2015年12月04日

原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 二

 放射男≠ニいうあり得ない記事の翌日、讀賣新聞はこういう見出しの記事を載せた。

 「“放射人間”大聴衆を唸らす」

 本文には、こうある。

 「研究室の街頭進出として帝都の人気を呼んだ『紀元二千六百年記念理研講演会』は十八日午後一時から九段の軍人会館で開かれたが、仁科芳雄博士の“人工ラヂウム”を嚥下する“放射人間”の実験は満場の観衆を唸らせた

 深遠な学理や宇宙の謎を極めて大衆向に見せるというので学術講演としては珍しく二千名を突破する観衆が詰めかけ、さしも広い軍人会館の一階から三階までを埋めつくして閉め出しを食った群衆が入口に列を作るという盛況で理研でも面喰った

 仁科博士の実験は『元素の人工(中略)と宇宙線』の講演と併行して始まり、先ず実験台となる仁科研究室の小使加藤弥太郎(五一)さんがコップになみなみと注がれた食塩の“人工ラヂウム”溶液を顔をしかめてグッと飲み下す、待つこと約二十五分加藤さんは立って宇宙線測定用の『ガイガー・ミューラー計数管』の上に手をかざすと突如パチパチパチパチと機関銃の様な音がマイクロフォンを通じて観衆の耳朶を打つ、加藤さんの手から放射線が飛出していることがまざまざと実証されたのだ

 次いで放射性になった銀貨や人工ラヂウムを吸い上げた八ツ手の葉、菊の葉を計数管に近づけると同じく音を立てる、天体から降りそそぐ謎の宇宙線も音に変えて“科学手品”よろしく平易な実演に観衆の拍手を浴びて公表を博した。(写真は講演会の呼び物となった加藤さん(右)の“放射性人間”の実験)(19401119日付讀賣新聞朝刊より)

  

放射人間 大衆うならす.JPG

 このように戦中の日本は、731部隊で中国人やロシア人、韓国人などを人体実験しただけではなく、自国民にも人体実験をしていた。

 そして、それを書き立てたのが、讀賣新聞である。ちなみに、ほかの大手紙である東京日日新聞(現毎日新聞)、朝日新聞は、このおぞましい出来事を報じていない。

 讀賣新聞の社主・正力松太郎はエログロ(エロチックでグロテスクなこと。扇情的で怪奇なこと。「広辞苑第六版」より)で部数を伸ばした、といわれているが、この記事は、そのことを物語って余りある。

 この一事だけでも、仁科は戦犯ものと筆者は思うが、敗戦直後の19462月、仁科は文化勲章を受章した。(1946211日付讀賣新聞朝刊)

  

文化勲章.JPG


 (続く)

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2015年12月03日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十三

 会議では、全局照会の結果については、「猫については野良猫に関する苦情が多い」(仲俊典氏(伏見保健所保健部(伏見保健センター)衛生課長))という意見が出た。

 次に、職員向けのアンケートのたたき台について、議論された。


  職員アンケート票.pdf


 このたたき台について、ふん尿を見かけたり被害にあった頻度を入れるべき、とか、ふんと尿を区別して聞く必要があるのか、といった話が出た。

 また、太田眞一氏(保健福祉局 保健衛生推進室保健医療課 健康危機対策担当課長)が、こう言った。

 「問16の『行政が野良猫を収容する。』は削除する」

 削除する理由は、動物愛護法に触れるからであろう。

 問16とは「犬猫等のふん尿被害を無くすための取組として何が必要であると思いますか(複数回答可)」とあり、以下の回答にチェックを入れるというもの。 

 「地域のまち美化活動の一環として取り組んでいく。」

 「飼い主のマナー向上に向けて行政が啓発を強化する。」

 「ふん尿を放置する飼い主に過料などの罰則を設ける。」

 「監視員が巡回して指導する。」
 「被害の多い公園等の公共施設に啓発看板や監視カメラを設置する。」
 「行政が野良猫や鳩等の嫌うグッズを住民に貸し出す。」

 「ペットを販売する業者に購入者へのマナー教育を義務化する」

 「行政が野良猫を収容する。」

 「その他(   )」

 「過料などの罰則」「監視員が巡回」「監視カメラを設置」など、徹底的な取り締まりを意識したワードが目立つ。

 そして、くだんの「行政が野良猫を収容する」という一文。

 これは役人が野良猫をバンバンとっ捕まえて殺処分せよ、という意味である。

 これらに多数がチェックマークを付けた暁には、京都市はどうするつもりなのかは、いうまでもない。

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十二

 その後、サブリーダー・石田信幸氏(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)がこうまとめた。

 「今日のまとめとして、アンケート調査に係る業者選定は進めながら、アンケートの内容を再検討し、市職員を対象に試行的に実施したうえで、本格的に実施することとする。

 また、3回目のプロジェクトチーム会議では、全局照会の結果を報告したうえで、同じ日に各部会を開催したいと考えている。」

 「全局照会」とは、犬猫関連課に対し、以下の調査をしたことを指す。

  

犬・猫のふん尿被害に係る取組みについて(調査票)(案).jpg

 それから3週間後の、平成26115日、1330分から本庁舎F会議室で、第三回目の会議が開かれた。


机配置.jpg

 会議では、全局照会の結果を報告した。

 

   犬・猫のふん尿被害に係る取組みについて(調査結果).pdf


 この結果で注目なのは、猫のふん尿に係る被害が多い区は、伏見、右京、北区。少ないのは上京、山科、下京、中京区となっている点である。

 要するに、プロジェクトチームの生みの親・マッチポンプ公明党市議・吉田孝雄氏の選挙区・上京区は、やはり被害は少ない。猫だけでなく犬のふん尿でみても、上京区は全区中、二番目に低い。

 前出のようにプロジェクトチーム会議の一回目から、吉田氏の選挙区・上京区では犬猫のふん尿被害は少ない、と複数の職員が指摘していたが、はからずもこの調査結果でも、そのことが明らかになった。

 そもそも既述のように、吉田氏は、2011124日の京都市会で、「『糞害』は多くの方々からも声を聞いております」「何人かの市民の方に色々お聞きしますと、やはり『糞害』が出てきているということで、『何とかしてほしい』というご意見をしておられる方もいらっしゃいました」と発言。

 翌年522日の京都市会でも、「高齢者の皆さんや子供たち、また子育て世代のお母さん方、いろんな世代の方々にとっての憩いの場である公園についてですが、その中で特に『糞害』の声が寄せられています。犬や猫の糞が放置されているという問題でございます」「地域を歩いて(中略)いるときも、『吉田さん、折り入って話があるんです。犬や猫の糞尿が、昔と比べたらましやけど、それでもマナーが悪い。何とかなりませんか』というお声も頂いた」と言っていた。

 このように執拗に発言を重ねた上、その翌年四月二十三日の京都市会では、こう言っている。

 「地域で色々な方々とお会いするときとか、意見交換するときとか、あるいは色々集まる場で御挨拶して終了後に懇談するときとかに、私の方から『どうですか』って聞くんです。向こうから言われるケースは稀なんですけども、こちらから投げ掛けますと、ほとんどの方は『実は見ている』とか『近所にもある』とかというのが多いんです」

 「向こうから言われるケースは稀」ということは、自らが火をつけて問題を大きくしているということになる。

 マッチポンプたるゆえんである。

 (続く)

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2015年11月29日

原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 一

 広島、長崎で原爆を投下されて敗戦した日本は、GHQにより原子力の研究が禁止された(※1:1945年10月31日、連合国が日本での原子力研究の禁止を指令。同年11月、サイクロトロン(加速器の一つ。磁場の中で円運動をしているイオンを同じ周期の高周波電場によって加速して、1000万〜数億電子ボルトのエネルギーをもつようにする装置。放射性同位体の製造や原子核の人工破壊に用いる。広辞苑第六版より)の理化学研究所の2基、大阪大学2基、京都大学1基が連合軍に破壊される。こうして原子力の研究開発は禁止となったが、原子核の実験研究は当初は申請制だったが、1947年1月の極東委員会の決議で禁止された。(「福島事故に至る原子力開発史」(原子力技術史研究会編、中央大学出版部、2015年2月)より)。そのため、讀賣新聞の、敗戦直後の原発報道は、もっぱら海外の動向だった。

 例えば、「関係者公判近く開始 カナダ原子力秘密漏洩事件」(同年219日付)、「英科学者逮捕さる 原子力スパイ事件」(同年36日付)、「米原子力管理案可決」(同年728日付)、「原子力兵器実験場 太平洋に建設中 米原子力委員会」(47725日付)、「米、放射性イソトープ公開 ト大統領 原子力の平和的利用声明」(同年911日)、「米、新原子力兵器を製造中」(同年124日付)、「膨大な原子力計画 米、優越的地位の確保に全力」(48318日付)、「ソ科学者、原子力に新発見」(4862日付)などなど。

 そうした中、こういう広告があった。本題からやや逸れるが、興味深いので紹介する。

 それは「フランス式特殊原子力美顔法 美顔器」という広告。4764日、83日、9月24日付の讀賣新聞朝刊にある。

 「今美容界で大評判の美顔器、色白くなりたい方は本器により、より美しくなられよ!ニキビ、ソバカス吹出物シミ(中略)は美しく生まれ変わる」、「効能」は「美白の推進」「ニキビ ソバカス」、「皮下細胞の働きを活発にす」などとある。

 東京都文京区内の株式会社 東京美化学研究所という会社の商品。アヤシイ。


  

東京美化学研究所  広告3本.jpg


 話を戻す。

4881日付讀賣新聞朝刊には、「原子力と平和」と題し、仁科芳雄という人物の顔写真付きの手記を載せている。


  

仁科.JPG


 実はこの人物、戦中、日本で原爆の研究をしていた。陸軍「原爆開発計画」の責任者の物理学者・仁科芳雄である。仁科にちなみ、「二号研究」といわれた。場所は理研の四九号館。ここでウラン濃縮のための装置である熱拡散塔の建設が行われた。初めて予算がついたのは19414月。8万円の研究費だった。1943年には東条英機の命令で航空本部直轄研究に位置づけられた。(「クロニエル 日本の原子力時代一九四五〜二〇一五年」(常石敬一、岩波書店、20157月)より)

 しかも、この仁科は、戦中、こんな記事がある。それは讀賣新聞19401118日付朝刊の「科学の子放射男<宴Wウム飲む実験 研究室街へ進出」という記事。


  

放射男.JPG


 それによると、「人口ラヂウム≠嚥下して放射性人間≠作るという珍しい公開実験が十八日午後一時から九段軍人会館で開かれる『紀元二千六百年記念理研講習会』席上仁科芳雄博士によって行われる」とあり、こう書いてある。

 「人類の敵癌の治療に神秘的効果を謳われ一グラム二十五万円という高価な天然ラヂウムに代る人口ラヂウムは我国でも仁科博士らにより数種の成生と研究が進められている、当日の公開実験は博士自ら壇上に立って説明するが先ず理研のサイクロトロンで重い水素原子を(中略)ぶっつけて製造された人工ラヂウム十分の一グラムをコップ一杯の水に溶かして仁科研究室の小使さん加藤弥太郎(五一)さんが実験体になって嚥下する、人工ラジウムは血液の中に潜り込んで約二分後には全身に行きわたり、頭からも手足からも全身いたるところから放射線を後光のように放ち始め所謂珍しい放射性人間≠ェ出現する

 この放射線は目に見ることが出来ないので宇宙線測定に使用する『ガイガー・ミュラー計数管』を通してポツリポツリとなる音に変えて聞かせることになっている」

 「仁科博士は語る『(中略)人工ラヂウムは嚥下した場合一時的に多少白血球が減るが、すぐ回復することは研究ずみでこの実験を公開するのは初めてのことです」という。(※旧仮名遣い、旧字体は、現代仮名遣い、現代の字体に修正している。読点、改行がなく読みずらいと判断した場合、適時、読点、改行をしている。以下、同)


  

加藤さん.JPG


ラジウムについての参考文献:

緊急被ばく医療研究センター「ラジウム 226 とは」

http://www.nirs.go.jp/hibaku/info/ra226_0930.pdf


原子力資料情報室(CNIC)「ラジウム-226226Ra)」

http://www.cnic.jp/knowledge/2602


 (続く)


 ※実験台となった加藤弥太郎氏の年齢三一を、五一に訂正しました。(2015/12/4)

 ※1を加筆しました。(2015/12/5)


 ※美顔器について、6月4日、9月24日付の広告も加えました。(2015/12/7)

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2015年11月28日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十一

 続いて、こういうやり取りがあった。

 チームリーダー・瀧本章氏(保健福祉局 保健医療・介護担当局長)「具体的にどのような項目を設けるべきか」

 川口氏(環境政策局 循環型社会推進部まち美化推進課担当課長)「上記のような表に○をつけてもらう形の方が良いのではないか。(※上記の表とは、縦軸に「犬」「猫」「鳩等」、横軸に「ふん」「尿」「ふん・尿」のます目)

 杉浦氏(保健福祉局 保健衛生推進室保健医療課長)「『被害にあったのはいつか』といった時間軸を設定することも必要」

 木咲氏(産業観光局 農林振興室林業振興課鳥 獣対策担当課長)「行政に求める対策だけでなく、地域にできることを問うことも必要。ふんの放置を許さない地域づくりを支援することが行政の役割ではないか」

 川口氏「ふんの回収袋の携行を義務付けるというのはどうか」

 簱氏「携行を義務付けることに問題は無いのか」

 岡田氏「問題ない」

 杉浦氏「しかし、尿で被害を受けている方もいるため、対策としては不十分である」

 簱氏「猫はできる限り屋内で飼うようにすることは、動物愛護の観点からも問題ないのか」

 太田氏「問題ない。動物愛護の観点からも屋内飼養を推奨している」

 川口氏「ふん尿は廃掃法に該当し、投棄には罰則はあるが、調べた範囲ではふんの投棄への適用例はない。ただし、軽犯罪法に基づいた罰則の適用例が2例あった」

 簱氏「軽犯罪法に基づいて警察との連携を密にしていく手法も一つである」

 岡田氏「その手法であれば、条例を改めて制定しなくてもできる」

 サブリーダー・瀬川彰氏(環境政策局 循環型社会推進部長)「アンケートに鳩等と記載するのはいかがか。鳩等の被害状況を調査しても対策を検討できないのではないか」

ここから急に話が展開する。

和田氏「公園でも鳩の苦情がある。ただし、野良猫と同様に餌やりに起因したものである」

 にわかに、「野良猫」「餌やり」というワードが出てきた。すると次にこういう発言が出た。

 簱氏「鴨川条例を京都府が検討する際に、野生鳥獣への餌やりを規制することを検討したが、モラルに訴える部分については規制すべきではないとの判断であった」

 これはエサやり規制になりそうな流れに歯止めをかける意図を感じさせる発言である。

 すると、にわかに、こういう発言が飛び出た。

 岡田氏「野生鳥獣は対象外とし、飼っている動物のみを対象としてはどうか。また餌をあげている動物を飼っている動物に準じるものと(して同様に規制)すればどうか」

 ここでいう「餌をあげている動物を飼っている動物に準じる」とは、言うまでもなく、「野良猫」を指す。つまり、野良猫へのエサやりの規制である。

(続く)

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2015年11月27日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十

 そして、まちねこ事業について「実際に行動したことがある」「活動はしていないが、名称も取組内容も知っている」「名称だけ知っている」「知らない」にチェック欄がある。(アンケートひな型全文は下記PDFダウンロード可。なお、問8の猫の項目に「野良猫に餌を与えている人」とある)


 犬猫等のふん尿被害に係る市民意識調査表.pdf


 会議では、この市民調査票について、サブリーダー・土井直也氏(保健福祉局 衛生推進室生活衛生担当部長)が説明した後、こういう発言が出た。

 サブリーダー・石田信幸氏(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)「業者委託によるアンケート調査に係る費用については保健福祉局で負担する。動物愛護団体や美化活動をされている団体等にも調査を実施する方向で良いか」

 太田眞一氏(保健福祉局 保健衛生推進室保健医療課 健康危機対策担当課長)「各団体に直接話を聞きに行き、聴取するという形ではどううか」

 和田長利氏(建設局 水と緑環境部緑政課公園管理担当課長)「関係団体数が非常に多いので、アンケートを発送する方法で行いたい。また、定期的に各団体へ発送するものがあるので、そのタイミングで出来ると効率的である。そのタイミングは調べておく」

 簱哲也氏(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)「このアンケートは何を目的としているのか」

 サブリーダー・石田信幸氏「ふん尿被害の実態と市民意識を知ることを目的としている」

 簱哲也氏「アンケートの各項目をより具体的にすべき。『街にふんがたくさん落ちていると思いますか?』の問いに『普通、あまり落ちていない等』の選択肢、『ふんが落ちていると景観が損なわれると思いますか?』、『野良猫が自宅に入り、その猫のふんが家にあることで困ったことはありますか?』等の具体的QAが必要。また、ふん尿被害への対策を問うアンケートであれば、この時期でなくても良いのではないか。アンケート内容が確定していなくても委託業者の選定はできる」

 岡田博史氏(行財政局 総務部法制課長)「市在住の職員に予備調査としてアンケートに答えてみてもらってはどうか」

 簱哲也氏「職員を対象に試行的にアンケート調査を実施したうえで、それを踏まえて本格的に市民意識調査を実施する方が良い」

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 九

 「新潟市ぽい捨て等及び路上喫煙に関する条例)」

 「・犬のふん回収→過料(1,000円)

