発情期でもあることから、鳴き声も気になっている。近くの公園の橋の下の小屋で猫を飼っていると聞いており、その猫かもしれないが、それはどういうものか。別のノラ猫かはわからないが、猫を捕獲するなど被害防止の対応してもらえないかとの内容だった。

(苦情者はまちねこ活動については、ほとんど周知されていないようで、相談所が説明した)

 「930日 11時 同一相談者が保健所にテル」

 「自分は■■の■■に住んでいる。昨日家庭動物相談所に野良猫等のことで相談した。伏見保健センターにも相談するように言われ、保健センターから連絡がもらえると聞いていたが電話が掛かってこないので自分から掛けた。

 野良猫(■■でまち猫登録されたもの、及びそれとは別の野良猫)が自宅の庭にはいって荒らすので困っている。自分は犬を飼っているので、動物を捕獲して殺すのはかわいそうだとは思うし、相談所への電話で捕獲・処分等ができないことも分かったが、ガーデンバリアは犬へも影響しそうで使えない。ノミやダニが移る。野良猫を何とかしてほしい。

 また、自分はまちねこ制度に不満をもっている。町内の承認を得て活動しているということだが、自分は全く何も聞いていなかった。捕まえて手術した後、元の場所に放すのではなく、飼い主を見つけて屋内で飼わせるよう義務化してほしい。

 ■■の下でのまちねこ活動について、猫小屋の設置などしてよいのかと府土木事務所へ問い合わせたところ、『あれは京都市の施策であるので、こちらからは何も言うことができない』という返答があった」とのことであった。

 以下のように返答した。

 『まちねこ制度については、町内会等全員の了解を取るのが勿論理想であるが、事実上難しいこともあり、代表として町内会の役員など3名以上から代表として署名をもっている。新しく屋内で飼ってくれる人を探すというのもまちねこ活動の目的の一つであるが、そのような人が出てくるまで収容できる施設等もないため、手術後は放すほかの措置は現状では難しい。また世話係の人には餌やりのほか、餌の片づけ・トイレのしつけなどを含めた管理をしてもらっているので、トイレしつけの強化やノミ・ダニ対策をしてほしいと伝えることはできる。しかし、少なくない猫に対してどれだけ充分な対策を取ってもらえるかは約束できない。また橋の下の猫小屋については、府の土木事務所へ当衛生課や京都市から設置をお願いするようなことはない』」

 (続く)

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2015年10月12日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十二

 「平成2652214時 受付 山口 相談者 男性 来所」

 「・町内会でノラ猫の苦情(糞、尿、等)がある。

・町内会の住民が『まち猫事業』に取り組む予定があるらしい。

・町内会長の印(同意)が必要と言われたが、内容が不明なので当センターへ相談に来た。」


 措置「『まち猫事業』の説明をした。■■氏は『住民には、色々な意見があり、同意をとりつけるのは困難』といわれた」

 「平成26625日 受付 福居」

「猫の餌やりに遠方から来る人や地域住民の猫好きの方が餌の放置などして困る。また、別に猫を捨てに来る人もいる模様。その猫が家に入ってきて猫アレルギーが悪化して困っているとのこと)」

「(対応)(まちねこ事業の説明を行ったが、範囲が広く地域住民以外も居て現実的に厳しい)」

 「平成23118日 95分 受付 力身」

「・8月に苦情を申し出たが状況がまったく変っていない。大変困っている!

 ・対応をお願いし、報告を依頼したが、何の報告もない!」


回答「・■■も同行したいとの要望があり、都合のいい時間を知らせていただく事になっていたが、連絡がとれない状態のまま現在に至っている。

・とりあえず、HC(※筆者註:保健センター)として飼い主に会って注意し、対応後は■■氏に報告することで了承」

 「平成23118日(火) 1330分頃、■■氏宅訪問(対応:力身・佐野)

・野良猫に餌をやっていることを認める。ネコがかわいそうなので餌をやっている。

・周辺にも野良猫がおり、自分が餌をやらなくても状況は変わらない。

・自分もどうしたらいいか相談したかったところである。以前、まち猫活動支援事業を実施しようと相談したことがある。世話役3名及び自治会長の承諾も得たが、■■さんに強く反対され、実施に至らなかった(反対者がいても活動できないか)。

・殺処分となるようなことはできない。

HC

・野良猫に餌をやることで周辺に居つき、繁殖して増え、苦情が広がっていくことになる。苦情者は困っておられる現状は理解してほしい。

・野良猫を減らす効果的な対応はできない。飼い猫として処分するのであれば、保健センターで引き取るが、処分費が必要で、殺処分が前提となる。

・まち猫活動支援事業を考えているのであれば、再度、世話役さんの確保と自治会長さんの使用人を確認し、反対される住人さんの理解を得てほしい。

・要望があれば、HCからまち猫活動支援事業の説明はする」

 (続く)
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2015年10月11日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十一

 このため、前出のように、まちねこ事業を勧める役人に「激怒」する住民が現れる。

 ほかにも、こういう苦情がある。

 「平成2310251030分 受付者 山口、秋来」

 「相談者宅の周辺には数匹の野良猫が住みついており、野良猫が増えることを危惧する相談者は、以前から自活不能な仔猫を当保健センターに持ち込んでいた。(成猫の引取りができないことは承知されている。)しかし、近所の猫好きの方から、『相談者が持ちこむ仔猫について引き取らないよう保健センターに申入れを行う』と言われ、今後の対応に困り、相談に来られたものである。

 措置 当センターとしては、親猫が放棄した自活不能な仔猫の引取りを行う旨を伝え、了解を得た。また、『まちねこ事業』について説明を行ったが、近隣住民に活動の理解が得られそうにないと、断られた」

 「平成23671120分 受付者 西上」

 「■■氏の隣家の■■氏がノラ猫に餌を与えているため、近所に猫が増えて糞尿されて困っている。■■氏から何度も餌を与えないよう注意をしているが、一度はやめても、また繰り返してしまう。■■氏の向かいの空き地に、猫用の小屋を作り、餌を与えているので、今回それを壊して片付ける予定である。ゴミが出てくるので保健センターが処理の手伝いをしてくれないのか。また、近所にいるノラ猫を引き取ってもらえないだろうか、との相談があった」

 回答「ゴミの処理はできないこと。ノラ猫の引き取りもできないことを説明した。保健センターからも■■氏に話をすることもできると伝えたが、今回は必要ないとのこと。また、親猫の引き取りはできないが、『まちねこ』事業で、町内会の賛同もあれば、時間はかかるが、猫の数を減らしていくことも可能であると説明したが、町内会の協力は難しそうなので、できない とのこと」

 「平成24531日 受付 塩田 電話 女性」

 「近所にノラ猫が多く京都市のまちねこを利用したいが、反対される方が多く実現できない。なんとかならないか?(自分でも去勢や避妊を行っているが、おいつかない)」

 回答「まちねこは地域住民の了解を得て行うものであるので、なんとか地域住民にご理解頂くようにして下さい」

 「平成2658日 受付 田保 電話」

 「ノラネコに■■さんがエサをやっていていつき、苦情者の敷地内にフンや尿をされて困っている。以前、保健センターに相談し、町ネコをすすめられたことはあるが、町ネコは無理で、■■さんへの注意をしてほしい」

 (続く)

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2015年10月10日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十

 話を、京都市の野良猫に対する苦情に、戻す。

 置きエサ・撒きエサ、多頭飼育以外に、こういう苦情も目立つ。

 「◇平成26102日 相談内容」

 「■■の中に野良猫がたくさんおり、有志団体で費用を出し合い、避妊・去勢手術を行っているが費用がかさむのでまちねこ活動の手術枠を適用したい。

 ・陳情者はまちねこ活動についてのリーフレットを読みながら電話をしてきた。

 ・まちねこ活動の主旨を説明しようとしたが、「主旨はどうでもいい」と聞き入れられなかった。

 ・陳情者に、まちねこ活動申請に必要なものとして『まちねこ活動を行う町内会長を含む3名の署名』を伝えたところ、『今までの避難・去勢活動にも協力してもらえていないので、■■に了解をとれるわけがない。』と激怒された。

・『まちねこ活動を■■でもできるように行政は誠意を見せるべきである。』との一点張り」

 ここでいう「まちねこ活動」とは、地域猫活動を骨抜きにした、京都市独自の事業「京都市まちねこ活動支援事業」を指す。

 これは京都市に「認定」されると、野良猫への避妊去勢手術の費用が京都市から助成される、という事業。

 認定要件は、以下の3点。

 「地域で世帯の異なる3名以上で、活動団体をつくる」

 「町内会長など町内会の同意を得る」

 「猫用のトイレや餌やりの場所は、私有地内に限る」

 これまで見た通り、野良猫とエサやりを邪見にする住民は多いため、町内会の同意を得るのは至難。しかも、エサをやる私有地のいない人は多い。町内に3人以上の仲間をつくるのも容易ではない。

 京都市は、こうやって「狭き門」にして、エサやりを排除している。

 その結果、まちねこ事業に認定されない人たちは、市の支援ゼロで、自腹を切って避妊去勢手術をしている。

 他方、まちねこ事業に認定されると、なんと手術費用はゼロ円。つまり、全額京都市が負担するという「差別待遇」がまかり通っている。


まちねこ資料.jpg

 (写真上は、「まちねこ活動登録届出書」。活動家3人が署名している。写真下は「まちねこ活動承諾書」。町内会三人が合意の署名している。こういう町内会は極めて少ない)


 さらに京都市は、圧倒的多数のエサやりを支援しないどころか、「エサをやるな」というお題目を唱え続けた挙句、ついにエサやりは罰するという前代未聞の条例を定める始末。

 こうして、みすみす避妊去勢手術できない猫を大量発生させている。必然的に、野良猫たちは子猫を産み放題となり、野良猫が増えるので、住民との摩擦も増し、殺処分される子猫も産み出す、という悪循環に陥っている。

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十九

 環境省の役人は、「自治体ごとのアンケートの回答をまとめた文書なら開示できます」と言うので、それを開示請求することにした。

 こうして「<政務官プロジェクト>自治体からのアンケート 提案および要望について(まとめ)」という文書が開示された。(末尾からPDFダウンロード可)

 そこには、エサやりについて、こういう記載がある。

 「無責任な餌やりに対する法規制(現行法第442項によりえさやりへの指導ができない)」

 これは動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)を指す。同法第442項には、こうある。

 「愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する。

 要するに、「愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ」という一文があるから、餌やりの規制ができないので、何とかしてほしい、と言っているというわけ。

 さらに、この文書には「[多頭飼育者や餌やりさんへの対応について]」とあり、その下にこう書いてある。

 「(課題)多頭飼育者や餌やりさんは精神疾患を持っている人が多く、対応が困難」

 「(提案)・多頭飼育者や餌やりさんの精神問題に関する研究の推進 ・多頭飼育者等の精神疾患を有する者への対応に関する講習会の開催」

 餌やりについての記載は以上だった。

 つまり、牧原プランの「無責任な餌やりの防止」と、検討すべき事項に挙げている「餌やり人への規制、餌やり人への対策」「地域合意に基づく餌やり防止」の根拠は、RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)への聞き取りと、自治体へのアンケート、この二つだけでしかない。

 この二つ以外には聞き取らず、この二つの言葉をこれほど反映させているということは、餌やり禁止は、牧原プランの既定路線で、はじめに結論ありき、で進めていたと考えざるを得ない。「牧原プラン」は「エサやり禁止プラン」である。

 (続く)


 参考 「自治体からのアンケート 提案および要望について(まとめ)」.pdf

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2015年10月09日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十八

 牧原プランができる経緯で、当時の環境大臣政務官・牧原秀樹氏と環境省の役人らは、

RSPCA(英国王立虐待防止協会)に聞いた後、自治体に対しアンケート調査をした。

 そのアンケートのひな型には、こう書いてある。

 「環境省では、『人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト〜犬猫の殺処分0を目指す『牧原プラン』〜」を昨年11月から開始しました。このプロジェクトでは、犬猫の殺処分の削減につながる取組に関して意見交換をしながら、具体的な対策について検討し、本年6月に『牧原プラン』として発表する予定です。

 殺処分をなくすために、日頃より、動物愛護管理行政の先頭に立たれている自治体担当者の皆様の声(意見)についてのアンケートを実施することにしましたので、ご協力をお願いします。」

 その下に、「自治体名:  」「所属名:  」「担当者名:  」を書く箇所があり、その下には、箇条書きで以下の質問事項と、書き込むスペースがある。

 「1プロジェクトを進めるにあたり、知ってほしい現状(課題)等について」

 「2. 殺処分の削減に向け、貴自治体において行った、または行っている具体的な取組みのうち、効果があったものについて」

 「3. 今後殺処分を削減していくための具体的な提案について」

 「4.3のうち、特に国に行ってほしいことについて」

 「5殺処分を削減するため、貴自治体において、住民や子供等向け普及啓発資料(ビデオ、パンフレットなど)を作成されている場合には、その資料の種類や内容などについてお知らせ下さい。」

 「6. その他(ご意見等ございましたらご自由にご記入ください。)」

 このアンケートに対し、どの自治体が、どう答えたのかについては、環境省の役人から筆者に電話がかかってきた。役人はこう言った。

 「自治体のアンケートについては、開示請求しても、全て黒塗りになります。枚数はかなりありますが、それでも開示しますか?」

 そもそも自治体の回答にもかかわらず、明かせないということ自体、おかしな話で、米国なんかではあり得ない。この国では、パブリックな情報を「知る権利」が、欧米に比べ著しく低い。権力者にとって都合が悪く、国民にとっては恩恵となる欧米の民主的なシステムは、日本では政府によって排除されている、という一例である。

 なお、自治体アンケートのひな方は、下記からPDFダウンロード可。


   「牧原プラン」自治体アンケート様式.pdf


 (続く)

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2015年10月07日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十七

 役人に殺処分をもちかけられた■■氏は、にわかに態度を翻し、こう言った。

 「減らす意思はある」

 「一度その方法で試してみる。仔猫が入るかはわからないが」

 こうして830日の10時に役人が伺うことを了承した。

 そして30日、役人の力身・梅川両氏が訪問し、「猫が入れば連絡して欲しい」といい、ケージ2台を1週間、貸し出した。 

すると、■■氏は、こう言った。

 「今日保健センターの職員が捕まえて行くと思っていたので、自分の飼い猫を室内につないでいる」

 「私がやっても捕まるかはわからない」

 「成猫が捕まったら料金がかかるので経済的にもしんどい」

 これに対し両役人は、こう答えた。

 「保健センターが捕まえることはしないと何度も説明している」

 「あくまで、■■氏が全て行ってもらうことになる」

 ■■氏は了承した。

 このやり取りをみる限り、■■氏は、保健所に対して、とぼけているようにも見受けられる。エサやりへの苦情を受けやってきた役人に対し、のらりくらりと批判をかわす腹積もりなのだろうか。

 しかし、翌日83116時半、■■氏は梅川氏に電話し、こう言ったのだった。

 「成猫が1匹入った」

 「暴れるので、今から引き取りに来て欲しい」

 役人・梅川氏は、こう言った。

 「今からは時間的に困難であるため、明日の朝一に伺う」

 「成猫であれば2千円必要であるが、それでもいいか」

 「一度引取った猫は返却できないが、いいか」

 「明日お釣りがないように用意しておいて欲しい」

 これに対し■■氏はこう言った。

 「減らしていかないと大変になるので、仕方ない」

919時半、力身・梅川両氏が訪問。

 ■■氏は、こう言った。

 「あれからもう一匹入ったので、計2匹になった」

 「なので4千円払う」

 こうして役人は猫2匹を引取った。

 これらの事例で明らかなように、京都市は、多頭飼育者に対し、殺処分を勧め、エサをやるな、などと言うことに終始している。

 前出のアニマルウェルフェア(動物福祉)推進ネットワークは「アニマルホーダーの常習率はほぼ100%と言われ、たとえ動物を没収されても、すぐにまた動物を集め始めようとするため、多くの場合、単に飼育頭数を減らしたり、法で裁くことは本当の解決にならない」と指摘している。

 つまり、京都市のやっていることは「無策」に等しい。

 「心のケア」をするカウンセラーや精神科医、動物福祉ボランティア、譲渡活動団体、エサやりボランティア、地域住民、家族、友人、知人、福祉事務所、法律相談、健康相談などなど、同団体の指摘する通り「様々な関係団体、個人が連携し、生涯に渡る監視を含めた長期的な取り組みが必要」である。

 (続く)

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2015年10月06日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十六

8910時半、B宅訪問。

 ■■氏及び■■がいて、こう言った。

 「両隣とは昔から揉め事がある」

 「畑があらされたり、敷地内で被害がある等した場合は全部ウチの猫のせいにする」

 「猫は野菜を食べないので、違うと言っても聞いてくれない」

 「ウチの猫が迷惑をかけた場合はすぐに引取りに行き謝っている。その際相手も『いいよ。』と言っているのになぜ保健センターに苦情を言うのか」

 「直接怒ってくれたらいい」

 「今まで相手がたくさん迷惑をかけていることを我慢しているのに、こちらの猫のことで苦情を言うのは許せない」

 「相手は自分たちの姿を見ると隠れるので、話もできない」

 「相手の言い分ばかりではなくて、こちらのことの現状も知って欲しい」

 「こちらも迷惑をかけていないとは言わないが、相手も迷惑をかけている」

 「猫については現在50匹くらい」 

「獣医に聞いたが、猫もある一定の数になるとこれ以上増えないようにと産んでも育てないそうである」

 「ウチの猫もそうである」

 「過去、自分がつらい時に猫が癒してくれた」

 「猫が他のところへ行かないように餌付けを行っているのに、エサをやらなければ増えないといわれる。エサをやらなければどうなることになるか分かっていない」

 「エサをやることで飼い猫とみなされるのであれば、エサをやらず、その猫が迷惑をかけてもウチのせいにならないということになる」

 「そうなってもいいのか」

 これに対し役人は、こう話した。 

「電話でも話したが、エサをやっている行為だけでも飼い猫とみなされてしまうこともある」

 「保健センターでは双方からの意見を聞いて、お互いにいい方法がないかアドバイスする」

 「強制権はなく、また無理やり猫を捕獲することもない」

 「近所の人は■■氏の猫かどうか分からないので、首輪等の目印を着けて欲しい。そうすることにより、誤解がなくなることもある」

 「猫等動物に対してはいろいろな考え方の人がいるのを理解して欲しい。50匹というのは多い数である」

 「自分たちでコントロールできる数にはして欲しい」

 すると、■■氏は、こう言った。

 「何もしなくても猫は自然と減っている」

 「殺処分や譲渡は考えていない」

82311時半、京都市の役人・梅川氏は、■■氏に電話し、こうもちかけた。

 「関係部署とも協議し、ケージを貸出し、そこに猫が入れば引き取る」

 「無料で引き取れるのは仔猫のみであり、成猫であれば1頭につき2千円かかる」

 「保健センターの職員が捕獲するのではなく、全て■■氏が行う」

 「もしケージに入れば連絡をもらい、引き取りには行く」

 「今でも減らす意思があり、当方法に理解してもらえるのであれば、ケージを持って伺う」

 すると■■氏は、予想外の言葉を発した。

 (続く)

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ブラック企業「市場大路」記事削除の真相 六

 筆者の記事は、一審判決で裁判所が認定した事実に基づいている。市場大路は、その内容は否定はするが、根拠が示されていない。

 しかも、最後の方の、「カ F」の、「転職先の社労士に対し、『清水社長は『そんな書類もちゃんと出ていないような奴をなんで採用するんだ』と述べた』」という点に至っては、「このような言辞を述べたか否かにかかわらず、」と、否定すらしていない。転職先の社労士にこういうことを言う自体、ブラック企業丸出し、と言っても過言ではないにもかかわらずだ。

