2016年08月04日

改憲プロパガンダで橋下徹を担ぎ出す安倍晋三

 平成二十八年八月一日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「改憲プロパガンダで橋下徹を担ぎ出す安倍晋三」


 を企画、取材、執筆しました。



731日の日本経済新聞朝刊に「改憲論議へまず『お維』、首相、橋下・松井氏と会談」という記事がある。

 それによると、「安倍晋三首相は30日、おおさか維新の会の橋下徹前代表と松井一郎代表(大阪府知事)と都内ホテルで約3時間会談した。(中略)憲法改正に前向きな勢力が衆参両院で改憲発議に必要な3分の2超の議席を得たのを踏まえ、今後の改憲論議のあり方などで意見交換したとみられる。会談には菅義偉官房長官も同席した。橋下氏はおおさか維新の法律政策顧問を務め、党内に依然影響力を持つ。

 『改憲するとなると、橋下氏のような突破力は必要だ。なかなかマネできるものではない』。首相はかねて周囲にこう語ってきた。両氏は昨年12月にも約3時間半にわたって会談していた。(中略)菅氏も30日の都内での講演で『憲法審査会で各党が考え方を提案し、静かな環境で議論するところからスタートすべきだ』と指摘。衆参両院の憲法審査会で与野党による具体的な改憲項目の絞り込みを進めたいとの考えを示した」という。

 ちなみに、最大野党である民進党の参院議員・小西洋之氏は、726日に参院議員会館で行われた自治体議員立憲ネットワークの集会で、こう語っている。(以下、ニュースサイトIWJより)

 「憲法審査会、間違いなく仕掛けられると思いますけれども、もう、憲法審査会で改憲案の具体的議論を持ち込まれたら、止めようがないと思います。昨年の安保国会は、答弁拒否の連発でした。我々野党議員は、論理を尽くして安倍政権の安保法制が、なぜ違憲なのか、具体的な根拠をもって完全に証明しました。しかし、安倍政権は、安倍総理を筆頭に、答弁拒否を連発し、そして、マスコミも報道しません。国民のみなさんに大切なことが報道されないまま、審議時間が積み上がって、強行採決されました。

 それと同じことが、憲法審査会でも行われると思います。しかも、衆参の憲法審査会での野党の国会議員の数は、各政党の比例配分で決まりますので、ほとんど審議時間、持ち時間がない、質問時間がないような状況で審議が行われることになります。

 そして、強行採決のあとの『国民投票運動』。これは無制限です。いくらテレビCMをやっても構わないんです。いくら新聞広告を打っても構わない。何億枚、何十億枚ビラをまいても構わない。しかも、ビラの代わりにティッシュも配れるんです。ティッシュのなかに紙を挟んで、憲法改正賛成です、これ、オッケィなんです。本物のウチワも配れるんです。これが『国民投票運動』です。改憲勢力の物量性、安倍総理に情報戦を仕掛けられたら、もう手の打ちようがないと思います。国民のみなさんがまったく理解できないあいだに、二分の一が成立してしまうと思います」

 このように語っている。ここでいう国民投票運動とは、第一次安倍政権下の2007514日に成立した国民投票法(正式名称「日本国憲法の改正手続に関する法律」)で定めている。同法は、改憲を掲げた安倍首相が法制定を推進し、野党の反対を押し切り成立した。(知恵蔵2015より)

 日本大百科全書によると、その内容は「第一に、(中略)一般的国民投票ではなく、憲法改正に限定されている。

 第二に、投票年齢については、満18歳以上の者である。(中略)

 第三に、投票は国民投票に係る憲法改正案ごとに、一人一票で行われる(47条)。

 第四に、憲法改正案に賛成するときは投票用紙に印刷された賛成の文字に○の記号を、反対するときは反対の文字に○の記号を自筆する(57条)。

 第五に、衆・参各院10人ずつで構成する『国民投票広報協議会』を国会に設置し、改正案およびその要旨、改正事項の分かりやすい説明、国民投票公報の原稿の作成などを行う(11条〜19条)。

 第六に、国民投票運動(憲法改正案に対して、賛成あるいは反対の投票をするように、またはしないように勧誘する行為)について留意規定をおき、『表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない』(100条)といった規定をおき、国民投票運動の自由を保障する」という。

 また、政府広報オンラインには、「国民投票の期日は、憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に国民投票が行われます」、「「憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をするよう、又はしないよう勧誘することを『国民投票運動』といいます。政党やその他の団体、マスコミ、個人などが、一定のルールのもとに『国民投票運動』を行うことができます。例えば、投票期日14日前からは、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限されます」とある。

 要するに、憲法改正原案が、衆参の憲法審査会で審議されたのち、衆議院本会議、参議院本会議で3分の2以上の賛成で可決されると、憲法改正の発議を行ったこととなり、そこから60日〜180日以内に国民投票にかけられる。