 ・ポイ捨て防止、路上喫煙制限、ふんの散乱防止のセット」(平成2010月施行)

 「広島市ぽい捨て等の防止に関する条例」

 「・美化推進区域指定

 ・犬のふん回収義務→美化推進区域内であれば過料(20,000円以下)

 ・ポイ捨て禁止、路上喫煙制限、ふんの回収義務、落書き禁止のセット」(平成1510月施行)

 そして、「他市の状況まとめ」として、こう記している。

 「・動物愛護・管理条例で規制している場合、飼い主に対して、ふんだけでなく、鳴き声、引き綱、花壇の掘り返しなどの迷惑行為に対する規制も含まれている。

 ・政令市・中核市以外の市町村は、保健所所管部署・機能がないため動物関係の条例で規制ができない。

 ・いずれの都市においても犬のふんについて罰則の適用事例はない。※平成237月時点」

 このいう資料を使って、罰則を検討した。

 また、「犬猫等ふん尿被害に係る市民意識調査」も議題にあがった。

 これはA44枚つづりのアンケート用紙に回答してもらう、という案。

 アンケートには、犬猫ふん尿の「被害状況」、「どの動物」(犬、猫、鳩等の鳥類、その他)、「被害にあった場所」(家の敷地内(壁、庭、ベランダ等)、道路(電信柱等を含む)、公園、河川敷、その他)、「被害にあわれた時間帯」(朝〜昼、昼〜夕、夜間、深夜)、「具体的にどのような被害」(犬 家の前で犬がふん尿をしてて困る→飼い主が判明、飼い主が不明、散歩中に犬のふんが散乱して、臭い、踏みそうになる。その他)とあり、その後、猫について、こう書いてある。

 「猫が家に入ってきてふん尿をして困る。→野良猫、飼い猫」

 次に、こう書いてある。

 「野良猫に餌を与える人がいて、ふん尿が道路に散乱している」

 このように2回目の会議で、しっかりと、「野良猫」「エサやり」というキーワードが出てきている。

 アンケートには、次に、「被害に対して対策・対処はされましたか。また、効果はありましたか」とあり、猫に関しては、こうある。

 飼い主に対して注意した、自らふん尿の処理(掃除)をした。動物が嫌がる超音波を出す忌避装置を設置した、その都度追い払った、行政機関に相談した、何もしていない、その他。

 そして、「犬猫等のふん尿被害を無くすための取組として何が必要であると思いますか」とあり、こうある。

 「飼い主への罰則強化(過料)」、地域への監視員の巡視、ペットショップの説明義務、行政による啓発活動の強化、その他。

次に、こう書いてある。

 「『京都市まちねこ活動支援事業』を御存じですか?」

 (続く)

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2015年11月25日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 八

 プロジェクトチーム2回目の会議は、平成251226日午後3時から、寺町第6会議室であった。

 内容はまず、前回同様、他都市の罰則状況をペーパーにまとめている。

 それによると、京都府城陽市では、犬の「ふん回収用具の携行とふんの回収義務付け→市長の勧告、命令→罰金(30,000円以下)

 ・京都府下ではじめての罰則付き

 ・犬のふん専用条例」を平成1710月に施行。

 京都府木津川市では、「・フン放置防止重点区域指定

・犬のふん放置禁止→市長の指導→重点区域内であれば過料(20,000円以下)

 ・ポイ捨て禁止、ふん害防止、落書き防止のセット」を平成193月に施行。

 京都府八幡市では「・犬のふん放置禁止→市長の勧告→市長の命令→公表・罰金(100,000円以下)

  ・ポイ捨て禁止、路上喫煙禁止、ふん害防止、空き地の雑草除去セット」を平成1810月施行。

 大阪府枚方市「犬のふん回収用具の携行とふんの放置禁止→市長の命令→罰金(20,000円以下)

 ・ポイ捨て禁止、ふん害防止のセット」を平成1410月に施行。

 大阪府「寝屋川市、豊中市は20,000以下の過料」。

 次に、「政令市」の「動物愛護関係」(条例名「〜市動物の愛護及び管理に関する条例」)について、こうある。

川崎市「ふん汚染の防止→市長の勧告、命令→罰金(100,000円以下)」(平成134月施行)

 横浜市「ふんによる迷惑行為・汚染の禁止→市長の勧告、命令→罰金(100,000円以下)」(平成186月施行)

 相模原市「ふん汚染の禁止→市長勧告、命令→罰金(100,000円以下)」(平成134月施行)

 名古屋市「ふん汚染の禁止→市長の命令→罰金(300,000円以下)」(平成134月施行)

 北九州市「ふん回収義務付け→市長の命令→過料(10,000円以下)」(平成217月施行)

 福岡市「ふん回収義務付け→市長の勧告、命令→罰金(100,000円以下)」(平成186゛月施行)

 次に、「政令市」の「まちの美化関係」について、こうある。

 「札幌市たばこの吸い殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例」

 「・美化推進重点区域指定

 ・犬のふん回収義務→過料(重点区域内であれば30,000円以下、その他20,000円以下)

 ・ポイ捨て防止、路上喫煙制限、ふんの散乱防止のセット」(平成178月施行)

 (続く)

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2015年11月24日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 七

 第一回目の会議では、既述のようにチームリーダー・瀧本章氏が、市長の名を出したところ、簱(はた)哲也氏(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)が、こう言った。

 「条例化を視野に入れての検討なのか?」

 すると、瀧本チームリーダーは、こう言った。

 「事の進め方としては、様々な取組を検討したうえで、条例化しないとできない取組がある場合は条例化ということになる」

 要するに、条例化を視野に入れている。

 それを聞いた簱氏は、こう言った。

 「規制という方向性のみを打ち出せば、京都市は犬猫のふん尿で汚いといったイメージが先行してしまう。前向きな、より良い社会づくりとか、ふん尿を放置できない雰囲気づくりといった取組をした方が良い」

 あたかも、その後のエサやり禁止という暗いイメージのつきまとう成り行きを見切ったかのような発言である。

 その後、他都市での取組み状況についても議論された。

 その資料には、こういう箇所がある。

 他の政令都市の罰則付き条例の制定状況は、「札幌、新潟、広島、浜松の4都市が吸い殻や空き缶等の対策を規制する条例において、犬の糞の放置に対しても罰則を科している。(中略)このうち、浜松市では氏名の公表を、他の3市では1,000円の科料を定めているが、いずれも実際に徴収等の罰則が適用されたことはない。

<大阪府泉佐野市では、路上に放置される飼い犬のふん対策費用として、飼い主から一律に徴収する法定外税『犬税』の導入に踏み切る方針を固め、今後、有識者会議での検討を経て、関係条例を制定し、平成26年度の導入を目指すとのことである。(中略)導入の背景として、同市では、今年からふんの放置に過料5千円を徴収するなど取り締まりを強化しているが、市民からふん害の苦情が数多く寄せられており、税を徴収することで見回りを行う巡視員の人件費に充てるなど、一層の対策強化が不可欠と判断したと判断したのことであり、こうした先進事例に係る調査も進める必要がある。>

 これについて、辻尚信氏(保健福祉局 保健衛生推進室生活衛生課長)は、こう質問した。

 「泉佐野市の巡視員は何名か。」

 「2人と聞いている。」と、川口伸太郎(環境政策局 循環型社会推進部まち美化推進課担当課長)は答えた。

 このように、当初から、条例化、罰則化が念頭に置かれて話が進められた。

 (続く)

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2015年11月23日

原発プロパガンダ「読売新聞」一

 筆者は、三年以上前から、原発広告のことを本にしようとして、色々調べたりしていたが、機を逸してしまい、もうやる気しない、と思いつつ、本棚に資料を入れっぱなしにしていた。それで先日、本棚を整理していると、その原発広告の資料が出てきた。

 改めて、手に取って見たが、なかなか興味深い。

 それに機を逸したと思っていたが、今年に入り、驚くべきことに原発再稼働され、今後ゾロゾロと再稼働させようと安倍自公政権・財界・原発立地は目論んでいる。

 それと、私事だが、ちょうど数週間前に、スイスの大学院に籍を置く外人から連絡があり、4年以上前に書いた筆者の原発広告の記事について、問い合わせがあった。そのため、返答したのだが、その折、改めて自分の記事を読み返して、我ながら原発広告のディープさを再確認したりもした。

 そういう伏線があったからかは、自分の深層心理まではわからないのだが、改めて、原発広告を一冊の本に残したい、と思った。一言でいうと、パッションである。

 ただ、原発広告といっても、月刊誌、週刊誌から、専門誌、地方紙、全国紙と、様々ある。全てを網羅できればベストだが、それは誰かをこき使わない限り、時間的、経済的に無理である。そこで、削ぎ落として削ぎ落として、一番知りたい広告を突き詰めたとき、一つの媒体が残った。それは「読売新聞」である。

 読売新聞は、公称部数約1000万部という世界一の部数。その影響力は大きい。たとえ同じ内容でも産経新聞とは、比較にならない。原発再稼働が進む裏には、読売新聞の音頭取りがある。部数で群を抜いているだけではなく、同紙は、現役の論説委員が写真入りで原発広告に登場して原発を礼讃したり、「フォーラム・エネルギーを考える」というNPO法人を登場させたりしている。この団体のメンバーは松田英三(読売新聞論説委員)、東嶋和子(元読売新聞記者、科学ジャーナリスト)、舛添要一(参院議員)、山谷えり子(同)、山名元(京大教授)、木場弘子(キャスター)、露木茂(東京国際大学教授、フリーアナウンサー)、進藤晶子(元TBSアナウンサー)、大山のぶ代(声優)、今井通子(登山家、医学博士)、ダニエル・カール(タレント)、ケント・ギルバート(同)、堺屋太一(評論家)などなど計169人が名を連ねている。フォーラム・エネルギーを考える、に対し筆者が突撃取材を敢行して質問をぶつけたところ、資金源は、電事連だった。

 そういうふうに思い返したのち、先日、筆者はauのニュースサイトEZニュースフラッシュ増刊号のコーナー・ウワサの現場で、隔週で企画取材執筆をしていることもあり、読売新聞の原発広告のはじまりをテーマにする企画を出し、執筆した。

 この執筆をしているとき、我ながら、ジャーナリストとして、おもしろかった。もともと、本にしようとしていたテーマだからに違いない。このテーマは必然的にメディア論も兼ねるので、広告屋や、ボランティアを手足のようにこき使って搾取するNGO、それらとタイアップする出版社(※筆者に著作権法違反容疑の不義理をしたため、すぐに直おせ!と若干キレてしまい、「訂正後、すぐに連絡します」といったきり2年以上連絡がない、という、筋を通さない出版社、編集者の名前は、忘れた)では書けないものが、自分には書けるはずであると思っている。

 そこで、下書き原稿を、この公式ブログで、本の折り返し地点乃至三分の二程度まで書いて、その後に大幅加筆修正、追加取材をして、本に残せればと思っている。そういうわけで、原発広告の始まりから、検証していく。

 そもそも、日本に原発を導入したのは、読売新聞社主だった正力松太郎といっても過言ではない。

(続く)


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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 六

 さらに、赤旗新聞には、こう書いてある。

 「 門川氏は、京都市の教育行政の最高責任者である教育長を出馬直前まで務めた公教育の責任者でした。

 この演説会で「(門川さんの)一番いいところは、(大作という)名前です」と、池田大作氏と同名であることを強調した竹内譲公明党府副代表は、門川氏が創価学会内部の教員の研修を『京都市の教師の研修に用いよということで採用された』と紹介しました。

 その後に演説に立った門川氏もこれを否定するどころか『(池田名誉会長の)完ぺきな言葉に私たちが進むべき道、しっかりと指し示していただいている』などとさらに力を込めました。

 そして、政談演説会では、こういう発言があったという。

 竹内府副代表「『門川氏は)創価学会の池田名誉会長、池田先生のですね、書かれた教育提言を…大変よく勉強されています。…創価学会が教育部というのがありまして…教育実践大会に門川さんもいつもこられてますし、じっと聞いてはるわけであります。そしてこれはすばらしいと、こういう体験に基づいた教育実践、方法、人の意見、体験を聞いて自らの、あるいは京都市のですね、この教師の研修に用いよ、ということで採用されたわけであります」

 門川氏「人間教育実践、研究大会、発表大会、毎回、国際文化会館に寄せていただき(拍手)、関西大会は奈良でも滋賀県でも大阪でもありました。皆勤賞と言われたくらい(笑い、拍手)みなさんようきてくれはるなあとお礼いうてくれはる。とんでもない、私の、そこにほんまもんの教師がある。正義感に満ちた教師がおられる。そして素晴らしい実践されている。本当に胸が熱くなる。もう目頭が潤むようなことがいっぱいありました。私はあちこちで教員研修や全国を回っていろんな話をする時にその話を誇らしげに語らしていただき…同時に公明党創立者、池田大作名誉会長のお言葉、子どもにとって最大の教育環境は教師自身である。この言葉の深みを感じました。またいま子供の学び、育ちをめぐって様々な課題があります。本当に社会一丸となって取り組んでいかねばならん。その時にまた名誉会長の社会のための教育ではなしに教育のための社会でなければならない、この完璧な言葉に私たちが進むべき道、しっかりと指し示していただいているなとそんなことを痛感いたしました…私は『潮』を愛読させていただいています。公明新聞、聖教新聞、長らく読ませていただいております(拍手)。昭和三十九年に日大講堂で公明党の結党大会があった。その時に二本の垂れ幕が下がった。…ますます公明党の存在が輝いている」

 門川大作氏の上記発言は、もはや池田教信者に等しい。池田大作に脳髄まで感化・洗脳されている市長と、池田教団コーメ―トーマッチポンプ市議――この二人が、猫エサやり禁止条例の生みの親である。

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 五

 池田教団では、自分の子どもの名前を、池田大作に命名してほしい、という者も多く、池田大作宛に手紙を送り、池田大作のスタッフが池田大作のゴーストとなり名づけるケースが多い。また、大作、の名をそのまま真似るコアな信者もいる。

 門川大作の大作は、池田大作から取ったのではないか。

 そこで門川大作氏がいつ生まれたのかみてみると、昭和25年(1950年)だった。他方、池田大作は昭和3年(1928年)。22年の開きがある。

 ただし、池田大作は早い時期に、関西地方へ行き、選挙で教団員を当選させたりして、集票マシーンとしての指揮をとっていた。それ以来のつながり、ということで、関西地方には骨の髄まで池田大作漬けの信者も多いのは事実。

 そのつながりで、大作と名付けられたののではないか。そう思い、調べたところ、池田教団HPに、池田大作がはじめて関西に第一歩を記したのは25歳のとき、とあった。ということは、すでに門川大作氏は生まれているので、名前の由来による大作つながりはないということになる。

 だが、その後に池田教団員になった可能性はある。仮にそうだとすれば、くだんのマッチポンプ公明党京都市議・吉田孝雄氏と門川大作市長は、池田教団員同士でエサやり禁止条例を画策していた線が浮上する。

 だが、門川大作市長が、教団員なのかは、公になっていない。が、少なくとも、池田教団とねんごろな間柄であることは、たしかだ。

 なぜなら200828日付の赤旗新聞には、こう書いてある。

 「京都市長選前教育長の門川氏『創価学会の教育論を市の教員研修に採用』公明幹部明かす」

 「京都市長選に立候補している門川大作氏=自民、公明、民主・社民両党府連推薦=が市教育長時代に、創価学会教育部の会合に何回も出席し、その意見を市の教員研修に採用していたことが、当事者の発言で明らかになりました。

 教育部は、創価学会文化本部に所属し、小中高校教員の学会員を統括する部門。元学会本部関係者によると「創価学会の教育理念を教育現場に普及するのが主な任務」です。教育長の立場で特定の宗教団体の正式な会議に出席し、教育行政に反映させたということは、憲法の政教分離原則にふれ、教育の公正・中立を侵害するものとして批判を浴びそうです。

 問題の発言が飛び出したのは、十七日の投票日に向けて激しくたたかわれている京都市長選挙で、門川大作陣営の政談演説会(六日、公明党担当)でのことです」

 (続く)

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2015年11月21日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 四

 何のためにプロジェクトチーム会議を実施するのか、という趣旨の発言の直後、チームリーダー・瀧本章氏(保健福祉局 保健医療・介護担当局長)は、こう発言した。

 「『まちの美化』『生活環境の保全』『人と動物との共生』等の総合的な視点から取り組まないといけないと考えている。

 また、市長は、犬猫のふん尿の臭いでの生活被害が実際にあることから、その被害の除去に向けて取り組まないといけないと考えておられる」

 つまり、「市長」である。(写真は市長HPより)


門川大作.JPG


 京都市市長は「門川大作」氏。同氏は、高校卒業後、京都市教育委員会の職員に採用され、最終的に事務方トップの教育長まで上りつめ、08年から京都市長を続けている。

 それにしても、気になるのは、「大作」という名前である。

 そもそも、くだんの公明党市議・吉田孝雄氏は、ソーカ池田教団員であることはほぼ間違いない。

 なお、やや余談だが、筆者が創価学会のことを「池田教団」と呼称するのには、理由がある。本来、「学会」とは、いうまでもなくアカデミックな会である。それなのに、ここ半世紀にわり、この国では、学会というと、創価学会を指す、と勘違いをする人がいるくらい、学会イコール創価学会、学会員イコール創価学会員という認識が蔓延している。