 前出のgooのメールには、「当該照会書の内容をご確認のうえ、本メールに添付の『(雛型)送信防止措置に関する回答書』にご記載いただき、本メールにご返信頂くか、郵送にて弊社宛ご回答」するように、と書いてあった。

 そこで、726日付で、こうメールで送った。

 「(○)送信防止措置を講じることに同意しません」

 「[回答の理由]この記事には真実性があり、公共性があり、公益目的であるため」

 裁判では、「真実性」「公共性」があり「公益目的」であれば、名誉棄損の不法行為には当たらない。gooの法務部の担当には、弁護士か、司法試験に受かって会社員になった人がいるはずなので、当然、名誉棄損のことはわかっているに違いない。

 だから、このメールを送ったあと筆者は、市場大路のあの言い分で記事削除ということは、まさかないだろう、とてっきり思っていた。

 すると、翌日、gooからメールがきた。

 そこには、こう書いてあった。

 「こちらはgoo事務局です。

 この度は送信防止措置手続に関する照会手続にご協力いただきまことにありがとうございます。

 さて、今回ご回答いただきました内容を元に、改めて今回ご依頼のあった投稿の当否を検討させていただきましたが、その結果、当該投稿は、以下の箇所が、下記の通り、gooブログ利用規約に抵触するおそれがあると判断致しました。

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 ○gooブログ利用規約

 第11条(禁止事項)

1.会員は、本サービスを利用するにあたり、以下に該当し又はその恐れがある行為を行ってはなりません。

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3.会員は、自己の会員ページにおいて、本条第1項各号のいずれかに該当するコメントが投稿されていないかどうか及び第1項各号のいずれかに該当するトラックバック記事が掲載されていないかどうかを確認するために監視を行うものとします。

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 (続く)

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2015年10月05日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十五

 「以後苦情を受け付けた際は、相手の名前や連絡先と苦情内容を詳しく聞いて欲しい」

 「また立ち入りの際は、苦情者も一緒に立ち入ってもらえれば一緒に今後の対策なども考えられるので、今後は一緒に立ち入って欲しい」

 「立ち入り職員(土佐)の折り返し連絡を希望する」

112910時、土佐氏が飼い主に電話し、こう話した。

 「届出者が匿名の場合でも、飼い主に対する指導は行う」

 「今後同じ届出者から連絡があった時には、衛生課は“飼い主が直接会って話し合いたいと考えている”と伝える」

 「飼い主は、特に臭気対策を徹底する」

 同日14日、飼い主が土佐氏に電話し、「匿名苦情の処理について改善を要求したいので意見窓口を教えてほしい」と言った。土佐氏は、京都いつでもコール、という質問、意見、要望フォームと、市長への手紙を紹介。すると飼い主は納得したという。

 この飼い主は、去勢手術もやっている、と述べたり、話し合う態度を示している点などから、ちゃんとしているように思えなくもない。

 だが、30匹もの猫を家でちゃんと飼っている、とは主張するものの、譲渡活動をしている、とは一言も発した形跡がない。

 これは前出のアニマルウェルフェア(動物福祉)推進ネットワーク」の指摘する「アニマルホーダーの特徴」の一つ、「動物を手放すことに強い不安を感じ、里親探しなどをほとんどしない」に当てはまる可能性が高い。

 平成237291515分、匿名の市民(女性)から、こういう苦情があった。 

 猫のエサやりが多数いるので、臭い等で困っている。

 「■■氏とは話しているが、■■氏は聞かない」

 「どうにかしてほしい」

 「報告はいらない」

 この苦情対象は2軒。1件はA氏。もう一軒はB一家(■■(母)、■■(次女)、長女は■■)。このうち「■■氏は感情の起伏が激しい(電話対応時の印象)。主にエサやりは■■氏のようである。月水金の午前中は不在の事が多い。火木土日は調整がつく)」とある。

 平成2382930分、京都市の役人・力身、梅川両氏が、A氏宅訪問。A氏はこう言ったという。 

 「猫は増えて困っている(子猫も複数確認)

 「エサはあげている」

 「自分の飼い猫は2匹。ノラ猫は20匹くらい」

 「飼い猫以外は触ることもできない」

 「保健センターで連れて行って欲しい」

 「近所から苦情があるのも知っており、自分も猫を減らす意思はある」

 「引き取りの際に料金がかかり、また捕獲器等もないので悩んでいる」

 これに対し、役人たちはこう指導した。

 「エサをあげているだけでも飼い猫とみなされる場合がある」

 「飼い猫には目印をつけ、できる限り室内で飼育して欲しい」

 「行政のほうでもできる限りの協力はする」
 「保健センターが無断で猫を捕まえることはしない」

 「リーフレット配布」

A氏了承。

 同日10時、両役人はB宅へ行くが不在だった。このとき「猫を約20匹以上確認(子猫複数含む。)」「臭い等あり」「敷地内を自由に歩いている」「リーフレット及び手紙等をポストに投函。(連絡欲しい旨記載。)」したという。

 (続く)

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2015年10月04日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十四

 平成2371920分、京都市の保健センターに、こういう苦情の電話が来た。

 「隣に住む■■が猫を2030匹飼っており、(苦情者の)自宅玄関が糞尿で汚れて困っている。もう10年以上困っており、自分からも注意もしたし、警察■■に通報して2回ほど来てもらったが、まったく聞き入れられない。警察から、区役所に相談するよう言われたので電話したが、■■に強く指導してもらえないか」「■■は犬を1匹飼っており、その散歩に行く以外は、大体家にいる」という。

 そこで京都市の役人・冨田・塩田両氏は、同日11時頃、現地調査をしたところ、飼い主は「野良猫にエサをあげていたが、昨日警察にきびしく言われた為、エサやりはやめてます」と言ったという。

 そのことを苦情者に伝えたところ、了解し、「また、2ヶ所程でエサやりを始めたようだが、様子をみる」と言ったという。

 平成24111911時、匿名の市民が、こういう苦情の電話をしてきた。

 「飼い主(■■氏、女性)が自宅2階をビニールハウスのように改造し、10匹以上のネコを飼育している」

 「日により臭気が漂ってくることがあるので、対策をするよう指導してほしい」

 「近隣の野良ネコが自宅に糞をしていくが、この野良ネコには餌を与えていないことを確認してほしい」

 これに対し、京都市の保健センター衛生課の土佐氏は、2日後の1530分、飼い主宅を訪問し、聞き取りをしたところ、飼い主ははこう語った。

 「ネコを30匹飼育している(全て避妊去勢済み)」

 「ネコが逃げ出さないよう家を改装しており、臭気対策をしている」

 「改善すべき点があれば対応するので、直接言うよう届出者に伝えてほしい」

 「野良ネコにはエサを与えていない」

 また、このとき土佐氏は、以下の点を確認した。
 「飼い主宅の玄関前まで近づくとネコの臭いがする」

 「飼い主は玄関を二重ドアにしており、また窓を金網で覆ってネコを逃さないようにしている」

 そこで土佐氏は、こう指導した。

 「臭気対策を徹底すること」

 「野良ネコには餌を与えないこと」

 それから一週間後の11271530分ごろ、にわかに飼い主が衛生課に電話をしてきて、こう苦情を申し立てた。

 「先週は職員が突然訪問したため、掃除が行き届いていなかったかも知れないが、普段はファブリーズを使って臭いにも気を使っている(猫の健康が気になるので、強い薬は使わない)」

 「玄関も臭いがすると言われたので掃除済み」

 「トイレは家の中に22ヶ所あり、12回は交換している」

 「近所で生まれた野良猫を引取って、きちんと避妊去勢手術もして大切に飼っているのに、匿名での苦情は卑怯ではないか」

 さらに、こう迫った。

 (続く)

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2015年10月03日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十三

 次に「アニマルホーダーへの対応策」として、こう記している。

 「アニマルホーダーの常習率はほぼ100%と言われ、たとえ動物を没収されても、すぐにまた動物を集め始めようとするため、多くの場合、単に飼育頭数を減らしたり、法で裁くことは本当の解決にならないと言われています。(起訴に持ち込むこと自体が難しく、刑罰も軽い)

 前述したHARCでも、問題の介入、改善には、精神医学的な『心のケア』が重要で、動物管理局、動物公衆局、社会福祉局、住宅局、警察、消防、裁判所などの行政機関のほかに、獣医師、心理学者、動物福祉団体、一般市民、ボランティア、家族、友人など、様々な関係団体、個人が連携し、生涯に渡る監視を含めた長期的な取り組みが必要と述べています」

 そして、赤字のアンダーライン入りで、次のように注意書きしている。

 「*アニマルホーダーは、一見、動物愛護家や動物保護ボランティアなどと区別がつきません。生活のすべてを捧げ、かわいそうな動物を救っている善意の人として、社会がその犠牲的活動を称え、愛護精神に感動した人たちや家族に支えられている場合もあります。多くは実態を見ていないため、その病理に気がつきません。

 中には、行政が、動物保護ボランティアとして、アニマルホーダーに犬猫を譲渡しているケースすらあります。動物のサンクチュアリと称して、終生飼育を謳い、多額の募金を集めた末に、窓のない部屋に数百頭の犬を押し込み、病気を蔓延させ、発覚時にはほとんど処分せざるをえなかったというアメリカの事例がありますが、日本でも同様の事件は頻繁に起こっており、発覚していないアニマルホーダーはまだまだ数多く存在しています。

 保護活動をしていると言いながら自宅を絶対に見せない、すでにたくさんの動物がいるにもかかわらず、行き場のない動物の情報が入るとすぐに引き取ろうとする、動物の数が増えても里親探しをしている形跡がないなどの場合は、アニマルホーダーの可能性があります」

 ちなみに、アニマルホーダーとみられる事例は、京都市にも複数ある。

 平成25920日、以下の苦情があった。「近くの■■がゴミ屋敷になっており、猫が数十匹住みついている。近隣住民は皆、糞尿被害で困っているし、夜間に猫同士が争う声が聞こえうるさくてたまらない。■■氏に直接苦情を言ったが、状況は変わらない。猫を駆除してほしい。自分で捕獲しようとしたこともあるが失敗した」

 これに対し、保健センターの役人・長谷氏は、猫の捕獲は保健センターでは一切していないことを説明した。また、「根本的な解決にはならないが、猫よけ超音波装置の貸し出しをしていることを伝えると、近所と相談して、借りに行く」と言ったという。

 なお、長谷氏が「以前の状況について調べたところ、平成252月に、南部環境共生センターにゴミの苦情があり、■■であることから、3月に保健センター、共生センター合同で立ち入り調査し、整理整頓するよう指導している。このことも伝えたが、その後も改善されていない」という。


 アニマルウェルフェア(動物福祉)推進ネットワークHP

http://www.inunekonet.jp/index.html


(続く)

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2015年10月02日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十二

 アニマルホーダーについては、動物保護団体「アニマルウェルフェア(動物福祉)推進ネットワーク」のHPに詳しい。同HPによると、アニマルホーダー(過剰多頭飼育者)とは、「自宅などに飼育不可能な数の動物を集め、手放すことができない精神状態に陥っている人のことを言います。(アニマルコレクターと呼ばれることもある)アニマルホーダーには自家繁殖を繰り返す飼養者や、動物保護を目的とする救助者など、いくつかのタイプがありますが、動物が増えていくにつれて世話ができなくなり、著しい過密状態で、病気、餓死、共食いなどが広がり、次第に事態の収拾ができなくなっていきます。(アニマルホーダーの70%〜80%が生活区域に動物の糞尿や死骸などを放置していると言われている)

極めて不衛生な環境のため、パスツレラ、白血病、猫エイズなどの感染症や皮膚病、骨格異常などが蔓延し、動物たちの多くは安楽死をせざるをえない状態で発見されますが、人間にとっても多量の排せつ物の蓄積は、人畜共通感染症の温床となり、公衆衛生上、深刻な問題となっています。

 アニマルホーダーには、強迫神経症、依存症、収集癖などの精神疾患があると言われ、アメリカでは病理的な問題として、1990年代から動物愛護団体HSUSThe Humane Society of theUnited States)とタフツ大学が研究を始め、アニマルホーダーに関する多くのデータや問題解決に向けたマニュアルを発表しています。

 アニマルホーディング研究協会(HARC)(http://www.tufts.edu/vet/hoarding/)」

 そして、「アニマルホーダーの定義」として、こう記している。

 「•管理可能な限度を超えた動物を飼育(収集)している。(善意のレスキュー活動を名乗り、シェルターと称して動物を抱え込むケースも多い)

 •最低限の給餌や衛生面での配慮、居住スペース、獣医療等の提供ができない。

 •状況の悪化に対する危機感が希薄で、動物を飼い続け、増やすことに執着する。

 •過剰多頭飼育が、動物だけでなく、本人および周囲の人間にも深刻な健康被害を及ぼしていることを認識できない。」

 次に、「アニマルホーダーの特徴」として、こう記している。

 「•飼育している動物は様々だが、比較的小さく家の中に隠しやすいため、猫を収集するホ―ダ―が多い。(犬のホーダーは、鳴き声などの苦情が来るため、多くは郊外や山の中などに住んでいる)

 •2/3分3/4は中高年の女性だが(半数は独身または一人暮らし)、若い人や夫婦もいる。

 •社会的、経済的に恵まれない人が多いが、中には高学歴できちんとした職歴を持ち、世間的には異常者と認められない場合も少なくない。(匂いがつかないよう服だけ別の場所に置き、外で着替えて出勤するなど、巧妙に隠している人もいる)

 •適正な飼育管理ができず、糞尿や死骸を放置するなど、動物を悲惨な状況に追い込みながら、本人に動物虐待をしているという自覚がない。

 •動物を手放すことに強い不安を感じ、里親探しなどをほとんどしない。

 また、改善の要請や救助を申し入れる愛護団体や行政を敵視することも多い。

 (続く)

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2015年10月01日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十一

 英国の動物保護団体「フレッシュフィールズ」は、さらにこう書いている。

 「しかし、継続的な避妊去勢手術の計画への支持を拒絶して、無制限にエサやりを続けると、野良猫のコロニーのサイズが大きくなり、野良猫が増えて、地元住民にとって大問題になっていきます。

 そのような状況では、教育が不可欠です。どんどんエスカレートして増えていく野良猫の数に対して、どう対処してよいのかわからないという無知には、効果的に取り組むべきです。エネルギッシュに、率先し、先を見越して行動しなければなりません」

 フレッシュフィールズのこの指摘は、日本にとっても示唆深い。

 このなかの「避妊去勢手術の活動を支持せず」「無制限なエサやり」を続ける人、とは、京都市のクレーム事例で縷々出てきた「置きエサ・撒きエサ」を続けて「避妊去勢手術」をしない、「孤立したエサやり」と酷似している。京都市だけではない。こういう人たちは全国にいる。どう対処すればよいのか?

 それは、牧原プランにある、無責任なエサやりをするな、とか、地域ぐるみでエサやり禁止、ではない。

 「エデュケーション(教育)」こそ、必要なのである。もちろん、孤立したエサやりとは、コミュニケーションを取ることさえ難しいケースもある。だが、情熱をもって率先して、孤立したエサやりに接していかなければならないのだ。

 つまり、孤立したエサやりを排除するのではなく、巻き込んで参加させて、学んでもらって、いっぱしの野良猫保護の慈善活動家にしていくことこそ、解決の道なのである。

 なお、前出の、元東京都新宿区の保健所衛生課職員の高木優治氏に取材した折、筆者はこう聞いた。

 「置きエサをしている人達は、一人で、孤立して、なかには人の言う事も聞かない人もいる。家のなかでも何十匹も飼っているケースもある。そういう人を放置するわけにもいかない。どうすればよいと思いますか?」

 すると高木氏は、「地域の問題として、コミュニケーションをとって何とかしていくしか手がないですよね。その人が孤立している可能性が強ければ、誰がするかは別にして、『こんにちは』という挨拶を、継続的にしたり、『お宅の猫ちゃん、どう?』と話ができる人をつくっていくしかない」と語っていた。

 迂遠なようだが、「挨拶」と「会話」から全てが始まるといえよう。

 また、高木氏はこう指摘もしていた。「アニマルホーダーと言われている人たちは、ある種、精神的な問題を抱えているとか、対人関係が苦手だとかいう、そういう別要素も入ってくる。これをどうやってみるか、ということも必要だと思います」

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 四十

RSPCAのエサをやるな、という話は変だ、と、牧原秀樹氏と役人たちがもしも思えば、ほかの団体の話を聞く機会も設けたはずである。だが、牧原氏らは、後述のように、エサやりに関し、あとは自治体の話を聞くのみだった。

もしくは、前述のRSPCAの所業を、牧原氏らは、あらかじめ知っていたと見受けられる。

 または、エサをやるな、というRSPCAの話を聞き、共感したということになろう。

 いずれのパターンであれ、牧原氏と役人たちは、RSPCAの「野良猫イコール害獣」思想に共鳴していたことに、変わりない。

 だからこそ、牧原プランは「無責任な餌やり」という、抽象的でどうとでも解釈できる表現にしている。「置きエサ禁止、撒きエサ禁止」と個別具体的に指摘すれば済む話なのに。

 その上、「検討すべき事項」として、「餌やり人への規制、餌やり人への対策」「地域合意に基づく餌やり防止」と、RSPCAの話をそのまま取り入れている。

 つまり、「牧原プラン」は野良猫「害獣」思想の「産物」なのである。無論、京都市もである。

 なお、野良猫を大量虐殺するRSPCAに嫌悪感を抱ていている筆者ではあるが、英国にも、希望はある。例えば、リバプールを中心に活動する1979年設立の動物保護団体「フレッシュフィールズ」という団体がある。同HPにはこう書いてある。

 同団体は、RSPCAのことを「まるでペストであるかのように、全てのエリアで、完全に野良猫の受け入れを拒否してます」と批判。RSPCAとは違い、「私たちの団体では、毎年500匹以上の野良猫を避妊去勢してます。安楽死は、させません。安楽死は獣医がどうしてもその必要があると言う時に限ります。

 リバプールのあるイングランド北西部では、530匹の野良猫の群れが、団地や工場、大学、荒れ地、空家に棲んでいます。その中には、急激に繁殖して数が増え、不健康で、人間にとって嫌がらせの効果の可能性がある野良猫もいます。

 しかし、私たちの活動エリアのイングランド北西部では、多くの世帯主が、野良猫のことを大目に見て、エサをやることで野良猫の小さなコロニー(棲息地)をサポートしています。それに、私たちの人道的なポリシーに賛同して、寄付をしてくれる人や、野良猫が獣医の助けを必要としている時は、私たちのレスキューセンターに知らせてくれる人がいっぱいいます」

 こうしたフレッシュフィールズの活動は、地域猫の創設者である横横浜市保健所職員で獣医師の黒澤泰氏の志向する「地域猫活動」を彷彿とせさる。

 (続く)

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2015年09月29日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十九

 筆者自身、昨年1129日に、東京都渋谷区内にあるヤマザキ動物専門学校で、「共感を育む動物福祉教育〜190年の歴史を誇る英国RSPCAから学ぶ〜」((公社)日本動物福祉協会主催セミナー)と題し、RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)の国際部長ポール・リトルフェアー氏が講演するというので行ってきた。

 そこで、RSPCAの創設者の一人で議員のリチャード・マーチンが1822年に世界最古の動物虐待禁止法マーチン法をつくり、翌年RSPCAを設立したり、RSPCAの創設者の一人で議員のウィルバーフォース卿は1833年に奴隷制度廃止の法律をつくったという話や、現在のアニマルポリスの活動などを聞き、深い感銘を受けた。また、講演者のリトルフェアー氏が、檻に入った動物園の動物を暗に批判したことに、衝撃を受けた。筆者は講演に聞き入り、文明の光芒を目の当たりにした心地になった。

