2018年01月27日

ルポ猫を飼う いきさつ 四

 こうして、フジちゃんと、カミさんの実家のオス猫を、居間のガラス窓越しで、引き合わせることとなった。


すると、実家の猫のほうは、ニャンニャンと親しげに鳴いて近付いた。


だが、意外にも、フジちゃんのほうは、プイっと横を向いて無視した。気に食わなかったのだろうか。


そして、「なんだ、ほかの猫がすでにいる家なのか。こんな家に興味なし」、という感じで、さっさと庭の外に出て行ってしまった。


実家のオス猫が、新手のフジちゃんを追い返そうとするならわかる。が、野良猫で日々ひもじい思いをしているフジちゃんが、こういう態度をとるとは、思わなかった。


人間なら、もっといやしく媚びへつらって、飼われようとすることだろう。


要するに、たとえ雨露をしのぎ毎日食事が出る生活が送れるとしても、自分以外の猫のいる家に住むくらいなら、飢えや寒さに苦しんでも、我が道を行く、というプライドが、ほとばしっている。


 司馬遼太郎氏の「街道をゆく」に、モンゴルには「悪く生きるより、よく死ね」という言葉がある、とあったが、猫の生きざまにも共通する。


この気位の高さ――。


人間も猫を見習うべきである。

 (続く)

posted by ssk at 21:38| Comment(0) | 連載
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