 だが、筆者は、不幸にしてその生い立ち、学歴から、何千人というソーカガッカイインを見聞してきた上で言うのだが、ソーカガッカイは、アカデミックとは正反対の、学問をしない世界である。それは聖教新聞を見れば一目瞭然で、一面には、北朝鮮の将軍様とみまがう池田大作の礼讃記事があり、時事ニュースは後のページに小さく載っているだけ。その他のソーカケー雑誌も、一言でいうと、池田大作、ソーカガッカイのプロパガンダである。これで世の中のことがわかるわけがないのだが、そうした機関紙や、池田大作の著者名のゴーストライター本を読むよう徹底的に教え込まれる。要するに、洗脳である。こうしてソーカガッカイにハマればハマるほど、どんどん世間知らずになっていき、次第に型どおりのソーカガッカイインになっていく。その「洗脳の完成型」ともいえるのが、池田大作のために人生を捧げようとする信者である。そうした洗脳完成系信者の口癖は、「池田センセイのために」、である。何かと言うとそれを口走る。

 こういう団体が、「学会」の名をかたるのは、学問に対する冒涜にほかならない。「かんばんに偽りあり」。ソーカ池田教、と名を変えるべきである。

 今、世界では、「イラスム国」と名乗るテロ集団が跋扈しているが、我々が「国」という名で呼ぶこと自体、連中の思うツボである、という理由で、「ISIL」と呼ぶ動きが広がっている。

 筆者が、創価学会とは言わず、「池田教団」「池田大作教」「ソーカ池田教団」「ソーカ池田教」等と言うのは、イスラム国とはいわず「ISIL」「IS」「ISIS」と言うのと一緒である。


 話を、元に戻す。

 (続く)


 ※チームリーダー瀬本は瀧本の誤りでした。訂正しお詫びします。(2015年11月23日付)

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2015年11月20日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 三

 第一回目のプロジェクトチームの会議は、平成25121116時から、本庁舎F会議室で開かれた。

 そこではまず、プロジェクトチームの主旨等の説明をした後、こういう話が出た。

 まず、しょっぱなに、簱(はた)哲也氏(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)が、こう発言した。

 「まずは、認識について共有する必要があり確認したい。そもそも、ふん害が悪化している認識はないが、いかがか」

 根源的な質問といえよう。その後、こういう発言が相次いだ。

 サブリーダー・土井直也氏(保健福祉局 衛生推進室生活衛生担当部長)

 「それほど悪化しているという認識ではない」

 簱(はた)哲也氏(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)

 「上京区選出の議員からの意見が多いように思うが、上京区ではふん害に悩まされている地域があるのか」(筆者註:くだんのマッチポンプ公明党市議・吉田孝雄氏は、上京区選出、写真は公明党HPより)


公明党HPより.jpg


 すると、サブリーダー・土井直也氏(保健福祉局 衛生推進室生活衛生担当部長)は、こうフォローした。

 「他区の選出議員からも御指摘があったことから、上京区に限った話ではない」

 すると、サブリーダー・瀬川彰氏(環境政策局 循環型社会推進部長)が、こう言った。

 「平成23年度等は上京区役所にいたが、そのような地域があった記憶はない」

 簱、瀬川両氏の発言は、犬猫のふん尿被害を執拗に議会で追及して条例をつくるよう騒いでいる吉田孝雄氏の言っているような事実はない、という意味を帯びている。重要な発言といえよう。

 さらに、簱(はた)哲也氏(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)は、こう言った。

 「何のためにプロジェクトチーム会議を実施するのか明確にしないといけないのではないか」

 このように、サブリーダーを含めた面々が、このプロジェクトチームの存在自体に、はじめから疑問を呈していた。

 筆者は、京都市のエサやり禁止条例は、「議員の要望で市上層部からのトップダウンで決まった。当初からエサを与えることを止めさせるのが目的だった」という情報を、京都職員筋から得ている、というのは既に何度も述べてきたが、この冒頭の議事録は、そのことを想起させる。

 つまり、「議員の要望」とは、くだんのマップポンプ公明党市議・吉田孝雄氏を思い起こす。

 では、「市上層部」とは誰か?議事録を見る限り、プロジェクトチームのメンバーより「さらに上」であることは想像に難くない。

 しかも議事録では、その直後、「さらに上」の正体を示すかのように、プロジェクトリーダーが、こういう発言をした。

 (続く)

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2015年11月19日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二

 公明党市議の吉田孝雄氏の執拗な発言を契機にできた同連絡会議を発展解消する形で、「犬猫等ふん尿被害対策検討プロジェクトチーム」(以下、「プロジェクトチーム」)が同年12月に結成された。

 チームリーダー・瀧本章(保健福祉局 保健医療・介護担当局長)

 サブリーダー・瀬川彰(環境政策局 循環型社会推進部長)

 サブリーダー・石田信幸(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)

  サブリーダー・土井直也(保健福祉局 衛生推進室生活衛生担当部長)

 チーム員・川口伸太郎(環境政策局 循環型社会推進部まち美化推進課担当課長)

 チーム員・岡田博史(行財政局 総務部法制課長)

 チーム員・簱哲也(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)

 チーム員・木咲圭二(産業観光局 農林振興室林業振興課鳥 獣対策担当課長)

 チーム員・杉浦晋也(保健福祉局 保健衛生推進室保健医療課長)

 チーム員・太田眞一(保健福祉局 保健衛生推進室保健医療課 健康危機対策担当課長)

 チーム員・辻尚信(保健福祉局 保健衛生推進室生活衛生課長)

 チーム員・岩田恒幸(保健福祉局 家庭動物相談所長)

 チーム員・谷口一朗(建設局 土木管理部調整管理課長)

 チーム員・和田長利(建設局 水と緑環境部緑政課公園管理担当課長)

 チーム員・仲俊典(伏見保健所保健部(伏見保健センター)衛生課長)

 上記15名が結成時のメンバーであることは既に述べた。

 なお、サブリーダー以下14名は、「モラル向上対策部会」「発生ふん害対策部会」のいずれかに入り(一部重複の者も有り)、同プロジェクトチームと並行して部会を開催することとなった。(写真は部会の名簿)

  

部会.jpg


 部会の役割は、「モラル向上対策部会」が、「ふん害の『モラル向上対策』として、効果的な普及啓発や指導、あるいは飼い主に何らかの義務を課すことを含めて、ペットの飼い主のマナー向上策を検討する」というもの。

 「発生ふん害対策部会」は、「『発生したふん害の対策』として、ペット以外の動物を含めて、公共空間で発生したふん害への速やかな清掃や、被害の繰り返しを防ぐための監視体制、地域との連携のあり方、飼い主に対する対応等を検討していく」というもの。

 そして「プロジェクトチーム」の役割は、両部会の検討結果を踏まえた上で、「犬猫等のふん尿被害に係る苦情の分析や飼い主の意識調査、さらには『まちの美化推進条例』をはじめ、ふん尿被害対策に関係する既存条例の在り方の検討等を通じて、課題の抽出を行い、また、他都市の先進事例等の調査を実施し、実効性のある対策の検討を進めてい」き、「条例で規定すべきものを検討」するというもの。

 (続く)


 ※チームリーダー瀬本は瀧本の誤りでした。訂正しお詫びします。(2015年11月23日付)

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2015年11月18日

カモの頭に刺さった矢…相次ぐ野鳥虐待の現実

 平成二十七年十一月二日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「カモの頭に刺さった矢…相次ぐ野鳥虐待の現実」


 を企画、取材、執筆しました。



111日付の日本経済新聞朝刊に「矢刺さったカモ 埼玉の公園」という記事がある。それによると埼玉県入間市の「彩の森入間公園」で10月下旬、頭に矢が刺さったカモが見つかっていたことが31日、公園の管理事務所への取材で判明したという。矢は吹き矢のようなもの。

 つい先月29日にも兵庫県伊丹市の昆陽池公園の池で、長さ約10センチの吹き矢が左目付近から貫通して刺さった雌のオナガガモが捕獲されている。(同紙)

 それだけではない。今年3月には埼玉県川島町の越辺川の河川敷で、ボーガンの矢(約53cm)が左胸から右脚にかけて貫通したコハクチョウが見つかり、病院で手術を受けたが2日後に死んだ。(同紙)

 今年6月には胴体に矢のようなものが貫通しているシラサギが大分市郊外で見つかっている。(朝日新聞より)

136月には姫路市飾磨区妻鹿の市営住宅で、首付近に矢のようなものが刺さったハトが発見されている。(同紙)

 その前月には、大阪市旭区太子橋3丁目のマンションで、長さ14.5cmの竹串が首を貫通しているハトが見つかった。(同紙)

063月には東京・上野公園の不忍池で、頭部などに矢が刺さったカモが3羽見つかった。(読売新聞より)

00123日には福島市吉倉の馬川で、産まれたばかりの子カモの、頭から尾にかけて矢が刺さっていたのが発見された。(同紙)

 同月6日には福島市大森の大森川で、矢が刺さったカモが浮いているのを発見され病院に運ばれた。矢は左肩から首を貫通しており、生きているのが不思議なほどの状態という。(毎日新聞より)

 無論、矢だけではない。

 今年101日には千葉県市川市南八幡5丁目の路上で、体長約23センチの子ガモ1羽が、ハサミのようなもので首を切られて死んでいたのを発見された。前日には船橋市金杉台の団地の草むらで首のない鳥1羽の死骸が発見されている。(朝日新聞)

085月には茨城県水戸市の千波湖で、ハクチョウとコクチョウ計8羽を棒で殴り殺したとして、市内の男子中学生(15)を書類送検、友人の男子中学生(13)を児童相談所に通告した。(日本経済新聞)

 ほかにも、野鳥を農薬や殺虫剤で毒殺したり銃殺する事件が全国各地で起きている。

 こうした鳥類の虐殺事件では通常、「鳥獣保護法違反」の容疑で捜査、逮捕、起訴、有罪の流れとなるが、鳥の命は、軽く扱われているのが実態である。例えば0409月には、千葉県成東町でサギ類の集団繁殖地の竹林にショベルカーで乗り入れて1400平方mを破壊し、サギ199羽を殺したとして鳥獣保護法違反容疑で、同町の自営業の男性(53)が書類送検された。しかし、千葉地検八日市場支部は「男性が反省していることや再犯の可能性が低いことを考慮して不起訴」としていたりする。(読売新聞)

 そもそも動物愛護法には、殺傷罪は「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」、虐待罪は「百万円以下の罰金」を課しているが、対象の動物に野鳥は含まれていない。

 そのため野鳥は「鳥獣保護法」となるが、同法には殺傷や虐待の記載はなく、法の目的に明記れている「生物の多様性の確保(生態系の保護」という観点と、条文で「鳥獣の捕獲等」の「許可」は環境大臣又は都道府県知事がすることになっているから、殺傷、虐待などの「捕獲等」の行為を許可なく行なっている、というのが違法の根拠になっている。罰則は最も重いもので「一年以下の懲役または百万円以下の罰金」。これは動物愛護法の2分の1である。(参考文献:九州国際大学社会文化研究所・神山智美氏「罰則から見る野生動物の位置づけ : 動物法制における野生動物の法的価値を考える」))

 法改正の必要があるのではないか?また、一市民にできることは、野鳥を虐殺する輩がいることを認知し、不審者が野鳥に近付くときは見守ることではないだろうか。市民の「目」があれば、犯罪行為は今よりも格段にしずらくなるに違いない。(佐々木奎一)

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2015年11月17日

ブラック企業「市場大路」記事削除の真相 七


 さらに、こう書いてある。

 「○該当記事URL

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/06e4389317b8e655df35aa7dbf1403d1

 ○該当記事投稿日時:

20140515

 ○該当記事タイトル:

 「深夜3時まで「尻軽女!!」と罵倒した社長のブラック体質」

 ○該当箇所

 (先日お送りした平成27724日付け「侵害情報の通知書送信防止措置に関する照会書」内「掲載されている情報」にある「別紙」における「2 掲載された情報」欄内にて摘示された箇所)


 つきましては、上記をご確認の上、早急に該当箇所の削除又は修正を行っていただきますようお願い致します。


 早急にご対応いただけない場合には、該当箇所の掲載されたブログ記事の配信を停止させていただきますので予めご了承いただきますようお願い致します。


 また、やむを得ず配信停止とさせていただいた後、該当箇所を修正された場合は、再度、表示設定に変更致しますので、本メールの本文を削除せず、返信にて修正された旨明記の上、ご連絡くださいますようお願い申し上げます。


 以上、よろしくお願いいたします。


goo事務局」


 奇しくも、この通知を受けた日は、現在の公式ブログに移った日だった。なので、もしも削除されたら、この新しいブログに載せよう、と考えていた。

 その後、しばらく、gooブログの市場大路の記事は、削除されずに残っていた。無理筋なので取り下げたのだろうか、と思ったりもした。

 だが、それからしばらくすると、削除されていた。

 (続く)

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2015年11月16日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで エサやり禁止プロジェクトチーム 一

 既述のように、くだんのマッチポンプ公明党京都市議・吉田孝雄氏の猛烈なプッシュにより、「犬猫ふん尿被害対策連絡会議」を設置し、13510日、同年612日に計2回の会議を開いた。

 筆者が入手した計約500枚に上る、エサやり禁止条例を策定するまでの京都市の会議録の文書によると、同会議の設置の趣旨・目的は、こう書いてある。

 「○ 公共空間における犬、猫等のふん尿は、まちの美観を損なうだけでなく、臭いなどにより地域住民や公園利用者等に不快感を与え、さらには、地域の衛生環境の悪化にもつながりかねない重大な問題である。

 ○ このため、関係局の連携の下、犬、猫等によるふん尿被害の解決を目指し、ふん尿被害に係る実態把握、課題の抽出等、必要な取組を進め、動物愛護やまちの美化、地域づくり等の様々な観点から、実効性の高い対策について総合的に検討を進めていく」

 そして、「取組経過」として、こう書いてある。

 「平成252月市長会総括において吉田議員(公明党)から『犬猫の糞尿対策については、ふん害の実態は把握等を進め、局横断的な取組を行うべきである。』との質問があった。

 ○ これを受け、関係部署が犬猫のふん尿被害対策について相互に連携し、情報共有を行うことで実態把握を進め、総合的かつ効果的な対策の検討へとつなげていくため、今年度から『犬猫ふん尿被害対策庁内連絡会議』を設置したものである。

 ○ 連絡会議では、環境政策局まち美化推進課、文化市民局地域自治推進室(地域づくり推進担当)、建設局調整管理課、河川整備課、緑政課、保健福祉局保健医療課(事務局)、家庭動物相談所の実務担当者が参加し、実態把握や対策の検討を行ってきたところである。

 ○ これまでに2回連絡会議を開催したところであるが、まずは行政が飼い主等への啓発について主導的な役割を果たしつつも、取組の方向性としては、様々な住民団体等と連携し、地域における主体的かつ継続的な活動へとつなげていき、行政がそれらをサポートする仕組みづくりが必要ではないか、といった意見があがった。

 ○ そのためには、飼い主に対する適正飼養という動物愛護の観点のみならず、動物を飼っていない人に対しても、まちの美化、地域づくり等を含めた幅広い観点から普及啓発を図っていき、市民ぐるみで意識を高めることが必要ではないか、といった意見があり、それらを具体的にどういった対策につなげていくか検討を進めていたところである」

 そして、2回の会議のあとの、「平成259月市会市長総括において中村議員(自民 ※筆者註:既述のように公明党の吉田孝雄氏らと共に、2013728日から85日にかけて海外視察に出かけた中村三之助市議と見られる)から『犬のふんの問題については、まずは検証を行い、その課題をクリアするために、この条例を所管する環境政策局を中心に関係局と連携し、条例を見直すべきか、独立した条例にすべきかを考えるべきである。」との質問があった」という。

 (続く)

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2015年11月15日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 八十

 ほかには、こういう苦情があった。

 平成25102417時、「■■氏が野良猫に餌をやっている。(猫は4匹ほど見かける)」「■■氏宅の裏側の駐車場を借りており、野良猫により車が傷付けられて困っている」

 これに対し、北保健センター衛生課の渡邊、土佐両係員は、同年11610時、飼い主宅を訪問し、以下のことを確認した。

 「6匹猫を飼っている」「室内飼育しているが、屋外に出ていくこともある」「野良猫には餌を与えていない」。

 そこで両役人は、以下の指導をした。

 「飼い猫については室内飼育を徹底する」「野良猫が侵入しないよう、扉を閉める」

 上記内容を苦情者に電話で伝えたところ、納得した。

 また、こういうクレームもあった。

 「平成254121320分頃、■■氏から北保健センター衛生課に『北区内でガレージを借りているが、付近に野良猫がたくさんいる。猫が車の上に乗って、爪跡を残したり、エンジン内に入り込みエンジンがかかりにくくなるなど、車の修繕費用や猫対策(音波の機械)にお金がかかり、困っている。猫に餌をやっている人がいるので、やめるよう注意してほしい。』と届出があった。」