 それだから、なおさら、「牧原プラン」をつくるための会議にRSPCAが参加し、猫に餌やりをやらないよう指南していたのを知り、愕然とした。その上、上述のように、RSPCAがイギリス本国で、日本では考えられないような虐殺を断行しているのを知り、今では嫌悪感を抱いている。

 それにしても、190年以上も昔に虐待防止を唱えておきながら、一体この惨状は何なのか――。

 さらに調べたところ、実は英国は法律により、野良猫を「害獣」とみなしていた。法的に、野良猫は、野良猫の居る土地の所有者のものとされている。つまり、土地所有者は、いつでも、自分のところに居る野良猫を殺してよい。そういう掟になっている。ただし、毒殺や銃殺といった残酷な殺し方をするのは、違法とされいて、もしも殺す場合は、人道的な方法で殺さなければいけない。そういう法律になっている。(「FERAL CAT CONTROL IN THE UK」、Sarah Hartwell著や、英国の動物保護団体「SaferPetsHPより)。

 要するに、野良猫は「害獣」とみなしているから、RSPCAは通報を受けて駆けつけ、その場で猫を捕まえて平気で殺す。

RSPCAが「野良猫にエサをやるな」と環境省の役人に話したのも、つまるところ、「野良猫は害獣」という思想がベースになっている。

 もし、当時の環境大臣政務官・牧原秀樹氏と、環境省の役人たちが、RSPCAの名声にまどわされて、上述の実態を知らなかったすれば、「野良猫にエサをやるな」という話で、変だと気付かなければおかしい。野良猫にエサをやらなければ、飢える。無論、それは動物虐待である。虐待防止がモットーのはずのRSPCAが、エサをやるな、というのはおかしい、と気付くはずである。

 筆者の実体験に照らすと、筆者の家で飼っている猫は、今年5月までの野良猫だったことは既に述べたが、この猫は飼った当初は、栄養失調で全身がげっそりして体重は2.4kg、シッポは縄跳びのヒモのように細かった。それに野良猫のときはストレスで自分の胴体の毛を噛んでむしりとっていたため、人間の手のひらサイズ分、胴体の毛が抜けて地肌が出ていた。ほかの部分の毛も全体的に薄く、キジトラの模様もかすんでいた。もう少し遅れていたら、死んでいたかもしれない。それがペットフードを与えるうちに、どんどん毛がはえてきて、模様もはっきりしてきて、シッポも太くなり、体重も少しずつ増えてきた。

 その原体験からも、野良猫にエサをやらない、というRSPCAの行為は虐待と思う。

 (続く)

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2015年09月28日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十八

 元RSPCAインスペクターのドーン・オーブリー・ワードは、20082010年までRSPCAに従事していた。これまで、シェルターとなる部屋がないという理由で、たくさんの動物が殺処分されるのをみてきた、と彼女は語る。(写真は英紙デイリーメールより)

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RSPCAは、動物を安楽死させるのは「最後の手段」と主張する。しかし、デイリーメールの調査によると、ほかにも実名の告発者はいる。

 例えば、12年間RSPCAに勤めていた獣医師のケント・デイビット・スミスは、「現在、RSPCAが人々を続々と告訴していることが全てを物語っている」という。

 過去2年間で、RSPCAが有罪確定させた件数は、2,579件から3,114件に増えている。

 例えば、イングランド南東部ケント州ウェスト・ホーアム在住の独身女性・ジョージナ・ラングリーさん(67)は、昨年、自宅にRSPCAが踏み込んできて、ラングリーさんの13匹の猫のうち、5匹を安楽死させた。

 そして、RSPCAは、ラングリーさんをネグレクト(飼養放棄)のかどで告訴した。

 そこで前出の元RSPCA獣医ミスター・スミスが援助にかけつけ、猫の遺体2体を英国王立獣医科大学へ送り、検死解剖を依頼した。

 スミスは、「猫たちを安楽死させたことに、正当な理由は見当たりません」「英国王立獣医科大の検視の結果、猫たちは健康で、誤ったエサやノミその他病気の兆候は、一切ありませんでした」という。

 また、スミスは、「私が働き始めた頃は、インスペクターはめったに人を告訴しませんでした。アニマルポリスのメインの仕事は、動物の世話をする飼い主を助けることでした」「それが今では、彼らは何が何でも告訴したいようです。他の獣医からも似た話を聞きます」「RSPCAは、人と動物を救うために設立したというチャリティー(慈善団体)としての役割を見失ったように見えます」と指摘する。

 もう一人、告発者がいる。元RSPCA職員アンジェラ・イーガン・レーヴンズクロフトは、19902000年にかけて、RSPCAロンドン地域の支部コーディネーターだった。しかし、彼女は、RSPCAのやっていることに幻滅して去り、「地方連合」という動物擁護団体で今は働いている。

 彼女はこう語る。

 「健康で、精神的に安定した、他の飼い主のもとに戻ることができる動物たちを、安楽死させる。私はそんな組織の一員でありたくありませんでした」「RSPCAは、ひどく道を見失いました。当初の設立理由は、全て消滅してしまいました。RSPCAには、もはや草の根の動物福祉は存在しません」

 (続く)

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2015年09月27日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十七

 翌朝、ミーティングに出席したバーンズ夫妻は、もしも裁判所と警察がRSPCAの求めに応じるならば、自分たちが裁判沙汰・警察沙汰になる恐れがあることを知った。

 インスペクターは書類を見せながら、「もしも、あなた方二人が、クロードを安楽死させることを認めないならば、そのときは、あなた方の決定を無効にするオプションがあります。私は警察に行くことができます。そうすると、私の訴えを警察は認めることでしょう。さらにこう言ったという。

 「あなた方は、罰金か、禁固刑になる可能性もあります」

 そして、インスペクターは、「法律は私の側にある」「そうはしたくないが、私はあなたがたを強制的にサインさせることができるのを知っている」と、プレッシャーをかけてきた。ミスター・バーンズは、警察の関与を恐れ、結局、サインしてしまったという。

 その後、バーンズ夫妻は、子供たちがクロードとお別れをするため、最後の一晩だけ、クロードを家に連れて帰りたいと言った。だが、インスペクターは拒否した。

 そこで、4時までに遅らせることはできないか、そうすれば子供たちを学校からここに連れて来てお別れをすることができる、と言った。それを聞いた獣医は同意しようとしたが、その時、インスペクターがさえぎった。そして、こう迫った。いますぐに安楽死させなければいけません。

 こうしてクロードは死んだ。享年16歳だった。(写真は英紙デイリーメールより)

  

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 その後、RSPCAは、バーンズ夫妻を虐待の罪で告訴した。20148月、バーンズ夫妻は無罪となったが、この間、夫妻はトラウマで苦しんだという。

 なお、RSPCAは、クロードの遺体を返していないため、バーンズ夫妻は、庭に埋葬するため、遺体の返還を求め係争中という。

 名にし負う英国アニマルポリス。だが実態は、老猫には死を――というメガデスがまかり通っている。

 他にも、こういう記事がある。

 それは「レスキューした動物の半数を安楽死させるRSPCA しかもそのうち数千匹は完全に健康体」という記事。(デイリーメール電子版20121229日付)

 これによると、RSPCAは、毎年、救い出した動物の半数近くを殺処分している。昨年は、救出したうちの44%、53千匹を殺処分した。そのうち、3,400匹は、医学以外の理由、例えば犬小屋や猫の預かり所のスペースがないという理由で殺していた。(写真は、「人道的な銃」と称してSPCAが頻繁に動物を殺すのに使用している銃。同紙より)

  

人道的な銃.JPG


(続く)

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2015年09月26日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十六

RSPCAを巡るブラックな事件は他にもある。国営放送BBC、や英紙デイリーテレグラフ、デイリーメール、メトロなどによると、イングランド南東部ハートフォードシャーの猫の話。

 同地に住むリチャード・バーンズ(53)とその妻サマンサは、1990年代後半に、生後6か月のオスの子猫を友達から譲り受けた。

 それはターキッシュヴァン(トルコ原産の長い毛の猫。体毛は白で、頭と尾に金褐色の斑紋があり、明るいオレンジ色の眼をもつ。リーダーズより)という猫だった。猫は「クロード」と名付けた。

 その後、バーンズ夫妻には2人の子供、ドミニク(15)とエローイス(13)が産まれたが、クロードは常に「最初の家族の一員」と見なされていた。(写真は英紙デイリーメールより)


クロード1.jpg

 クロードは、素敵な長毛の猫だが、その毛を櫛ですいたり、もつれた毛を切って整える、つまり、トリミングされることを、ひどく嫌がった。

 そのため、当初、ミスター・バーンズは、クロードを地元の動物病院へ連れて行き、麻酔で眠らせて、トリミングしていた。だが、獣医は、その方法は有害だと警告したため、数回で全身麻酔を止めた。

2003年からは、バーンズは膝の上にクロ―ドをのせて、撫でて、クロードが寝入ったあと、妻サマンサがハサミで長くなった部分を切るようになった。(写真は同紙より)


クロード2.jpg

20126月、バーンズ家の隣人が、毛が長くて、ひどくもつれている猫がいる、とRSPCAに通報した。これにより、RSPCAのインスペクター(査察官)の女性が、バーンズの家にやって来た。

 インスペクターは、クロードが老齢であることを理由に、今後は健康状態を観察するよう要請。バーンズ夫妻は同意した。

 翌20136月、同じような苦情が入り、一年前と同じインスペクターがバーンズの家にやって来た。

 そして、ミセス・バーンズに対し、検査のためクロードを獣医のもとにつれていくことを認めるよう、説得した。こうしてインスペクターは、クロードを連れて行き、1時間後に戻ってきた。

 インスペクターは、こう言った。

 クロードは、すぐに安楽死させなければなりません。

 その理由とは、長くもつれた毛であることと、ひどく高齢で、今まで見た中で最もやせた猫のうちの一匹であるため、というものだった。だがクロードは高齢の割には健康体だった夫妻はいう。

 その後、インスペクターは、安楽死の処置をすることを許可する書類にサインするよう言ったが、ミセス・バーンズは拒否した。すると、インスペクターは、明日の朝、RSPCAと獣医の会議があるので出席するよう言い、去って行った。

 (続く)

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2015年09月25日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十五

 トラネコは安楽死と称して殺されたのだった。

 その後、女性のインスペクターが、ベーカーさんのもとに、トラネコの亡骸を返しにやってきた。「猫の毛は健康的で、目もクリアでした。私には猫が死んだことが理解できませんでした」とベーカーさんは嘆く。

 このトラネコは庭に葬られた。(写真、同HPより)


トラネコ.JPG

RSPCAは、トラネコに飼い主がいるか知ろうともせず、連れ去りました。インスペクターの女性は、道でトラネコを掴み、バンに投げ込んで、殺したのです、とベーカーさんは言う。

 なお、RSPCAのスポークスマンは、マイクロチップを装着していれば、安楽死させることはなかった、と弁明し、トラネコが腎不全や呼吸に問題があったため、インスペクターが獣医師のところに連れて行ったという。通常、RSPCAの査察官は、健康な猫を見つけたときは、飼い主がみつけるため7日間、保護することになっているが、もしもその猫が重篤な病気や怪我、または獣医が即時安楽死が必要と判断した場合、かならずしも7日間保護する必要はない、とRSPCAは説明している。

 また、英紙デイリーミラー電子版09617日付にこういう記事がある。

 それは「家族が見失った猫を、捕まえてから1時間後に安楽死させてRSPCAは告訴された」という記事。

 それによると、日曜の朝、3歳のキジトラ・ルナは、遊びに外に出た。しかし、隣人は、ルナを野良猫と思い、RSPCAを呼んだ。

20分後、インスペクターが到着。それから1時間後、ルナは獣医のもとに連れて行かれ、致死量の注射を打たれて安楽死した。(写真はルナ 同HPより)


ルナ.jpg


動揺し憔悴した飼い主・ハリーさんとジェニファー・ハミルトンさんは、RSPCAに対し法的措置を取ろうとしている。

28歳の技術師であるハリーさんは「ルナは世界で最も思いやりがある猫でした。妊娠5ヶ月半の妻は打ちのめされました。私達の寄付で支えらている慈善団体であるRSPCAが、こんなことをするとは信じられません。はらわたをえぐられる思いです。RSPCAは、ルナは獰猛な野良猫だと思ったと言います。しかし、知らない人が近づいてくれば、大抵の猫は恐がります」と激怒している。

 一方、RSPCA側はこの件について深く謝罪すると言っている。

 とんでもない話だが、ルナの悲劇のほかにこの記事で要注目は、RSPCAが、ルナを野良猫だと思って即殺した点である。

 野良猫がいるという通報を受けると、RSPCAは即、殺す。英国では、それが日常風景になっている。

 (続く)

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2015年09月24日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十四

 それにしても本当にRSPCAは野良猫へのエサやりを禁じているのだろうか。そこで英国の内情を調べたところ、こういう記事があった。

 その見出しは「RSPCAが『猫に餌をやるな』というショッキングなアドバイスをした」という記事。(英紙マンチェスター・イブニング・ニュース電子版2010816日付)

 同記事によると、近々結婚予定の、ステーシー・コナー−ブラウンさんという女性が、「庭に子猫を産んだ野良猫がいる、どうしたらよいでしょうか?」とRSPCAにアドバイスを求めた。すると、ショッキングな答えが返ってきたという。

 開口一番、RSPCAは、野良猫は助けません、といい、猫にエサをやるのを止めて下さい、と言った。

 「私はそれを聞いて愕然としました。RSPCAは本当に冷酷だと思います」(ミス・コナー−ブラウン)

 こんなふうにRSPCAが野良猫にエサをやるなと言うのは日常茶飯事という。だが、このケースでは子猫が3匹いたので間違いだった、としてRSPCAは謝ったという。

  

マンチェスター.jpg

 (写真は同紙HPより)

 これを見る限り、RSPCAは少なくとも野良の成猫にはエサはやらないよう国民に指導していることになる。やはり、環境省の会議で言った、「エサをあげない」という方針を英国で実行している。

 それだけではない。日本からみると理想にみえるRSPCAだが、実は野良猫を「害獣」のように扱っている。実のところ、英国では野良猫は法的に害獣として扱われている。その野良猫への仕打ちが、飼い猫にも波及している。そのことを示す英紙記事は多々ある。

 英紙ザ・ヨーク・プレス・ニュースペーパー電子版201094日付に、お婆さん(下の写真)と、猫の死体と見られる写真付きで「RSPCAにより安楽死の憂き目に遭ったアン・バーカーさんの消えた猫」という記事がある。


アン・ベーカーさん.JPG

 それによると、英国北部の港町セルビーで年金生活を送るアン・ベーカーさん(79)は、1992年からトラネコを飼い始めた。野良だったこのトラネコを、亡き夫とベーカーさんは家で飼うことにしたのだ。夫が亡くなってからというもの、ベーカーさんにとってこのトラネコは、夫のことを想い出させるかけがえのない存在。

 そんなトラネコが、週末、呼吸器系疾患に罹り、週明け月曜に動物病院に診てもらった。その翌日、トラネコは外に出たい、と鳴いていたので、ベーカーさんは、庭に出した。

 それからしばらくして、ベーカーさんがトラネコを家に入れようとしたところ、猫はどこにも見当たらなかった。

 後日、隣人から聞いた話では、RSPCAのバン(ボックスカー)がこの辺りを走っていたという。

 そこで、ベーカーさんはRSPCAに電話して聞いた。すると、応対したRSPCAの女性は、たしかにセルビーで猫一匹を拾ったという。その後、この女性が折り返し電話してきて、こう言った。

 「悪い知らせがあります」

 (続く)

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2015年09月23日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十三

 さらに、こうある。

 「英国では、動物の入手が保護施設からなので、相性が合わない等で飼養ができなくなっても保護施設に戻る(譲渡する際は、相性確認を十分にしているので、戻ってくる動物も少ない。)

 「日本のペットショップでは、売ったものを返す仕組みになっていないので、遺棄をしたり、保健所に持って行くことになる。」

 次に、「3 譲渡について」とあり、こうある。

 「RSPCAが動物を譲渡するときは、避妊去勢、ワクチン、マイクロチップまでして、60ポンド(約1万円、本年10月末時点のレート)で譲渡している。また、譲渡の際には、飼養者する者に対し、丁寧な教育を行うとともに、飼養環境や動物と飼養者の相性を十分考慮して最適な動物を譲渡できるよう努めている。譲渡した動物と飼養者との相性が合わない場合には、返還してもらうことになる」

 次に、「4 インターネット販売について」とあり、こうある。

 「英国では、インターネット販売は違法ではなく取り締まることができない。そのため、RSPCAのホームページで優良ブリーダーを掲載し、犬猫を買うときには、掲載しているブリーダーから購入するよう呼びかけている」

5は後で述べる。その次に「6 査察の方法について」とある。これは、動物虐待を取り締まる査察官「アニマルポリス」の査察方法を指す。そこにこう書いてある。「動物虐待に係る査察は地方公共団体等の行政が行うことが望ましい。査察の際の立ち入り等については、自治体と警察が連携して対応することが重要である。」

 動物に対する思想、政策は、英国に比べ、日本は100年以上遅れている、とよく言われる。周知の通り、その英国で動物の権利を守る核となっているのが、創立190年の歴史を持つこのRSPCA(英国王立虐待防止協会)。上述の虐待防止やペットショップの話は、その歴史に裏打ちされた文明のきらめきを感じさせる。

 そのRSPCAは、「5 野良猫への対応について」で、なんとこう述べているのだった。

 「日本と同じで、1988年頃は英国でも野良猫が多く、野良猫に餌をやる人もいた。野良猫を減らすためには、一定の地域で数をコントロールしないといけない。餌やりについても地域で話し合い、その地域で餌をあげないことにする必要がある。また、繁殖目的以外の猫の去勢・避妊が重要。」(写真)


RSPCA エサやり言及箇所.jpg

  「牧原プラン」(第2回 概要).pdf


 (続く)

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2015年09月22日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十二

 なお、杉本彩、浅田美代子、滝川クリステルの出席した会議では、野良猫のエサやりについて話し合われていなかった。筆者は環境省への情報公開請求により、そのことを確認した。

 エサやりについて議題に上がったのは、20131126日に行われた2回目の会議である。

 会議の概要を記したA4用紙2枚の文書「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト〜犬猫の殺処分0を目指す『牧原プラン』〜(第2回 概要)」によると、この会議は同日1820分〜1910分に、牧原大臣政務官室で行われた。

 内容は「英国王立虐待防止協会(RSPCA)の担当者との意見交換」。

 同協会の出席者は「同協会国際部■■■同協会■■■(随行:(公社)日本動物福祉協会■■■」と黒塗りで伏せられており、誰が来たかは定かではない。

 政府側の出席者は、「牧原大臣政務官(途中退席):田邉室長、中島補佐、林補佐、大倉補佐、鈴木係員、事務局:中川俊直議員(途中退席)」とある。

 そして、<主な内容、意見等>とある。その下に「1 英国での動物虐待法について」とあり、箇条書きで、英国の現状の説明の記載がある。例えば、こう書いてある。(野良猫という大きなテーマでみるとつながっているので紹介する)

「動物保護法に違反した場合には、罰金もあるが、その後、動物の飼養が禁止される。この飼養禁止措置が、動物虐待を防ぐのに最も有効。(飼養禁止命令を破ると、再度、告発されて、裁判所の判断が厳しくなる。そうなるとと必ず懲役刑になる。)」

 「英国は、飼養者への規制が強く、各動物の飼養に対してCodeofPractice(行動規範)が作成され、飼養者が守るべき基準を定めている。これは、餌の与え方や寒さ対策など細かな点まで定めており、これに逸脱すると法に違反する可能性がある制度となっている。業規制だけでなく、飼養者への規制、教育が重要であり、CodeofPracticeにより、飼養者を正すことができる」

