2016年11月06日

「原発ゼロ争点にすれば自公は負ける」小泉純一郎

 平成二十八年十月二十四月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「「原発ゼロ争点にすれば自公は負ける」小泉純一郎」


 を企画、取材、執筆しました。



23日投開票の衆院補選で、東京10区は自民公認、公明推薦の前職、若狭勝氏(59)、福岡6区は無所属新顔の鳩山二郎氏(37)がそれぞれ当選した。自民は鳩山氏を追加公認し、事実上2勝。野党は一本化したものの民進公認候補がともに敗れた(23日付朝日新聞電子版)

 しかも、「民進は社民などの推薦の申し出を断り、東京10区では野党4党の党首級がそろう合同演説会に候補者が来ないなど、終始、ちぐはぐな対応が目立った。野党3党推薦候補が勝利した16日の新潟県知事選の勢いを生かすこともできず、むしろ知事選で表面化した連合との亀裂が選挙戦に影を落とした」とある。

 この「亀裂」とは、新潟県知事選で、連合が原発推進の自公の推薦する候補を推した。それに対し、選挙終盤で民進党の蓮舫代表が、民進党以外の野党が推す脱原発を掲げる候補を応援したことで、連合と民進党執行部に亀裂が入ったことを指している。

 巷では、衆院選はいつあってもおかしくない、と盛んに自公議員が吹聴している。そうしたなか、野党第一党の民進党のこの動向は、野党支持者にとって、まことに心もとない。

 要するに、民進党はいま、支持母体である連合が、最大のネックとなっている。そのことに関し、示唆深い記事がある。それは、共同通信社が19日、小泉純一郎元首相に対し行った、退任後初めての単独インタビューである。

 同社の記事によると、インタビューの要旨は次の通りだったという。

 ――新潟、鹿児島両県知事選で、原発再稼働に慎重な候補が勝利した。

 小泉氏「目に見えない、うねりが出てきた。衆院選に影響がある。野党が候補を一本化し、原発ゼロを争点にしたら、自民党が勝つか分からない。野党が勝つのではないか。今までは争点隠しされた。これからは影響がある」「民進党は最大の争点が原発だと分かっていない。野党がだらしないから与党は楽だ。野党が原発ゼロを言い出したら、原発再稼働について、自民党から『実は反対』という議員が出て、ごたごたする。自民党は民意を無視している。民意を無視する政党が、政権を持続できるわけがない」

 ――今、現職なら原発ゼロを争点に信を問うか。

 「当たり前だ。野党は真っ青になる」

 ――即、原発ゼロか。

 「もちろん。原発推進論者の『安全、コストが安い、クリーン』とのスローガンは全部うそだ」

 ――首相在任中の原発政策を反省しているか。

 「当時、分かっていれば、とっくにゼロにしていた。論語の『過ちては改むるにはばかることなかれ』だ」

 ――高速増殖炉もんじゅの評価は。

 「(核燃料サイクル政策)全てが駄目だ。必要ない」

 ――使用済み燃料の再処理を認めた日米原子力協定のため原発政策をやめられないとの声もある。

 「米国は日本が方針を決めたら、いやと言えない。(2018年が期限の協定を)更新する必要はない」

 ――東日本大震災で救援活動をした元米兵の支援に取り組む理由は。

 「口だけの感謝では済まない。来年3月までに1億円を集め、見舞金として渡したい」

 このように原発政策について語ったという。また、安倍自公政権は、北方領土の2島返還をして支持率をアップさせた後に衆院選に臨み大勝して、憲法改正をするのではないか、と盛んにいわれているが、小泉氏は、こう語った。

 ――首相は憲法改正を実現できると思うか。

 「できない。基本は9条改正だが、国民に変える雰囲気がまだない。9条以外を変えるのは意味がない」

 ――北方領土問題は解決できると考えるか。

 「難しい。ロシアが北方四島の日本帰属を認め、2島を返還するならいいが、しないだろう」

 おそらく歴代の日本の首相のなかで最も選挙に強かったであろう、軍神(武運を守る神。いくさがみ。広辞苑)のような人物の言葉なだけに、真に迫るものがある。

 また、103日付の週刊アエラにも、小泉氏の単独インタビューが載っている。そこには、こういう下りがある。

 「原発ゼロを訴える原点については、こう語る。『私は首相だったとき、専門家の意見を信じていたけど、東日本大震災の後、自分で勉強し直した。113月以降、13年の9月まで、原発はたった2基しか動いていなかったし、それから去年の8月に川内原発が再稼働するまではまったくゼロですよ。この夏に伊方原発が動いたけれども、10月から川内原発は順次検査のために止まる。5年以上たっても、せいぜい23基しか動いていないけど、暑い夏も寒い冬も、電力不足を理由にした停電は全国で一度も起きていない。日本は原発ゼロでやっていけるんですよ』