 すると、このクレーマーはこう質問した。

 @京都市は猫を駆除しないのか。

 A猫を駆除しないのであれば、市は猫を放置していることになり、車の費用を支払うべきである。

 B今までかかった費用を餌やりをしている人に支払ってほしいと思っている。直接、■■に言いに行くが、暴力事件等に発展したらどうするのか。

 C保健センターが指導に行く際、一緒に行きたい。横で被害の実情を話したい。」

 これに対し、役人の野村氏は、こう答えた。 

「@動物愛護の観点から、駆除は行っていない。

 A放置しているのではない。猫が適正に飼われ、被害等がないよう飼い主に指導に行く。まちねこ活動について。

 B民間同士で話し合って解決することである。金銭のやりとりについて、行政は関与しない。

 C行政のみで指導に行く。」

 この、猫が車の上に乗って傷付ける、という苦情は、全国でみられるポピュラーな現象である。

 ではどうすればよいか。

 「地域猫」の「創始者」である横浜市保健所職員で獣医師の黒澤泰氏は、レジャーシートや車用のシートで覆って防御するよう、言っている。

 もちろん、そうはいっても、いちいち車をシートでカバーするのは、面倒くさいのは事実。

 だが、車やバイクを猫に傷付けられるのが嫌なら、シートで防御していくしかない。

 それが「猫との共生」というものである。

 (続く)


 関連記事:「地域猫の創始者」黒澤泰氏が語る「ノラ猫と上手につきあう方法」十五 猫が車に上がるときの防御策

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/a477ebafce6335f22ba94689fba52c02

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2015年11月14日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十九

 また、前述のケースと同様なのか定かではないが、エサやりが警察に連絡しているケースもある。

 「平成2361316時、北警察の相談係■■氏から猫の苦情についての相談があった。(■■さんから被害届がでている)

 なお、本苦情はいままで何度も相談を受けており、経緯は以下に示す」とある。

 それによると、平成22928日に、■■議員を通して北警察に、野良猫が増えて困っているという趣旨の相談が入るようにりなり、近隣住民にアパートの女性などが「異常なぐらい怒ってくる」といったトラブルなどがあったという。

 そして平成236159時半には、北警察の相談係■■などが、猫の被害に困っているという住民3人から話を聞いた。内容は以下の通り。

 「■■さんと■■さん(■■の土地の所有者と店長)は、猫に店(自宅兼用)のトタンを壊されたり、フン等の臭いで迷惑している。また、壊されたトタンは■■さんに修理してもらうという約束をしたが、未だに何もしてもらってない。

 ■■さん、■■さんもフン等で迷惑している。

 また、■■さんの家に猫の踏み台となるようなもの(犬小屋やゴミ箱等)が多数あり、これを踏み台にして塀を超えてやってきているので、これらのものも撤去してほしい」

 これに対し、警察側は、こういう対応をした。

 「■■さんの話を聴いた上で、室内飼いの猫については外に一切出さない。自分の管理できない猫についてはエサをやらない等の話をし、北保健センターで範囲のことはする。ただし、強制力はないので、実際に改善するかは不明であるということも伝えた」

 「平成236169時半、■■さんとともに■■さん宅へ訪問した。

 この時点で、■■さんの家(室内での飼育分)は8頭いて、近所にも56頭いる。室内で飼っている猫は一切外には出していない。

 近所でうろついている猫には、捕まえて去勢する目的でエサをあげているが、なかなか捕まらない。

 また、隣の■■さんから嫌がらせ等を受けているということで、警察に相談している(被害届を提出)」。

 これに対し、役人側は、「室内で飼っている猫は引き続き外に出さないこと」「外の猫については、捕獲のためのエサやりでも近所のトラブルになるので、今後一切エサは与えないこと」などと言った。

 そして、役人サイドは、「同日11時、■■さん宅へ訪問し、今回の件について報告した。

 ■■さんは今後様子を見て、改善されないならば民事訴訟を考えるとのこと。また、■■さんは今回の対応には納得している。」

 ほかにも後述のように、猫エサやり禁止条例案の作成作業を進めるなかで、警察とも連携を密にとったりもしている。

 (続く)

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2015年11月13日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十八

 なお、京都市では、佐川さんの町内会以外にも、エサやりに警察が関わってくるケースがある。

 「議員対応メモ」と題する文書がある。そこにはこう書いてある。

 「1 日時 平成231019日(水)午後4時〜45分」

 「2 対応 北区保健部衛生課長 小森(議員からの電話)」

 「3 相手方 ■■議員 ■■ ■■区」

 「4 内容

 (1)野良猫の相談

 ■■ ■■ ■■)氏の庭にある小屋に野良猫が子供を産んだ。誰が餌をやっているのかなどはわからない。■■氏に会って相談に乗ってやって欲しい。

 それから、■■さんの野良猫の件※はどうなっていますか?」

 「※■■さんの件:■■の■■氏が隣家の■■氏が行う野良猫のえさやり等について、長年にわたり■■氏と軋轢があり、時に北警察も関係した暴力事件も生じているが、未だ解決に至っていない。昨夏、この件で■■議員が■■氏から相談を受け、北保健センターや保健福祉局に相談された経緯があり今回その後の状況を聞かれた」

 「(2) 返答内容

 猫については、動物愛護法があり対応が限られていますので■■の件については、■■氏と連絡をとり、状況を聞いてから対応します。

 ■■さんの件については、警察にも電話され、先日警察と保健センターの共同で現場調査をしています。餌をやる■■さんとお互い民事訴訟をしあうような方向の発言もあり、対応に苦慮しています。

 (3) その他

 ■■の件については、対応後の内容を■■議員に報告する。」

 「5 経過

 (1) 1021日(金)多田係長と寺石係員が現場調査。■■氏から

 @ 家周辺でネコがうろつき、糞や吐物で困っている。

 A 小屋で生まれた親猫1頭と子猫4頭がいる。

 などの内容を聞く。

 @ 自活不能猫の場合は保健センターで引き取ると説明。今後生まれた場合はセンターへ持ってきてもらえば引き取る。

 A 今回も保護しようとしたが、隙間に逃げて出来なかった。

 上記対応で■■氏は納得された。

 (2) 1024日(月)11時と12

11時に■■議員事務所に連絡。議員は不在であったが、事務員に上記の経過について報告を行い議員に伝えていただくようお願いした。

12時。■■議員から連絡あり。上記の経過について報告したところ了解され、『また、■■さんに会ったときにも聞いておきます。』とのことだった。」

 (続く)

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2015年11月12日

他人事ではない『鬼怒川決壊』の惨禍

 平成二十七年十月二十六日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「他人事ではない『鬼怒川決壊』の惨禍」


 を企画、取材、執筆しました。



24日付の朝日新聞朝刊に「私の視点 洪水被害 可能な対策の積み上げを 今本博健」という記事がある。これは京都大学名誉教授(河川工学)で元京都大防災研究所所長の今本博健氏の署名記事。

 それによると、栃木、茨城、宮城を襲い、死者7人、避難者数5600人超、床上浸水被害約4700棟もの被害を出した9月の「鬼怒川の堤防決壊」について、「ダムによる治水には限界がある(略)鬼怒川の上流には四つのダムがある。今回、そこで水をためることでダムより約15キロ下流では、水位を27メートル低下させた。だが、さらに約100キロ下流の破堤地点では03メートルしか下げられず、越水や破堤を防ぐことはできなかった」、堤防についても「高さと幅の不足が原因で、破堤を防げなかった」と述べている。

 ちなみに、この今本氏の見解は、1019日付のジャパンタイムズにより詳しく載っている(月刊誌「選択」の記事を翻訳掲載したもの)。同記事では、冒頭、有史以前から、日本の川は人々の生活を豊かにしたきたが、同時に、洪水のうなりが人々を襲ってきた。それは、川の名前に反映されている。例えば「鬼怒川」は文字通り、鬼が怒る川を意味し、首都圏を流れる「荒川」は荒れ狂う川を意味する。日本人はこれらの川への畏怖を忘れはじめている、といい、こうある。

 「洪水にはダムを建設することが最優先という国交省の連綿と続く政策の矛盾が頂点に達し、堤防決壊に至りました」「雨量がダムのキャパシティーを上回るとき、どんなダムでも対処不能です」と今本氏はいう。

 そして、「国交省が予算配分を変えれば、鬼怒川の決壊はおそらく避けることができたでしょう。少なくとも、決壊の被害を減らすことはできました」という。

 国交省の洪水対策の予算は、年間8000億円超。そのうち、2000億円は、役に立たないダムに使われている。例えば、群馬県の八ッ場ダムだけでも、総額1兆円もかかる。また、国交省は「スーパー堤防」事業に着手したが、これは途方もなくお金がかかる。例えば、東京都江戸川区の120メートルの長さをスーパー堤防化するだけで、47億円もかかる。隣接地域を含めた事業費は2兆円超。しかも完成まで200年もかかる。

 国家財政危機を考えると、スーパー堤防は「絵空事」。ダムとスーパー堤防という国の政策は完全に行き詰っている。

 では、どうすればよいか。今本氏は「莫大なお金をつぎこまなくても、決壊を防ぐ方法があります」という。

 それは、鋼矢板を土堤で補強する「鋼矢板」工法。鋼矢板の工費は、1メートルにつき100万円。スーパー堤防は1メートルにつき3000万円。

 国交省のインサイダー(匿名の内部告発者)によると、国交省が鋼矢板にしない理由は2つ。一つは、ダムをつくり続けてきた責任を追求されるのを恐れていること。もう一つは、スーパー堤防が不要になってしまうため。つまり、国交省が自らの保身と利権を守ることに躍起になったことが、鬼怒川決壊という惨禍を招いた、と告発する。

 さらに今本氏は、鬼怒川決壊で浸水したエリアは地質学的に谷底低地なので、そこに家を建てたことはビックミステイクです、と指摘。昔の日本人は、このエリアを農地として使っていました。農民は、洪水に備えて、垣根をつくり、納屋にはボートを置いていました。しかし、現代の居住者は、なんの備えもしていません。似たような状況は、全国各地にあります。例えば、昨年8月、広島市で地滑りが起き、死者74人、重軽傷者44人という、記録的な災害が起きましたが、昔はそこは人々が住むのを避けていたエリアでした、と指摘している。

 自然災害を畏怖した先人の知恵を忘れ、ダムとスーパー堤防に依存するこの国の形を変えない限り、同様の被害は続いてしまう、という今本氏の警鐘を、私たち日本人は、このまま無視してよいのだろうか?(佐々木奎一)
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2015年11月11日

クロ猫 二

 栄区役所に電話して、「地域猫について聞きたいことがあるのですが」というと、生活衛生課に回された。電話に出た職員に、「区役所の裏のいたち川沿いで、黒いコロコロと太った野良猫がいるのですが、避妊去勢手術をしているのか知りたいのですが、そちらで把握してませんか?」と聞いた。それと、「栄区では野良猫の不妊去勢手術をすると、費用は5千円で済むと聞いたのですが、本当ですか?」と聞いてみた。

 すると、職員は、野良猫の手術の有無については、担当の職員が今日不在なので、明日連絡させます」と言った。

 手術代については、「横浜市では5千円助成しています。詳しくは横浜市のホームページにのっています」というので、筆者は「いや横浜市の助成とは別に、栄区独自で、費用が5千円で済む、と聞いたのですが」と言った。

 すると職員は、「民間でオス3千円、メス5千円でやっているところならあります。『栄区動物と仲良く暮らせる街づくり協議会』という団体がやっています」という。

 「その協議会の方とコンタクトをとりたいので連絡先を教えていただけますか?」というと、「それも含め、担当の者から連絡させます」という。

 そして、翌々日、担当者のワダさんという女性から連絡があった。

 クロ猫の手術の有無については、いたち側沿いの猫は、毎朝、集まって世話をしているご婦人たちがいます。その人たちは、川沿いの野良猫たちの手術をしています、という。

 「そうなんですね。その団体とコンタクトをとりたいのですが」と聞くと、ワダさんは、こちらは接点はないんです、という。

 「え、そうなんですか?」と聞き返したが、はい。そうなんです、という。

 「では、どうすればコンタクトとれますか?」と聞くと、ワダさんは、朝夕の時間帯に、ご婦人たちがエサを与えています、朝8時〜8時半の間と、4時半から5時半くらいの間に、川沿いで、猫5匹くらいを見守りながら、話しています、という。さらに、何箇所か移動して餌を与えています、後片付けもしています、ほぼ毎日、雨でも台風でも世話しています、他にも、川の上流にもエサをあげている人がいます、クロ猫なら、和田病院の裏に世話をしている人がいるので、その猫かもしれません、という。

 「あの、コンタクトとりたいのですが、難しいですか?」と再度聞いたみたが、こちらは接点がないんです、というので、「わかりました。では、今度、行ってみます」と、答えた。

 かたくなに接点がない、と言うは、おそらく、猫のエサやりについては、心地よく思っていない人もいるので、むやみにボランティアの人たちと接触させないよう、守っているのだろう。それにしても、ここの役人がしっかり地域猫活動の状況を把握しているのを知り、安心した。

 (続く)

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2015年11月10日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十七

 「ネオジム磁石は、どういった使われ方をするんですか?」と筆者は聞いた。

 「エネルギーの消費をするのは、ほとんどがモーターなんです。車のモーターとかね。

 電気を使っているものは、電灯とかキッチンとか、そういうのですけど、実際には一番よく使っているのは、モーター、動くもの。例えば、自動車には、色々なモーターが付いていますね。一番大事なのは、ハイブリッドカーとか、電気自動車とか、そうした車のモーターは、ネオジム磁石がなければできないんですね。ものすごい量を使っているんです。

 それから携帯電話も、振動しているところ、あれもちっちゃいモーターですけれども、ブルルッと震えたらネオジム磁石なんですね。

 振動モーターからハイブリッドカーのモーターまで、各家庭には百個くらいあるんですよ。モーターが。それにネオジム磁石を使っているんですね。

 そのモーターの電気の消費量を落とす役をするんです。消費している電力は、50%位はモーターで消費しているんです。今、日本の発電所で発電されているエネルギーの50数%は、モーターで消費されています。そのモーターの消費電力を落とす、あるいは節約する役をするのがネオジム磁石ですね。それを開発したんですね。

 だから、みんなにものすごく役に立っているんです。みなさんも、みんなどこかで、たとえばカメラのなかにビューと動くようなところがあったら、それ全部ネオジム磁石。モーターですね。もう、いっぱい色々なところにありますね」

 この話を聞いている筆者の持っているデジタルカメラや携帯電話、録音機にも、眞人さんの発明したネオジム磁石が使われていることになる。日本中のみならず、世界中の人々が、眞人さんの発明の恩恵にあずかっている、そう言っても過言ではない。筆者は、その途方もないキャリアに、びっくりしてしまった。

 その後、久子さんが、ニュートンを持ってきてくれた。それは、眞人さんへのインタビュー記事で、記事のリードに、ノーベル賞候補という趣旨のことが書いてあった。眞人さんの話を聞いたあとだっので、納得できた。

 「いつかノーベル賞、とるかもしれないですね」と筆者が話していると、久子さんは、教科書を持ってきた。そこには眞人さんの顔写真入りで業績を紹介したページがあった。たしかに教科書に載るレベルの業績だと筆者は思った。

 もちろん、眞人さんのようなノーベル賞候補の人はほかにもいることだろう。そういう人たちのなかから、たまたま毎年何人かが選ばれるのがノーベル賞というものなのだろう。

 そういえば、鎌倉の文士・川端康成が、そのようなことを言っていたのを思い出した。川端康成がノーベル文学賞を受賞したとき、川端康成を慕っていた三島由紀夫が、鎌倉の自宅までやってきて座談をしている音源を、NHKラジオが前に放送していた。そこで川端康成は、ノーベル文学賞をとったのは、たまたま自分がとっただけ、という意味のことを、ぶっきらぼうに、投げやりに言っていた。受章したことを、道端に落ちていたのをたまたま拾った人がいただけ、という意味合いのたとえをたしかしており、謙遜している口調ではなかった。鎌倉の文士連だけでも、すごい文筆家はほかにもゴロゴロいるのだから、たまたまとっただけ、というのは本心だったことだろう。目の前にいる人物も然り。

 要するに、ノーベル賞候補と言われている時点で、すでにノーベル賞受賞と同じくらいすごいことだと筆者は思う。培った業績は不変である。

 まさか野良猫の取材をしていて、そのような最高峰の科学者に会うことになるとは、思ってもみなかった。

 (続く)

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2015年11月09日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十六

 さらに、眞人さんは、こう語る。

 「だから、死刑廃止も、そういう考えがあるわけですよ。社会全体として、命を大事にする、というのがバックボーンにある。

 それを私は、科学者として色々な活動はしておりますけれども、政治的に民主主義の直接の政治活動はしないですけど、自分の生活のなかで、命を大事にするという気持ちを、自分で実践していきたい、というのが、私の今やっている理由かな、と思っています」

 そこで筆者は、「最初、はじめたときは、散歩していて、猫がいて、可哀想だな、と思ってエサをあげたのがはじまりですか?」と聞いた。

 眞人さんは、こう答えた。

 「そうです、そうです。それがだんだんと、色々な抵抗、文句を言われたりするたびに、だんだんと、そういう、やるぞ、という気持ちになってきましたね。

 命を大事する、ということをみんなのなかに広めないといけないんですよ、と」

 「京都市の条例はそれに逆行しているということですか?」と聞くと、眞人さんは、こう答えた。

 「ええ、もう全然、だめですよ。いまの大きな社会の、世界の流れに反していると思いますね」

 その後、佐川さん宅の庭に招かれ、イスに座り、しばし雑談した。

 「ニュートンに載っている、と聞いたのですが、科学者というと、どちらに所属されているのですか?」と、聞くと、「ニュートン見ました?」と眞人さんは言う。

 「すみません。まだ読めていないんです」というと、眞人さんはこう語った。

 「わたしは、会社をつくっているんですね。インターメタリックスという会社を。そこで、大学とか色々な非常勤講師とかは何十回もやりましたけど、大学に勤めたことはないんですね。でも大学の人たちとすごく協力してずっとやってますよ。昨日もたくさんの人が来ていたんですけどね。政府から予算もらって研究するのをやっています。一緒にね。インターメタリックスという会社は、一番強い磁石の開発をする会社です」

