そして、悲しみのなかで考えた。
実は、カミさんの実家では、すでにオス猫を一匹飼っている。が、もう一匹は飼えない、という。
なんでも、以前、カミさんが飼っていたメス猫が、カミさんの国家試験の勉強のさ中、膝に乗ったり、部屋にいたりで、合格の結果が出る直前まで見守り、息を引き取った。
カミさんは応援してくれたその猫のことを感謝し、今も、居間にその猫の写真を飾っている。
そしてその猫は生前、カミさんの実家に一匹だけで住んでいたところ、ある日、オス猫もあらたに飼うことにした。すると、メス猫のほうの食が細り、ストレスでずいぶん苦しんだ。結局、その後、オス猫が、家でぬくぬくと生きることを潔しとせず、血気のままに家を飛び出し、再び一匹になったことで、ストレスは解消された。
そういう経験をしたため、猫を一匹飼って、あとから猫をあらたに飼うと、前からいた猫が、苦しんでしまう、だから、実家でフジちゃんは飼えないという。
だが、それは猫によるのではないか、と筆者は思った。
まず、フジちゃんと顔合わせして、相性がよさそうか、たしかめてみる価値はあるのではないか。
(続く)