2016年09月29日

台風の巨大化に反比例する「低い防災意識」


 平成二十八年九月十九付、のauのニュースサイト


    EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「台風の巨大化に反比例する「低い防災意識」」


 を企画、取材、執筆しました。



15日現在の天気予報サイト・ウェザーマップによると、台風16号が18日にかけて沖縄に接近したあと、次第に進路を東よりに変えて、その後は20日にも西日本にかなり接近するおそれがあるという。

 また、15日付のCNNの記事「台風14号、中国に上陸 台湾でも停電などの被害」によると、「台風14号(ムーランティー)は15日未明、中国福建省のアモイ付近に上陸した。台風が通過した台湾南部は最大103メートルの突風と豪雨に見舞われ、公共交通機関の混乱や停電などの被害が出ている。

 ムーランティーの強さは、2013年にフィリピンで壊滅的な被害を出した台風『ハイエン』以来。中国本土に上陸した時点の風速は約64メートル、最大瞬間風速は約78メートルだった。

 中国は最高レベルの警報を出して高波に警戒を呼びかけ、非常事態に備えて救急隊などを待機させている。(中略)

 米軍合同台風警報センターはムーランティーを『スーパー台風』に分類していたが、14日には勢力が弱まったとして分類を台風に引き下げた。しかし依然として危険性が高いことに変わりはない」という。

 先月、日本列島は台風被害に遭った。8月に相次いで発生した台風711910号は、それぞれ8172123日に北海道に上陸。さらに台風10号が830日に暴風域を伴ったまま岩手県に上陸し日本海に抜けた。北海道に3つの台風が上陸したこと、台風が東北地方太平洋側に上陸したことは、気象庁が1951年に統計を開始して以来、初めて。

 これらの台風等の影響で、河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が発生し、岩手県で死者15人、北海道で死者3人、行方不明者2人、神奈川県で死者1人を出し、北日本から西日本にかけて住家被害が生じ、停電、断水、電話の不通等ライフラインにも被害が発生したほか、鉄道の運休等の交通障害が発生した。(気象庁HPより)

 なお、近年の特に巨大台風の一例は、2013118日フィリピンに上陸した前出のフィリピンの「ハイエン」である。驚くべきことに、この台風により6000人以上が死亡し、1700人以上が行方不明となった(気象庁HPより)。

 一体、近年の台風は、どうなっているのか。そのことについて、アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは今月5日付のイギリスの科学雑誌「ネイチャージオサイエンス」電子版で、こういう発表をした。

 同研究チームが日本の気象庁とJTWC=アメリカ軍の合同台風警報センターのデータを基に、1977年から2013年までに発生した台風を分析したところ、日本を含む東アジアと東南アジアを襲った台風のピーク時の風速は、37年間で場所によって12%から15%増している。アメリカ国内で使われているハリケーンの強さを表す基準を当てはめると、最も強い「カテゴリー5」と「カテゴリー4」の台風の数が4倍近くに増えた。

 研究チームは、海岸近くの水温が上昇した結果、上陸する台風の勢力は強くなっているとし、「温室効果ガスの増加が予測される中、台風は今後、さらに勢力が強くなることが見込まれる」と指摘している。(97日付NHK電子版)

 要するに、今後、ますます強大な台風が増える、とみられる。日本にも「ハイデン」クラスの台風が押し寄せるかもしれない。

 だが、台風に対する日本人の意識は、旧態依然としており、防災意識の低い人が多いのが現実。例えば、2014年の「tenki.jpラボ [Vol.3]台風、その時あなたは?みんなの防災意識調査」には、こうある。

 「実際に台風がきた際に対策を行うと答えた人は約半数にとどまりました。『自分は大丈夫』『みんなもしていないから』という考えは台風には通用しません」

 「なんと、台風時に外出したことがある人は全体の4割という結果になりました。台風時の外出は危険を伴います。歩行者は強風にあおられて転倒したり、飛来物が当たったりする危険も。また、車での移動は視界が悪い上に、アンダーパスの冠水や、溜まった水でブレーキが効かなることもあり、安全とは言えません。仕事や人からの依頼はなかなか断りにくいものですが、身を守るため、時には外出を控えることも大切です」