  次に、「2 動物の供給について」とあり、こうある。

 「殺処分をゼロにするということで重要なのは、動物の供給側を見なければいけない。日本では、ペットショップやブリーダーからの動物の供給が多過ぎるから、いらなくなる動物が増えてしまう。」

 「英国でも1980年代は、多くのペットショップがあり、そのペットショップから犬猫を引き取って安楽死させることが多かった」

 「ペットショップはたくさん過密に動物を飼ってしまうとか、動物福祉の面で多くの問題があったため、政府が動物保護法の飼養基準を強化させていき、動物福祉という観点から非常に厳しい基準※になった。ペットショップは許可制であり、ペットショップが基準を満たすことができなくなり、その結果、10年後には、町からペットショップがなくなり、動物を飼いたい人は、保護施設から引取るしか動物を飼う事ができなくなった。

 (※)ふれあい過ぎないようにとか、放っておかないとか、一般の客から隠れている場所があるとか、飼う場所の大きさ・広さ等が定められている」

 (続く)

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2015年09月21日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 三十一

 「牧原プラン」には、「無責任な餌やり」という文言の他にも、見逃すことができない言葉が入っている。

 うしろの方の「殺処分ゼロに向けて、検討すべき事項」の中の、「所有者のいない犬猫の対策」で、こう記しているのだ。

 「餌やり人への規制、餌やり人への対策」

 「地域合意に基づく餌やり防止」

  (写真は牧原プランより)

検討事項.jpg


  牧原プランは、餌やり禁止を全国に広げようと目論んでつくられたとか考えられない文言である。その牧原プランをいち早く具現化したのが京都市ということになる。

 それにしても、牧原プランは一体どういう議論を経てできたのだろうか。

 環境省HPによると、計5回の会議と、1回の視察・会談を経て、牧原プランをつくっている。

1回目の会議は、20131120日。「動物愛護活動に取り組んでいる女優の杉本彩さん、浅田美代子さんとの意見交換を行いました」という。

2回目の会議は20131126日。「動物虐待、保護施設、ペットショップや飼い主責任など海外の事例について、英国王立虐待防止協会(RSPCA)担当者の方との意見交換を行いました」という。(写真は環境省HPより)


1 2回目.jpg

 3回目の会議は、2014121日。「動物愛護管理行政における実際の現場の取組事例や課題、ボランティアとの連携、猫の適正飼養、譲渡のすすめ方など自治体の方との意見交換を行いました」

 次に視察、会談を、201425日に行った。「犬猫の引取り数や殺処分数の更なる削減に向けて、埼玉県知事と対談し、埼玉県動物指導センター、さいたま市動物愛護ふれあいセンターを視察しました」とある。

4回目の会議は、2014320日。「動物愛護活動に取り組んでいる滝川クリステルさん(フリーアナウンサー)、藤野真紀子さん(料理研究家)と、学校教育や普及啓発等、動物の適正飼養の推進や収容動物の引取りの削減、譲渡の推進を図るための取り組みについて、意見交換を行いました」

5回目の会議は、2014425日。「動物を取り扱う事業者の方々と、所有者不明の犬猫対策、譲渡の取組、不妊去勢措置やマイクロチップ装着の推進への対策等について、意見交換を行いました」。(写真は環境省HPより)

  

4 5回目.jpg

 この中でまず目につくのは、タレントの多さである。ちなみに、会議に出席した、浅田美代子、滝川クリステルは、犬の飼い主である。猫は飼っていない。杉本彩は自宅に猫を複数飼っていることがテレビで流れたことがあるが、京都市とのつながりが深く、2015年4月からは京都市動物愛護センターの名誉センター長に就任している。(※杉本彩の個所は、読者の指摘、確認の上、201510月12日に訂正した)


 それだけではない。牧原プランには「応援団」と称してタレントや文化人、アスリートが名を連ねている。その数16人。前出の杉本彩、浅田美代子のほか、麻生花帆(俳優)、榎戸二幸(箏曲演奏家)、さとう珠緒(タレント)、一色采子(女優)、山田花子(お笑いタレント)、山本“KID

”徳郁(格闘家)、八神純子(シンガーソングライター)、坂本あゆみ(映像作家)、小菅正夫(元旭山動物園園長)、浜島直子(タレント)、柴田理恵(女優)、松本秀樹(タレント)、デヴィ・スカルノ(国際文化人)、高橋尚子(スポーツキャスター)。

(応援団の面々。環境省HPより 応援団の面々.jpg

 そのうち、犬とのツーショット写真を載せているのが山田花子、山本“KID”徳郁、松本秀樹。メッセージに犬を飼っていることに触れているのが麻生花帆、さとう珠緒、高橋尚子。一方、猫を飼っていると述べている者はゼロ。この点からして牧原プランの体質が表れている。 

 (続く)


















 (続き)

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2015年09月20日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十九・三十

 このように、当時の環境大臣政務官で、現、衆院環境委員会・理事、そして自民党環境部会・副部会長でもある環境族の牧原秀樹氏がつくった「牧原プラン」は、「無責任な餌やり」という、全国の自治体の役人がどうとでも解釈できる言葉を入れることによって、例えば京都市に“エサやり禁止のお墨付き”を与える、といった役割を果たした。筆者の取材に対し、京都市の役人は「牧原プラン」をエサやり禁止条例の参考にした、と述べている。無論、牧原プランのできる前から京都市はエサやり禁止に向けて水面下で動いていたので、牧原プランを楯に取った形である。

 前出のように、牧原氏は、牧原プランに不十分な点があれば、「皆様のご意見も伺い、追加修正」をする、と表明していた。

 それなのに、京都市がエサやり禁止条例のパブリックコメントを受付けた月である昨年12月と、条例案を京都市議会に提出する直前の今年27日、そして条例案が可決された直後の326日に、それぞれTHEペット法塾(代表:植田勝博弁護士)が大阪、京都、東京で開いた反対集会(東京は全国動物ネットワークと共催)で、牧原氏は来賓として呼ばれていた。そのたびに、牧原氏は欠席してメッセージを送っていたが、牧原プランにある「無責任な餌やり」については一切ふれず、開催おめでとうございます、という、おためごかしの社交辞令に終始していた。

 そうした中、今年619日の院内集会「野良猫保護、実験動物の福祉、被災動物と動物愛護法改正」(主催:THEペット法塾 共催:全国動物ネットワーク)に、初めて牧原氏は現れた。牧原氏は開会から1時間ほど経った頃、にわかに会場に姿を現した。そして市民団体の人の話が終わった後、司会に紹介されて、マイクを持って挨拶した。

牧原氏の話の内容は、去年6月に牧原プランを出して殺処分ゼロを国家の方針とした、殺処分ゼロに向け初めて予算をとった(5千万円を要求し1300万円に決定)、12のモデル地域にお金を出している、それから環境大臣政務官を辞めて、それでゆるくなってはいけないということで、超党派で動物、命を大切に思う仲間で議員連盟を立ち上げた、これも初、普段は国会で同じ日本人かと思うくらい喧嘩をするが、動物ということに関しては完全に一致団結して心を合わせて次の動物愛護法改正のときにしっかりやっていこう、ということでやっている、今日は植田代表をはじめ、この会議をやるということは、それに向けて歴史的な会議になるんじゃないかな、と思っている、今日は実は私の方で部屋をとらせていただいた、15時から19時半という超長丁場の会議でありまして、うちの秘書は子供もいるんですけど、今日は20時までは帰れない、ちゃんとキレイにしてから鍵を返す、最後までいます、それくらい今日は大切な会議、今、たくさんの方々からご報告を承りました、是非、このことを活かして次の法改正につなげていきたい。

 こう、言った後、牧原氏は、こう語った。

 「なかなか動物愛護の関係、今も何人かお話ありましたけれども、理解を得るというのが難しいんですよね、やはり日本人のなかには、命よりも、自分がうるさい、とか、自分が汚い、とかいうことを、重んじる人が残念ながら多くなってしまっている現状がございます。

 しかしそのことに決してめげることなく、わたしはここの活動が、将来、心豊かな日本の土台になると思ってますので、どうぞよろしくお願いします。皆さまのこの大会のご成功をご祈念申し上げて挨拶とします」

 この中の「理解を得るというのが難しいんですよね、やはり日本人のなかには、命よりも、自分がうるさい、とか、自分が汚い、とかいうことを、重んじる人が残念ながら多くなってしまっている」という言葉は、京都市の事例でみてきたような野良猫の苦情者が多いという意味と見受けられる。そして、そうした苦情の声が多いので、野良猫へのエサやりが理解を得るのは難しい、エサやり禁止の流れはしょうがない、牧原プランを修正もしない、ということを言外に匂わせた。

 その後、牧原氏は、パネリスト用のイスに座った。筆者は、てっきり、トークに参加するのかと思った。おそらく、主催者のペット法塾の植田代表や、牧原氏を握手で迎えていた議員連盟で一緒に活動している参院議員・福島瑞穂氏や、会場の参加者の多くも、牧原氏はトークに参加するのでは、と思ったのではないか。

 パネリストとして参加すれば、おそらく、牧原プランの中身について、厳しい追及が飛んでくることだろう。一体、牧原氏はどう答えるつもりなのか。それとも、実は牧原氏は、ひそかにエサやり禁止に反対していて、他の京都市の猫エサやり禁止条例に反対するパネリストに同意して気勢を上げてるのだろうか。何よりも本当にパネリストとして参加するのだろうか。

 そんなふうに半信半疑で様子を見ていると、にわかに牧原氏は、主催者に一礼して、会場をあとにした。



牧原氏空席.jpg

 (パネリスト牧原氏のイスは空席だった)



会場 .jpg

 (会場)

 (続く)

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2015年09月19日

「池田教団コーメートーは政教一致の憲法違反」への道ひらく安保法制の「解釈改憲」三

 参院議員の山本太郎氏が、安倍晋三首相の問責決議案の記名投票のときに、牛歩をして、数珠を持ち焼香をした。その理由を問われ、「昨日は『自民党が死んだ日』と(プラカードで)掲げたので、本日は告別式の流れになる」と言ったという。

 それを知り、筆者は、自民党の終わりの始まりでもあるが、死、という意味では、むしろ、「池田大作の死んだ日」だと考えている。

 池田大作という独裁者が物理的に生きているのか死んでいるのか、植物人間になっているのか、あるいは認知症で人前に出ないのか、定かではないが、池田大作のつくったもの、やってきたこと、全てが失敗だったことが証明された日だからである。平和を騙り、仏教を騙り、アカデミックを騙ったこの教団は実体は何なのか――。

 カルト教団――としか言いようがない。

 今後、池田教団は、日蓮正宗大石寺に戻る一派、国政から手を引く一派、国政にしがみつく一派、池田大作の真の教えはこうだ、いやこうだという具合に派閥間で争いを繰り広げ、四分五裂していくことだろう。


 以下、前回の続きを記す。


 さらに筆坂氏はこう語る。「実態はもっとひどいですよ。池田名誉会長の発言ところじゃないです。私たちは百十五人分の訴えを聞きましたよ。そして領収書もついています。私は領収書も持っていますよ。百十五人で一億四千九百万円余り、約一億五千万円です。わずか百十五人でですよ。

 どういう訴えをされているかその一部を御紹介しますと、京都の方は、家屋を購入したところ、幹部が、昨年は五十万円した、ことしは百万円と言われた。その上、住宅は解約をして財務に回せと言われたと。秋谷会長の五十万円の領収書もあります。

 広島の方。ある婦人部の方は生命保険を解約して財務に出された。また、ある婦人部長はローンでお金を借りて財務に出されたと言われて、あなたは家もあるし、大手の会社に勤めているんだから毎年百万円財務に出すように言われたというんです。

 新潟。副婦人部長が次のような体験談をして財務を迫ったと。長男が大学受験に失敗して入学金が浮いた。そこで百万円を財務に出し、大きな功徳のできる出口ができたというんです。子供が大学受験に失敗して入学金が浮いたから、これで功徳ができる出口ができたと。

 新潟。小児、学生といえどもお年玉や貯金、バイトのお金を出して福運を積ませるようにとか、生活保護を受けている人にはしっかり財務をさせて宿命転換をさせてあげるようにと言われたというのです。

 これは福岡の方で、支部で金額の目標を決めていた。十万円以上を大口と言い、十世帯以上の目標を決めていたと。こういうケースが山ほどありますよ。(中略)

 フランスでは会員に対する寄進の強制というふうに言われたんですよ。そして一体どう使われているんだ、知らせてほしいと言うと、フランスでは暴力まで振るったというんですよ。日本では変わらないどころかもっと大がかりにやられておるということですよ。

 さっき(中略)日蓮上人の教えは草の根デモクラシーだと言う方がいらっしゃったけれども、これはそういうふうに思いますか」

 「しかも、こういう金が一体何に使われたのかといいますと、(中略)選挙のときには宗教施設どころか選挙施設と化すような全国各地の会館があると。(「そんなことはないよ」「それは本当だ」と呼ぶ者あり)本当ですね、これ。池田名誉会長の別荘や豪華専用施設、あるいはルノワールの絵画購入事件というのもありました。十五億円、不明ですよ。あるいは一億七千五百万円入りの金庫が投棄される、こういう驚くべき事件もございました。政党に流れたという疑惑だって指摘されていますよ。その使途は非常に不明朗です。

 文部大臣、仏教の言葉で三輪清浄という言葉があることを聞かれたことがございますでしょうか。(中略)これは高野山大学の村上先生が書かれておるので私も知ったんで、御存じなくたって別にどうってことはないんですが、三輪というのは、布施をする人、もらう人、お布施そのもの、これを三輪と呼ぶらしいです。つまり、布施をする人も、もらう人も、布施そのものも清らかでなければならないというのが仏の教えだと、三輪清浄、私もいい勉強をしました。今の創価学会のやり方というのは、この財務というのは、今お聞きになった三輪清浄ということに当てはまると思いますか」

 (続く)


 参考音源 http://www.toride.org/AUD/oseziwo.wav 「池田大作問題発言」http://www.toride.org/ikemondai.html  創価学会による被害者の会HPより

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2015年09月18日

「池田教団コーメートーは政教一致の憲法違反」への道ひらく安保法制の「解釈改憲」二

 また、平成7121日の参院・宗教法人等に関する特別委員会の席で、自民党の小山孝雄氏は、こう述べている。

 「私は、憲法第二十条に関して御質問を申し上げますが(中略)「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」とございます。この主語は何ですかと聞かれた場合に、だれもが「国及びその機関」、これが主語だと、こう答えるはずでございます。(中略)「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」とございます。この主語は何になりますかと聞かれたときに何と答えるか。だれが見ても「宗教団体」と答えるんじゃないんでしょうか。(中略)

 そして、この「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」と。その中身は、私は二つの意味が書いてあると思います。いかなる宗教団体も国から特権を受けてはならない。もう一つが、いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならない。(中略)

 素直に読めばまさしくそういう文章、日本語であると、こう理解できると思うんですが、これまでの政府答弁においては、そのような読み方を素直になさっていただけない、別の答えが返ってきているということを申し上げておきたいのでございます。(中略)

 それから第二点は、これまでの政府解釈が、宗教団体が行ってはならないこと、これは公権力を使って布教活動をしたりあるいは他の宗教に介入をしたりすることはいけないんだと、これが第一点。そしてもう一点は、国または地方公共団体から正式な意味において権利を授けられて公権力を行使する、こういうことがあってはならないんだと、こういう解釈でございますが、果たして現代の日本において、宗教団体が地方公共団体または国から正式な意味において権利を授権するということは、これはあり得ない話じゃないんでしょうか。(中略)

 形の上しゃなくて実質的に宗教団体が公権力を行使してはならないんだということがこの条文の解釈であろうと、(中略)たとえ法令などの正式の定めがなくとも実質的に宗教団体が公的な権力を行使することがあってはならないという意味をちゃんと踏んでいるんだ、これは論理解釈上からいってもそうじゃなかろうかと、こう思うわけでございます。

 それでは、実質的に宗教団体が公権力を行使するというのはどういうことを想定されるのかということを一つの事例を申し上げながらお尋ねするわけでございますが、仮定の話といたしまして、ここに例えば王仏冥台宗という宗教団体があったといたします。そして、その宗教団体が宗教上の理念を実現するためには政治上の権力を掌握する必要があるとしてつくられた党が王仏冥会党、そうした政党を使って公権力を行使していく。王仏冥合というのは、王法すなわち政治、王仏の仏は仏法、これは宗教、政治と宗教が微妙に一致することが正しい政治が行われるんだと、こういう理念に基づいてつくられた宗教であり、政党でございます。

 その政党が、国会で過半数を占め、政権を掌握し、その党首が総理大臣に指名された場合、果たしてどうなるかといった問題があります。今までの政府解釈は、そうなったとしても直ちには政教分離の原則には反しないという見解でございました。なぜかなれば、人物が別人格だから、別存在だからと、こういう見解でございました。

 しかし、私はこういうことを想定いたしました。その王仏冥台宗には、かつて総裁だったのでありますけれども、ある事件で社会的批判を浴び、今は総裁を辞任し名誉総裁をしている絶対的な最高指導者がいたといたします。

 絶対的最高指導者というのは、王仏冥台宗においても、王仏冥会党においても、ともに人事、財政、組織の全権を掌握してすべての信者と党員の上に君臨する存在と、こう想定をしていただきます。

 王仏冥会党は、その絶対的最高指導者の意向に忠実に運営されておりまして、それを批判する議員は党から除名される状態にあるといたします。そのため、大臣が政策判断を行う際に、その絶対的な最高指導者がいろいろと指示をし、大臣はそれに逆らうことができないわけでありますから、指示どおりに行政が行われる事態が生じた場合、果たしてこれが合憲と言えるのかどうか。(略)

 さらに、選挙に臨んでは、候補者の選考、選挙区の選定から始まって、選挙戦術、選挙後の政権の動向にまで口を出すお方でございます。宗教団体も政党も思うがままに操るわけでございます。

 時は千九百九十マル年マル月マル日、あすからは天下分け目の戦い、衆議院選挙が始まろうとしているところでございます。絶対的最高指導者は、王仏冥台宗の本部幹部会で全国各地から集まった県幹部と側近がひれ伏す中、どっかと一人大きな安楽いすにあぐらをかき、こんなことを話します。

 候補者にはたいしたのはいないかも知れないけどね。ゴーゴーでさ。ゴーゴー全員大勝利と、こういうことで行きましょう。もう淡々とね、余裕で、たいしたことないよ。

 “大激戦、楽しく勝ちゆけ面白く、日本全土をあっと言わせろ”だよ。

 広島A区の甲藤乙夫。これ大変有名な博士。本当は衆議院なんかもったいなかった。あすこは原爆がおっこったからね。博士がいいだろうってさ。大丈夫だよ広島A区

 三重B区。前回おっこった奴さ。桂三枝、桂三枝と呼んでやんなくっちゃいけない。そういえば当選すんだよ。これからは名前の良い人を選ぼう、山田小作のような。

 東京よ、東京四苦八苦ってね。いつもそれこそ落ちてんだよ。布施博よ、俳優の、似てるのよ、名前も長いよ、六文字もあるよ。東京C区全然燃えないの。火事の後みたい。

 神奈川D区の、西田丁、これ知らないね、余り。出身は農水省。ナニヨ、病院入ったほうがいいよ。衆議院という病院に。まだまだ激励の言葉が続くのですが、これぐらいにいたしますけれども、絶対的最高指導者は和歌もお詠みになります。「我が友が障魔に負けぬ大法戦、君ら戦え天下とるまで」、「邪悪なる自民四月を追い越して、仏の使いの友を讃む」、そして驚くことに、「政教の一致批判も何のその、勝利の凱歌に諸天は見つめむ」と政教一致を信者たちに呼びかけてはばからない。そういう状態も想定をしていただきたいのでございます。