 「原発ゼロの話になるとさらに力がこもり、弁は熱を帯びる。『まだ汚染水だってコントロールできていないし、除染にだって一体いくらかかるのかわからない。5年間、実質的に原発ゼロでできているのに、なおかつ再稼働させるのか。なぜこんなバカげたことをやるのか、不思議でしょうがないんだ。原発ゼロなんて、やるのは簡単ですよ。総理が決断するだけだ。経産省や推進論者はクルッと変わりますよ。日本が決めたら米国だって嫌と言いませんよ。責任もどこにあるのかあいまいで、政府? 規制委員会? 東電? よくそんなごまかしがきくな。不思議だね。いずれわかることだけど、原発ゼロのほうが成長できる。私はますます自信、確信を持っているんだよ。原発がなくなると働き口がなくなるという人がいるけど、雇用の場は、自然エネルギー、新しい産業で出てくるよ』」

 さらに、こう書いてある。

 「民進党は蓮舫氏が代表に選ばれ、執行部も一新した。民進党にアドバイスするとしたら、と聞くと、『ただちに原発ゼロを最大の焦点にしろ。それができない限り、民進党の支持は上がらないよ。2030年代にゼロにする? じゃあなぜ今ゼロにしないの?これもわからない。いずれ自民党がゼロを打ち出したら、もう野党はめちゃめちゃだよ』」

 このように、選挙の天才・小泉氏は言っている。だが、上述の通り、連合は、原発を再稼働したがっている。つまり、原発ゼロにするということは、民進党が、最大の支持母体・連合と決別することを意味する。これは民進党にとって、コペルニクス的転回である。

 なお、現状の民進党の内情を現わす、こんな記事がある。それは「民進『原発ゼロ』に波紋 工程表作成、党内に慎重論」(21日付朝日新聞朝刊)という記事。

 それによると、「蓮舫代表は20日、東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発を視察した。記者団に『原子力政策に関して複数の選挙で明確な結果が出ている。再稼働ありきでは絶対に国民の理解は得られないと確信している』と説明。30年代原発ゼロに向け、新エネルギーと雇用政策を含めた工程表を示すと明言した。

 民進は党の政策集で、30年代原発ゼロを『実現するために』、40年廃炉ルールを厳格に適用▼原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働▼原発の新増設は行わない――の3点を『原則』」としている。

 要するに、原発再稼働を進めるということであり、自公政権と民進党は、軌を一にする。

 そのため、「脱原発を明確に訴える政党との調整がうまくいかず、参院選の野党共闘でも共通政策に『脱原発』の言葉は盛り込めなかった」

 「そんな中、今月16日の新潟県知事選で、東電柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な無所属新顔の米山隆一氏が、再稼働を進める与党推薦候補を破った。米山氏は共産など3野党が足並みをそろえて推薦したが、民進は自主投票。原発再稼働推進の電力総連を抱える党内事情が影を落とした。(中略)こうした事情を背景に、安住淳代表代行が19日の記者会見で『他の野党とは(原発政策で)多少溝はあるが、許容範囲の中に収まらないと選挙で一緒にやるのは難しい』との認識を示し、工程表の作成を表明した」という。

 だが、工程表をつくっても、30年代まで原発を動かしていくことに変わりはない。30年代に原発をゼロにする具体的な計画をつくるといっているだけのことである。だが、そんな代物ですら、連合は目くじらを立てている。同記事にはこうある。

 「電力総連出身の小林正夫参院議員は20日、『これまでの3点の『原則』を踏襲するべきだ。工程表の話は承知していない』と朝日新聞の取材に答えた。電力総連を傘下に置く連合の神津里季生会長も20日の会見で『民進が政策をより強固なものにしていくことは普通のことだ』としつつ、雇用確保や安全面、地元同意などを踏まえ『再稼働できるものはすべきだ』と強調した」

 「工程表」一つでここまで反発するということは、連合にとって、「30年代原発ゼロ」とは、「永遠に原発を動かし続ける」という意味であることを如実に示している。

 このように、民進党は、最大の組織票である連合がネックになっている。連合が民意に反しているのは、新潟知事選で立証されている。民進党は、国民と共に進む、といっているのに、連合の言いなるのは、明らかにおかしい。

 蓮舫民進党は、民意と連合、つまり、国民各層の支持という個人票と、連合という確固たる組織票の、どちらの声に耳を傾けるかを迫られている。民進党にとって、「原発ゼロ」は、国民政党になれるかどうかの試金石である。(佐々木奎一)
posted by ssk at 10:50| Comment(0) | 記事
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。