ふじちゃんが、カミさんの実家でくらす、という選択肢がなくなった。
そこで、意を決し、引っ越すことに、決めた。改めて。
そのとき、カミさんは、いま住んでいるところで、猫が飼えないか、念のため、大家さんに聞いてみたい、という。もともと、ペット可マンションではない、と聞いていたので、大家に聞いても無理だ。
と確信しつつ、筆者は、大家のいるとある場所へ行き、
「猫、飼えないですかね?」
と聞いた。
「飼えません」
と大家は即答した。
それを伝えたところ、カミさんは、仲介した不動産の担当者に、手紙を書いた。
本当にこの物件が気に入っていたけど、どうしても猫を飼いたいので、引っ越します、短いあいだでしたが、いままでありがとうございました、という意味のことが、つらつらとつづってあった。
そして、いざ、引っ越し、という段になる直前に、ささやかな、奇跡が、起こった。
手紙を読んだ不動産の担当者が、カミさんに電話をし、にわかに、こう切り出したのだ。