平成二十八年五月二十日付、のauのニュースサイト
EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事
「トモダチ作戦で被爆の米兵に涙する小泉純一郎」
を企画、取材、執筆しました。
19日付の朝日新聞朝刊に、小泉純一郎元首相の泣いている写真付きで「『トモダチ作戦で被曝』、元米兵に涙 小泉氏訪米『苦しみ見過ごせない』」という記事がある。それによると、小泉氏は15日から訪米し、東日本大震災の「トモダチ作戦」に従事し、福島第一原発沖で被曝したとして、東京電力側を相手に集団訴訟を起こしている米海軍の元兵士ら400人以上のうち10人と面会。窮状を聞き、17日(日本時間18日)に米国で記者会見を開いたという。
小泉氏は「『救援活動に全力を尽くしてくれた米国の兵士たちが重い病に苦しんでいる。見過ごすことはできない』。感極まって泣き、訴えた」という。
なお、同紙電子版にはこの事件と会見の詳細が載っている。それによると、事件の原告のなかには次のように訴えている人がいるという。
トモダチ作戦に艦載機部隊の管理官として従事した原告の一人・元海軍大尉スティーブ・シモンズ(37)は、「空母では当初、海水蒸留装置の水を飲んだり、その水で調理した食事をとったりしました。現場海域に着いてから3日後の2011年3月15日、艦長が『水を飲まないように』と命じました。だが、すでにシャワーを浴びたり、水を飲んだりしたあと。その後も、甲板の洗浄には汚染された海水を使っていました」「乗組員は強い放射線にさらされ続けましたが、当時は健康へのリスクに無知でした。私たちは人道支援にあたったのであり、核惨事に対応できたわけではない。東電が正しい情報を出していれば、違った対応がとれたはずです」という。
シモンズは帰国後、体調が悪化。「11年末、車を運転中に突然気を失いました。高熱が続き、リンパ節がはれ、足の筋力が衰えました。髪の毛が抜け、体重も十数キロ激減。トモダチ作戦前は登山をするなど健康体でしたから、症状が現れたときには打ちのめされました」「筋肉を切り裂くような痛みは腕や胸に広がり、全身のはれや囊胞(のうほう)、発汗、膀胱(ぼうこう)不全などを発症。通院するソルトレークシティーの退役軍人病院の医師は『放射能の影響だろう』としています」という。
米国防総省は昨年、連邦議会へ報告書を提出したが、乗組員らが受けた放射線量は一般の米国人が自然界から受けるより低いとし、健康被害との因果関係は考えられないと主張しているという。
だが、シモンズは「報告書は使い物にならない代物。乗組員全員の検査をせず、健康被害のリスクはなかったとしている。飲料水の汚染は検知器の誤作動だったとしているのも不可解です」「作戦に従事した元乗組員2人が亡くなり、ほかの仲間も深刻な健康被害を抱えています。一方で(係争中の訴訟は)米国内で理解されていません。私自身は海軍に16年以上勤めたので医療費を受けられますが、20代の若い仲間は健康問題が生じると何の保障もなく海軍を追い出されている。見捨てられません」という。
なお、原告弁護団が米情報公開法に基づき、ロナルド・レーガンの航海日誌や米原子力規制委員会(NRC)の電話会議記録を入手した。その航海日誌によると、演習参加のためにハワイから韓国・釜山に向かっていたロナルド・レーガンは、大震災を受けて11年3月13日までに福島沖に到着。米第7艦隊や海上自衛隊と活動を始めた。そしてNRCの電話会議記録には、13日の米海軍高官の次の発言が残る。「東北近海の海自艦に立ち寄ってレーガンに戻ったヘリ搭乗員の靴などから放射性物質を検出した」「沖合約185キロにいたレーガンは放射性プルーム(雲)の下に入った。空気中の放射線量が通常の30倍の数値を示し、救援活動を一時停止した」。その後も、「16日午後11時45分、福島第一原発東方沖約230キロの海域を航行中に放射性プルームに包まれた」「17日午前5時7分に抜け出すまでの5時間あまり強い放射線にさらされた」
こうしてロナルド・レーガンは4月上旬まで日本近海で活動を続けた。すでに2人が骨膜肉腫や急性リンパ球白血病で亡くなっており、原告団は10億ドル(約1200億円)の救済基金の設立を要求しているという。
また、小泉氏は、会見でこういうふうに語っている。「トモダチ作戦は、日本側から米国側に要請して、米国は迅速に、しかも多くの兵士に参加していただきまして、全力を尽くして、救援活動に従事していただいた。そのトモダチ作戦に参加していた兵士の中で、放射能に汚染された(被曝した)と思われる兵士が、かなり多く出てきている。原発事故から5年経過したが、ますます症状も悪くなっている。このような善意によって、日本の被害に対して救援活動を行ってくれた兵士がいま、重い症状に苦しまされている。これがなぜ、日本国民にも知らされていないのか、不思議に思いました」「15日にここサンディエゴにうかがい、日本で救援活動をしていただいた10人の兵士の方から3日間、現在の病状や、日本でのトモダチ作戦の状況について、じかにお話をうかがうことができた。その10人の兵士の方が現在、重い病気で苦しみ、これからどうしようかと困っている話を聞いて、ぜひ多くの日本国民にも米国民にも知ってもらわなければいけないと痛感した」
「東北沖に停泊しながら何回もヘリコプターで救援活動をしていた兵士が、重い病気にかかっている。それが5年たっても、日本国民にも米国民にも実情が知られていないことを、ますます不思議に思っています」「実際に話を聞いてみて、これは放射能の影響による病気だということが分かりますよ。原子炉が爆発してメルトダウンして、そこで放射能が放出されたんです」「東電は、これらの兵士の病気や健康被害は福島の事故と関係ない、と否定しているそうですよ。米国でも、病気になった人が米国のお医者さんにみてもらっても、『これは放射能の被害による病気じゃない』『分からない』という説明をしているそうです。私も、原発は安全でコストが安くてクリーンだという専門家の意見を聞いていたが、これは全部うそだということが分かった。お医者さんは専門家ですよ。素人の私でも、病に苦しんでいる10人の話をきいて、病気になっている原因は放射能だという感じがする。あの事故後、東京電力も隠している情報がいくつかあったということが今、分かっている。重い病を抱えている10人からじかに当時の状況を聞いて、米海軍も何か隠していることがあるんじゃないかと感じた」「どうも日本のメディアでも、放射能に関して隠していることがあるんじゃないか。伝えたくない状況にあるんじゃないか。そう感じています」
「私はこうして被害にあって病気に苦しんでいる兵士たちの話をきいて、気の毒だなと思うだけではすまない。見過ごすわけにはいかないと思っています。日本国民として、米国の兵士たちに敬意と感謝をもっているわけですが、気持ちだけじゃなく、病に苦しんでいる人たちに何か支援をすべきだと強く思っています」
そして、小泉氏は、日本が原発再稼働したことを何度も批判し、原発ゼロを主張した。
なお、トモダチ作戦に参加した米兵が放射能被害を受けている一方で、日本在住者が同様の被害を受けていないというのは不自然であり、隠れた被害者が多数いることも考えられる。日本もアメリカも何か隠している、という意味のことを小泉氏が指摘している。かつて広島・長崎の原爆による放射能被害の実体を、米日は隠ぺいしていた。同じように、福島原発事故による放射能の人体被害の実態を、米日はいま国家ぐるみで隠ぺいしているのではないか。そう疑われてもしょうがいない状況といえよう。(佐々木奎一)
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