2016年08月02日

相模原の障害者施設で19人殺傷、26人重軽傷事件

 平成二十八年七月二十九日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「相模原の障害者施設で19人殺傷、26人重軽傷事件」


 を企画、取材、執筆しました。



26日午前2時頃、神奈川県相模原市で、凄惨な事件が起きた。同市緑区千木良(ちぎら)の障害者施設・津久井やまゆり園の建物内に、同施設の元職員の男(植松聖(さとし)、26歳)が侵入し、知的障害者ら入所者19人を惨殺し、26人に重傷等のけがを負わせた事件である。

 朝日新聞によれば、犯人が同施設の常勤職員として働き始めたのは134月から。だが、障害者を見下す態度は当初から表れていた。同年56月頃にはすでに、犯人が入所者の男性の手の甲に、黒いペンでいたずら書きをしていたという。

 その後、遅刻や早退が目立ち、健康保険証を3回なくしたり、昨年1月には入れ墨が見つかり、利用者から見えないようにするよう厳重注意されたが、短いTシャツ姿で園内を歩いたりしていたという。

 そして、今年2月からは犯人の言動が急変。業務中、同僚に「障害者は死んだ方がいい」と口走るようになった。「障害者なんて、生きる意味なくないですか」「障害者なんて死んだ方がよくないっすか」と笑みを浮かべながら話しかけていたという。

 また、215日には、衆院議長公邸に赴き、職員に土下座で頼み込んだうえで、議長あての手紙を渡していた。

 そこには、手書きで、こんなことが書き連ねてあった(毎日新聞より)。

 「衆議院議長大島理森様

 この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。

 私は障害者総勢470名を抹殺することができます。

 常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い、居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。

 理由は世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考えたからです。

 私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。

 重複障害者に対する命のあり方は未だに答えが見つかっていない所だと考えました。障害者は不幸を作ることしかできません。

 今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛い決断をする時だと考えます。日本国が大きな第一歩を踏み出すのです。

 世界を担う大島理森様のお力で世界をより良い方向に進めて頂けないでしょうか。是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。(中略)

 作戦内容

 職員の少ない夜勤に決行致します。

 重複障害者が多く在籍している2つの園を標的とします。

 見守り職員は結束バンドで見動き、外部との連絡をとれなくします。

 職員は絶体に傷つけず、速やかに作戦を実行します。

2つの園260名を抹殺した後は自首します。

 作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。

 逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。

 新しい名前(伊黒崇)本籍、運転免許証等の生活に必要な書類。

 美容整形による一般社会への擬態。

 金銭的支援5億円。

 これらを確約して頂ければと考えております。

 ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します。

 日本国と世界平和の為に、何卒よろしくお願い致します。

 想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。

植松聖

 (住所、電話番号=略)」

 かながわ共同会職員」

 翌16日、警視庁から園に連絡があり、津久井署員が警戒強化のため園を訪問。

218日、犯人が園関係者に「重度障害者の大量殺人は、日本国の指示があれば、いつでも実行できる」と発言。

 また、その頃に、園周辺の家庭に、「障害者なんて生きていても無駄だ」などと書いた文書をまいた。

219日、園は犯人を退職させることを決定。同日、署員が犯人を保護し、緊急措置入院させた。措置入院とは、他人に危害を加えたり自分自身を傷つけたりする恐れがある場合に、都道府県知事や政令指定市長の権限で、本人の同意がなくても患者を入院させることができる精神保健福祉法で定められた制度である。

222日、医師2人が犯人を診察。一人は「大麻精神病、非社会性パーソナリティー障害」、もう一人が「妄想性障害、薬物性精神病性障害」と診断。(読売新聞より)

 なお、同日までに尿検査で大麻の陽性反応が出たが、指定医は「症状の改善が優先」として県警には通報しなかった。(毎日新聞より)

 その後、犯人は、「大量殺人はいつでも実行できる」と発言したことについて「どうかしていた」と話し始め、改めて行った薬物検査で反応が出なかったことから、医師が「他人に危害を加える恐れがなくなった」と判断し、32日に退院。

 翌3日、犯人は、電話で園に退職の手続きについて問い合わせ。

35日、津久井署が防犯カメラの設置を指導。

426日、園が防犯カメラ16台を増設。

5月下旬、犯人が退職共済の書類提出のため来園。

64日、園内行事で職員による警備を強化。

 このように、園が警戒を強めるなかで、726日、事件は起きた。

 犯人は同日2時頃、園内の東側の居住棟の窓ガラスをハンマーで割って侵入。居住棟は2棟、入居者が生活する部屋は約100あるが、犯人は東棟の1階から西棟の1階、2階と移動しながら次々と入所者を襲撃し、首や頭を刃物で切りつけ、血の海と化した。

