2016年09月21日

「祝日大国」日本と「最底辺の有休」実体

 平成二十八年九月十六付、のauのニュースサイト


    EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「「祝日大国」日本と「最底辺の有休」実体」


 を企画、取材、執筆しました。



 週明け月曜は「敬老の日」のため3連休、さらに22日木曜も「秋分の日」で休日である。そんなシルバーウィークがやってきた。先月も、「山の日」という新しい祝日ができた。先々月も「海の日」があり、来月には「体育の日」という祝日がある。

 日本は、祝日が実に多い。どれくらい多いかというと、2014年の年間祝祭日数世界ランキング(マーサー調べ。※日本については「山の日」を加えて換算。以下同)によると、世界64か国のうち、日本の祝日数は、なんと世界第2位。

 第1位がインド、コロンビアで「18日」。第3位が日本、韓国、タイ、レバノンで「16日」となる。その下は、「15日」がフィンランド、アルゼンチン、チリ。「14.5日」がトルコ。「14日」がスペイン、インドネシア、フィリピン、ロシアなど。「13日」がスロバキア、パキスタン。「12日」がオーストリア、ギリシャ、香港、台湾、ブラジル、ペルーなど。「11日」がカナダ、デンマーク、フランス、イタリア、クロアチア、スウェーデン、中国、ニュージーランド、シンガポール。「10日」がポルトガル、ノルウェー、ベルギー、アメリカ、ベトナム、ウクライナなど。

 ちなみに、最下位はメキシコで「7日」。次いで下から2番目「8日」がイギリス、オランダ。下から3番目「9日」がドイツ、スイス、アイルランド、オーストラリア、ルーマニアなど。

 このように、日本の祝日は多い。多くの先進国よりも、多い。では、日本は先進国の労働者より休んでいるかというと、そうではない。

 労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2015」の「年間休日数」の国際比較(週休日(104日)、祝日、年次有給休暇(有休)を含めた日数)では、日本「138.5日」(※山の日を含む)に対し、イギリス「136.8日」、イタリア「141日」、ドイツとフランスが「144日」。つまり、日本以外の国は、祝日が810日と少ないが、有休は、日本「18.5日」に対し、ドイツ、フランスが「30日」、イギリス「24.8日」、イタリア「28日」と多いため、年間休日数は日本を上回っているというわけ。

 しかも、ここにある日本の有休の数字には、まやかしがある。日本の年間有休付与日数は18.5日だが、実際の「有休平均取得日数」は「9.0日」でしかない。要するに、日本の労働者の過半数は付与された有休を消化せず、時効の二年が経過し、いたずらに消滅させてしまっている。実際に取得した有休日数でみると、日本の年間休日数は120日台半ばまで落ち込む。

 しかも、こういう数値もある。オンライン旅行会社エクスペディアの「世界26ヶ国 有給休暇・国際比較2015」によると、有休消化率は、日本は60%。それに対し、フランス、スペイン、ブラジル、オーストラリア、香港は100%、シンガポール93%、イタリア83%、メキシコ80%、インド73%、アメリカ73%。日本より低いのは、韓国40%のみ。

 さらに同調査では、「自分の有休支給日数を知らない人の割合」が、前出の日本、韓国を除く各国は、スペイン7%からアメリカ16%のレンジであり、韓国ですら23%なのに対し、日本は、なんと53%が、自身の有休日数すら知らない。

 つまり、日本には、有休の年間マックス20日を、消化している層(代替人員のいる大企業を中心とした層)がいる一方で、有休とは無縁の層(代替人員のいない中小零細が中心)が過半数いる。この二極化を足して二で割った数字が、前出の有休平均取得日数9.0日という数値になって表れている、と見受けられる。

 要するに、有給無縁層は、有休完全消化層より年間1か月分余計に働いている。(6年半以上勤続の労働者でみた場合。勤続6年半で年間20日の有給が付与。そして週休2日の会社の1か月の労働日数は20日程度のため)。別の見方をすると、有給無縁層は、1か月分、ただ働きしているに等しい。法律上、1か月分有給を取って休めるのに、有休を使わず出勤しているからだ。

 かといって、そういう人が、当然の権利である有休を行使するとどうなるか。会社で白い目でみられるのがオチだ。

 この状況をチェンジしていくには、どうすればよいか。厚生年金や健康保険で会社がの強制的に半額負担するのと同様、有休の完全消化を会社に強制的に義務付けるしか解決の道はないのではないか。そして、日本の労働者の有休100%取得に伴い、世界3位の増え過ぎた祝日数を削減して、世界との年間休日日数の整合性を図る必要がある。(佐々木奎一)


posted by ssk at 17:30| Comment(0) | 記事
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