中村氏は、
「その地域において、いかに理解を得るかということ。これは、地域によって色々あろうと思うんです。
平たく言うたら、大変うるさい人が多くて、そういうエサやりそのもの自身が駄目だと単純にその行為だけ見てペケにされるというか、そういう方の地域もありますやんか。ボランティア団体にしたら、そうじゃないんですよと。これはちゃんと去勢避妊の手術をして、そして元に戻すことによってその動物が生涯、その動物の一生をそこで終えるというね、そういう愛護の精神から是非ともそうさせてほしいということを言いますわな。地域の人に。そこで『分かりました』と。『ほんなら、どうぞ、そのように意に沿ってやってください』という地域もあれば『何でや』と。なかなか思いが通じないというようなところで、今後進める中で地域の方と、またそういったボランティア団体との一つのトラブルが発生する可能性も大いに考えられると思うんですよね。
そういうときに、だれが中へ入って調整してくれるかといったら、やっぱりこれは行政の人が中へ入ってもらわなしゃあないと思うんですよ。そういったところも覚悟を持ってこの施策を進めてもらわんと、実ある施策にならんと、このように思うんですが、この辺はいかがですか?」
と、言った。
つまり、エサやりに反対する町内会がある時、役人があいだに入って町内会を説得して、地域猫活動を実施していくようにもっていく覚悟はあるのか?激怒してエサやりに反対する町内会長なんかとひざ詰めで談判し、地域猫活動を実行していく覚悟はあるのか、と聞いたわけである。実際のところ、地域猫活動を成功させていくためには、役人のサポートは不可欠である。
この中村氏の質問に対し、望月雅史・保健衛生推進室部長は、
「今先生御指摘のように、この野良猫の避妊ですね、これにつきましては、いろんな問題がございまして、昨日も臨時の衛生課長会議を開きまして、いつからするのか、受付をどこでするのか、対象となる猫は野良猫だけなのか、野良猫の捕獲ですね、その辺については行政が行うのか、手術に掛かる費用ですね。一応、獣医師会の方の御好意で一応無料ということになっておりますけども、実際にそれだけでいいのか、実際に手術後の猫は元の地域へ戻すのか、その辺の調整も踏まえて、今後、行政がやっていかなければならないということで、今後具体的に詳細を詰めていって、来年の4月から実施をしたいという風に考えております」
と、これから決めていくというばかりだった。
こうして市民の代表であるはずの市議とは、議会でまともに議論しないまま、まちねこ事業の制度はできた。まちねこ事業は、密室政治の産物なのである。
(続く)