 そして、こう語った。

 「『ネオジム磁石』という、世界で一番強い磁石を発明したのが私なんですね。33年前、1982年に世界一強い磁石を発明したんですね。住友特殊金属というところにいた時に発明したんです。

 それから33年になりますが、ネオジム磁石を超えるものは、今も出ていないんです。ずっと世界トップ。これからも出そうもないくらいずっと(世界トップが)続きそうなんですね」

 (続く)

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2015年11月08日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十五

 さらに、おじいさんは、こう言う。

 「そうして、『周りの人と仲良くできるようになった』、言うてね。そうしてがんばってねんねん、言うてた」

 そして、佐川夫妻に対し、「金銭的にも時間的にも全くないから、応援はできても、なんにも助けはできへんので。だからせめてお礼だけは言って」おきたくて、と言う。

 「いやいや、ありがとうございます。そういう方がいらっしゃるのは心強いんですよ」と眞人さんは応える。

 さらに、おじいさんはこう語る。

 「すごいと思いますよ。こんなエサやるにしても、毎日、全部合わせて十何匹いるでしょ。なんせここ、ものすごい多いんですよ。せやけど、ここ散歩してると、みんな猫が優雅にしてるんですよ。ここの猫。最初、不思議やったん。こんな山の野良で、なんでこんなに優雅にしてんのかなと思って。ふっくらしてるし。ほんなら、こうやって毎朝来てる人がいて、わーすごいな、と思って」

 その後、筆者は、「苦情言っている人は見たことありますか?」と、聞いてみた。

 おじいさんは、こう言う。「このあいだね、(苦情を)言うてはるときに、お会いしたことあります。その方にちょっと話をしたら、最後、まあ、ちょっと顔をね、穏やかにはなってくれはったけどね。もちろん、私の手前、にこやかにしやはっただけかもしれませんけどね」

 その後、「いつも大丈夫かな、思いながら通ってます。じゃあ失礼します」、そう言って、おじいさんは再び歩きはじめた。

 その後、写真を何枚か撮った後、佐川夫妻と筆者は、来た道を引き返した。歩きながら、眞人さんは、こう語った。

 「今日来られるということで、なんで私、こうやってずっとエサをやり続けているのかなあ、というのを考えていたんですけども、私、今の世界の、大きな流れとして、バックボーンになっている考え方というのは、民主主義を追求するというのと、生命を大事にする、ということだと思っているんです。

 命を大事にする。それによって今、殺人がものすごく減ってきているわけですよ。昔は、中世の時代には、10万人あたり100人も1000人も殺されていたそうですね。それが今はどんどん下がって10万人あたり1人も殺されていないんですね。自殺の方のほうがずっと多いんですよね。

 『命を大事する』という考えた方がバックボーンにあると思うんです。交通事故も減ったし、色々なことで、それが一番大事なこととしてやっている。

 ただ、イスラミック・ステートとか、ときどきそういう犯罪の報道とか戦争とかあるから、すごい死んでいる人が多い、殺されている人が多い、と思うかもしれないけど、昔からみたらものすごく減っているそうなんです」

 (続く)

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2015年11月07日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十四

 約10分後について、眞人さんはこう語る。

 「ここの入り口付近に、向こうからパトカーが2台も来ました。びっくりしましたね。2台も」

 「何人くらい警官きたんですか?」

 「68人くらい。びっくりしました。警官に囲まれて。警官は、『エサをやらないでください』と言うんですよね。そのとき何も知らなかったし、警察がやるな、と言うんだったら、これはやっぱり違法なんかな、と思いましたよね。そのときは何も勉強なんかしていなかったので。違法なのかなと思って、『あ、そうですか、ではそうします、でも、ちょっと家内とも相談します』とは言い残したんですけどね。

 この猫たちどうするかな、と思って。

 その後、色々調べたり、植田弁護士に相談したりして、違法ではないので続けよう、と」

 このように語った直後、通ってきたエサやりルートとは反対方向から、一人のおじいさんが歩いて来た。目がくりくりとして、性格のよさそうな方である。

 「味方してくださっている方です」、でも残念なことに、ここの住民ではないんです、と久子さんはいう。

 そして、今日はジャーナリストの方が取材に来てるんです、と久子さんは言った。それを聞いたおじいさんは、心なしか、目が少しうるんだように見えた。佐川夫妻が多くの住民からバッシングを受けながら猫のために活動しているのをみてきた者として、エサやり側の観点で取材にやってきた人間がいるのを知り、心から喜んでいるように筆者には見えた。

 すると、おじいさんは、にわかにこう語り始めた。

 「私の友達も、何人か猫好きがおって、そのうちの一人、こないだも話聞いたら、自分のとこで野良が5匹。で、もともと飼っていたのは2匹なんやって。5匹なったん(野良猫が)。まだなんぼでも来るんやって。せいやから、自分には月に一ぺんしか(不妊去勢手術は経済的に)できへんことやけども、捕まえて、一か月に一ぺん、そういう筋の御医者さんが来てくれはるんやって。そうすると安いんやて。去年12匹、去勢手術したって。そうしてる、いうことを、反対する住民みんなに話して、『嫌いな人はほな、何してくれてはるんですか?』言うて、話し合ったら、『何もしてへん』って。『私は一生懸命そうしてんねん』言うたら、そしたら理解してくれはって」

 眞人さんは「ああ、そうですか。そこはいいところですよ。それを言っても理解しない(苦笑)」という。

 (続く)

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2015年11月06日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十三

 佐川眞人さんとお会いした筆者は、遅れたことを謝り、挨拶した。

 それからさらに一本道を2分ほど歩き、2つ目のエサやり場に着いた。1つ目のエサやり場から4分ほど歩いた場所で、道路横に約30台分の駐車場がある。この駐車場のフェンスの外側周辺と、対面の道路わきの竹林が、エサやりポイントという。

 「おいで、おいで」と眞人さんが呼ぶと、にゃーん、と鳴いて寄ってきた。よく見たら一つ目のエサやり場にいた猫と似ているが、良く見ると違った。模様や輪郭、目つきが、兄弟姉妹のように、似ている。

 「はーい、はいどうぞ。こうしてなでなでしたら、食べるんです」「たべた?もうお腹いっぱいか?」

 「ここは合計8匹きます」と眞人さんはいう。最近新人さんが一匹来たという。(写真は佐川眞人さんと猫たち)


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 筆者は「ところで、猫の鳴き声がうるさいと怒鳴り散らしたという自治会副会長は、どのあたりに住んでいるんですか?」と久子さんに聞いたところ、「あそこの一番奥です。それで、警察を呼んだのは、あそこに住んでいる人です」という。

 そこで筆者は2014511日の警官に取り囲まれた時の事を聞いた。「通報はどこでされたのですか?」 

  眞人さんは「ここで」と駐車場のフェンスを指し、こう言う。(写真がくだんの駐車場)

    

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 「パトカー二台も来たんですよ。びっくりしましたね。この付近でエサやっていたんですよね。ここの住民のHさん(50代位)という人が通報したんですね。で、私一人でエサやりしていたんです。そのときに、Hさんが『通報するから』というので、では女房呼ぼうと思って、でも携帯も持ってないので、携帯貸してほしい、とHさんに言ったら、『馬鹿いうな』と言われて」

 「通報した人がここまで出てきたわけですか?」と聞くと、眞人さんはこう語る。

 「そうです、そうです。あそこに車停めてるんですよね。それで『エサやったらいけない』ということをHさんは言いまして。すぐ呼びましたよ。たぶん、前から見てたんでしょうね」

 「目の前で通報したのですか?」

 「そうです、それで、Hさんは『ここにいてくれ』っと言うんですよ。わたしは『家内呼びに行く』と言ったんですけど、『ここにいてくれ!』と強く言うものですから。

 「通報したとき、Hさんは警察には、どういうふうに言っていましたか?」と聞くと、眞人さんは、口元を手で伏せる仕草をまじえ、こう言う。 

 「それは知りません。なんかボソボソっと言っていましたね。何を言ったのか知りません」

 それから約10分経過したという。

 (続く)

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2015年11月04日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十二

 一通りエサを上げた後、再び歩き始めた。

 すると、ブーンと、バイクが通り過ぎた。佐川さんは言う。

 「あの人も文句言ってきた人です。あの人も『エサやるなー!』と言って」

 バイクのブレーキをかけて、バイクからおりずに、そう怒鳴り付けたのだという。

 その後、大きな敷地に入って行った人がいた。

 「いま、挨拶してくれましたけど、ここの造園屋は、ものすごい『餌やるな!こんな道路でやってええかいな!』と怒ってきました。いまの人たちは従業員だから、挨拶しましたけど。ですから、敵だらけです。

 猫の糞尿の被害がすごいんだと思います。造園さんは樹大事にしてますよね。だから困っているんだと思います。

 だからといって、対策講じないでしょ。だからこんなに増えていってしまったのに。

 吉田真澄先生(京都市在住の弁護士。元帯広畜産大副学長、ペット法学会の初代事務局長(現副理事長)で、日本で初めて「ペット六法」(誠文堂新光社刊)を編纂した人物)は、『そもそも自分達に問題解決能力がないのに、文句ばっかり言って』とはおっしゃっています。

 ここの住民はほとんどエサやることは悪いことだと思っています。なぜかというと、やっぱり、すごい30匹くらいに増えたからだと思います。

 『エサやっていい』とおっしゃっている人もいるんですけど、エサやるな、と言う住人が多いから、餌やっていい、とは言えないんです。 あとご主人がダメといったり家族の反対もあるんです」と佐川さんはいう。

 なお、「30匹くらいに増えた」、というのは、佐川さんが引っ越してくる前からエサをやる人たちはいたが、集まってくる全ての猫をすぐに手術するのは経済的に困難だったため、猫が増えてしまった面もあったようだ。

 ただでさえ、京都市は町内会の同意がないと手術代を一切助成しないので、30匹いると、手術代だけで11万円としても30万円かかる。それを一、二人だけで背負うというのは現実的には難しい。それだけの額をポンと野良猫に使うことに家族が納得しないケースもあるかもしれない。経済面でみた場合、地域猫活動を全国で成功させるには、より多くの人々の協力と、自治体のより多くの助成が必要なのは明らかである。

 なお、佐川さんは後述のように旦那さんの理解もあるため、どんどん手術した結果、たったの約一年半で、27匹から13匹と、劇的に野良猫の数を減らした。これがもしも、手術までに時間を置いたら、猫はネズミ算式に増えるので、逆に増えてしまったかもしれない。

 地域猫活動は、キッチリやっていけば、やはり抜本的に野良猫問題を解決していくことがてきる。

 そう思いつつ、歩を進めると、「あ、来ました、うちの夫が」と、佐川さんはいった。

 (続く)

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2015年11月03日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十一

 こうして5分ほど歩いた。

 「いつもエサをやるのは、このあたりです」と言う。

 竹林が広がり色々な鳥の鳴き声がしている。すがすがしい場所である。

 ここで、しばらく猫を待ったあと、「一回食事をやると、出てきませんね」と佐川さんはいう。

 だが、その直後、「あ、出てきた、出てきた」と言った。

 筆者はパッと前を向くと、たしかに、猫が一匹、のそのそと近付いてきた。佐川さんがエサをあげると、ニャーと喜びの声をあげて、食べ始めた。

 さらに、ぞくぞくともう二匹やってきて食べ始めた。

 それにしても、どの猫も丸々と太っている。

 私事だが、ちょうどこの4日前、筆者は自分の家で野良猫を飼い始めたところだった。うちの猫はやせ細っている。毛も薄い。それに比べ、ここの野良猫たちは、丸っこくて、毛もふさふさとしている。

 「どの猫も肉付きがいいですが、エサ食べているからですか?」と筆者は聞いた。

 佐川さんは、こう言う。

 「朝晩二回食べているんです。この子たち。毎朝やっているのは私と主人で、ほかにあと三人、エサをあげている人がいるんです。週三回、朝5時頃からあげている人が一人と、夜あげている人が二人」

 するとニャー、ニャーーーン、ニャン、ニャーンと、さらにもう一匹やって来た。

 「いつも来る子なんです」といって佐川さんは、その猫を抱き上げて、エサを食べさせていた。

 「ここは何匹くらい普段はいるんですか?」と聞くと、「ここはいつも6匹」という。

 写真はやってきた猫たち。



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(続く)




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2015年11月02日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十

 そこで筆者はやっと、はたと気づき、青ざめて絶句し卒倒しそうな心地で、謝り、4050分後に着きます、と言い、急いで向かった。

 現地には640分位に着いた。無論、頭を下げ、すみませんでした、と謝罪した。こうして佐川久子さんが、いつものエサやりコースを案内してくれることになった。旦那さんはウォーキングにでかけているが、エサやりコースで落ち合うことができるという。

筆者が遅れたため、猫たちはすでに食べた後だったが、念のため、まだ食べるかもしれないので佐川さんはエサを持参した。そして、掃除用具も持ち、歩き始めた。

 「エサやりの場所は2か所。だいぶん減ったんですよ。27匹手術しまして、いまは13匹です」という。

 手術は2013年夏から始めているという。

 そう話していると、向かいから、中年女性が歩いてくるのが見えた。すれ違うとき、「おはようございます」と互いに挨拶した。

 「今の方は、エサやりに好意的な方です。好意的な方はニコッとされるのですけど、嫌な方はすごい嫌な顔をするんです」と佐川さん。

 次に、正面から原付がやってきて、ブーンと通過して行った。

 「いまの人が、すごく『エサやるな!』という人の娘さんで、『うちの娘が通るときはエサやりするな!』と言ってきたんです。『うちの娘がバイクで通るから邪魔や!』。だから、それまでは6時半から7時の間にしてたんですけど、『その時間帯するな!』というので、6時から始めることにしました。それで、『早くゼロにせぇ!』(野良猫の数をゼロにしろ、という意味)とも言ってきました。わたしのせいじゃないわ、って思いましたけどね」

 「その娘さんのいる人が、通報したのですか?」と、筆者は聞いた。

 「いや、それはまた別」という。

 さらに、こんな新事実も話した。

 さかのぼること2か月前の今年326日、都内の参院議員会館で、「第一回 動物愛護法に関する院内勉強会 テーマ 地域猫『飼い主のいない猫たちをどうするのか』」(ラッシュジャパン助成金事業、主催:全国動物ネットワーク、共催:THEペット法塾)と題する集会があった。この集会に佐川さんも参加していたのだが、佐川さんは、こう言う。

 「あの日も、私たちの仲間がエサをやっていたら通報されまして、植田先生たちと別れたあとに通報されましたから、大変だったんです。東京であの日泊まったんですけど、『おまわりさんと代って!』という感じで。

 でも、おまわりさんの中にも、理解している人と、理解しない人がいるんです。

 一人のおまわりさんは、『どうしてそんな迷惑なエサやりをするんですか!?』と、そればかり言っていた、と仲間は言っていました。

 でも、理解のあるおまわりさんが、野良猫からまちねこへ、というのも知っているから、おさめていったそうです」


 これが2回目の通報という。

 それにしてもちょうどTHEペット法塾主宰の集会が東京で行われている最中に通報しているという点が、まるで主力が関西にいない間を見計らっているかのようである。

 やはりこのエリアで起きていることは、ただ事ではない。

 (続く)



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2015年11月01日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十九

 なお、昨年111日のシンポジウムから2か月弱が経過した年も押し迫った頃、京都市は、にわかに野良猫へのエサやりを禁じる条例についてのパブリックコメントを募集し始めた。

 その後、新年を過ぎ、間もなく猫エサやり禁止条例を提出する、というさなかの今年27日、「京都市・野良猫餌やり禁止条例と野良猫保護――今みんなで考える問題・猫餌やり禁止 新しい形の殺処分――」(主催:THEペット法塾、京都野良猫保護連絡会、共催:全国動物ネットワーク、NPO法人グリーンNet)という集会が、京都市内の池坊短大で緊急開催された。

 そこでエサやりで通報された佐川眞人さんが登壇し、「現場からの報告」と題して語った。ただ、そのときは、登壇者が十人以上いて、全体的に時間が押せ押せになっていたため、詳しく語っていなかった。

 そういうことがあり、京都市が条例を市会に提出し、可決成立した後、筆者は今年5月、佐川久子さんに、エサをやっている現地を取材したい、できれば通報されて警察に囲まれた旦那さんの眞人さんから直接話を聞きしたい旨のアポイントを取ったのだった。

 このやり取りのなかで、佐川久子さんは、ニュートン見たんですか?という趣旨のことを言っていた。なんでも、ちょうど科学の月刊誌「ニュートン」の今月号に旦那さんが出ていたのだという。後述のように旦那さんは驚くべきキャリアの人物だったのであるが、筆者は、そうとは露知らず、「いえ読んでいないです。それなら読んでみます」と言った。このときは、よく行く図書館にたしかニュートンがあったはずなので読んでみよう、と思っていた。だが、アクセクと調べ物や執筆をしていた時期だったこともあり、結局、読まずじまいだった。

 そして、エサやりは、早朝6時に行っているという。時間が早いですが平気ですか?佐川さんは言われたが、「平気です、行きます」と筆者は答えた。こうして5月下旬に現地へ行く約束をした。