 そしてまた、選挙後の組閣の際にも、労働大臣にはだれだれ、総務庁長官にはだれだれ、郵政大臣にはだれだれを任命せよと総理大臣に命じ、総理もそれに逆らえませんから、そのとおりに国務大臣を任命いたしたといたします。

 法律的には、形式の上では任命権はあくまで総理大臣にございますけれども、実質的な任命権はこの絶対的最高指導者が握っている場合でも、法律的に別個の存在、こういうことが果たして言えるのかどうか」

 なお、この同日、共産党の筆坂秀世氏は、こう追及している。

 「私はさくら銀行の「創価学会財務納金の振り込みについて」という文書を手に入れました。事業統括部長、業務渉外部長、関西業務渉外部長名でさくら銀行の各支店に出されたものです。これを読んでみますと、この財務というのが大変巨額なものだということはこれを読んだだけでも容易に推定できますね。

 期間は、東日本が先月二十八日から今月の十五日、西日本が十二月一日ですからまさにきょうですね、きょうから始まって十二月二十日まで、これが取扱期間だと。ただし、取扱期間から外れてももちろん受け取ります、結構ですというふうに書かれていますよ、振り込んで結構ですと書かれているんです。なかなからゃっかりしていますよ。

 しかも、取扱店の留意事項として、本取り扱いの振り込みデータは創価学会本部ヘデータ伝送され電算機処理されると。見本も、見本といいますか書式ももうちゃんとできているんですね、振り込み用紙がもうちゃんとできているんです。私は元銀行員ですが、余りこんな振り込み用紙はないんですよ。だって、振り込み人の名前と整理番号だって書いてあるんですよ。言ってみればその会員の背番号ですよ。あと書くのは金額だけです。こういう振り込み用紙がつくられているんですよ。あと金額さえ書いて最寄りの……(発言する者あり)ちゃんと聞きなさいよ最後まで。そして最寄りの支店に行けばいいんです。

 そして、行けば創価学会本部で、これ直接すぐ打っちゃうんですよ、それで電算機処理されると。すごいですよ、本当に。だれが幾らやったかと、過去のデータだってボタン一発で出てきますよ。それで、どの地区でどのぐらい集まっているか、この地区は成績悪いとかあるいはこの会員は少ないとか、もう直ちにわかるようになっているんです。これは大変なものです。こういうことがこのさくら銀行の資料でわかります。

 そして、注意事項で、ある支店では取扱期間になると毎日百件以上の受け付けがある、ミスも起こり得るので、これは大変だからミスを起こさないようにと。毎日百件ですよ、毎日ですからね。そうすると一つの支店で何千ですよ。そして、この最後には、さくら銀行の取りまとめ店というのがさくら銀行の場合は四十三店舗ある、これの一覧表が載っています。こういうやり方がされているんです。(中略)最初から名前、整理番号入りの振り込み用紙を渡されている。ある人はこう指摘しています。個々の会員の真心から発したものではなく、冷厳な一元的徴収管理システムだ、これで本来の御供養と言えるのかという疑念を提起しています。私はこれは当然だと思うんです。

 ここに私は、池田名誉会長が一九九三年、ロサンゼルスで開かれた第二回SGI・USA総会、ここで発言されたビデオテープを持っています。なかなかのものですよ。

 どういうことを言っているかといいますと、お世辞を使った方が広布基金をたくさんとれることを私は声を小さくして言っておきますと。こういう言い方がお好きな方なんですが、お世辞を使ってということはつまり言いくるめたということですよ、俗に言えば。そして、たくさんとれと言うんですよ、とれと言うんです。そんな御供養がありますか、とれなんという。自分の真心から出すものでしょうが。(「どこの文献なんだよ」と呼ぶ者あり)知らないからそんなことを言うんだよ。

 本当にたくさんとれというふうなことで、御供養だとかあるいは寄進だとか文部大臣、そんなことを言えると思いますか」

 (続く)


被害者の会HP.JPG

 (写真は創価学会による被害者の会HPより)


 参考音源 http://www.toride.org/AUD/oseziwo.wav 「池田大作問題発言」http://www.toride.org/ikemondai.html  創価学会による被害者の会HPより




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2015年09月17日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十七・二十八

 「牧原プラン」は、野良猫への餌やりについて、随所にふれている。

 まず、「引取り数を減らす」というタイトルページには、「引取りの65%、殺処分の76%を占める猫の対応が重要」とあり、「不妊去勢手術の徹底」、「猫の室内飼育の徹底」「地域猫活動」とともに、猫に餌をやっているイラストに禁止マークをつけて「無責任な餌やりの防止対策」とある。


無責任な餌やり.jpg

 さらに「殺処分をなくすための各主体のアクション(取組み)」というお題のページの、「国民」の欄に「無責任な餌やりの防止」と明記している。


無責任な餌やり2.jpg

 それでいて、肝心の「無責任な餌やりの防止」の中身は、一切書いていない。

 なお、環境省が牧原プランの4年前に発した「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」にも、次の一文がある。

 「飼い主がいない動物に対する無責任なエサやりなどの行為により、みだりな繁殖、ふん尿による被害の増加など、動物の愛護及び管理上好ましくない事態を引き起こす場合があることについても十分に留意する必要があることから、本ガイドラインでは、飼い主のいない猫の扱い方についても基本的な事項を記載しました」


ガイドライン.JPG

 この2つの環境省の文書にある「無責任なエサやり」について、元東京都新宿区の保健所衛生課職員の高木優治氏に見解を聞いたところ、高木氏は、こう指摘した。

 「『無責任なエサやり』という表現は、すごい抽象的な概念。何をもって無責任というのか? この表現によって、役所の方は、『そう書いてあるんだから、無責任なエサやりはダメなんです』ということで、自動的にエサやり禁止を始めたんです。根拠はここ。

 どうしていいかわからない時に、『牧原プラン』と『住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン』に、『無責任なエサやり』という言葉が入ったことで、『これは迷惑行為ですよ』という位置づけが、得られた。

 行政にとっては、今まで言ってきたこと(エサをやらないで下さい、という言葉)に、根拠をもらえた」

 では、「無責任なエサやり」とは何なのか――。置きエサ、撒きエサのことだろうか?その点を聞くと、高木氏は、「それはわからない。『迷惑だ』と言う人がいた瞬間、それが無責任なエサやりになる可能性があるわけじゃないですか。『あいつは、あそこで1時間も猫に餌やっている!冗談じゃねえよ!!』という人もいる。『それが目障り』と言うなら、無責任になるかもしれない。『公有地でエサやっているから、無責任だろ!』『駐車場でエサやっているのは、所有者の意向聞いていないから、無責任だろ!』『ヒトンチの敷地でエサやるのは無責任だろ。ジブンチの敷地でやれ!』という話になってくる」

 では、どうすればいいのか?そう聞くと、高木氏はこう語った。

 「エサやり禁止は一切言うな。新宿は一切言わないできました。そういう苦情があったときに、エサをやっている人に、エサをやっちゃいけない、とは言わない。こうしてね、とは言いますけど。例えば、手術をすすめたり、食べた後の片づけはちゃんとやってね、猫は自分でウンコ片付けられないんだから、ウンコくらい片付けようね、一人でキツイんだったら友達みつけてね、と」

 また、こうも語った。

 「置きエサ、撒きエサはダメです。これは猫が食べるとは限らない。それに、猫をコントロールできなくなる。

 つまり、何度、避妊去勢手術したって、撒いたり置いたりしたら、猫がどんどん来ちゃうんで、おっつかなくなるんですよ。

 それと、置いたら、その猫が食べているかどうかわからない。自分は、この三毛にあげたい。三毛が来ないから置いていった。すると、こっちのクロが来て食べるかもしれない。でも、あげた人にとっては、このクロの存在はわからない。

 エサをあげている人が、その猫の数を把握できない。そういうエサのあげ方は、ダメです。自分がキチンと世話ができる猫の数は、ちゃんと把握した方がいい。把握しないと、手術もできない。増えたときに、ひたすらエサをあげ続けていると、収拾がつかなくなる。猫のコントロールをできない自分をコントロールできなくなる」

 また、こう語った。

 「置きエサ、撒きエサをすると、僕らと地域猫活動をちゃんとやっているボランティアの人たちが、クレームを食らうんですよ。このボランティアたちは、町の人たちが、わかっているから。そうすると、この人たちがどんなに一生懸命やっても、叩かれるわけなんです。潰されるんですよ、町の人に。だから、置きエサ、撒きエサやっている人は、猫が好きとか何とかじゃないと思う。がんばっている人を潰すだけの行為にしかならない。それは動物愛護の精神ではない。一生懸命やっているボランティアさんを真っ向からひっぱたいていくようなものだから、置きエサはダメ」

 そこで、筆者が、「環境省は無責任なエサやりとは何かを定義する必要があるのではないか」と問うと、高木氏は、こう語った。

 「定義というか、『無責任な餌やり』という言葉そのものを、なくした方がいい。『置きエサ、撒きエサは禁止』と。そっちの方がスッキリする」

 (続く)


 参考

 牧原プラン.pdf

 住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン - 環境省.pdf

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2015年09月15日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十六

 京都市北部みどり管理事務所に連日クレームをした人物のように、憎しみの情念の募らせてばかりいると、人格が壊れてしまい最悪の事態になりかねない。そうならないためには、他のことを考えたり、第三者を介在したりして、精神のバランスをとる必要があるのではないか。

 なお、今回の事例にもいえることだが、もし「置き餌」をしなければ、ここまでトラブルになることはなかったことだろう。

 なぜ、置き餌をやめないのか――。

 これまでみてきた事例にもいえることだが、野良猫に餌やりでトラブルになっている人のなかには、社会との接点が少なく、自分の殻に閉じこもって、他人の話を一切受け付けずに、餌をやっている人がいるのも事実。中には精神疾患の人もいるという。そういうことを、筆者は、神奈川県内の熱心な野良猫保護ボランティアの人から聞いたことがあるし、元保健所職員や動物保護の弁護士の口からも、餌やりのなかには社会性に乏しい人もいると聞いたことがある。

 そういう餌やりに対して、置き餌をしないよう、役人や近隣住民が言っても、なかなか聞く耳を持たないし、強引に餌やりを止めさせようとしても、納得していないので止めるわけもなく、人目の付かない夜中や早朝の時間帯にこっそり餌をやるのがオチで、一向に問題解決しない。

 では、どうすればよいか。

 まず、置き餌と撒き餌はしてはいけないという事を、社会通念にしていく必要がある。避妊去勢手術をしている、いわゆる意識の高いボランティアの中にも、置き餌をする人がいる現状を見るにつけ、迂遠なようだが、まず、そこから始める必要性を感じるのである。

 置き餌をしてはいけない、という共通認識が、この国にはない。

 それには環境省の“失政”が大きい。

 平成266月、環境省は「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトアクションプラン」を公表した。これは同プロジェクト発起人の牧原秀樹・環境大臣政務官の名を冠し、「牧原プラン」と呼ばれる。

  

牧原秀樹.jpg

 (写真は、牧原秀樹氏。今年619日の院内集会「野良猫保護、実験動物の福祉、被災動物と動物愛護法改正」」(主催:THEペット法塾 共催:全国動物ネットワーク)で撮影)

 牧原氏は、こうつづっている。「日本をどんな国にしたいですか?そう聞かれたら皆様はどのように答えるでしょうか?私たちは、「優しさあふれる国にしたい」と思っています。「優しさ」とは思いやりです。そして「心」です。(中略)私たちは、殺処分をできる限りゼロにしたい。そして、人と動物が共に幸せに暮らし、優しさあふれる社会を実現したい、そんな思いから本プロジェクト「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」を平成2511月に立ち上げました。

 その後、私たちは様々なご意見を伺い、現場に足を運び、日本だけではなく世界の事例を調べ、何よりも日本中の現場の皆様からご意見を伺い、殺処分をなくすための手段について徹底的に話し合いを行いました。その結果、このたび「牧原プラン」として発表させて頂くことになった次第です。このプランには、時間がかかる事項、予算が必要な事項、法律改正が必要な事項から運用改善できる事項まで、様々な事項が混ざっています。不十分な点があるかもしれません。

 プラン発表後も、それで終わりではなく、これからも皆様のご意見も伺い、追加修正しながら、しかし「殺処分をなくす」というゴールに向かって歩みを止めることなく、命を守っていきたいと思っています」

 (続く)

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2015年09月14日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十五

 実は筆者自身も、「野良猫に餌をやっているときに石を投げつけられた」と言う人にじかに会ったことがある。それは今年5月下旬頃のこと。

 私事だが、筆者は昨年から神奈川県横浜市の栄区という、横浜の最果ての地に住んでいる。

 栄区は、横浜市全18区のうち、世帯数が2番目に少なく、高齢化率の高さは2番目で、栄えると書いてる割には栄えていないなぁと思っていたのだが、実は緑被率(区の面積に対する緑地の割合)が41.8%18区のうち2番目に高かった。緑が多いため、色々な鳥が盛んに鳴いており、さらに区内の小高い山を水源とした澄んだ川も流れているため、鴨や鷺といった水鳥が年中いる。つまり、鳥の栄える地であることを知った。

 その栄区の筆者の家では、今年5月から野良猫のメスを一匹飼っている。(写真)

  

猫.BMP

 その猫を飼い始めた頃、筆者は、猫も外の空気を吸いたいのではないかと思い、晴れた日の昼ごろ、猫をケージ(かご)に入れて、15分ほど、いたち川という、動物の名を冠した川沿いを散歩した。

 すると、帰り道に、にわかに「あら、猫ちゃん?」と、50歳位の原付のヘルメットを片手に持っている女性に声をかけられた。

 「そうなんです。散歩しているんです」と筆者が言うと、「かわいいわねぇ、男の子?女の子?」とか色々聞かれたので答えるなかで、「野良猫だったのですが、最近、飼ったんです」と筆者は言った。

 すると、その女性は、「ありがとうござします」と言い、自分はこの辺りに住んでいて、これまでたくさん野良猫の避妊去勢手術をしてきて、石を投げられることもあって大変だった、と言ったのだ。

 その時、筆者はピンときた。というのは、その数か月前、筆者は、横浜市内の猫の苦情や虐待を調べる中で、栄区で野良猫に餌をやっている人が石を投げらた、という苦情の文書(以下の画像)を読んでいたのだ。


投石.jpg

 この文書にある、石を投げられた人とは、この女性に違いない。

 そして、その女性は、地域猫活動をしている事を示すチラシを渡した.。そこには所属先のボランティア名が書いてあった。それは「NPO法人キャットネットかまくら」という団体。

 かまくら、と書いてある点に筆者は合点が行った。というのは、以前、筆者は自分の住んでいるところで、地域猫活動の実態をつぶさに見たいと思い、栄区に地域猫活動の団体がないか調べたことがある。だが、見当たらなかった。それが実は、栄区に隣接する鎌倉市の団体がやっていたのだ。

 そこで筆者は、詳しく話を聞かせて下さい、と言った。すると、その女性は、「今はもう昔のようには活動していないから…」と言い、「この人の方が栄区ですごい地域猫活動しているので、この人に連絡取るといい。私の名前を言って構わないから」と言い、連絡先を教えてくれた。

 その後、その連絡先の人に電話して取材を申し込んだところ、断られてしまった。

 要するに、餌やりに対して、石を投げつけるという暴力を振るう者もいる。

 (続く)

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2015年09月13日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十四

 餌やりを巡る殺傷事件といえば、前出の千葉県舟橋市の事例のように、餌をやっている側が、餌やりを注意したり非難したりする人物を刺し殺したりするケースが多いが、反対に、餌やり憎しの思いから、餌やりを批難する人間が、餌やりを殺すケースもある。
 例えば、1990年2月4日の午前3時10分頃、福岡市博多区のアパート「朝凪(なぎ)荘」の2階に住む無職の男性(60)が、「同じアパートに住む女性を殺した」と110番通報した。博多署員が駆けつけたところ、同アパート一階十二号室に住む無職の女性(70)が自室で首を絞められて死んでおり、同署は通報した男性を殺人容疑で緊急逮捕した事件がある。警察によると、殺された女性は、日ごろから近所の野良猫にキャットフードや残飯を与え、5、6匹の猫がアパートに寄りついていた。
 男性は、猫がアパートの通路に置いていた鉢植えにフンをすることに立腹し、2人の間で口論が絶えなかった。
 そして、同月3日午後11時頃、この男性は酒に酔った状態で女性の部屋に行き、猫にエサを与えないよう注意したところ相手にされなかったため、カッとして部屋にあったタオルで首を絞め殺した。
  近所の人の話では、殺された女性は部屋の中でも野良猫にエサを与えるほどかわいがり、独居の寂しさをまぎらわせていたという。(毎日新聞より)
 また、今年7月5日午後7時10分ごろ、無職の男性(68)が、近隣に住む知人の無職女性(79)に対し、「女性が野良猫に餌をやるのでもめていたという動機で、男の自宅アパートの階段で、女性の顔などを素手で数回殴り、左目周辺や後頭部などに打撲の軽傷を負わせた疑いで逮捕された。(京都新聞電子版より)
  また、昨年2月3日午前6時55分ごろ、埼玉県久喜市在住の無職男性(73)が、ベランダにきたネコを追い払ったところ、普段からネコに餌付けをしていた近所に住む男性(45)が容疑者宅を訪問。「ネコをそんな風に追い払うな」などと口論になり、男性(73)は柳刃包丁(刃渡り約23センチ)で男性に切りつけ殺そうとして殺人未遂と銃刀法違反の現行犯で逮捕された。(産経新聞電子版より)
  また、平成24年10月10日早朝、東京都世田谷区野沢の住宅街で、元警視庁警視の男性(86)が、自宅の玄関先の植木に殺虫剤をかけていた際、近隣で猫を多頭飼育している女性(62)から「私の猫にかかってしまう」と抗議され、口論になった。この二人は前々から猫を巡りトラブルになっていた。
  この日二人はいったん自宅に引き返したが、午前11時過ぎ、再び激しく言い争っているのを近所の住民が目撃している。11時30分頃、女性は「農薬をかけられた」と110番。
  その直後、この男性に刃渡り約55センチ日本刀で斬りつけた。男性は女性宅に立てこもり午後1時40分頃、玄関で首から血を流して倒れているのを捜査員に発見された。近くには日本刀があり、自ら首を切ったとみられる。 女性は同日午後、搬送先で死亡した。(読売新聞より)

 (続く)

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2015年09月12日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十三

 当連載の前日掲載の文章について、昨日、匿名のコメントがきていた。それは、次のものだった。

 「クレーマーって表現や一方的な見解しかないけど本当にジャーナリスト?ネコ被害に遭ってる人やネコ嫌いの人たちとどうやって共存していくかが大事。自分と反対の意見言う人、自分の意に沿わない人は悪だクレーマーだという考えこそが新興宗教っぽくて怖い。」

 この中で、「クレーマー」という言葉について、筆者の意味合いとは若干違う受け止め方をしているように見受けられるので言及したい。

 「クレーム」という英語の意味は、「(権利・事実を)主張する。(当然の権利として)要求、請求する。(裁判で)申し立てる。損害賠償を要求する。」といった強い主張・要求や、苦情という意味がある(研究社の辞書リーダーズ+プラスと新和英大辞典第5版より)。

 英語の末尾にerをつけると、〜する人となるので、クレーマーは、要求や苦情をいう人という意味になるはずである。(例えばルミナス英和辞典では、クレーマーは「主張者、要求者」)

 だから、筆者はクレーマーという言葉を、苦情を言う人、苦情者、という意味合いで使うことが多い。

 もちろん世間一般では、クレーマーとは、執拗にクレームをつける異様で悪質な人間、というイメージで使うことが多いが、異様ではない通常の苦情者の意味も兼ねていると筆者は考えている。