 「これまでの調査で、台風に対する心構えができている人は半数程度であることがわかりました。一方、6人に1人は、台風で危険を感じたことも。台風時、街のあちこちに危険な場所が潜んでいます。風で飛ばされやすい看板の近くを歩いたり、窓ガラスなどの割れ物のそばにいたりすることは非常に危険です」

 また、「台風などによる警報や特別警報が出た際の避難行動はわかりますか?」との問いに対し、「なんと、60%の人がどういった行動をとればいいかわからないと回答。特に目立ったのは20代・30代の女性で、わからないと答えた人が約71%にのぼりました。実は、台風時にやむを得ず外出したことがあるか、という質問に関しても、20代・30代の女性は約51%があると回答。無理をして外出をして、いざという時に避難行動がとれない、ということがないよう、十分事前に準備をしておきたいですね」とあり、特に2030代女性に危うい人が多そうである。実際、テレビで台風直撃時の映像では、暴風雨のなか、普段通りの服装で、もはや凶器でしかない傘を持って、どこかへ歩いて行く人の様子が映し出されるのは、おなじみの風景である。そういう人のなかには、くだんの年齢層とみられる女性がいることが多いように見受けられる。

 では、具体的には、どういった対策があるのかというと、たとえば「台風が接近してから」は、「用水路の見回りは絶対にしない」(増水した用水路は道路との境目が分からなくなっていて、足を取られる恐れあり)、「海岸の見回りは絶対にしない」(波打ち際や防波堤など海岸周りでは高潮の恐れあり)、「屋外での作業は絶対にしない」(暴風や突風にあおられて転倒する危険あり)。

 そして「外出は控える」(大雨や強風による事故に巻き込まれめ危険あり。車での避難には注意が必要。20mm/h以上の降水量でワイパーは効かず、ブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象)可能性あり)。

 「特に地下空間にいる場合は、早めの避難すること」(とりわけ地下空間は、雨の強さや天候の急変が分かりにくいうえ、地上が冠水すると一気に水が流れ込み、地上に避難することが困難になる恐れがあるため)

 「危険な土地では早めに避難すること」(山や丘を切り開いて作られた造形地、河川が山地から平野や盆地に移る扇状地、山間部・海岸付近・河川敷は大雨や洪水、土石流に特に警戒が必要。集中豪雨などによって、がけ地や傾斜地では山崩れが発生する恐れあり。樹木の少ない山間部では、土石流の危険をはらんでいるので注意が必要。河川敷では水位の変化に注意し、異変を感じたら、いつでも避難できるようする)。

 「避難勧告に従う」(防災機関などからの避難準備情報に注意し、市町村から避難勧告や避難指示があったら、すぐに動けるように準備して、すばやく避難すること。また、避難勧告が出されていなくても、危険を感じたら、自主的に避難すること。ただし、都会では遠くの避難場所へ避難するより、隣近所の二階以上の頑丈な建物に避難させてもらうほうが安全な場合もあり。避難する場合は、周囲の状況なども総合的に判断し、行動するようにすること)

 「避難の前には火の元の確認をする」(避難する際には、火の元、ガスの元栓、電気のブレーカーを落とし、戸締まりを確認をすること)。

 「避難するときは軽装で」(避難の際は持ち物を最小限にして、両手を自由に使えるようにしておくこと)など。

 こういった「防災教育」が必要だ。たとえば、NPO法人による「防災士」という民間資格があり、2003年から現在までに日本全国に100,000名を超す防災士が誕生している。相応のお金がかかるが、この資格を取るのも一つの手といえよう。お金をかけなくても、ネットや本などで防災教育を深めることができる。学校で教わることができず、危険度の低い台風に慣れてきた今の社会人が、一番、被害に遭う可能性が高い。つまり、今時の子供より、大人のほうが、危うい。まず、そのことを自覚しなければならない。(佐々木奎一)

posted by ssk at 13:55| Comment(0) | 記事
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