2017年03月06日

「清流復活」ダム撤去の町と、八ツ場ダム…

  平成二十九年二月二十月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「「清流復活」ダム撤去の町と、八ツ場ダム…」


 を企画、取材、執筆しました。




10日付の朝日新聞朝刊群馬県版に「八ツ場ダム見学のプログラム開始へ 国交省、小中学生向け」という記事がある。それによると、「2019年度の完成に向けて工事が進む八ツ場ダム(長野原町)を小中学生に見学してもらおうと、国土交通省関東地方整備局は4月から、社会科見学向けのプログラムを始める」という。*

 その内容とは、「2部構成で、1部(40分)は、ダムの計画が発表された1952年から、反対運動や一時中止などを経て現在に至ったこれまでの歴史、ダムの必要性などを学ぶ。(中略)2部は体験型で(中略)ダム湖に沈むため、移転した道路や水道、駅、住宅地をバスで見学する(中略)八ツ場ダムは(中略)昨年6月から、高さ116メートルの本体となるコンクリートを積み上げる作業が始まっている。担当者は『ダム工事を見学できるのは今だけ。工事の最盛期にいろいろ学んでもらいたい』と話す。特に小学45年生の社会科見学を見込んでおり、ダムが完成する19年度まで続けることも視野に入れている」という。

 だが、当コーナーで再三指摘している通り、関東の水需要は減ってきている。治水面でも八ツ場ダムの効果はゼロに等しい。それでいて総工費は兆単位に膨らむ見込みで、さらに吾妻渓谷の4分の1や国の天然記念物を水没させ、絶滅の危機に瀕している動植物の生態系を破壊し、観光地の川原湯温泉も破壊し、一帯を道路や橋で埋め尽くし、水没させようとしている。

 その悪政に反対する声を絶滅させるため、安倍自公政権は、子どもの“洗脳教育”にはげんでいる。それがこの見学プログラムなるものである。ちなみに、これと同じ構図は、原発でもあった。つまり、子どもたちを原発立地に連れて行き、見学させたり、絵を描かせたり感想文を書かせるコンクールで賞をとせさたりして、子どもを洗脳する手口である。

 だが、いうまでもなく、いま見学すべき地は、八ツ場ダムなどではない。「荒瀬ダム」こそ、子どもたちに伝える価値のあるダムである。

 荒瀬ダムとは、1955年にできた発電専用ダムで、熊本県八代市の球磨(くま)川中流にある。荒瀬ダムはご多分にもれず、ダムができてから水質が悪化して漁業等に悪影響を及ぼすようになり、地元住民が撤去を求め、02年に元熊本県知事の潮谷義子氏がダム撤去を決めた。その後、二転三転したのち、2010に撤去が決まり、工事が始まった。

 そのことについて、「ダム撤去、清流復活―熊本・球磨川、生物の種類7倍に」という、昨年1219日付日本経済新聞朝刊の記事がある。それによれば、「工事開始から丸4年が過ぎ『みお筋』と呼ばれる本流が約60年ぶりに復活」。すると、水質が改善し、「カゲロウ、カワゲラなどの水生昆虫が目に見えて増えた。流量の回復で泥が除かれた河口域の干潟では、シオマネキなどの甲殻類やマテガイが姿を見せるようになった。

 県荒瀬ダム撤去室が、ダムに近い支流と球磨川が合流する地点で、14年度に川底の生き物の種類を数えたところ、69種を確認。工事前(04年度)のほぼ7倍になっていた。干潟のアナジャコ漁の漁場も広がり、竹筒を使う伝統のウナギ漁を再開する漁師も現れた。

 荒瀬ダムを抱える旧坂本村(現八代市坂本町)の人口はダム建設時の19千人から約3900人に減少し、高齢化率は県平均の1.6倍の52%。坂本住民自治協議会は『清流を復活させた町』の街おこしを計画中。森下政孝会長(75)は『ダム撤去への関心を高めて地域再生のチャンスにしたい』と話す。

 川底にはダムに堆積していた土砂が残っており、『生き物であふれた昔の川に戻るにはまだ数年はかかる』(森下さん)。また、中流にある発電用の瀬戸石ダムや河口付近の堰(せき)に阻まれ、アユは上流域までは遡上できない。地元ではこうした構造物の扱いについても議論が高まっている。

 みお筋が回復したことを受けて、今夏には球磨川で住民による初の『灯籠流し』が行われた。子供たちが願い事を書いた500基の灯籠を一目見ようと多くの見物客が集まった。川の流れだけでなく、地域の活気も取り戻せるのか。工事は183月に完了する予定だ』とある。

 そして、記事には、「球磨川に戻ってきた生き物たち」とあり、ハゼやカワゲラ、ハクセンシオマネキ(カニの一種)の写真や、「球磨川の底生動物の種類数の変化」の撤去前後の数値のグラフや、ダム撤去の前後の写真付きで、いかに清流に戻ったかを、わかりやすく示している。

 荒瀬ダム撤去工事は、この国の希望といえよう。(佐々木奎一)





posted by ssk at 22:32| Comment(0) | 記事
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