2017年04月08日

「現代の治安維持法」共謀罪

 平成二十九年三月二十七月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「「現代の治安維持法」共謀罪」


 を企画、取材、執筆しました。



22日付の朝日新聞朝刊によると、「自民、公明両党の幹事長と国会対策委員長が22日、会談し、『共謀罪』新設法案について、今国会中の成立を目指す方針を確認した」という。

 共謀罪については17日付当コーナーで指摘した通り、刑事法の基本原則を揺るがすとんでもない法案である。そして、よくいわれるように共謀罪は、戦前の治安維持法に似てる。政府の答弁まで、戦前と酷似している。

 例えば、どうしてこの法案が必要なのかという点について、1925年の治安維持法を巡る答弁では、「過激運動者が不穏な行動に出る傾向はますます増加」「取り締まり法規が不十分」『若槻礼次郎内相、3月、貴族院)と述べている。これに対し、今年1月の安倍晋三首相の答弁は「今までの判例ではテロを未然に防ぐことができない。たくさんの人が死ぬ危険性がある」(衆院)と、やはり危機感を煽る発言をしている。

 対象拡大をするのではないか、という点についても、1925年では「抽象的文字を使わず具体の文字を用い、決してあいまいな解釈を許さぬ」(若槻内相、2月、衆院)、これに対し、安倍首相は「解釈を恣意的にするより、しっかり明文的に法制度を確立する」(参院)と述べている。

 一般人も対象にするのでは、という点についても、1925年では「無辜の民にまで及ぼすというごときのないように十分研究考慮を致しました」(小川平吉司法相、3月、貴族院)、安倍首相は「国民の思想や内心まで取り締まる懸念はまったく根拠がない」(参院)と、酷似している。(朝日新聞15日付朝刊より)

 なお、共謀罪については、内田博文・神戸学院大学教授がこう警鐘している。(22日付同紙朝刊)

 「共謀罪はじめ近年の法整備などの動きは、戦前をほうふつさせます。国の安全保障に関する情報漏れを防ぐ特定秘密保護法が2013年に成立、14年には集団的自衛権行使を容認する閣議決定がされ、15年には自衛隊の海外での武力行使を可能にする安全保障関連法が成立しました。この流れの中に、共謀罪の制定があります。戦時体制を支えた、左翼思想を取り締まる治安維持法、軍事機密を守る軍機保護法や国防上の重要な情報を守る国防保安法などの戦時秘密法、すべての人的、物的資源を戦争のために使えるようにする国家総動員法、家族や民間団体を統制する戦時組織法制を整備していった戦前に重なるのです」

 共謀罪のどこが問題か、との問いには、「『社会に有害な結果を生じる行為がなければ処罰されない』という近代刑法の基本原則に反します」と指摘し、「治安維持法を審議した帝国議会でも、『この法律は思想、信条を処罰するもので、近代刑法の原則に反する』という強い批判が出ました。それに対し、政府側は『社会の敵を対象とするので近代刑法の原則にのっとらなくてもいい』と答弁しています」「共謀罪の法案が成立することになれば、行為や結果を中心として処罰してきたこれまでの犯罪観を一変させます」と述べている。

 かねて「今の状況は昭和31928)年に似ている」と指摘する同氏は、「昭和3年は、公共の安全を守り災厄を避けるため緊急の必要があり、帝国議会閉会中に政府が発布できる緊急勅令によって、治安維持法が改正されました。それまでの取り締まり対象だった共産党に加え、労組なども共産党の『外郭団体』だとして取り締まり対象に加えられました。これ以降、プロの活動家だけでなく普通の人が取り締まられるようになり、拡大解釈で戦争に反対する勢力を弾圧するため使われました。戦況が悪化した昭和181943)年以降は、反戦的な傾向がある小規模の新興宗教への適用が目立ちましたが、反戦思想は治安維持法の対象ではなかったので、国体を否定することが口実とされました」、共謀罪も「すでに拡大解釈される仕掛けがあるのです。『共謀』という概念について最高裁の判例は、明示的なものである必要はなく、暗黙の共謀でもいいとしています。たとえば、米軍基地建設反対運動をしている市民団体が威力業務妨害罪で摘発された時に、その妨害行為をするための話し合いに参加していなくても、その話し合いがされていることを知っていて黙認した人も『暗黙の共謀』があったとして起訴されるかもしれません。さらに、共謀罪に幇助(ほうじょ)罪が成立するという解釈を採れば、共謀と直接関係のない家族や友人も摘発される可能性もあります」という。

 そして、共謀罪法案が成立すると、治安維持法のように「普通の人々」の「普通の生活」が処罰の対象になりますか?との問いに同氏は、こう答えている。

 「行政の施策への反対やあらゆる権利運動が対象になるでしょう。共謀罪の成立要件とされている『組織的犯罪集団である団体』の活動については、組織的犯罪処罰法では会員制リゾート会社による詐欺的な預託金募集といった企業の営業も対象になると解釈されています。また、偽証罪も共謀罪の対象犯罪とされていますから、例えば弁護士が証人との打ち合わせで、『次回の口頭弁論でこう証言しよう』などと、普通に話し合っただけでも偽証罪を疑われ、共謀罪に問われかねません。戦前、治安維持法違反事件を弁護した多くの弁護士が、同法違反で起訴された事件を思い起こさせます」

 安倍自公政権は、テロにかこつけて「現代の治安維持法」を成立させようとしている。(佐々木奎一)



posted by ssk at 22:27| Comment(0) | 記事
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