 だが、筆者はこのとき、めまいがする程のミスをしてしまった。朝6時に現地待ち合わせにもかかわらず、なぜか事前に調べているときから、いつものように6時前に起きれば、20分ほど余裕を持って現地に着くことができる、と思い込んでいたのである。なんでそんなことを考えてしまったのか自分でもわからない。

 こうして当日、アラームをセットして6時前に起きて、外出する準備をしている時に、佐川さんから電話がかかってきた。この期に及んでも電話の意図がわからず、どうしたんだろう、と思い電話に出た。

 「今、どこですか?」と佐川さんはいう。

(続く)

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2015年10月31日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十八

 通報された、という話をしたのは、アニマルネットワーク京都の佐川久子さん。佐川さんは一昨年5月、自宅から5分ほどのところにある、「竹林の寺」とも言われる臨済禅宗の寺で伝教大師の作といわれる延命安産の地蔵菩薩を本尊としている「地蔵院」の周辺に、たくさんの野良猫が棲みついていることに気づき、この地域の人に、京都市が行っているまちねこ事業の、地域住民の合意があれば、猫の不妊手術を無料で受けられるというチラシを配り、活動を呼び掛けた。

 しかし、8月下旬になっても住民の反応がなかったため、佐川さんは、このまま放置して、野良猫がこれ以上増えることを危惧し、ボランティア2人とともに猫の不妊手術を自腹で行うことに決めた。その後、昨年1月までに27匹の猫の不妊手術を実施した。1匹あたりの手術代は1万円かかったという。計27万円である。

 そして、その過程で数々の嫌がらせを受けたという。例えば、佐川氏が手術させるため猫を捕獲しているとき、この地区の自治会の副会長S氏に「猫の鳴き声がうるさい! 迷惑しているので猫をどこかにもっていってくれ!!」と怒鳴られたたり、12月にはボランティアの女性T氏が猫にエサをやっていると、サングラスの男が現れ、「エサをやるな」といって、犬のリードをのばして、犬に猫を追い回させたという。(これは危険な愚行で、そのせいで猫が死ぬケースも多い。そのことは「摩川河川敷で虐げられる猫を護る『孤高の侍』小西修」で記した通り。)

 そして昨年3月には、佐川さんの夫の眞人さんが、朝7時頃、猫にエサを与えていると、犬を散歩していた男性が「人に迷惑やろ!」と怒鳴り、エサを入れているケースを蹴飛ばした。エサは四方八方に飛び散り、エサのケースは壊れてしまった。

 そして、ついにその時が来た。

 それは昨年511日のこと。佐川眞人さんが、朝6時半〜7時頃にエサやりをしていると、住民H氏が警察に通報し、パトカーがやってきて、警官に取り囲まれたという。

 しかも、そのあとも、昨年517日朝6時半頃、佐川さんがエサやりをしていると、自治会副会長S氏が車に乗って現れ、「この間警察を呼んだのに、まだ猫のエサをやっとるんか!」と怒鳴り散らしたという。

 さらに同時期、ボランティアH氏が猫にエサやりをしていると、近所の男性O氏が車で追い越すとき、H氏の顔を覗き込み、窓越しに睨らみつけたり、急な坂道でH氏の隣に車をつけてエンジンをふかしたり、猫をみつけたら物凄いスピードで猫を車で追いかけ回したりしたという。

 明らかに、ただ事ではない。現場をみてみたい、と筆者は思い、今年5月下旬、現場へ行ったのだった。

 (続く)

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2015年10月30日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十七

 京都市の野良猫の苦情文書の中には、野良猫にエサをやったという理由で警察に通報されるケースもある。

 そもそも、筆者が京都市の情勢に関心を持ったのは、京都市民が野良猫にエサをやって警察に通報されて警官に取り囲まれた、という話を聞いたのが、きっかけだった。

 それを聞いたのは、昨年111日、大阪市中央区内にあるドーンセンターでのTHEペット法塾のシンポジウム「野良猫は全て地域猫である−現場からの報告と今後の活動の方向−」でのこと。

 私事だが、筆者はその一週間前から大阪に滞在していくつか取材をしていた。その一つが、猫の譲渡会で、猫を引取った男が、大事に飼っている、と言いながら、実は猫がいなくなっていた、という事件の話。この事件は今年19日付のサイゾーのニュースサイト「Business Journal(ビジネスジャーナル)」の記事「猫大量虐待?殺処分・遺棄横行か…動物実験や皮・肉の闇市場へ売却疑惑も」でまとめた。

http://biz-journal.jp/2015/01/post_8532.html

 この取材で、くだんのあやしい男に猫を渡して、猫を返してほしい、と訴えている原告の被害者のうち3人と、大阪駅前で取材した。そこで話をひととおり聞いた後、取材者の一人でメジャーリーガーのイチローと外見と雰囲気の方から、この事件を担当しているのは植田先生という弁護士で、この方は、そこらの弁護士とは全然違って、すごく動物の問題に熱心な方で動物事件にも詳しくて、取材にも協力してくれるはずだから、是非、一度会って話を聞いてみるといい、とアドバイスを受けた。

 筆者はその二日後に、当時住んでいた東京に帰ることになっていた。ただ、この取材の翌日は時間があったので、このアドバイスを受けてから30分位後の外はもう暗い時分に、植田弁護士の事務所に電話をして、明日もし可能なら、ほんの少しでも話を聞きたい旨を秘書の男性に伝えた。

 すると、その秘書は、昼の時間なら可能ですという。こうして植田弁護士に会い、くだんの譲渡会で猫を奪略してどこかへ消している男の話を詳しく聞くことができた。その話のあとの雑談で筆者の自己紹介をしたりもした。この取材のたしかしょっぱなに、植田弁護士は、明日ちょうどシンポジウムがあるのでよかったら来たらどうか、ということで筆者にシンポジウムのチラシを渡した。このときは、翌日午後、姫路で取材を入れていたので、今回は難しいですが、次の機会には是非参加したいです、と伝えたのだった。

 だが、翌朝、にわかにアポイントを取っていた人から電話が入り、体調を崩したのでキャンセルします、また次に関西に来たときに連絡ください、という内容の留守電が入った。

 こうしてポッカリ時間が空いたため、筆者は、シンポジウムに参加してみたのだった。

 そこではたくさんの識者が話したが、なかでも最も興味深かったのが野良猫にエサをやって通報されたという話だった。

 (続く)

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2015年10月29日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十六

 この役人の言う「元いた場所へ返してもらいたい」「虐待になり処罰されますのでやめて下さい」「住所を教えて欲しい」というのは、本音なのは確かだが、こういう言葉しか発しなかったために、結局、逃げられてしまった。

 もしも、これが人間に対する虐待の電話なら、こんな通り一辺倒な返事をしただろうか?

2週間エサをやらずに監禁して「行政に引取って処分してほしい」と加害者がいうなら、「わかりました。状況を確認したいので、行きます。いまどちらですか?」とかいって、とにかく現場を押さえ、現行犯で取り押さえるべきである。

 この役人は、突然の犯罪行為の告白、に泡を食ったのかもしれないし、場数をこなさなければ、こういう時、なかなか機転はきかないものかもしれない。それだからこそマニュアルをつくって備えておく必要がある。

 動物虐待の最前線にいる保健所がこのありさまなので、この国では惨劇が横行している。たとえば、今月だけでも、下記の事件が起きている。

 まさに今日、兵庫県伊丹市昆陽池3丁目の昆陽池公園の池で、頭部に矢が刺さったカモが保護された。(写真はニフティニュースより)


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今月22日には、栃木県宇都宮市田町の水産会社の敷地内で、頭部のない、腹部などを刃物のようなもので切られた痕がある猫1匹の死骸が見つかっている。(TBSより)

 同日、兵庫県姫路市西延末の遊歩道でも、胸から下がないネコの死骸が見つかっている。現場付近では、8月下旬にも頭部のないネコの死骸が見つかっている。(産経新聞より)

 今月14日には、愛媛県宇和島市で、飼い主と散歩中の大型犬が、道路脇に落ちていたクッキーのような菓子を食べた直後に、けいれんを起こし、泡を吹いた。翌15日には、そこから15メートル離れた場所で、同じようなお菓子を食べた小型犬が動物病院に運ばれたが、すでに死んでいた。(フジテレビより)

 その前日21日には、東京都足立区西新井本町の日暮里舎人ライナー江北駅そばの路上で、頭部がなく、体の一部がえぐられたハトが見つかった。同日、同区花畑の駐車場でも、頭のないカモとみられる死骸が見つかっている。(時事通信より)

 今月3日には、千葉県浦安市日の出2の日の出第1街区公園で、植え込みに刃物ようなもので切断された黒色の子猫が放置されているのを発見されている。頭部の他、切断された前脚と後ろ脚がそれぞれ1本ずつ、さらに根元から切断された尻尾や内臓が半径3040センチ内にまとめて置かれていた。

 今月1日には市川市で首を切断されたコガモが発見され、92930日には千葉県船橋市でも両耳などを切られたウサギと首を切られた鳥が見つかっている。(千葉日報より)

 今月1日には、栃木県那須烏山市大桶の大桶運動公園で、フナやコイ、メダカなど計約1100匹が死んでいるのが見つかった。県が池の水を調べたところ、微量の塩素が検出された。この公園では920日にも、首と脚が切断された猫の死骸が発見されている。(産経新聞より)

 これらは氷山の一角である。人の通らない場所で動物の虐殺が横行している事は、「多摩川河川敷で虐げられる猫を護る『孤高の侍』小西修」で小西氏が縷々語った通り。

 (続く)

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2015年10月28日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十五

 いうまでもなく動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)は、動物虐待を犯罪行為と定めている。

 同法四十四条にはこうある。

 「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

2   愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する。

3   愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する。

4   前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。

   牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる

   前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」

 つまり、このクレーマーが猫を監禁して2週間も水しか与えていないというのは、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する」、もしくは「愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させる(中略)虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する」に該当する。

 にわかに異様な犯罪に直面したこの役人は、こう言った。

 「保健センターに引き取ることができるのは、自活不能な猫か負傷猫に限られており、野良猫の引き取りは行っていない。捕獲した猫に関しては、新たに飼い主を捜してもらうか、元いた場所へ返してもらいたい」

 これに対し、クレーマーはこう言った。

 「現在、近隣にたくさん猫がいるのに、放すことは不可能である。怪我をしたら引取ってもらえるというが、自分が怪我をさせれば来てくれるということか。このままエサをやらずに死ぬのを待っていたら引取ってもらえるのか。」

 これに対し、役人は、こう言った。

 「動物に危害を加えて怪我をさせると、虐待になり処罰されますのでやめて下さい。」

 これに対し、クレーマーはこう言った。

 「それでは市民の為に何もしないことになる。行政の怠慢ではないのか。上の者に被害があることを伝え、何とかして欲しい。」

 役人はこう言った。

 「被害の状況や届出内容を把握して、できることがないか検討したいので、住所を教えて欲しい」

 これに対しクレーマーはこう言った。

 「教えたら今捕獲している猫が死んで引取り依頼をした時に、自分の身元がばれてしまう。今回の電話の件は忘れてもらいたい」

 そう言って、このクレーマーは、電話を切った。

 (続く)

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2015年10月27日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十四

 話を京都市に戻す。京都市の野良猫にまつわる苦情は、置きエサ、まちねこ事業のほかにも、例えばこういうのがあった。

 平成246261130分、保健センターに来所した住民が、こう言った。

 「・庭に猫が入ってきて、フン・尿をするので困っている。

 ・猫の捕獲をしてほしい。もしくは毒エサ等もらえないか。

 ・近隣に3匹ほど住みついている。

 ・庭に入ってくる猫は、飼い猫かノラ猫かわからない」

 これに対し、役人の安藤氏は、こう対応した。

 「・猫の捕かくは行っていない。毒エサ等も動愛法違反となる恐れがある旨説明。

 ・忌避剤等、猫を追い払う方法説明。超音波発生装置1台貸し出し。飼い主が判明している場合は飼い方指導等も可能。

 ・『まちねこ事業』について説明。パンフレット配布」

 平成27216840分、「■■を経営している」という「4050代男性」から、電話でこういう苦情があった。

 「○近隣の空家に野良猫が40頭ほど棲み着き、ノミや糞尿の被害で困っている。

 …自分も親も近所に住んでおり、ノミと糞尿被害がひどい状態が続いたので、今は老人施設で生活している。

 ○野良猫にエサやりをしている老人がいる。

 …この住人は大量のねこのエサを買い込んでおり、飼い猫のエサやり時に玄関を開けっ放しでエサをやるため、飼い猫数匹と野良猫共にえさを与えている状況になっている。

 ○過去に保健センターに相談しているが、効果がない。

 …以前、自分ではない近所の住人が保健センターにエサやりと糞尿被害の相談をし、えさやりしている住人に話をしに行ったようだが、全く効果がなかった(その際、相談者にまちねこ活動の話も提案しているようである)。

 ○仕方がないので、自分で野良猫を捕獲することにした。

 自分で16,000円もかけて捕獲用の檻を購入し、2週間前に猫がかかったところである」

 そして、その下に、太字にアンダーライン入りで、こうある。

 「二週間エサ等はやらずに飼育しているが、死なないので行政で引き取って処分して欲しい。」

 (続く)

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2015年10月26日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで バックボーン 二十二

 平成239161720分頃、「マリンの■■氏から電話で、『昨夜(15日)夜9時半頃、餌の回収を含めマリンハイツ敷地周辺を巡回していた住民がいつも餌やりにくる若い男性と口論となり顔を殴られ、傷害事件が起きた。このような事件も起きているので、以前から依頼している周辺の猫をなんとかボランティアさんに保護していただきたい。』と、あらためて依頼があったため、引き続きボランティアさんに協力を求める旨伝えた」

 つまり、傷害事件とは、「顔を殴る」という暴行事件だったことになる。

 この事件は防ぐ手立てはあっただろうか。

 既述のように、餌やりの若い男性に対し、千葉市の役人は、地域猫活動等の説明を35分にわたって説明している。その際、この男性は、「敷地外での餌やりを検討する」と、考え直すそぶりをしていた。

 その後も、役人が、動物愛護フェスティバルを誘ったり、マリンタウン敷地内での餌やりをやめるよう説得するたび、若い男性は「検討する」と述べていた。

 それに比べ、住民との口論では、暴力に及んだ。

 このことは、少なくともケンカ腰でエサやりに挑んでも、問題は解決しないどころか、ますます事態は悪化することを示している。

 また、千葉市の役人は、何度も粘り強く接し、地域猫活動、不妊去勢手術の説明を懇々としている点は、餌やりの心にも多少は響いたのではないだろうか。

 ただし、これまでの京都の事例を見る限り、餌やりに対して、餌をやるな、と言っても、餌をやめたためしはない。

 なので違う方法で説得する必要があったのではないか?

 例えば、敷地内の一角に限定して餌やり場にして、置きエサは厳禁にて、住民も協力して地域猫活動をしていく、という具合にである。

 英国の動物保護団体「フレッシュフィールズ」の箇所で記したように、、情熱をもって率先してエサやりに接していき、孤立したエサやりを排除するのではなく、巻き込んで参加させて、学んでもらって、いっぱしの野良猫保護の慈善活動家にしていく、という「エデュケーション(教育)」が解決の道である。

 なので、この千葉市のケースでは、餌やりの若い男性を説得するだけではなく、住民にも、地域猫活動に参加するよう、情熱を持って語りかける必要があったと筆者は考える。

 (続く)

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2015年10月25日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで バックボーン 二十一

 話が前後するが、以前、千葉市の検見川マリンタウンで起きた紛争について、千葉市の対応などの追加情報が入ったので、加筆する。

 平成23810日、「マリンタウン敷地周辺植込み2か所、稲毛駅前植込みにビニール袋でドライフード、水が置かれているのを確認」

 平成2381122時前、「黒のワンボックスカーで■■と思われる女性が現れ、前日同様、駅前1か所、マリンタウン2か所にビニール袋を器代わりにドライフードと水を置き去った」

 平成23825日、千葉市の役人・須賀・川西氏は、182145分にかけて、マリンタウン等を巡回した。

18時半以降、15分〜30分に一回ペースで、マリンタウン植え込み付近を確認したが、「ねこ、餌は見当たらず」。

215分、「餌やりの男性(■■さん)が黒色軽自動車で登場」。

215分〜2140分、「マリンタウン敷地内での餌やりをやめるよう説得。

 千葉市ガイドラインを手渡し市の飼い主のいない猫の施策を説明。

 飼い主のいない猫の不妊手術事業を説明。

 猫ボランティアの活動、取り組みを説明。

 動物愛護ボランティアの開催を説明。」

 餌やり男性は「マリンタウン敷地外での餌やりを検討する」とのこと。

 同月291850分〜22時半。役人の須賀、川西、二井谷氏が、マリンタウン等を巡回した。

1915分、ボランティアの■■さんと合流。

21時、「餌やりの男性(■■さん)が黒色軽自動車で登場。」

21時〜2125分、「マリンタウン敷地内での餌やりをやめるよう説得。

 動物愛護フェスティバルのリーフレット、飼い主のいない猫の不妊去勢手術事業のリーフレットを手渡しフェスティバルへの来場を打診。

 昨年市議会で猫に関する陳情が採択されたことを紹介。

 ■■

 餌やりの場所については、いろいろな材料を元に検討するとのこと。

 連絡先については伝えられないとのこと。

2125分、「ボランティアさんの■■さんと意見交換。」

 平成23961940分〜2115分、マリンタウン等を巡回(須賀、川西氏)