 念のため、広辞苑第六版をみてみると、クレーマーとは「(原告・請求人の意)企業に対して常習的に苦情を訴える人」とある。

 これは筆者の見解とは違う。

 大辞林をみると、「クレーマー」とは「《原義は「要求者」「請求者」の意》商品の欠陥、客への対応の仕方などについてしつこく苦情を言う人。特にその苦情が言いがかりと受け取られるような場合にいう」とある。


 これも筆者の見解とは違う。

 そこで、imidas 2015をみてみると、クレーマーとは「苦情を申し立てる人.要求者.主張者」と書いてある。

 筆者が「クレーマー」という言葉を使う場合、この「苦情を申し立てる人.要求者.主張者」という意味と、「商品の欠陥、客への対応の仕方などについてしつこく苦情を言う人。特にその苦情が言いがかりと受け取られるような場合にいう」という二つの意味合いで使っている。つまり、筆者の記すクレーマーには、前者の場合と、後者の場合と、両方を意味する場合とがある。

 話が脱線したので、京都市北部みどり管理事務所に連日執拗にクレームをつけた話に戻す。

 このクレーマーは、前出のように、「私が対応していたら、刃傷沙汰も有り得たかもしれません」「猫殺傷の日は近い」「人間同士の刃傷事件にまで発展する前に」云々といった文言などから、殺傷事件になりかねないノイローゼ気味な危なさがあるように筆者にはみえる。人間は往々にして、憎しみを募らせて、恨みつらみの相手のことばかり考えていると、次第に暴発しかねない危険な心理状態に陥りやすい。

 実際、餌やりに腹を立てて殺してしまうケースもある。

 (続く)

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2015年09月11日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十二

 「※警官の説諭、公園管理者の注意、近隣住民のトラブルの度に、不当な餌付け行為は抑制よりも拡大させる傾向が見えた。これは、動物愛護とは無縁の人間を蔑ろにする犯罪行為である、と我々は感じている。これらの餌付けされた猫は、餌の摂取後に当団地に拡散移動して様々な害を成している。このような状態はこの10年で年々悪化している。これらの猫は害獣と看做すしかない。 以上」

 さらに、このクレーマーは、その翌々日にも、「緊急連絡! 京都市北部みどり管理事務所御中(柴崎様気付け)」宛てに、アンダーライン入りで「■■公園南東角斜面に設置された餌付け禁止看板の引き抜きと持ち去り報告」と題し、こう記している。

 「129日午後630分頃、公園側道を通行中に、通りがかった当団地住民より、首記看板が女性2名の手で杭ごと引き抜かれる途上であるとの連絡を受けた。すぐに現地に近づいた所、連絡通りに女性2名が斜面に上り、看板を引き抜く途中であった。周辺には猫5匹から10匹を目撃した。日の落ちた暗がりで衆人環視の中で行われた『犯罪』であった。

 残念なから夜間に撮影可能なカメラを携行していなかったので、実行行為自体を撮影できなかったが、多くの目撃者はいる。しかし事情を知らぬ観察者に何事かはわからない。

 私はすぐに近所の■■交番に走り、『器物損壊』『窃盗』の現行犯逮捕を要請したが、滞在警官は交番勤務者ではなく、留守にできないことを理由に現場確認をするとのみの回答であった。

 止むなく現場に戻ったが、すでに犯行は終了後で痕跡も残さぬほど見事に持ち去られていた。設置のお礼を申した電話が嘘のような現地状態である。

 (1) 通常は■■某1名の餌付け行為であるが、2名で手早く抜き去った手口から同女を含む餌付けグループが、事前に道具等持参の上行った確信的犯罪だと断定できる。

 (2)本日15~16時頃、同看板を熱心に見つめる中高年女性を目撃しているので、おそらく、この女性も犯行グループの一員だと推測される。犯人一人の後姿は■■某に酷似していた。

 (3) 被害に遭ったのは、公園南東部の杭で固定された看板のみである。

 以上のように、同女らは自己の行為の邪魔になるものには犯罪も厭わない存在だと明確になった。よって貴所には大至急、下記の処置を要請します。

1. 現在より強固な看板の至急の設置。(例:公園柵と太い鉄番線で溶接、コンクリート標柱等)

2. 看板の棄損行為を抑制するための、看板部照明手段の設置

3. 『器物損壊』『窃盗』での警察への被害届と刑事告発(■■某は重要容疑者)

4. 貴所だけではなく、警察へのパトロール強化依頼

 ※尚、本日はB1地点の置き餌がない。南東部と同様に紙に乗せる手段に変えた可能性もある。 以上」

 (続く)

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2015年09月10日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十一

 さらに、このクレーマーは、翌日にも、「平成26126日付の残滓確認報告」と題する書類を、京都市北部みどり管理事務所に送った。そこにはこう書いてある。

 「確認時刻:午後540分 午後1030分。小雪。(中略)

 ※両確認時刻とも、給餌用トレイの設置は無かった。

 餌付け者(同女)の都合で給餌は無かったが、連日私がトレイを撤去するので、給餌後即持ち帰ったかと思われる。

 本日、午前10時より公園通路で愛護会が落ち葉の収集と、樹木の剪定後に放置されていた枝類をB1地点付近に集積したので、避けたのかもしれない。

 尚、午前の清掃時に公園北側樹木下部に、ちぎれた新聞紙が散乱していたので、猫の保温用として準備し、給餌箇所を変えた可能性も有り得る。現状ではいずれも推測の域を出ない」

 さらに執拗に、翌日27日にも、「残滓確認報告」なる文書を送っている。

 「1. 本日の私の行動(天気:晴れ)

 ○1. 午前750分頃(餌付け女性の行動の若干後)から■■内の餌付け後の猫行動の観察

 ○2. 午後1220分頃より、公園内ゴミ拾いを兼ねて、気温温暖化状態での猫行動を観察

 ○3. 午後6時頃(餌付け女性の夕刻餌付け時刻の若干後)に餌付け状況の確認と猫観察

 ※本日は広範囲に餌付け実施の後を確認した。昨日無かったのは同女の都合と思われる。

2. 朝の餌付け後の公園内の猫の状況(一定時間後には、当団地内の石垣を上るなどして移動)尚、撮影で捉えられた猫の個体は全体の一部である。他は逃げ足早く撮影できない場合が多い」とあり、満腹で悠々と寝そべっている猫や、枝垂れ桜の根元で休む猫、キャットフードの缶、外された同管理事務所の看板などの写真を載せている。なかには、写真キャプションに太字で『貴所も警察も完全に舐められている』」という箇所もある。写真は以下の通り。


置きエサ写真_20150910.jpg


 そして、こう書いてある。

 「4. その他の状況

 近年住民から、過去から継続している給餌箇所である、A1地点での夕刻の餌付けは従来通り行われていた目撃情報が複数寄せられている。

 また、本日は夕刻1800頃にA4地点■■から西へ向かう階段)一帯に、餌の強烈な臭いが充満していた。2. 頁1300頃のトレイの付近と思って、ライトを使い探したが、容器は見当たらなかった。代りに10匹を超える野生猫が茂みや排水溝の蓋の下などから一斉に飛び出して逃走した。約15分探索したが、容器は見当たらなかった。そして匂いも低減していた。

 推測するに、昨年1223日に警察の出動を仰いだ時に、餌付け女性はトレイを使わず、厚手の紙に餌を載せていくつも給餌したことがあっので、その手法を使い、猫の餌摂取とともに匂いを低減したもののようである」

 そして、※印でこう記している。

 (続く)

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2015年09月09日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十

 「――貴所への要望(要求)――

 (1) 添付の付1に示す、A1B1地点に餌付け禁止の立て札の設置(禁止看板があれば、■■も指導がやり易いと言われている)

 (2) 定期的(頻繁)なパトロールによる、同女らへの指導強化

 (3) 自然の摂理では生き延びることのできない公園内の猫の保護と移送(昨年12月末の未明に観察したところ給餌を待って集合した猫の個体数は、A1A2A3地点だけで、生育途上の子猫も含めて一見したところ、優に20匹を超えていた)(これ以外にも給餌箇所がB1地点、また公園内のつつじの茂みの空洞のC1地点も存在することから、30匹余りになろうかと推測する)

 (4) 公園内給餌箇所付近に、猫忌避剤散布、忌避構造物構築の許可

 (5) 給餌待ち猫の待機場所及び餌の設置場所となる、公園柵外の道路境界までの植栽の密度の減少と飛び飛びの解放空間の確保のための植栽伐採」

 さらに、こうある。

 「――私達の新たな対策(検討中――)

 (1) これまで猫の侵入防止策に加えて、法律第352項に基づき当局に引取りを要求する。

 (2) 当団地共有地を、給餌を目指し又はその他の目的で移動徘徊する猫の行動を抑制及び排除する構築物を設置し、猫の学習能力を期待して共有地から排除する。またこの場合、前項に準じて拾得した場合は、前項の法律に基づき引取りを要求する。

 (3) 同女により餌付け後の猫が、当団地を囲む石垣を上って住宅地内に侵入拡散する行動が目撃されていることから、石垣上部に古代の『鼠返し』と同様の出っ張り構造物を設置して、餌付け後の猫の石垣上昇を阻止する」

 そして、「4. 貴所指導後の同女の行為事例」とあり、餌やりトレイなどの写真7点を載せている。



置きエサ写真 1.jpg


 そして、こう締めくくっている。

 「同女らの行為は違法であり、当団地の被害者住民にとっては既に受忍限度をはるかに超えている。しかるべき処置を講じるべき段階になっている。貴所のご協力を心から希うものです。

 この状態を放置せんか、必ずや、罰金程度は覚悟の上で猫殺傷の日は近いであろう。人間同士の刃傷事件にまで発展する前に、協力な対応措置が必須の状態であると確信します。以上。」

 さらに、このクレーマーは、その翌日にも、京都市北部みどり管理事務所宛てに、「125日の餌付け残滓確認報告」と題し、こう記して送っている。

 「B1地点において、昨24日同様の餌付けトレイが設置されていた。確認時刻:午後1030分。雨天。但し傘の設置は無かった。給餌トレイ設置後に降雨があった模様。トレイの餌の残りには、雨水が混じっていた。

 昨日はトレイを回収しているので、本日のトレイは新規に置いたもの。過去の経験から言えば、トレイの残滓有無に拘わらず、前日のトレイは放擲されている場合が多々見受けられた。本日もトレイは餌残滓共々回収した」

 そして、写真付きでこう解説している。



置きエサ写真 2.jpg


 (続く)
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2015年09月08日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるで 苦情の内実 十八・十九

 その文書には、「京都市北部みどり管理事務所 御中」「■■公園野生猫餌付け行為による被害者の会(組織化中につき仮称)代表(候補)■■(■■)私見・平成26124日 〒■■ ■■ п^FAX:■■」とあり、その下に、下線入りで、こう書いてある。

 「■■公園野生猫餌付け行為、平成26124日の餌付け残滓確認について」

 本文は以下の通り。

 「1.序 去る120日に貴所係官の方が、表記公園において所謂『動物愛護法』に規定のある、環境省告示に基づき、餌付け者 ■■某:以下同女と略)に対して、直接に餌付け行為禁止の指導を行って頂き有難うございました。記憶を辿ると、約10年来の餌付け行為によって野生猫の個体数が異常に増加し、これによる公園近隣の当団地家庭敷地内における『糞』被害(悪臭、うじ・ハエ発生による環境の悪化等)が急速に増大して、各家庭では敷地内に様々な猫排除設備を自費で設置等して対処してきましたが、若干の効果はあるものの餌付け行為の静謐な環境を回復するには至っていません。

 近年、住民の高齢化に伴い被害の抑止や排泄物の処理にも困難を来たしつつあるのみならず、玄関先、庭先まで進出した野生猫が野外設置物に堂々と、あるいは物陰に潜み、家人の接近時に不意に飛び出したときの驚きは、高齢者の心臓機能にショックを与え最悪の事態が発生する恐れ無しとはしません。今や被害者には同女に対し、険悪で危険な感情を抱く者もあることをご認識下さい」

 次に、「2. 貴所ご指導後の状況」とあり、その下に、太字で一回り大きくした字で、「結論的には、同女の行為は全く抑制されていません。」とあり、その下にこう書いてある。

 「昨年1223日に■■交番の警察官5名によって説諭を行い、その際、同女は『責任を感じる』『慎む』等の“しおらしい”言動を行った旨を警察より連絡を受けましたが、その後も全く改善の気配を見せなかったばかりか、後日の午前5時頃、同女の行為を観察していた私の姿を見るや『手を掴み、背中を抑えて振り回す』などの狼藉に及んだ行動から考えて、貴所のご指導で『もうしません』と言ったとしても、餌付け行為を停止することはないだろうとの予測通りでありました。

 相手が警察だろうが、管理者である貴所だろうが、同女ら(複数グループだろうことは後述)は全く身勝手な理由を吹聴して自己の行為を正当化することしか頭にはないようです。精神心理学的には『偏屈狂』を当てるのが適当ではないでしょうか。つまり、一般的な説諭や指導ではいかなる効果も無いと考えるのが至当でしょう。当団地住民とも口論に及んだことは多数に上ります。

 昨年87日には、当団地内で対策した『アライグマ出没問題』(※筆者註 当記事末尾からPDFダウンロード可)に関して、私が不在時に拙宅に4名で訪れ、私の妻に対して悪態に近い異常な強要を行いました。たまたま私が町内会長だったためです。妻が猫の糞害について抗議しても『猫の糞ぐらい・・』とせせら笑った態度には今思い出しても腸の煮える思いです。妻で良かった。私が対応していたら、刃傷沙汰も有り得たかもしれません。この時訪れた一人だけが■■と名乗った記録がありますから、おそらく、同女はこの■■だったでしょう。そして同女には他の『同好者グループ』が存在すると考えられます」

 そして、「3. 貴所への希望と私たちの対処」とあり、こう記している。

 「同女らの長年に渡るかかる行動様式から考えて、既に、説諭・指導・話し合い等の“人間同士”の交渉では埒はあかないと観念して私達は対応方策を立案することにします。この場合、貴所のご協力は何よりも重要ですので、伏してご指導等をお願い申し上げます。この種の問題は、被害者の範囲が限定されることから、法令は被害を感じない大部分の人々への『命大切』『動物愛護』という美名を盾に跋扈する、所謂『動物愛護団体』の一方的主張に流されるきらいがあります。例えて言えば『シーシェパード』の合法的な捕鯨活動への妨害を英雄視する視野狭窄人士と同等であると言っても差し支えない。被害者をねじ伏せて自己の美意識に陶酔する偏頗な情念に身を委ねる心理欠陥を見出すしかありません。

 事実、『動物の愛護及び管理に関する法律』(以下、法律と略す)では、『捨て猫の禁止(罰金)』『家庭内での飼育の推奨』『繁殖防止のための去勢の推奨』『飼育での他者への危害・損害の防止の指導』等、取扱い業者への罰則規定以外には特段の罰則は見出せません。また、餌付け行為の禁止に関しては『環境省告示第140号』において、罰則無しの指導基準しかありません。(※筆者注:平成181031日公布、平成25年最終改正の同告示には、こう書いてある。「人と動物とが共生する社会を形成するためには、動物の命を尊重する考え方及び態度を確立することと併せて、動物の鳴き声、糞尿等による迷惑の防止を含め、動物が人の生命、身体又は財産を侵害することのないよう適切に管理される必要がある。このような動物による侵害を引き起こさないように適切に管理するためには、動物の係留、屋内での飼養、みだりな繁殖の防止等の措置を講じる等により、動物の行動等に一定程度の制約を課すことが必要となる場合がある。また、所有者がいない動物に対する恣意的な餌やり等の行為のように、その行為がもたらす結果についての管理が適切に行われない場合には、動物による害の増加やみだりな繁殖等、動物の愛護及び管理上好ましくない事態を引き起こす場合があることについても十分に留意する必要がある。

 ペットが伴侶動物(コンパニオンアニマル)として生活に欠かせない存在となりつつある一方、動物が人と一緒に生活する存在として社会に受け入れられるためには、人と動物の関わりについても十分に考慮した上で、その飼養及び保管(以下「飼養等」という)を適切に行うことが求められる。動物の所有者又は占有者(以下「所有者等」という。)は、自分が第三者に対する加害者になり得ることについての認識がややもすると希薄な傾向にあるが、すべての所有者等は加害者になり得るととともに、すべての人が被害者になり得るものであるという認識の下に、所有者等は、動物を所有し、又は占有する者としての社会的責任を十分に自覚して、動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を引き起こさないように努めなければならない。」。全文は記事末尾からPDFダウンロード可)

 この状況の中で最大限の効果を得るためには、他の法律規定も援用して対処もすることも検討すべきでしょう。これらの極めて制限的な方で取り得る方策として、私達は以下の各号をまず貴所に要望します。とりあえずの目的は、猫と同女らの分離と野生猫個体数の削減に置きます。」

 そして、箇条書きで、こう記している。

 (続く)



アライグマ関連文書.pdf


環境省告示第140号.pdf


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2015年09月07日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十七

 平成2411615時頃、匿名の人間から以下の電話があった。

 「・■■(■■)にノラ猫が住み着いており、自分の敷地で糞尿をして困っている。

 ・朝と夕方に3人以上が交代で餌やりをしている。

 ・今まで直接注意をしたが、会話にならず全く効果がない。

 ・公園内の鉄棒付近の植え込みの中に段ボール箱をごみ袋でカバーした猫用の箱を複数設置している。

 ・今まで10個程、箱を潰したが、しばらくするとまた作られる。

 ・箱を撤去してほしい。

 ・どのような状況であるのか知ってもらいたいので、一度来てほしい」

 これを対し、京都市の役人・八木、川井氏は、「・箱を撤去することはできないこと」「現場調査すること、餌やりをしている人を見かければ注意することを伝えた」。

 そして2日後、長木、川井氏が現地調査したところ、たしかに段ボール箱7個が黒色のビニール袋が覆われており、中にはタオルが敷かれていた。

 両氏は、地図と写真を添付し、京都市建設局・北部みどり管理事務所((北、上京区、左京、中京、右京、西京区の公園管理等担当))の手嶋氏にFAXした。手嶋氏は「猫苦情については把握していたが、箱については知らなかった」「現場調査し、必要があれば箱を撤去する」と言った。

 それから2年後の平成261311410分、同じ現場からと見られるクレーマーが、西京保健センターにやってきた。

 そのクレーマーは、自分は「北部みどり管理事務所から委託され、公園愛護会会員(■■の住民計11名で構成)の一人として清掃管理をしている」者だという。

 クレーム内容は、「・■■で10年程前からノラ猫に餌やりをしている女性がいて、毎日朝夕、エサをトレーに乗せて置いていく。猫には、避妊、去勢手術もされていないため、推定30

程公園に棲みついており、公園や■■の住宅敷地で糞尿することにより生活環境が悪化している。

 ・糞尿被害に困っている■■の住民は猫避けのために棘状の樹脂シートを敷いているが、全く効果がない。

 ・直接注意したが、まったく話にならず言い合いになり手を出された。警察にも相談しね警察が女性に直接注意したが、餌やりは続いている。

 ・先日、この女性によって■■に設置されていた『餌付け禁止看板』が撤去された。このことは北部みどり管理事務所に報告している。

 ・警察に相談してもみどり管理事務所に相談しても何ともならないので、保健センターで猫の捕獲器を貸してほしい。猫を捕まえれば引き取ってもらえるか」というもの。

 これに対し、京都市の役人・水谷課長補佐、川井氏は、「猫の捕獲器はない」「ノラ猫の引取は行っていない」「飼養困難になった飼い猫、負傷猫、自活不能猫のみ引取ができる」と説明し、超音波猫避け器がある、というと、希望があったため3台貸与した。

 この時、苦情者は、持参した資料を手渡した。それは、これまで同管理事務所に訴えてきたA4用紙約20枚に上る文書だった。

 (続く)

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2015年09月06日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十六

