2017年01月22日

金魚以下に人間を劣化させるスマホの害悪

 平成二十九年一月十三月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「金魚以下に人間を劣化させるスマホの害悪」


 を企画、取材、執筆しました。




19日付の読売新聞朝刊に「そばにスマホ 注意力低下 あるだけでも…気を取られ 北大で実験」という記事がある。

 それによると、スマートフォンを「そばに置いてあるだけでも持ち主の注意力を低下させることを、北海道大学の河原純一郎特任准教授らが実験で確認した。(略)

 実験では、パソコンのモニター上で、様々な図形を映し出し、その中から『T』の形を被験者が見つけるまでの時間を測定した。被験者を20人と18人の二組に分け、一組にはモニター脇に被験者のスマホを置き、もう一組にはスマホと同じ大きさのメモ帳を置いて、実験に参加してもらった。

 その結果、見つけ出すまでの時間は、スマホの組が平均366秒で、メモ帳の組は平均305秒となり、スマホ組はメモ帳組より約20%遅くなった。

 河原特任准教授は『スマホに対して注意が向いてしまい、成績が悪くなったと考えられる』としている」という。

 なお、この論文は、日本心理学会の電子版国際誌「ジャパニーズ サイコロジカル リサーチ」に先月末に掲載したという。国際研究誌ではなく国内誌に載せている点からみて、学術的な信頼性には疑問符がつく点がなきにしもあらず、かもしれないが、こんな記事もある。それは110日付週刊ダイヤモンド電子版「現代人の集中力持続は金魚以下!IT進化で激減」。そこには、こう書いてある。

 「『金魚の集中力は9秒しか続かないとされています。では、現代人の集中力はどのくらい続くと思いますか』

 正解はなんと8秒。金魚よりも短いのだ。このデータは、米マイクロソフトのカナダの研究チームが20155月に実際に発表したものだ。約2000人の参加者の脳波などを測定した結果で、2000年は12秒だったヒトの集中力の持続時間が、13年には8秒まで短くなってしまったという。

なぜここまで現代人の集中力は短くなってしまったのか。最大の要因は、IT技術の進化に伴う環境の変化である。

まず、われわれを取り巻く情報量そのものが、飛躍的に増大した。米調査会社IDCによれば、1年間に生み出されるデジタルデータ量は、2000年の62億ギガバイトから、13年は4.4兆ギガバイトと約700倍に膨れ上がった。今後も増え続け、20年には、44兆ギガバイトまで膨らむと推定されている。

さらに、LINEやツイッターをはじめとする、SNSの新たなコミュニケーション手段が登場したことも、集中力の持続時間の低下に拍車を掛けた。

 『情報の豊かさは注意の貧困をつくる』。ノーベル経済学賞を受賞した知の巨人、ハーバート・サイモンが1970年代に看破したように、身の回りに溢れかえる情報が人間を振り回し、集中力を奪っているのだ」

 こうした「ITの進化と人間の劣化」の逆比例については、当コーナーでたびたび紹介している「ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること」(著: ニコラス・G・カー/: 篠儀直子/青土社刊)に詳しい。が、スマホの横行により、近年は劣化に拍車がかかり、ついに人間は、金魚よりも落ち着きのない生き物になってしまった。

 そういう時代に、何らかの目標に向かって成長していきたい、という向上心のある人は、まずは、そうしたスマホ類を使わない、避ける、遠ざける、というところから始める方が、賢明である。

 ちなみに、2014910日付ニューヨークタイムズ電子版によると、スマホの象徴であるアイフォンの生みの親のアップル創業者スティーブ・ジョブズは、自分の子どもにアイフォンなどのIT機器は使わせていなかったという。これぞ、現代の英才教育の第一歩といえよう。(佐々木奎一)

posted by ssk at 22:29| Comment(0) | 記事
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