1940分、「マリンタウン植込み付近にねこ、餌は見当たらず」

1955分〜20時、「餌やりの男性(■■さん)が黒色軽自動車で登場するも停止はしたが降車はせず発進。停車中は電話をしている模様。」

2055分〜2115分、「マリンタウン敷地内での餌やりをやめるよう説得。

 餌やりの場所については、いろいろな材料を元に検討するとのこと」

21時、「会話中、マリンタウン内餌を置いている場所から黒白猫が出てきて車道を渡って交番横の植え込みに移動。」

2110分、「会話中、交番横の植え込みからマリンタウン側に車道を渡って黒白猫が移動。」

 (続く)


 ※8月10日、11日の個所を2015年10月26日加筆しました。

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2015年10月24日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十三

 「(2)手術に必要なもの 

 ■■氏よりリスト提供あり。

 手術セットは一式揃えば、10万円くらいになると思う。6頭実施するなら、6セットいるとみておいた方がよい。

 麻酔機は1台あるとのことだが、二人が手術を同時に行うことを考えるなら、2台必要な場合も出てくる。手術セット数との兼ね合いがあるなら、二人が同日に行わない方がよいと思われる。

 滅菌機はあるか?→1台あり

 子宮卵巣の全摘をしなければならないか?(全摘をしない獣医師もいる)→全摘にはこだわらない

 吸入麻酔なし、心電図モニターなしなどの条件が募ったとして、若い獣医師がどこまで協力できるかわからない。

 適正体重については25kgくらいが境と考えている。2kg以下はやめた方がよい」

 次に、家庭動物相談所の北村氏が、こう言った。

 「檻の保管場所を考えると、アライグマ用の折りたたみ式が望ましい。価格は15千円。」

 次に「5 獣医師会からの要望等」として、こうある。

 「手術に飼い猫を紛れ込ませる可能性があるので、放つところに立ち会った方がよいのではないかと思う。また、首輪やピアスなどの識別法では、すぐにとれることから、飼い猫として手術に入れられる可能性がある。飼い猫が紛れ込まれるようでは、開業獣医師の経営に関わるので獣医師たちの理解が得られなくなる。」

 そして、最後に「6 その他」として、こう書いてある。

 「ある程度まとまったら、保健所長だけでなく区へもあげていく必要がある。メンバーのいない保健所も含め、どの段階で知らせていくか。

 次回の会議は開催未定。メールのやり取りで対応し、必要があれば、召集する」

 その後、会議はなく、2か月半後の平成2241日から、まちねこ事業はスタートした。

 なお、特筆すべきは、ちょうどまちねこ事業と時を同じくして、既述の、「餌やり情報収集文書」ができた。

 そして、くだんの“マッチポンプ”公明党京都市議・吉田孝雄氏は、その前年から、にわかに京都市会でエサやりを問題視し始めている。

 そして前出の通り、筆者は、京都市の関係筋から、エサやり禁止条例について、「議員の要望で市上層部からのトップダウンで決まったもので、当初からエサを与えることを止めさせるのが目的だった」と聞いている。

 「当初から」と言う、その関係筋の話の通りであるなら、マッチポンプ市議のエサやり問題視発言、まちねこ事業とエサ情報収集文書の同時スタート、猫エサやり禁止条例という一連の流れは、はじめから仕組まれていたということになる。

 (続く)

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クロ猫 一

 先日の早朝、筆者は近所の動物の名を冠した、いたち川、という川の、川沿いの道を歩いていた。すると沿道のはしっこの、草むらやブロック塀のある場所に、ちょこんと黒い猫が座っていたのを、発見した。(写真がその猫)
クロ猫.JPG

 この猫には見覚えがあった。
 今年の夏の昼間、その付近の交差点が青信号になったとき、人間に混じって、ずんぐりしたクロ猫が猛ダッシュで車道を横断していったのを、筆者は数百メートル離れたところから見たことがあったのだ。人間が渡るとき、車は直進しない、そのことを知悉しているように見えて、賢い猫だなぁ、と思った。
 その前後にも、この川沿いの沿道の草木の中を分け入っていく、このクロ猫らしき後ろ姿を、チラッと見たことがあった。
 なので、早朝にみたとき、やっとちゃんと見ることができた、と思った。
 筆者はそのとき、おもわず写真に撮った。
 その様子を、散歩していた様子のおじいさんが、たちどまって、ジーっと見ていた。
 筆者のことを、猫を虐待する輩かもしれない、と思い、見ていたのかもしれない。そういう視線をひしひしと感じた。この猫は、そうやって色々な人に見守られているのだろうか。
 そういうことがあったあと、「あのクロ猫は、避妊去勢手術をしているのだろうか?」という疑問がわいてきた。もしかすると、このクロ猫は町中を徘徊し、子猫を産みまくっているかもしれない。
 ただ、野良猫にしては、丸々としていて、食べ物に困っていないように見える。
 エサをあげている人がいるのではないか? と思ったりもした。
 ただ、エサをあげていても、手術はしていないかもしれない。
 少なくとも、耳カットしていないように見える。
 そういう事を考えていた折、筆者は、ある情報を知り、そのこととクロ猫のことを鑑みたのだった。
 というのは、ウチのカミさんの実家が最近、野良猫を地域猫にしようと試みて、最終的に家族会議の末、飼い猫になった折、筆者の住む横浜の片隅の栄区では、野良猫の手術の際、耳先Vカットをしないケースがある、ということを、初めて知ったのだ。
 だから、あのクロ猫は、手術済みの地域猫なのかもしれない。
 地域猫でないなら、なんとかして手術しなければ、と筆者は思った。そして、地域猫発祥の地・横浜市ならば、行政が地域猫活動をするボランティアと連携して、地域猫の実態を把握しているかもしれない、把握していないなら残念過ぎる、と思いつつ、栄区役所に電話してみることにした。
 (続く)
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2015年10月22日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十二

4回目の会議は1216日午前91030分に家庭動物相談所で行われた。

 「名称について 地域管理猫→まちねこ」とあるところからみて、この日、「まちねこ」という名前に決まったものとみられる。

5回目の会議は、1218日午前9時から午前10時半まで、京都市役所4階 障害保健福祉課会議室であった。

 そこで「要綱 修正版の読み合わせ 検討 修正」が行われた。

6回目の会議は、平成22115日、中京区役所2階会議室であった。

 ここで「京都市動物愛護推進協議会(1221日)において、所有者不明猫対策推進事業として、まちねこ活動支援事業の概要説明を行い、意見を求めた。

 特段の意見はなかった」とある。

 次に「要綱及びガイドライン作成についての意見」が出た。 

「ガイドラインは、今回の事業では不要。別途対応すべきである」

 「第1条の文のつながりがあまりよくないような気がする。

 第1条で『以下『手術』という』が第2条や第3条で『手術』となっていない。

 第2条で『理解と協力』、第4条では『理解と熱意』『理解と合意』と出てくるが、協力と合意の違いは」

 「第2条でいきなり『まちねこ活動』と出てくる。どういう活動かの説明がいる。第2条のまちねこは手術はした猫か手術をしようとする猫か。→両者含める」

 「第6条の家庭動物相談所のところで『及び猫の搬送』は通常業務の中なら不要である」

 「第7条は主語がいる」

 「第10条で団体が搬入し、引き取るのであれば、『手続きの流れ』の現地へ搬送は不要であり、地域の人が自ら放ってもらうのでよい」

 「第11条の報告は、頭数等の簡便なもので、様式は定めず、月報に盛り込むことで十分対応可能である」

 「要領は作らないのか」

 次に「パンフレットの案」について「おのおの案を提示」。

 「提示された案を元に、各ページ掲載する事項を選定し、原案とした。

 原案の編集は、辻氏が行うので、データを送付すること。編集が終わり次第、担当者に送付し、修正に入る」

 「手術実施について」は、こうある。

 「(1)手術の頭数 市では、年間100頭を目途として考えている。獣医師113頭。2人で月2回として、1箇月で12頭位を想定していることを、獣医師会へ投げかけた。

 獣医師会では21日の理事会で協議予定」

 (続く)

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池田大作教が推薦する「外務省村の御用学者」同志社大・村田晃嗣 六

 今年はノーベル賞を日本人二人が受賞した 喜ばしい年であるが、ノーベル賞といえば、かつて、外交官などの“工作員”の信者を総動員するという憲法違反、国家公務員法違反を犯して、ノーベル平和賞を獲ろうとした“勲章コレクター”の“夜郎自大”な“教祖”がいた、という記事があった。
 それは、週刊朝日1994年6月10日付の「スクープ・動かぬ証拠 創価学会のノーベル平和賞奪取作戦発覚! ローマ法王会見に狂奔する外務官僚の○秘文書入手」という記事。取材執筆者は、ジャーナリスト乙骨正生氏と、後に同誌編集長となる山口一臣氏。
 この記事には、こう書いてある。
 「『政教一致』批判を尻目に、池田大作名誉会長は、五月十五日に日本を出発した。ロシア、ドイツを経て、いまはイタリアに滞在している。(中略)今回のイタリア訪問の最大の狙いは(中略)ローマ法王ヨハネ・パウロ二世と会見すること(中略)池田氏がローマ法王との会見を望むのは、ノーベル平和賞を獲得するための重要な布石だといわれている。これまでに国連平和賞をはじめ多くの賞や、ブラジル、パナマ、タイ、オーストリアなどから多くの勲章を受け、『勲章コレクター』 (中略)とも呼ばれる池田氏が、その仕上げとして狙っているのがノーベル平和賞である。
 しかし、宗教者がノーベル平和賞を受賞するには、ヴァチカンとの友好な関係が必要だ。池田氏がローマ法王と会見し、和やかに世界平和を語り合うことがノーベル平和賞のための必須条件だといわれている。
 『(中略)今回のヨーロッパ歴訪の最大の目的は、ローマ法王と会談することでした。そのために創価学会は、数年前から創価学会員の外交官を使っての情報収集と下交渉をするなど、さまざまな工作を進めてきました。その最大の切り札が、実はゴールデンウィークに訪欧した羽田孜首相に託したローマ法王への親書だったといわれています。あいにく法王が骨折したため、羽田首相との会見はキャンセルされ、名誉会長との会見も実現しなかったのです』(創価学会関係者)
 五月二十三日の衆院予算委員会で羽田首相は、この『親書』問題を質問され、『あり得ることではない』と全面否定。秋谷栄之助創価学会会長も、『荒唐無稽』と否定したが、複数の創価学会関係者は、『間違いなく工作は行われた』と断言する。
 実際、過去にも池田氏が、親しい政治家や役人を使って海外の要人との会見を実現したケースは少なくない。
 たとえば、『ペルソナ・ノン・グラーダ(歓迎されざる人物)』として入国が禁じられていたブラジルへの入国を希望していた池田氏は、一九八〇年代に、入国ビザの発給と大統領との会見を実現すべく元サンパウロ州下院議員のセルジオ・モリナガ氏に工作を依頼。モリナガ氏は内外のマスコミに、池田氏の入国と大統領との会見実現のため、二百万ドルものカネを使ったことを証言している。
 もっとも、『海外工作』の実態は、当事者が告発する以外、表ざたになることはほとんどない。だが、本誌はこのほど創価学会の外務官僚が池田氏の『海外戦略』にそって活動している事実を裏づける○秘文書を入手した。(※筆者註:その文書の中身は、当公式ブログ8月29日付 当連載5回目で紹介した、イタリア・ミラノ総領事館に勤務していた外務省の広報担当の文書を指す)(中略)
 創価学会は一九七〇年の言論・出版妨害事件以後、法曹界、官界、マスコミ界、公認会計士など社会の各分野に学会員を送り込む『総体革命』という戦略を推進してきた。(中略)かつては『総体革命』の指揮をとり、今は創価学会と対立している山崎正友元学会顧問弁護士はいう。
 『法曹界、官界、マスコミ界などに進んだ学会員は、みんな本籍は池田門下生であり、外交官なり検察官といっても、池田天下取りを推し進めるために学会から出向しているという意識だった。仮にその行為が、国家公務員法など法律に違反するとしても、創価学会のために働くことが優先する。そこには国家とか国民のためという意識はほとんどありませんね」』
 筆者は不幸にも前半生、池田教団内部を垣間見てきた一人として、「創価学会のために働くことが優先する。そこには国家とか国民のためという意識はほとんどありませんね」という山崎氏の言葉は的を射ている、と心底思うし、ノーベル賞受賞のため工作員を動員して狂奔していたという話や、ブラジルで歓迎されざる人物として入国を禁止させられていたため、工作員を動員してカネをばらまいたというのも、いかにもありそうな話だと思う。「勲章コレクター」の裏には、勲章の見返りに、「寄付」という形で工作資金を投入しているという話も何かの文献で読んだことがある。

 このように、外務省は、池田大作教団にむしばまれている。

 PS ノーベル平和賞を獲ろうとしていた池田大作教の、度し難く滑稽で危険なのは、日本の平和憲法を率先して捻じ曲げて破壊し、集団的自衛権行使を認める法案を強引に通した点である、と最近常々思う。
 (完)
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マイナンバーで会社に「副業」が知られる事態に…

 平成二十七年十月二日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「マイナンバーで会社に「副業」が知られる事態に…」


 を企画、取材、執筆しました。



 けさの朝日新聞にイラスト付きで「マイナンバーQ&A 上 『番号通知』届いたら 今月中旬から来月末、各戸へ郵送」という記事がある。これは今月5日に施行されるマイナンバー法の解説記事。マイナンバーとは、税や社会保障の個人情報を番号で結びつけ、政府が所得を把握するため、住民票を持つすべての人に付けられる12桁の番号。

 今後の流れは、「105日時点で住民登録している住所あてに、家族ごとにまとめて、マイナンバーを印刷した『通知カード』が郵送される。届くのは10月中旬から11月末の見込みだ。不在で受け取れなかった場合も、1週間は郵便局で保管され、自宅や勤務先に再配達してもらえる。その後は原則として市区町村の窓口で受け取る」「企業は源泉徴収票などに社員のマイナンバーを記入する必要があり、10月以降、勤務先には自分のマイナンバーを教えることになるため、通知カードはなくさないように注意する必要がある」という。

 ちなみに、このマイナンバーによりOLの一部にも影響が出そうだと昨日付ジャパンタイムズ電子版に載っている。同紙によると、銀座などの酒場のホステスの中には、給料の安いOLが副業でやっているケースも多いという。その多くは、「第2の仕事」を周囲に知られたくない、と思ってやっている。

 これまで税務署は、ホステスを雇っている事業者の名前は確認できたが、ホステスについては偽名を使っていることもあり、個人を特定するのは難しかった。そのため、ホステスのなかには、「第二の仕事」で稼いだ分を納税していない者もいる。つまり、脱税である。

 しかし、マイナンバーの導入により、ホステスは確定申告することになる。すると税務署は、本当の収入が記載されているその文書を受け取った後、その情報を地方自治体に送るかもしれない。さらに、地方自治体は、源泉徴収や年末調整の手続きのため、そのOLの課税総額を詳述した文書を、昼間の雇い主に送るかもしれない。

 そうすると、自分のところの低いサラリーにそぐわない高い税金が、そのOLに課せられていることを会社が知り、副業が発覚する可能性がある。そのため、ホステスをしていることが会社の上層部や職場の同僚にバレるかもしれない…という恐れから、「副業」を辞めるOLも出てくることが予想されるのだという。

 ちなみにこの背景には、給与の低迷がある。この国のサラリーマンの年間平均年収は、1997年の467万円をピークに、2013年には414万円まで低下している。だから、さらなる収入源を探す労働者が発生する。それなのに、多くの会社は、従業員が副業するのを嫌っている。リクルートキャリアが昨年12月から今年2月に実施した調査によると、国内4513社のうち、従業員の副業を許しているのは、わずか3.8%という。

 なお、同記事では触れていないが、、OLだけではなく、男性サラリーマンのなかにも、こっそりバイトしている人は当然いる。そういう人たちも、副業を辞めるハメになるかもしれない。

 だが、そもそも、サラリーが低いことが副業をする原因なのだから、他で何をして働こうが、迷惑をかけない限り、会社に干渉する資格は本来ない。副業を認める社会風土が求められる。

 それと同時に、会社に副業を合算した年収を知られるというのは、プライバシーの侵害である。プライバシーを守るためには、会社に任せるのではなく、サラリーマン、OLが自ら確定申告できるシステムと風土が必要だ。

 マイナンバーにより副業が断たれ、年収が何割も減って生活が立ち行かなくなる…そういう人を出してはいけない。(佐々木奎一)
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2015年10月21日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十一


なお、京都市の獣医師会が、耳カットしない代わりに「二重オペ」になっても構わない、と言ったのは「暴論」というのは、筆者の周囲の人間の原体験から、痛切にそう思うのだ。

 私事だが、筆者のカミさんの実家では、最近、家にやってくるメスの白黒の野良猫(推定1歳位)にエサをあげ始めた。そうして徐々に慣れさせていくなかで、市内の動物センターで登録されているれきとしたボランティア団体の代表者に相談し、手術をすることとなった。

 当初は捕獲器を使う予定だったが、その猫は非常に人なつっこく、エサをやるうちに、足元で仰向けになってゴロンゴロン転がったり、愛嬌たっぷりでニャーニャー鳴くようになりで、トラップで捕獲するまでもなく、ケージに入れれる状態になった。