 猫銃撃事件により約27千人の内灘町に激震が走るなか、さらに同時期、段ボール箱に入れられた10匹もの子猫の遺棄事件が頻発した。

 そうした中、桐畑氏の団体は翌7月に猫の譲渡会を開催すると新聞、HP、チラシで告知した。

 すると、町役場から、「役場庁舎に遺棄された子猫5匹も譲渡会に参加させてほしい」と連絡があった。

 猫を取り巻く町の環境に対する危機感は共通していることなどから、役場も譲渡会に参加することが決定した。

 平成21年度に内灘町から保健所に持ち込まれた子猫の数は41匹。それがこの譲渡会を機に、役場は、「一匹でも救いたい、現状を変えたい」との思いから新しい飼い主を見つける努力を始めたという。

 また、そのころから桐畑氏は、保健所に引き取られる猫の数を減らすため、地域猫活動を始めた。桐畑氏は、まずはじめに、内灘町内の動物病院を訪れた。この病院は銃撃事件の被害猫のかかりつけ病院で、事件に大変心を痛め、子猫の遺棄、殺処分にも悩んでいた。

 そこで、桐畑氏は、そうした問題を解決するため、避妊去勢手術費用を、「オス5千円、メス1万円」で行えるか?捕獲箱での預かりは可能か?耳先Vカットの必要性を理解してもらえるか?と問うた。

 すると院長は、こう言った。

 「地域に貢献できることはやりましょう!いいですよ」

 その後、平成24年に「玉桜基金」が設立された。これは、石川県内に在住の資産家からの寄附により設立された基金で、寄付者が可愛がっていた2匹の猫たち「玉緒ちゃん」と「桜ちゃん」から名付けられた。

 玉桜基金設立の趣旨は、あらゆる地域で“野良猫”として生きていかなくてはならない境遇の猫たちを不憫に思い、また不幸に生まれてくる命を一匹でも減らしたいという、猫たちに対する意思を、より多くの方々に知ってもらい、不幸の連鎖を止めるための基金。

 具体的には、飼い主のいない猫への「避妊去勢手術」のうち、メスの手術費1万円のうち、基金から5千円を助成。さらに、負傷猫の治療費を上限2万円まで助成するというもの。(写真は、玉桜基金HPより)


玉桜基金HPより.jpg


 さらに同年、内灘町が「地域猫活動推進交付金制度」を設けた。これは、1匹につき5千円の手術費用を、上限5万円まで、町会を通して助成するというもの。上限5万円を超える分は、町会が負担する。

 こうして、正規の手術費オス15千円、メス2万円のところ、動物病院の協力により、メス1万円、オス5千円となった上、町の助成金により、メスは5千円、オスはゼロ円となった。さらに町の助成を差し引いたメスの費用5千円は、玉桜基金が助成する。こうして住民負担は、ゼロとなった。

 現在は、ほかに5つの石川県内の動物病院でも協力してもらっているという。こうして桐畑氏が代表をつとめる「猫の避妊と去勢の会」で手術した猫は、平成24から平成26年の3年間で1025匹に上る。内灘町で保健所へ子猫が持ち込まれる数は、今ではゼロだという。


右が桐畑陽子氏。左が野村佳世子氏.jpg


 なぜ、地域猫活動ができたのか。内灘町役場の野村佳世子氏は、その理由を以下の3点挙げた。(写真右が桐畑陽子氏。左が野村佳世子氏。院内集会にて)

 「第一に、問題を共有すること。役場、町会、NPOなどが『このままではダメだ。なんとかしなければ…!』と、どのような活動をすればよいか一緒に考えることです」

 「第二に、協同できる仲間を集めることです。役場、町会だけで活動するのは実際難しく、一緒に活動してくれる地域住民を見つけることが必要です」 

「第三に、金銭的負担の軽減です。一番ネックになる金銭面での負担が軽減できれば理想です。」

 そして、野村氏は、こう語った。「内灘町では、役場の担当者と桐畑さんを中心に取組み、その熱意がみんなに伝わり、今、結果が出始めています。リーダーとなる人間がいれば、どこの町でもうまくいくと思いますので、是非、参考にしていただければと思います」

 エサやりの地域住民を排除する京都市とは、正反対である。

 話を、京都市クレーム案件に戻す。

 (続く)

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2015年09月05日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十四・十五

 さらに、クレーマーは、こう言った。「■■氏へどう話したのか、そもそも本当に話したのか疑問である。現場も見に来るべき」

対する役人・河野氏は、再度、■■氏へ話に行く、と回答。

 翌日、河野氏は、京都市建設局土木管理部の伏見土木事務所に電話し、「路上にゴミを放置してはならない等の法令規定はあるか」と問い合わせた。対応した同事務所の中田氏は、「道路が通行できないほどの物であれば動くかもしれないが、特に指導権限はない」と答えた。

 翌日81日午前11時頃、■■氏を訪問し、置きエサを控えるよう再度伝え、了承を得た。

 そのことを後日、クレーマーに伝えると、「エサの片づけは誰が確認するのか」とクレーマーは迫った。

 河野氏は「行政ではしかねる」と言った。

 するとクレーマーは、「個人で対処すべき問題ではなく、『まち美化』や『衛生』と名前を冠した行政が何とかするべき話である」と従来の主張を繰り返したので、「現時点行政では法的対処はできないこと、条例の制定は議員主体であり、まちねこ事業を近年開始して取り組んでいる」と説明して了承を得たという。

 このクレーム案件で、特徴的なのは、エサをやっている人が、猫を捨てる社会に対する問題意識が高く、避妊去勢手術をしている点から見て、地域猫活動をしようとしているが、置きエサを続けている点が、決定的に地域猫活動とはいえないという点だ。

地域猫活動とは何なのか、最低限、必要な知識を、全国のエサやりさんが共有することができれば、野良猫エサやりを巡るトラブルは激減するはずだ。そのためには、行政は、置きエサをしてはダメ、というだけではなく、なぜダメなのか、猫愛に満ちた人の心に刺さるよう、説明していく必要があるのではないか。

もう一つ、特徴的なのは、エサやりさんの側がクレーマーと直接、「話し合いたい」と言っていた点だ。猫トラブルの解決には、住民間の話し合いが不可欠なのだから、行政が間に入って、話し合いの場を設ける必要があったのではないか。

 なお、話が前後するが、前々回、京都市とは違って、全国には避妊去勢手術必要の一部を助成する自治体は多く、なかには、住民の手術代の負担がゼロとなる自治体もあることに触れた。

 その負担ゼロの自治体を紹介したい。それは、石川県内灘町。

 筆者はこの話を、今年326日に参院議員会館で開催した「第一回 動物愛護法に関する院内勉強会(ラッシュジャパン助成事業)テーマ 地域猫「飼いネコのいない猫たちをどうするのか」(主催:全国動物愛護ネットワーク、共催:THE ペット法塾)での、NPO法人 猫の避妊と去勢の会・桐畑陽子氏、石川県内灘町・町民福祉部・環境衛生課の野村佳世子氏の話を聞いて知った。

 両氏によると、きっかけは、平成226月頃のこと。ちょうどこの時期、いたましい事件が起きたという。(以下、事件については読売新聞に基づく) 

同月25日の朝、同町の男性(78)の家の二階の寝室で、飼い猫のメスの「ミケ」が、ぐったりとした様子で横たわっていた。右前脚に円い傷を発見。血はほとんど出ていなかったが、呼吸が荒く、「このままでは死んでしまう」と思い、すぐに町内の「たむら動物病院本院」に担ぎ込んだ。

 すると、なんと猫の身体から直径約5.5ミリ、長さ約7.5ミリの金属製の銃弾が見つかった。銃弾はミケの右前脚付近から入り、左胸にとどまっていた。肋骨を折り、肺を傷つけていたが、命は取り留めた。呼吸困難で、体力も落ちていたため、銃弾の摘出手術は28日になって行われた。

 金沢市内の銃砲店によると、銃弾は空気銃用の「ジェット弾」とみられ、鳥類の狩猟に使われる。銃弾が左胸部にとどまっていることから、10メートル程度の距離から撃ったらしい。男性店長は「目に当たったら確実に失明する。強力な空気銃ならヘルメットも割れるほどの威力だ」と話す。(写真は、読売新聞の記事)

  

銃弾 (1).JPG



銃弾 (2).JPG



 県警生活安全企画課によると、空気銃の所持には県公安委員会の許可が必要で、用途は狩猟か有害鳥獣駆除、競技用に限られている。県内では5月末現在、65人が247丁を所持。

 飼い主によると、ミケの行動範囲は、道路を挟んで向かいにある公園など家の周辺に限られている。

 その後、同月30日、同町大清台、会社員本忠雄容疑者(61)が銃刀法違反(発射制限違反)と動物愛護法違反の疑いで逮捕された。

警察によると、同容疑者は624日午後11時頃、自宅近くの駐車場で、同所の無職氷見山秀夫さん(78)の飼い猫に、県公安委員会から許可を得ている競技目的以外で空気銃を発砲し、傷を負わせた疑い。調べに対し、「日頃から猫に敷地内に入られたり車の上に乗られたりして、腹が立っていた」と供述したという。

 (続く)

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2015年09月04日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十三

 平成2472315時ごろ、「近隣に住んでいる■■氏が数か所で野良猫に餌をやり大繁殖している。自分はアパートの大家をしているが、ノミが移ってくる、置き餌にカラスが寄ってくる等の苦情を住民から寄せられている。自宅の屋根裏にも野良猫が入り込んで出産しており、糞尿やノミの発生も心配だ。猫とノミについて行政が何とかすべきだ。法律・条例の対象外というならば、何十年の続いている問題に対応しようとしない行政の態度が許させない」という苦情が来た。

 これに対し京都市の役人・河野氏は2日後、■■氏宅を訪問した。■■氏は、こう言った。

 「一番悪いのは猫を捨てている人間である。自分は『捨て猫は犯罪!』と大声を出しながら付近を歩いたりもしている。ボランティア活動で避妊去勢手術にも携わっているが、まちねこ事業も使いたいが順番待ちと聞いている。(※手書きの補足で「周り住民が協力しない」と記載)自分は前向きな方向で野良猫を減らしたいと考えているので、苦情者と直接話したい。餌やりをやめなさいと言われてやめることもない」と言った。

 役人・河野氏は「苦情者は匿名希望であること。少なくとも置き餌は路上にゴミを放置する行為として控えてもらいたい」と言った。

 ■■氏は、「苦情者が匿名であり自分の住所まで知っていることが気持ち悪い」ので、「苦情のあった場所での餌やりは控えたい」と言った。

 そのことを同日、河野氏はクレーマーに説明した。クレーマーは、「一度餌やりをやめてもまた始めるであろう。いたちごっこである。置き餌や餌やり行為を市民が見張るのも納得できない。行政が見張れ。餌やりしている人とトラブルになって殺人事件が起きた事例があると聞いている。引き続き行政の根本的な対応を希望する。法的に対処できないというなら条例を改正しろ。また、衛生課は市民の生活を衛生的な面から守るのが目的であろう。何とかしろ」と言った。

 河野氏は「衛生課としてのこれ以上の対応は法的に不可能」「条例改正は主に議員が主体となる」「区役所で無料の法律相談が受けられる」と答えた。

 クレーマーは、「これだけの問題を行政が対応しないというのはありえない」などと言い、置き餌について改善されるかしばらく様子を見てみる、と言って電話を切った。

730日、くだんのクレーマーから連絡かあった。クレーマーは、こう言った。

 「また、■■氏が置き餌をしている」

 (続く)

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2015年09月03日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで バックボーン 二十一

 京都市が猫の殺処分時に、餌やりの状況を細かく記載させる文書を作成していたことについて、京都市保健福祉局の医務衛生課の西村氏に質問したところ、「もうだいぶん前の話で、当時の担当者はもういないので答えれません」という返事だったため、「それなら、当時の担当者は違う部署に行ったというなら、それがどなたなのか教えてほしい。その人に聞いてみます。もしくは、その人にそちらで確認して返事をほしい」と伝え、返事待ちだったことは、既に述べた。

 その後、西村氏から連絡があった。西村氏は「餌やりの状況を細かく記載させる文書ができた経緯、背景については、ちゃんとした記録が残っていないので、お答えしかねる。口頭では、お答えしかねる。ただ、言えることは、引き取るうえで窓口でご説明するときに、ああいう餌やりの情報をお聞きして、情報を知ることで、今後の指導に活かしていくためのもの」という。

 既述のように、他の政令指定都市では、猫に所有者がいるかどうかを判断するために、餌やりの有無を知ろうとしている。が、京都市は異質で、指導のために、餌やりの情報を収集している。

 このやり取りの中で、特に筆者が気になったのは、無論、京都市が、この文書ができた背景は「お答えしかねる」と言った点だ。筆者は、あの話を連想した。

 後述のように、京都市「猫餌やり禁止」条例は、役人のプロジェクトチームが形づくっていくのだが、筆者は、その一方で、京都市の関係筋から、「あの条例は、議員の要望で市上層部からのトップダウンで決まったもので、当初からエサを与えることを止めさせるのが目的だった」とも聞いていた。

 その話を思い出した。

 要するに、くだんの餌やり情報収集文書は、最初から「餌やり禁止条例」のために作られたのではないか。

 そもそも京都市が、あの餌やり情報収集文書をつくったのは、平成2241日のことだった。

 そして、その前年から、くだんのマッチポンプ公明党京都市議・吉田孝雄氏は、にわかに市議会で野良猫を問題視し始めている。

 京都市関係筋のいう「議員」とは一体誰なのか。だが、関係筋は、犯人探しがはじまるからか、議員の名は明かさなかった。

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2015年09月02日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十二

 「(1) 1027日(日)の午前に2人の女性が車(■■)で来て、1匹の猫を餌やり場周辺の公園に逃がした。内容次第では、警察への通報を考えている。放たれた猫はどういう経緯の猫か。

 (2) 以前より野良猫が増えている気がするが、まちねこで管理している野良猫は何匹なのか」

 上記2つの質問について、役人・仲課長が、まちねこ利用者■■氏に確認したところ、車で来た女性は自分でない、自分の協力者ではないか、という。その協力者は、「野良猫の里親を探す取組をしており、地域外から野良猫を連れてきて当該公園に放すことは考えられない。したがって、放たれた猫は、地域外から連れてこられた猫とは考えられない」「管理している野良猫は、現在13匹である。当初9匹おり、8匹手術に成功し、1匹が逃げて4匹を産んだ状況」と述べ、役人・大原氏がクレーマーにそのことを説明し了承を得た。

 この話で特筆すべきは、まちねこ制度の利用者の猫の餌場が、京都土木事務所の管理する公園、つまり、「公有地」である点だ。

 京都市では、公有地での餌やりは禁止している、と筆者の取材に対し、役人は答えていたが、実はまちねこ制度利用者に対しては、ほかの餌やりとは別格の扱いで、公有地を使わせていたりしている。

 後述のように、まちねこ制度は、京都市が意図的に、餌やりできる人、場所を著しく制限した、地域猫の精神に反する制度なので、本来なら、まちねこ制度を利用できない餌やりに対してこそ、行政はバックアップしなければ猫問題は解決しないのに、京都市はあえて、していない。

 平成25729日、こういうクレームがきた。

 「隣人が野良猫にエサを与えているため、野良猫が家の周りに糞尿をしたり、家の中に入ってきたりして困っている。このままでは、どんどん猫が増えていってしまうので、捕獲して駆除してほしい」

 これに対し、京都市は、「保健センターは野良猫を捕獲することも、駆除することもできない」「エサやりをやめさせる強制権はない」と言った。

 その後、役人・西田、佐戸氏が、餌やりをしている■■氏の自宅へ行き、■■氏の妻(6070代)に会った。

 その妻は、「現在4匹の猫がエサを食べに来ていて、そのうちの3匹は捕まえて不妊手術をしたが、1匹はまだ手術ができていない」「手術費用は高く、エサ代も高くかかっている。こちらは野良猫のボランティアをしているのに苦情をいわれるのは心外だ」と繰り返し主張。役人たちは、周囲の方が困っていることを伝え、トイレの設置などの対応をお願いしたという。

 全国には、野良猫の不妊去勢手術の費用の一部を助成したり、なかにはエサやりの負担ゼロ円で手術できる自治体もある。が、京都市は、一切助成していない。野良猫が増えるのは、京都市の不作為である。そのことを棚に上げて、エサやりに全責任をなすりつけているのが実情である。

 (続く)

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「池田教団コーメートーは政教一致の憲法違反」への道ひらく安保法制の「解釈改憲」

 安保法制の成否を握る池田教団コーメートーは、平和の党をかたって憲法学者の圧倒的多数が違憲と断じる安保法制を、憲法改正を経ずに時の政権がどうとでも憲法を解釈できる「解釈改憲」という禁じ手をつかって、通そうとしている。

 これは、池田教団とコーメートーは政教一致の憲法違反である、という政府見解への道ひらくものだ。池田教団は、自分の首を自分で締める時限装置を作動させたに等しい。

 憲法20条には「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」とある。

 この中の、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」というのは、政教分離の原則を明記している。

 この「いかなる宗教団体も、(中略)政治上の権力を行使してはならない」との一文に、池田教団コーメートーは違反している、という指摘は多々ある。

 だが、この「政教分離の規定」について、政府見解では、こう解釈している。

 「信教の自由の保障を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入しまたは関与することを排除する趣旨のものである」

 つまり、国が宗教団体に対して介入をするのは違憲だが、宗教団体が政治上の権力を行使するのは違憲ではない、というもので、憲法にある「いかなる宗教団体も、(中略)政治上の権力を行使してはならない」との一文がスッポリ抜け落ちた解釈となっている。

 だが、これについては異論が多い。

 例えば、平成71127日の参院・宗教法人等に関する特別委員会で、自民党の関根則之氏は、こう言っている。

 「我が国の宗教団体の中で単立巨大宗教団体が最近大変政治活動を活発におやりになっております」

 「私は、政教分離というのは、まさに政治と宗教が分離するということでしょう、二つはくっついちゃだめだ、離れていなさいと、そういう原則だと思うんですよ。

 言葉の議論をするつもりはありませんけれども、これは国の権力が宗教活動に介入してはいけない、宗教団体に。それもあるけれども、逆に宗教団体が国権の行使、国の統治行為、そういうものに介入していってはいけない。介入というのは難しいかもしれませんが、それをコントロールして宗教団体が自分で政治をやっちゃう、そんなことはあってはならない。要するに、双方向性ではないかと思うんですよ」

 「アメリカが日本を占領したときに、日本の憲法の草案はこれははっきりしている、アメリカがつくったんですから。それをもちろん修正はしていますよ。

 ところが、憲法二十条という規定は、最初提案されたときには十八条という条文だった。番号が変わっただけですよ。国会の審議いろいろありましたけれども、国会の審議を経て原案どおり可決されているんです。ナンバーが十八から二十に変わっただけなんです。内容はそのまま、マッカーサー原案そのままの憲法がここに書いてあるわけですよ。(中略)

 このもとを、二十条のもとを見ますとこういうふうに書いてあるんですよ。「ノー レリジャス オーガニゼーション シャル レシーブェニー プリビレッジイズ フロム ザ ステート ノア エクササイズ エニー ポリィティカル オーソリティー」、これがもとの条文ですよ。この「ポリィティカル・オーソリティー」というのを何と訳しているんですか。政治上の権力と訳しているんですよ。

 ところが、これはもっと素直に訳せば、「ポリィティカル・オーソリティー」というのは政権のことですよ。政治権力のことですよ。英語の達者な方もいらっしゃると思いますけれども、そういう規定なんですよ。宗教団体が、エニー・レリジャス・オーガニゼーションが、ポリィティカル・オーソリティーをエクササイズしてはならない、行使してはならないというのがこの英語の原文なんですよ。これをアメリカ人やイギリス人に見せたら、まさに宗教団体が国権に介入していってはいけないんだ、国権をつかんでいってはいけないんだと、こういう規定だというふうに理解しますよ」

