2016年09月03日

安倍晋三を公然と批判する元プリンス船田元

 平成二十八年八月二十六日付、のauのニュースサイト


EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「安倍晋三を公然と批判する元プリンス船田元」


 を企画、取材、執筆しました。



 夏の甲子園は、栃木県の作新学院が、54年ぶり2度目の優勝を果たした。その作新学院のトップである学院長は、知る人ぞ知る現自民党衆院議員の船田元(はじめ)氏(62)。

 その船田氏について、24日付のジャパンタイムズが大きく取り上げている。

 だがその記事は、高校野球について、ではない。それは、ベテランの船田氏が、政治的な自殺行為につながりかねないリスクを冒して、安倍晋三氏の憲法改正を批判している、という見出しである。

 記事によると、船田氏は、ほかの多くの自民党議員たちと同様、憲法改正論者だが、自民党内で船田氏は、独自の道を行く一匹狼だという。船田氏は、安倍晋三氏の強引な憲法改正の進め方に、たった一人で公然と反対の戦いを仕掛けているからだ。

 船田氏は、16年前に設置された衆院憲法調査会の当初のメンバーで、当時から憲法改正を訴えていた人物。そんな船田氏は、自民党が政権から転落した09年の選挙で落選。12年に議席を奪還した。このとき、船田氏の落選中に作られた「自民党改憲草案」の危険性を知り、ショックを受けた。例えば、自衛隊が国防軍と名前を変えたり、緊急事態条項を導入したりしていること等だ。

 「“軍隊”は、自衛隊とは全く違うと思います」、「緊急事態条項は、首相に抑えのきかない野放しの権力を与える事になると懸念しています」「私が自民党改憲草案の議論に参加していれば、絶対に承認しなかった」と、現自民党憲法改正推進本部本部長の船田氏は警鐘を鳴らす。

 また、船田氏は、自民党改憲草案の集団的自衛権が、制限を設けず行使できるようにしている点や、天皇を象徴から国家元首にしている点、基本的人権である、結社、言論、出版の自由を制限している点等を批判している。

 また、今夏の参院選で、安倍氏が、経済政策のことばかり言って、憲法改正の争点を隠したことも批判している。

 いまや安倍氏の無競争の権力は、船田氏を除いては、自民党内で安倍氏に反対意見を言う者がほとんどいない、という異様な状況を作り出した。

 自民党議員たちは、安倍氏に敵対すると、内閣あるいは自民党内のポストに就けなくなったり、ポストから外されて干される、という仕打ちに遭うのを恐れている。が、船田氏は、そういう安倍氏の報復措置を恐れているようには見えない。

 なお、船田氏に近い情報ソースによると、船田氏がこのような率直な物言いをするのは、船田氏のあまりにも正直な性格と、裕福な家庭でエリートとして教育されてきたことに起因しているという。もともと船田氏は、かつては自民党内で、プリンスとして将来の首相候補と目されてきた。安倍氏同様、船田氏は、日本の政治の中で名門の血筋である。曾祖父と祖父は、衆院の議長を務めた。父は自民党の参院議員で、栃木県知事も務めた人物。

 こういう家柄の船田氏は、衆院議員に当時最も若い25歳で当選。大臣にも最年少の39歳で就任した。

 ここからは週刊文春電子版から引用するが、船田氏は「宮沢内閣不信任案が可決されると、大臣を辞任して小沢氏と共に自民党を離党した。メディアで政治改革を訴え、若手リーダーとして注目を集めるようになった船田氏。同じく“改革派”の旗手として、人気が高まっていた鳩山由紀夫氏とタッグを組み、政界の台風の目となったのが『鳩船新党』構想だ。

 『小泉純一郎氏は『将来は自民党と鳩船新党の二大政党になるかもしれない』と漏らすほど警戒していた。しかし、船田氏は結党を決断できず自然消滅。当時、船田氏と近く、鳩船新党に反対していたのが、石破茂氏、高市早苗氏でした』(自民党関係者)

 船田氏の転落のきっかけは、作新学院の副院長を務め、地元を守っていた前夫人と離婚し、参院議員だった畑恵氏(現・作新学院理事長)と再婚したことだった。この再婚は後援者の猛反発を買い、2000年の衆院選では落選の憂き目を見る」

 このような経歴を持つ船田氏が、今、気勢を上げている。ただし、経歴を見る限り、鳩船新党構想で決断できなかった過去があることや、ニュースサイトIWJ729日付が、船田氏が都内で憲法改正について討論会をしたときの様子をつづっている。それによると船田氏は、自民党改憲草案が「現行憲法の『個人』を『人』に言い替えたのは、個人主義の弊害を抑制させるため」などと、基本的人権を否定する発言をしたとして、船田氏をかなり批判している。

 様々な点からみて、船田氏が、現在の安倍一強の独裁制を突き崩すだけの器量なのかは、大いに疑問符が付く。が、現在、自民党には、閣外に出てポスト安倍に向け始動した石破茂氏、さきの自民党総裁選で一人奮闘した野田聖子氏といった反安倍の議員が点在する。船田氏がこういう人々と連結していけば、一大勢力になる、かもしれない。(佐々木奎一)


posted by ssk at 17:54| Comment(0) | 記事
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