 そうして満を持して猫をケージに入れて動物病院に行って手術したところ、なんと既に不妊手術済みだったのである。

 無論、この猫は耳カットしていない。例えば、筆者の住む横浜市の片隅の栄区では、市の助成と、区内の有志の動物病院による「栄区動物と仲良く暮らせる街づくり協議会」という民間団体の助成を合わせることにより、野良猫の不妊去勢手術をした場合、市民の負担はオス3千円、メス5千円となるのだが、その際、猫の耳はVカットしない。その代り、マイクロチップを埋め込むことになっている。

 だが、その猫はマイクロチップもなかった。

 家で飼われていた猫だったが、捨てられてしまったのだろう。そのボランティアの代表も、そう言っていた。

 ケージに入れられて、知らないところに連れて行かれて、切らなくてもよい腹を切られて、入院し、抜糸までに一週間以上かかり、その間、切った箇所を舐めないよう、エリザベスカラーと呼ばれるエリマキトカゲのようなモノを首に装着されたりして、やっと抜糸となった。

 その猫は今、カミさんの実家で飼われている。

 このように横浜市では、捨てられた飼い猫でない限り、区によって耳先Vカットにしたり、マイクロチップを入れることにより、手術済みの野良猫であることを確かめることができるシステムになっている。そうすることで野良猫が何回もメスを入れないで済む。飼い猫が捨てられた場合でなければ。

 要するに、切らないでいいのに何回も手術するのは、可哀そうである。二重オペという発想は暴論、と筆者は思う。

 (続く)

 ※横浜市栄区の不妊去勢手術の助成について2015年10月22日付で一部訂正しました。お詫びします。
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2015年10月20日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十

 さらに出席者のうち、獣医師会を含む数名が、こう言った。

 「グループは地域住民を含んだ複数名」

 「獣医師会としてはハードルを下げすぎると営業妨害にもなり、会員の了承を得られなくなる」

 「モデル地区を市内で3か所とするのがよいか、各行政区に設けるか」

 「手術の可能頭数は、器具や医薬品、収容設備、術者の都合により変ってくる。

 地域管理猫の目印として耳カットまで行わなくてもよいのではないか。愛護の観点から、二重オペになってもかまわない。設備や環境で手術を受けない獣医師もいるとみられ、耳カットまですると参加する獣医師が減少するかもしれない」

 「耳カットは目印のほかに飼い猫を偽って持ち込むことを防止する意味もある。他によい識別法があればそれでもよいと思う」

 このように獣医師会も、「ハードルを下げすぎると営業妨害」と言い切っており、野良猫を増やさないための取り組みに熱心でないことを見せつけている。「ハードル」を上げることで、市民は不妊去勢手術できず、結果的に野良猫が増える。すると猫の殺処分が、増える。獣医というのは無論、動物の命を守る職業なのに、京都市の獣医師会は、猫の殺処分を増加させる政策に加担している。

 なお、「二重オペでもかまわない」という暴論を伴う耳先Vカットの有無については、結局、現在は猫の両耳に入れ墨をいれている。

 次に平成211211日、午前910時にかけて、家庭動物相談所で、3回目の会議が行われた。

 そこでは、モデル地域の数を「各行政区12箇所わりあてる」「その中から、まず1地区について集中して(捕獲、手術を)進める」「申請が殺到する場合の対応を考えておく必要がある。応募として抽選するよりも、書類選考して、実地、面接等を行い、進める地区を選定するのがよい。申し込みに当たっては、餌の対応やトイレの始末、苦情の有無と内容などを盛り込んでおく」

 また、こういう発言もある。

 「飼い猫ではないというお寺の猫や会社にいる猫の扱いは、世話をしていれば、飼い猫という見方もできる。また、地域で特に問題となっていないのであれば、地域猫として考えていく必要がないと思われる」

 ここでいう「地域で特に問題となっていない」猫は、「地域猫として考えていく必要がない」というのは、つまり、京都市の役人の頭では、地域猫とは地域で問題化している猫、ということになる。

 だが、筆者は、地域猫の創始者・横浜市保健所職員で獣医師の黒澤泰氏の、地域猫について講演を聞いたことがあるが、京都市の言うようなことは全く言っていない。

 結局、創始者の考えが、全国で浸透していないから、京都市のような自治体がでてきてしまう。

 そこで筆者が今春にまとめた黒澤氏の講演録と、京都市のエサやり禁止条例についての黒澤氏の見解を記した文をリンクする。是非参考にしてほしい。


その一

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/2cd79e5d0b4d8efd3f6907e29e2f31df


その二

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/d58fdf1ed4757368ec7ea071de4833fb


その三

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/e5df3db54335f9981c4941991add2f5e


その四

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/0f553d7ebf0eb2dcd7d7fc951b983c93


その五

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/3c7602a2b657ea8af37def5c041e91c8


その六

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/2921326a504584ca3e12cf436303c975


その七

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/f0654b1e7a49bc0f8ba19a15fea4a742


その八

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/7a71170c1281baa443cc9f2009489765


その九

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/35be35a33b63c02b198b832d7ffa5ab6


その十

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/5a714aaa2aaba2ab7caf9c3a72ff3d5f


その十一

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/7cf9a589afdafd0bd8012bbabb343f34


その十二

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/382f3b121f885534e95cd2188d2f6b44


その十三

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/d5cea0b765eb29a610a90b6c234b03ce


その十四

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/3e1b2dbe91a723b6c37116f5a3ba5651


その十五

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/a477ebafce6335f22ba94689fba52c02


その十六

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/565c80aeb8397dac56c13ca8257466c0


その十七

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/ebe4b52b7fdb37985dfc6a7ad68870c6


その十八

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/a7508989a7e167ed4f7ecccd3c25e26d


その十九

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/3c8d87a93726c0cd70d43e436b8062d0


その二十

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/ba41f6da2e1798d23e3f7a65024cb131


その二十一

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/0bf8a523ebbb23aa2d4ac5ed30ddb263


その二十二

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/647792bedfb450beff441119d64101b9



京都市の猫エサやり禁止条例についての黒澤氏の見解

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/da2c7ecff130b8ed8eb751514a0f5397



 (続く)

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2015年10月19日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十九

 次に「(2)役割分担について」。

 「@保健所 (例)相談(保健所職員の派遣要請含む)、受付、現地調査」 

「A家庭動物相談所 (例)捕獲檻の貸出、猫の搬送、術前術後管理」

 「B社団法人京都市獣医師会 (例)手術実施、術前術後管理指導」

 「C生活衛生課 (例)予算、広報、資料作成」

 「D住民が行うこと 

 (例)地域の合意形成、活動計画、申請書の作成、猫の捕獲、返還後の猫の管理、報告」と書いてある。

 次に「3 受入団体の条件について (例)地域の範囲が比較的明確であり、対象となる猫が把握されている

 猫が生息する地域の住民を含んだ同一世帯でない3名以上の活動団体である

 地域の自治会、町内会等の理解と合意を得られている

 地域管理猫の目的を理解し、趣旨に沿った活動を実施できる」。

 その下に出席者がこう意見している。

 「餌やりはしても糞の始末をしていないのが多い。

 自治会の責任・負担を軽くしておく、元に戻すことを容認するくらいにしておく。善意もあるが、ソトネコを野良ネコといって動物病院に連れてくる例がある。

 猫を捕獲する場合、まずつかまえるのは弱い猫、元気で繁殖力の強い猫はなかなかつかまらない。多少の病気でも増えて困るという観点から手術を行う(死亡のリスクの十分な説明と合意をしておく。駄目でもやるということを明文化する。)

 餌やりグループと町内の合意が鍵。

 猫の保管は元のケージでおくか管理檻に移すかして安全性の確保と放す準備をしておく。」

 「グループの方に頑張ってもらう。行政が関与しなくてもできるのが理想であるが、行政はグループの方だけでなく地域住民に制度の仕組みや目的を説明することが必要である。

 問題となるのは、入り口での振り分けとトラブルの際の責任の所在である」

 この「入り口での振り分けとトラブルの際の責任の所在」というのは、「入り口の振り分け」、つまり、「町内会の合意」というハードルを入口に設けることで、大多数の餌やりを振り分けるという意味と見られる。また、「トラブルの際の責任の所在」とある一方で、「自治会の責任・負担を軽くしておく」と書いてある点から見ても、町内会の人間中心の制度であることがわかる。そこには、猫を嫌な人もいるかもしれないが、猫を減らすため、町内会の将来の世代のため、町内会に今生きる人には我慢もしてもらって、みんなで猫との共生を進めていきましょう、という地域猫活動の本来の趣旨は、ない。

 (続く)

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2015年10月18日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十八

 この第一回目の会議では、その後、「生活課作成のガイドライン等の案について」の「読み合わせ」を行い、「概略を知ってもらい今後検討、修正していく」こととなった。

 第一回目なのに「読み合わせ」できるレベルのガイドライン案ができているという点からも、既に骨子は出来上がった上で会議を始めたことをうかがわせる。

 その後、今後のスケジュールなどを話した後、家庭動物相談所の北村氏が、こう言った。

 「メンバーに入っていない保健所からの意見聴取はどうするのか」

 そもそも京都市には11の保健所がある。支所を含めると計15に上る。そのうち、会議に出ているのは5つの保健所のみ。ほかの保健所のメンバーも参加させて決めていく、という北村氏の言い分は至極もっともである。が、この発言はスルーされてしまい、最後まで反映されることはなかった。

 その点からみても、この会議は出来レースなのではないか?という疑念が募る。

 平成21128日午後3時から午後4時半にかけて、第2回目の検討会議が行われた。(※2回目の会議以降は、議事録に発言者名が明記されず)

 内容は、まず、会議の名称について話し合われたが、「妙案なし次回へ保留」となった。

 次に「地域管理猫対策事業の流れと役割分担」について。

 「(1)流れについて モデル地区を設けるか、捕獲檻の貸出方法など」に関しては、こういう話が出た。

 「東京では3年間モデル地区を行い、ようやく形のあるものになった。大阪ではモデル地区を行っているが、問題点がいくつも見えてくる。コーディネートをすることが大変である。愛護のサポートがあっても地域との結びつけに時間を要する。 

 規模をどの程度に考えるか。殺到した場合の問題や行政区ごとの件数

 自治体や保健所が混乱するので、やりやすいところから、合意形成が得られやすいところから始めるのが望ましい。愛護と嫌悪の対立に巻き込まれる。

 モデル地区を1行政区12か所くらいか。トイレの始末の場所、自由に使える土地があるか。モデル地区で成功例があれば参考になる。

 捕獲檻は貸出を。相談所が集中管理し、貸し出す。数があまりない」


 ここでいう「コーディネートをすることが大変」というのは、エサやりボランティアと自治会の間を取り持つことを言っていると見られる。そもそも地域猫活動では、それこそが役所の仕事なのに、いかにもやりたくなさそうである。

 さらに、「合意形成が得られやすいところから始めるのが望ましい。愛護と嫌悪の対立に巻き込まれる」というのも、いかにも面倒くさそうな言い草で、地域猫活動など本当はしたくない、という京都市の本音が、よく表われている。全国的な地域猫の普及拡大という「時代の流れ」の中で、京都市は仕方かなく始めたとみられる。

 そして、こう書いてある。

 「流れは『自治会の合意→捕獲→手術→』」

 結局、対立に巻き込まれたくないので、「自治体の合意」という高いハードルを設けて対処する、ということで落ち着いた、というわけだ。

 (続く)

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2015年10月17日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十七

 「福岡市の手法」とは一体何なのか?

 「わんにゃんよかネット」という福岡市動物管理センターのHPがある。そこには「飼い主のいない猫との共生活動(地域猫活動)」とあり、こう書いてある。

 「地域猫活動」とは「周辺住民の理解を得た上で、ボランティアグループなどが、屋外で生活する飼い主のいない猫に不妊・去勢手術を施し、トイレや餌やりの時間を決めて世話をするなど、一定のルールに従い、猫を一代限りで飼育することで問題解決を図っていく活動です」とある。

 そして「具体的な活動内容」として、「不妊去勢手術」「トイレの管理」「ルールを守ったエサやり」を挙げている。

 また、「福岡市飼い主のいない猫との共生支援事業」と呼ばれる市の支援内容として、「専門的な問題への助言・資料提供」(「飼い主のいない猫」との共生を進める上で、猫の習性や行動など専門的な問題に対して助言や資料を提供)、「講習会等へ講師派遣」(「飼い主のいない猫」との共生を進める上で、地域の合意形成等に必要な講習会等の開催にあたって、説明等を行う講師を派遣)、「『飼い主のいない猫』の不妊・去勢手術の実施」を挙げている。

 この中で「周辺住民の理解を得た上で」、というのが、ひっかかるが、具体的に何をもって理解というのかは、書いていない。 

 そして、同HPの最後には、こう書いてある。

 「支援に際しては、地域の指定が必要となりますので、詳しくは家庭動物啓発センターへご相談ください」(写真はわんにゃんよかネットHPより)


地域の指定が必要.JPG

 福岡市の他のHPも色々調べたが、やはり「地域の指定」とは何を指すのかは、書いていなかった。

 住民に情報をオープンにしない、というのは、なんだか隠したいことがあるようで、怪しい。

 そこで福岡市の保健福祉局 生活衛生部 生活衛生課に聞いてみた。

 筆者は、電話に出た役人に対し、「福岡市がやっている地域猫制度というのは、『地域の指定が必要』とありますが、これは何か条件はあるのですか?」と聞いた。

 すると、役人はこう答えた。

 「地域指定の条件とは、その地域に、少なくとも三人の住民の活動主体がいることが条件です。基本は別の世帯の人です。地域とは、通常、町内会が単位です。

 もう一つの条件は、地域住民の理解を得ることです。これには決まったやり方はありませんが、客観的にわかるものとして、通常、『町内会長の同意』、これが現実的です。

 それともう一つが、対象猫がはっきりしていること、これが条件です」

 さらに、役人はこう語った。

 「地域の指定を受けないと、支援はしません。支援とは、不妊去勢手術を無償で実施することです。地元への職員の説明などの支援は、地域の指定を受けていなくても実施します」

 「3人以上」「町内会の同意」という点は、京都市と酷似している。高いハードルをクリアすると、不妊去勢手術代がタダになるという、ゼロか100か両極端で、差別的である点も、全く一緒である。福岡市の役人が町内会に職員が説明するという点も、京都市の役人がまちねこ事業の説明をして、幾度となく断られているのを彷彿とさせる。

 違う点は、京都市は「餌やりのための私有地の確保」という、さらなる要件をプラスしている点である。

 町内会の合意がなければ地域猫とはみなさい、というのは、町内会の合意がなければ、野良猫は害獣なので共生はできない、といっているに等しい。そうすると必然的に、町内会の合意がなければ、地域猫活動の一環である猫へのエサやりもいけない、ということになる。

 福岡市は、エサやり禁止条例を制定した京都市の「予備軍」である。実は特に西日本に「京都市予備軍」は多い。そういう街は、いつエサやり禁止条例ができても、何ら不思議ではない。そのことはまたの機会に記す。

 要するに、京都市は、野良猫との共生という地域猫の精神を骨抜きにするため、福岡市の制度を援用した。

 (続く)

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2015年10月16日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十六

 次に、こういう発言があった。

 谷口(左京保健所)「餌やりを否定することは難しいが、不妊去勢手術やトイレの始末を行ってくれない。地域猫は個人的に1人で行っている場合が多い。飼い猫かどうかなのか分かりにくい場合がある。猫の適正管理を行っているところもある。大学内での問題がある」

 北村(家庭動物相談所)「獣医師会に手術を受け持ってもらうとして、相談所は術前術後の管理や手術の実施頻度により、収容力の問題が生じている。手術の数の制限をどのくらいに設けるのか」

 松原(山科保健所)「一人の人が餌やりをして、地域の方と対立している場合があるが、地域での協力ができるのか。行政がどこまで介入することになるのか」

 多田(北保健所)「地域猫という考え方は、苦情を被っている方に受け入れられるのか。保健所として何ができるのか。保健所間での対応の格差が生じることはないのか。また、受け入れのハードルをどこまで下げられるのか」

 河野(中京保健所)「旧来の住民が餌やりをしており、新しく引っ越してきた方と対立するケースがある。これまで野良猫に対応していなかったので指針を示すことができるのはプラスである。また、各自治会等が対応となった場合、自治会に属さない方には意識が伝わらないと思われるので、ケアが必要」

 次に、生活衛生課の永井氏が、いきなり、こう発言した。

 「ハードルは高めに設定することを考えている。地域での取組ということが趣旨であり、地域に属さない方は基本的に対象外。合意形成をして行うものであり、何でもかんでも簡単に受け付けるものではない」

 筆者が指摘した、獣医師会の■■氏、伏見保健所の辻氏、そしてこの生活衛生課の永井氏は、まるで口裏を合わせたかのように、「地域の合意形成」、つまり、「町内会の合意」を必須条件とする、という意味の発言をしている。

 その他のメンバーは色々と意見を述べているが、基本線は既に決まっている印象を受ける。

 というのも、この意見交換のあと、添付資料を配って出席者に配っている。この添付資料は、文書の保存期限が切れているため、京都市が破棄しており、開示されなかったのだが、議事録の式次第に、かすかに内容が載っている。そこには、こう書いてあるのだ。

 「福岡市が京都市の行う手法に近いとみられる。今年10月から開始、3地域6頭実施」

  

式次第.jpg

 「福岡市が京都市の行う手法に近い」ということは、京都市は初めから、福岡市をモチーフにするつもりでいる、ということになる。

(続く)

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