 「憲法を素直に読んだら、憲法二十条第一項後段にははっきり書いてあるんですから。いかなる宗教団体も政治上の権力、ポリティカルパワーを行使してはならないと書いてあるんです。そういう宗教団体というものの行動規制をしているんですよ、憲法ははっきり。

 それを犯してしまっても、片一方で国権が宗教に介入することが禁止されているからそれでいいんだと。(中略)はっきり書いてある憲法二十条第一項後段の規定を犯してもいいなんという、そんな解釈はとても承認するわけにはいかない。従来は通ってきたかもしれないけれども、これは制度の本質、憲法の精神、そういうものに照らしたときに考え方を変えるべきだというふうに私は思います。(中略)

 したがって、政教分離の原則は一方向だけではないんだ、双方向だ、そういうふうに政府の考え方、解釈を変えてもらいたい。(中略)

 宗教団体も政治活動をやってもいいですよ。これはいい人だ、おれたちの信条と全く同じ、まじめな人だ、そういう人を選挙で出そうよということ、その程度の運動をすることはいいですよ。それは、しかしおのずから限界がある。その限界を示しているのが憲法二十条第一項後段なんですよ。宗教団体は政治上の権力を行使してはならない、そういう規定があるんですよ。その規定からいっておのずから限界がある。限界があるんだという解釈をしっかり出してもらいたい」

 「この政教分離という原則はヨーロッパで起こってきた、それがアメリカを通じて日本に入ってきた、そういう概念。どう見たってそれはキリスト教から近代社会、近代政治というものが独立をする、世俗化ですよ。昔は神の言葉で政治をやったんです、神のお告げで政治をやったんですよ。それから人間の論理で政治をやるようになったんです。それが近代民主主義です、議会制民主主義なんですよ。神からの独立。神からの独立って言葉はいいけれども、世俗化なんですよ。昔は神様が政治をやってくれたんです。今はそうじゃない。(中略)

 だから、数が多ければだれでもいい、だれが政権をとってもいいんですよ、国民から支持を受ければ。農業党も結構、工業党も結構、商業党だっていいんです。だれだっていいんですよ。米を開放したいという政党があったらそれでもいい。緑を守ろうという政党があったら、それが政権とったって構わない。ただ、宗教だけはだめですよ、宗教が政権をとることはだめですよ、それを決めたのが憲法二十条の精神なんです。

 憲法二十条というのは、ほかの、いろんな政党だとか信条の持ち主が政権をとる、政権に近づくために選挙法をきちっと使ってやることは構わない、しかし宗教団体だけはだめよというのを書いたのが憲法二十条の第一項後段なんです。いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないと書いてある。これは、そういう歴史の上に法治国として法定されているんですよ、憲法ではっきり。

 だから、あっちこっち持っていかないで、政教分離の原則は一方向だよなんて、そんなこと言わないで、まさによって来たところが、それは国権からの介入もだめだけれども、宗教団体が政権とっちゃだめだよ、それを定めた規定なんだから、双方向性ではないか。それを、勝手に政教分離の原則は国権からの介入を禁止した一方向性のものだということを前提にしておいて、そういう定義規定をつくっておいて、宗教団体が国権に介入したという事実、明らかに憲法二十条第一項後段の規定に該当するような、違反するような行動が起こっていても、自分で勝手に解釈した、こっちが残っているからそれでいいんだ、そんな解釈はとても容認することができない。

 したがって、少なくもこの政教分離の原則というのは双方向性のものであるということと、いいですか、それと憲法に書いてあることをきちんと守らなければだめですよということを言っているんですよ」

 「オウムは漫画チックなことをやりましたよ。しかし、あんなものじゃなくて、もっともっと計画的に組織的に幅広くやってそれをしたら、政権をとっちゃったら、代議士をいっぱいつくってとっちゃったときにどうなんだ。そんなことできるはずがないじゃないかなんて言っていますけれども、安心していたら危ないんですよ。日本の歴史の中ではないんですよ。宗教が日本の政権をとっちゃったなんていうなにはないんですよ。ヨーロッパにはいっぱいあるんですよ」

 (続く)

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2015年09月01日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十一

 平成26124日には、「犬の散歩をしながら、猫にエサをまいている人がいて困っている」というクレームが保健センターに入った。

 平成25126日、「午前8時頃(中略)■■沿いの道の■■の平らな部分で女性(60代?)がのら猫(子猫3匹)に餌やりをしているのを目撃した。女性が立ち去った後、餌を狙ってカラスが12匹群がってきた。これにより通学路となっている■■沿いの道が塞がれ、登校中の小学生が通れなかった。危険であるためなんとかして欲しい」という相談が入った。

 平成251028日午後12103分、こういう内容のクレームが来た。

 「まちねこ制度を利用して餌を与えられている野良猫が、苦情者宅前を通り、車に傷をつける。

 餌やり場では、猫の餌が置かれすぎているためか、今まで以上に猫が集まってきている。先日も、檻に入れられた猫1匹が車で運ばれてきて、餌やり場の付近に放たれてたのを見た。餌やり場を撤去し、まちねこ制度をやめさせる話がしたいので、まちねこ制度を利用している主となる人(以下『まちねこ制度利用者』という。)の電話番号を教えてほしい。また、餌やり場の設置を許可しているのが、どこなのか電話番号を教えてほしい。」

 これに対し、京都市の役人・大原氏は、「まちねこ制度の概要を説明し、猫を周辺から集める制度では無いことを強調した。まちねこ制度利用者の電話番号は、個人情報になるため、本人の同意がなければ教えることはできない。また、餌やり場の設置を許可しているのが、どこなのかは調べて連絡する」と回答した。

 その後、仲課長が、同利用者に電話したところ、「電話番号は教えてほしくないが苦情者との話合いには対応したい」「昨日、まちねこの協力者(■■氏)が掃除をしている時にも、誰かから苦情を受けたと聞いた」「まちねこ制度では、野良猫が人家に行かないように、餌やり場を設置している」と言った。

 また、餌やり場となっているのは、京都府の機関・京都土木事務所の敷地内だった。大原氏は、京都土木事務所に電話したところ、土木事務所の役人は、こう言った。

 「苦情者にもご理解いただくように説明する」「台風18号の影響で、■■が水没し、餌やり場が流された。■■氏から相談を受けて、仮の餌やり場を公園の一角に設置した」「当事務所も野良猫では、困っており地域住民(■■氏)の取組には、協力したい」

 翌日29日午後121分、くだんの苦情者から保健センターに電話があり、「野良猫が増加し、『野良センター』のようになっており、ノラ猫の鳴き声のために、睡眠不足になっている」とクレームが入った。

 また、以下の質問2点について、まちこね利用者から回答を欲しい、と言った。

 (続く)

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2015年08月31日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十

 この執拗なクレーマーに対し、京都市の役人は「前回の相談から何度か■■氏を訪問しているが不在のため会えていない。また面会のうえ指導を行う」と回答。

 その後、平成2511月の1419日に訪問したが不在。

 翌2011時頃、このクレーマーから、「保健センターから指導に行っていただけたか?」と連絡が入った。

 役人は「不在の事が多く面会できていない」と回答し、「次回面会時に町内から強い申入れがある旨を伝える。しかし、法的強制力がなく、改善には時間がかかる事もある」と言った。

 すると、このクレーマーは「保健所に行ってもだめなら市の上層部に伝えないと改善されないか?町内会長へも相談に行く予定をしている」と迫った。

 役人は、それも一つの方法である、こちらとしても面会できるまで訪問をする予定である、と答えた。

 同日14時頃、■■氏宅を訪問。この日は、在宅だった。

 「前回の指導以降の経過を聞いたところ、餌やりの回数は減らしているとの事。できるだけやらないようにしているが、車の出し入れ時だけは餌で猫を引寄せ入庫している。また、自分以外にもガレージに餌や水を置いていく人がいる。(誰かは特定できていない)以前に比べて猫の頭数も減ってきている」という。 

これに対し、役人は、「自身が管理するガレージで起こった事は所有者の責任になるため、他の人が餌を与えに来る状況であれば、『保健所からの指導を受けている事や近隣から苦情がくるのでやめてほしい』旨掲示するか、直接会えるのであれば伝えるよう指導した。なお、車庫入れ時の餌やりをなくすために、猫よけ器を1台貸出し、ガレージに設置するよう依頼した」。

 その後も、翌月129日に、役人は■■氏宅を訪問し、「猫よけ機がきかない」「角度かえたら?」「私じゃない人が角度かえてる」「えさやり やらないようにしている」といった会話をした。

 なお、この執拗なクレーマーは、まずはじめに「餌を撒いている」ようだ、と言い、役人を向かわせたが、役人は、餌が撒かれている事を確認した形跡が一切ない。しかも、餌やりの場所は、私有地のガレージであることがわかった。それなのに役人たちは、餌をやるな、と再三命じるだけで、猫トイレ設置といったオーソドックスな対処は一切講じなかった。また、子猫を産んだ、という情報が入ったにもかかわらず、不妊去勢手術の必要性にふれていない。しかも、餌やりは「以前に比べて猫の頭数も減ってきている」と発言しているので、手術をしている可能性もあるのに、役人はその有無すら確認した形跡がなく、クレーマーに言われるがまま、餌をやるな、と連呼するしか能がなかった。

 他方、餌やりの方も、ガレージに知らない人が餌や水をあげたりしている、とにわかには信じ難いことを言っており、役人を適当にあしらっているようにも見受けられる。

 また、役人は、「法的強制力がなく、改善には時間がかかる」とこぼしている。この箇所は、餌やり規制条例さえできれば、公然と罰することができるのに…という役人の本音が滲み出ている、といえよう。

 なお、この執拗なクレーマーは、「市の上層部」に言う、とも迫っている点が注目に値する。後述のように、京都市の餌やり規制条例は、市の上層部と、とある議員によってつくられた、という情報もあり、執拗なクレーマーの突き上げにより、上層部や議員が動いて、あの条例ができきたことを窺わせるもので、このクレーム報告書は示唆深い。

 (続く)

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2015年08月30日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 九

 平成257月頃、京都市の保健センターのもとに、「マンションにネコが入り込み、住民から糞尿のにおいなどの苦情を訴えられている。ネコの捕獲等はできないか?住民の何物かが餌を撒いているようである」というクレームが入った。

 これに対し、京都市の保健センターの役人・福本係長と竹重氏は同月3010時頃、現地調査をし、「餌やり宅左隣のガレージに猫が5匹ほどいるのを発見」。

 その後、餌やり宅を訪問。聞き取りにより、「・ガレージは本人の所有。もともとこの付近には野良猫が多く、ガレージにいた猫に餌をやりはじめたのがきっかけで猫が集まってくるようになった。

 ・飼い猫もいるが、飼い猫は室内飼養している」ことがわかった。

 この餌やりに対し、両役人は、「近年から猫の糞尿被害について保健センターに相談があった事を伝え、餌を与えるのであれば、責任を持って室内飼養してもらうよう指導」したところ、「■氏は、餌を与えている猫を飼う意思はないとの事であったので、それでは周辺の衛生環境悪化を防ぐためにも、むやみな餌やりは控えるよう指導を行った。(とりえず、1週間餌やりをやめてみるよう提案した。)」

 それから50日程経過した平成251010945分、くだんのクレーマーから「7月以降改善兆しがなく、現在も、午後3時頃にガレージで■■氏が餌を与えており、6匹ほど猫がおり糞尿被害を受けているため、もう一度指導してほしい」とクレームが入った。

 同月1711時頃、役人は再度、■■を訪問した。が、しかし、不在だった。

 同月221540分頃、再び■■氏を訪問。

 この時、■■氏は、このように語った。

 「前回センターの指導を受け、3日間餌を与えるのを控えたが、猫が餌を求めて寄ってくるのを見かねてまた与えてしまった。ガレージの車の移動にも支障をきたすため、餌で引き付けて入庫している状況である」

 これに対し、役人は、「再度保健センターへ糞尿被害の申し出があった旨を伝え、猫の繁殖や周辺環境の悪化が懸念されるため、飼養の意思がないのであれば、無計画な餌やりは中止するよう指導した」。

 翌日、このクレーマーは、「この状況が続くようなら町内会の議題として取上げ、申入れする事を考えている。その旨を■■氏に伝えてほしい」と、またもやクレームを入れた。

 その後、役人が一度、■■氏宅を訪問したが、不在だった。

 すると、平成25118日、このクレーマーは、「■■氏宅のガレージの猫が最近子供を産み、子猫の鳴き声がうるさい。糞尿被害も全く改善されていない。もう一度■■氏に強く指導してほしい」と、またぞろクレームを入れたのだった。

 (続く)

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2015年08月29日

池田大作教が推薦する「外務省村の御用学者」同志社大・村田晃嗣 五


 外務省村のソーカ系結社「大鳳会」については、過去にはこんな報道もあった。

94617日付週刊ポストの記事「これは国家公務員法違反ではないのか 外務省を揺るがす池田大作への『密書』入手! 〈誰のための『官』か〉」によると、平成213日付で、「当時、イタリア・ミラノ総領事館に勤務していた外務省の広報担当の職員・W氏が池田大作・創価学会名誉会長に宛てた私信」を同誌が入手した。それにはこう書いてあった。


 「前略 池田先生 

 大鳳会のWと申します。

 先日は『吉川英治 人と世界』を送って下さり大変ありがとうございます。あらためて読書の大切さ、そして一人の人間が大きな可能性を秘めていることを痛感しました。これを糧に日々精神(ママ)していきます。

 昨年10月鈴木琢郎副会長から手紙をいただき、その中でヴァチカンについての私なりの実感を教えてほしい旨書いてありました。その返事は神崎さん(イタリア日蓮正宗創価学会書記長)を通じ鈴木副会長に出しました。

 その内容を一言で申し上げれば『89年東欧で表面化した自由化のあの大きな波の背後には、1960年代からのヴァチカンの東欧政策が少なからず影響している。というものです。特に78年にはポーランド人の法王を選出し、80年のポーランドの自由化を喚起し、以後10年にわたり主にポーランドを舞台に共産主義体制と熾烈な戦いを繰り広げてきました。そしてヴァチカン側は勝利を収め、今後東欧でカトリック教会の復権・勢力拡大が確実に進むものと思われます。彼らは、50年、100年単位で長期的な世界戦略を立てている模様であり、創価学会の世界広宣流布上の最強かつ増々勢力を増してくる狡猾な敵と思います。』

 来年春 先生はイタリアを訪問されると聞きました。私はイタリア在勤7年目をむかえ、今年7月に帰朝の予定です。イタリアで先生をお迎えすることはできないかも知れませんが、ミラノ総領事館の広報担当として全力で北イタリアにおける対日認識の拡大に努め、広布のお役に立ちたいと思います。 敬具」


 さらに、この手紙には、「ヴァチカンの方針」と題するA4用紙9枚にのぼる報告書が添付されており、そこには「ローマ法王庁の世界戦略を事実経過を示して分析したうえで、<世界宗教者会議(WCRP)については、立正佼成会庭野日敬が中心に動いた経緯があるが、それはヴァチカンの極東戦略(経済大国の力をもってアジアの共産化を防衛)を推進するには日本のカトリック勢力が弱小であることから、その協力者としてヴァチカンは立正佼成会を選んだもの。また庭野日敬側はヴァチカンの世界宗教連合という策に乗ることにより立正佼成会のイメージ・アップを図り、創価学会を牽制することを狙ったものと思われる>」などと、報告しているという。


 なお、くだんの手紙の末尾に「広布のお役に立ちたい」と書いている点について、宗教ジャーナリストの段勲氏は、こう指摘している。

 「広布すなわち広宣流布は、全世界に学会の教えを広めるという学会の最終目標であり、教義の根本なのです。毎年行われる財務と呼ばれる金集めも“広布のため”の名目になっているんです。W氏が“広布のお役に立ちたい”と表現したのは、学会のため池田大作氏のために働いていると語っているのと同じことで、明らかに国家公務員法違反だと思います」


 つまり、国家公務員法第九十六条「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」、第百条「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」に違反する、というわけ。だが、それだけではなく、国家権力がカルト教団の教祖に機密情報を流すことは、憲法二十条の「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」との条文に違反するのは明らかだ。


 さらに記事には、こういう下りもある。

 「ブラジルサンパウロ在住の日蓮正宗の僧侶はこう語るのだ。『この4月にパラグアイに行った時のこと。入国するやSGIを拠点に活動している学会員から“裏切り者”といった暴言を浴びせられたり、尾行をされるなどの嫌がらせを受けたんです。なぜ、学会員が私たちの出入国の日程を知っているのか、そこが疑問です。嫌がらせについて大使館に相談しても、個人的な問題といい、何ら対処してくれませんし』

 池田氏が日蓮正宗から破門されて以後、日蓮正宗と学会の宗教戦争は激烈を極めている。それだけに気になる話である」


 これらはほんの氷山の一角で、あらゆる国家機関で、こういう違憲行為が、日々、裏で行われている。池田教団の存在自体、違憲である。もともと遵法精神のない違憲集団ゆえに、現在、違憲法案の安保法制を池田教団が通そうとしているのも、無理からぬ話だ。

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 八

 平成2664日には、こういうクレームがあった。

 「■■氏または■■氏(おそらく■■氏だと思うとのこと)が道路の真ん中で猫に餌をやっており、通行の妨げになっていた。その道を通る必要があったので、餌を食べている猫を避けるように通行すると、飼い犬がその猫にしがみつかれ、ひっかかれ、襲われた。

 夜に通行した時に、その家から猫が突然飛び出してきて、危ない思いをしたこともある。

 道の真ん中で餌やりをして、そのまま餌を放置したり、猫を野外に出したり等、近所に迷惑をかけるような飼い方をしないでほしい。(中略)現場に行けば家の前に餌が放置されているので、すぐわかる」

 これに対し、610日、京都市の役人・北市、菅野氏が現場を調査したところ、「路地には猫が3匹ほどおり、届出のあった■■氏の家の前にエサの残滓のついたプラスチックトレーがあった。エサは片付けられていたが、飲用水用のトレーは玄関に置いてあるのを確認した」という。 

 そして、聞き取りをしたところ、■■氏はこう回答した。

 「・朝と夕に猫にエサを与えている。

 ・エサを食べにくる猫は34匹程度である。

 ・猫は(中略)飼い猫ではない。(人慣れしておらず、捕まえるのは困難であり家飼いできない)

 ・(中略)避妊去勢手術はしていない。

 ・毎朝近所を周り、猫の糞を片付けている。

 ・(中略)エサやりをしていることは近所の住民も把握していて、エサやりをやめるよう注意されたこともある。

 ・最近、犬の散歩をしている飼い主とトラブルになった。」

 なお、クレーマーの言い分では、■■氏は置きエサをしている、ということだったが、実際は、水を入れた器を置いていた。このように、クレーマーの勘違いのパターンもある。

 なお、■■氏に対し、京都市の役人・北市、菅野氏は、こういう内容の指導をした。

 「・ノラ猫にエサを与えていると、他の地域からも猫が集まってしまうことがあこと。

 ・エサやりにより栄養状態が良くなり、その猫が繁殖して地域のノラ猫が増えてしまう危険があること。

 ・外でのエサやりは止め、今後飼育が可能なら室内飼育をすること。計画外の繁殖のないうよう適正に飼うこと。(猫の飼い方についてのパンフレットを渡した。)

 ・地域で猫を管理していくまちねこ活動を京都市で行っているので、町内会等で検討も考えて進展がありそうなら保健センターに相談して欲しい」

 役人たちの言う、野良猫にエサをやるな、栄養状態をよくするな、家で飼え、との言い分は、その後成立するエサやり禁止条例の中身そのものである。

 (続く)

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