 安倍自公政権は、国民への十分な説明が必要、といった名目で、最大の180日間かけることだろう。この間に、「国民投票運動」なるものが行われる。上記のように、政府広報によると、「投票期日14日前」からは「テレビやラジオの広告放送は制限」されるとあるが、これは裏を返すと、小西氏の指摘のとおり、国民投票の15日以前までは、広告が無尽蔵に打てるということになる。そうなると、改憲勢力のプロパガンダが、この国を席巻することだろう。要するに、「国民への十分な説明」というお題目で、半年かけて、大量の改憲広告の嵐により、国民の脳ミソに改憲を刷り込んでいくというわけ。

 そして、冒頭の記事からして、この改憲プロパガンダの看板として、突破力のある、橋下徹を担ぎ出して、壊憲を成就したい、というのが、安倍晋三氏の思惑である。

 この国民投票運動になると手の打ちようがない、と言う、前出の小西氏は、こう語る。「なので、憲法審査会の前に、戦いを仕掛けなければいけません。安倍総理が行ったこと、解釈改憲は、インチキです。論理でもなんでもないんです。いまから40年以上前につくられた古い政府見解のなかに、集団的自衛権は合憲と書いてある。それが唯一の安倍内閣の合憲の主張なんです。しかし、その昭和47年の政府見解をつくった人たちが、つくるきっかけとなった国会答弁で、全否定してるんです。つくり手の一人、角田禮次郎元内閣法制局長官、いまも御存命で95歳は、新聞社のインタビューでも、そんな文書ではない、と明言してるんです。

 つまり、憲法がよって立つ、立憲主義と法治主義そのものが破壊されている。憲法の議論以前だ。憲法がよって立つ、立憲主義と法治主義、これを取り戻す、憲法を持てる社会に戻るのが、いまの私たちの最大の課題だ。これを国民世論にして、そして、憲法や立憲主義を破壊した安倍総理には退陣してもらう。この運動を7月、8月、秋の臨時国会が開かれるまでにできるかどうかが、国民のみなさんの命運、私たちの社会の立憲主義や法治主義の命運が決まることになると思います」

 さらに、小西氏は、「運動」について、「例えば、自治体議員立憲ネットワークのみなさんが、公開質問状を各政党に出して頂く。野党、戦えてないですよね、野党の党首や野党宛てに、皆さまも私も国会議員も、憲法99条で、憲法尊重擁護義務を全議員、地方議員も国会議員も、みんな持ってるんです。(※日本国憲法第九十九条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とある)

 憲法尊重擁護義務を持つ立場として、安倍総理のこの解釈改憲のインチキを、なぜ野党は国会で追及しないんだ。そういう公開質問状を出して頂く。あるいは皆様の地元の首長、いま、都知事選行われていますけど、東京都知事も、憲法尊重擁護義務を持っているんです。その首長に対して、公開質問状を出す。あるいは、地方紙に、解釈改憲の法治主義、立憲主義を破壊しているこのインチキをちゃんと社説で書いてくれ、と、そういう問いかけの公開質問状をしていただく。そのような運動を是非して頂いて、全国の各地域から安倍政権を包囲する、火の手を、しずかに、この7月、8月に仕込んでおいて、9月の頭に一気にバッとあげて、臨時国会開いた瞬間に、安倍政権を追い詰めていく」と語った。

 そして、「最後に、憲法審査会は、実は、安倍政権の墓場にすることができます」といい、こう語った。「710日、安倍総理は選挙が終わったその日の夜に、憲法審査会を動かしていく、とぬけぬけと言い始めましたけども、実は憲法審査会こそ、安倍政権の墓場にできるんです。なぜかというと、憲法審査会は、国会法によって、二つの役割が与えられているんです。一つは、憲法の改正案を審議するための唯一の委員会です。

 もう一つは、日本国憲法について、広範かつ総合的に調査を行い審議する、と書いてあるんです。つまり、憲法審査会の前身に憲法調査会という委員会がありました。それと同じ使命役割を担っているんです。つまり、日本国憲法のよって立つ立憲主義や法治主義が、どのようなインチキで破壊されたか、それを審議するための唯一の委員会なんです。

 さらに分かりやすく言えば、『日本国憲法違反』の法律について審議する、唯一の、そのために税金で置かれている委員会なんです。

 この憲法審査会、開いたならば、真っ先に審議するのは、解釈改憲のインチキを全ての野党の党首が先頭に立って総攻撃できるような、そういう根回し、そういう国民運動を7月、8月にできるかどうかで、平和憲法を守り抜いていけるかどうか決まると思います。

 夏に、この国民世論の形成ができなかったら、わたくし、昨年、ぶん殴られるまで戦わせて頂いた国会議員ですけれども、今回、改悪仕掛けられたら、火の玉になって政治生命をかけて戦います。でも、正直申し上げます、防げないと思います。改正の議論に持ち込まれたら絶対に防げないです。改正の議論じゃなくて、立憲主義と法治主義を守り抜く、自治体議員立憲ネットワークの名前にかけて、この団体の名にかけて、立憲主義を守り抜く、この夏に、みなさんと共に戦っていきたいと思います」

2016710日の参院選で、国民の多くが安倍自公政権に投票し、あるいは投票を棄権したことにより、改憲勢力が衆参の三分の二を占めた。それにより日本国憲法は、今、危機的な状況に陥っている。(佐々木奎一)






posted by ssk at 22:01| Comment(0) | 記事
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