 当時、夜勤などで施設内に職員9人がいたが、結束バンドで縛られた。が、職員を刃物で襲った形跡はなく、刺されたのは障害者ばかりだった。また、警備員が一人いたが、仮眠中だった。

 午前250分頃、犯人は自身のツイッターに、直前に撮影したとみられる薄笑いを浮かべた写真付きで「世界が平和になりますように。beautifulJapan!!!!!!」と書き込んだ。そして、午前3時頃、血のついた3本の刃物を持ち、「自分がやりました」と津久井署に出頭し、殺人未遂と建造物侵入の疑いで緊急逮捕された。乗り付けた車の中には血痕が残り、結束バンドが散らばっていたという。

 この惨劇は、防ぐことができただろうか?

 まず、措置入院時、犯人は、大麻の陽性反応が出ていた。このとき、警察に通報して逮捕していたら、事態は変わっていたのではないか。

 なお、犯人は、逮捕後、任意の大麻の尿検査を拒んでいるという。(読売新聞より)

 大麻をやめられない常習者なら、措置入院時に大麻の所持で逮捕され初犯で執行猶予。退院後に再び大麻所持で逮捕されれば、実刑判決となり、惨劇を防げたかもしれない。 

 また、犯人は、津久井やまゆり園という特定の施設の入所者の殺害を何度も明言している。これは脅迫罪や威力業務妨害に当たるのではないか。その罪で逮捕されて執行猶予がつけば、大麻所持により、懲役の実刑に持って行けたかもしれない。

 こうした犯罪が見逃された結果、大量殺人事件が起きた。

 また、退院後、津久井署は園に対し、防犯カメラの設置を助言し、園は16台のカメラを増設している。警備員が一人いたということは、このカメラで監視していたものとみられる。

 ただし、夜間の警備担当職員1人は、居住棟とは別の管理棟に常駐し、午後9時半の見回り以降、就寝してもよいことになっていた、という。(読売新聞より)

 これは予算の都合で、警備員は夜は仮眠してもよい、という契約にしていたとみられる。

 また、施設の職員が縛られる中、警備員は、仮眠によりまったく気付かなかったという。ということは、緊急時は、ボタン一つで仮眠室や警備室に警報が鳴り、どこで鳴ったかわかる、といった設備は整っていなかったとみられる。こういった設備の不備も、防犯にそこまで割くお金がなかったからではないか。

 かといって、警察が、園に常駐することは、現実的ではない。

 では、どうすればよいか。今年5月のストーカーによる地下アイドル殺人未遂事件時にも指摘したが、それ同様、今回のような狂人に対しても、狂人が気絶するほどの強力なスタンガンや催涙スプレーといった防衛品を低価格でレンタル、もしくは補助金で買えるようにしたり、そうした防衛品の使い方や護身術の講習会や、緊急事態の訓練を開いたり、緊急時に対応できる屈強な警備員を雇ったり防犯設備を新設、増設するとき、警察の審査で必要と認める場合に限り、何割か助成する、といった、「自衛」を促す政策を導入する必要があるのではないか。

 そうしないと、ストーカーや今回の犯人といった、変態な狂人から目を付けられた人は、ただただ被害に遭うのを待つばかり、という国になってしまう。

 なお、今回の犯人の思想は、ヒトラーと酷似している。

 ヒトラーは、身体障害者や精神障害者は社会には「無用」であり、アーリア人の遺伝的な純粋性を脅かすため、生きる価値なしと見なし、193910月、障害者の殺害を許可した。病院の医師や職員は、障害者を放置し、飢餓や疫病で亡くなるよう仕向けた。その後は、「コンサルタント」たちが病院を訪れ、障害者を指定し、宣告を受けた患者たちはドイツとオーストリアの6か所の施設に移送され、特別に設置されたガス室で殺害された。障害のある幼児や児童も、致死量の薬物注射か飢餓によって殺害された。犠牲者の遺体は「焼却炉」と呼ばれる巨大なオーブンで焼かれた。この殺戮をナチスは、「T-4」または「安楽死」プログラムと呼んでいた。(ホロコースト・ミュージアムHPより)

 なお、犯人が衆議議長にあてた手紙には、安倍自公政権へのシンパシーが垣間見える。例えば、のちにそのまま実行することになる障害者を殺戮する作戦を書き込んだ後、「ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します」と、指示を仰いでみせたり、「想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております」といっている点からして、犯人は安倍氏や衆院議長の大島氏も、同じ思想の持ち主、と思っているフシがある。

 ナチスの手口に学べ、と麻生太郎副総理が公言し、実行に移し始めている安倍自公政権だけに、犯人が、自分と同類の思想の政治家たち、とみなすのも、必然なのかもしれない。(佐々木奎一)



posted by ssk at 10:05| Comment(0) | 記事
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