これら無回答企業は、説明責任を果たす意思すらない“ブラック企業”と言わざるを得ない。
次に、回答した企業をみてみよう。
まず、特筆すべきは、資生堂である。
2014年夏のマイクロビーズ取材の折、筆者は資生堂製品をいくつかピックアップして質問した。そのとき、資生堂は、こう返答していた。
「ご指摘の製品にはマイクロビーズは入っていませんが、その他の製品には普通に使用しています。(表示成分名称「ポリエチレン末」)。製品名については回答差し控えさせて下さい」
このように肝心の製品名をオープンにしないので、こちらで調べたところ、資生堂のハンドクリーム「薬用モアディープ」とベビー用品「ベビーパウダー プレスド」にポリエチレン末が含まれていた.。
こんなところにも使われているのか、と驚いたが、その一方で、「色々な製品に普通に使っている」というわりにはあんまり使ってないなぁ、もっと口紅とかまさに色んなところに使っているのかと思ったのだが、という印象を抱いた。
だが、既述のエクセル表のように、ポリエチレン末の入った資生堂の製品が十数個なのに対し、ポリエチレン表記のものは優に200を超えていたのである。製品の種類も、アイケア、アイリンクルクリーム、ゴマージュ・ピーリング、コンシーラー、コンディショナー、ジェル・クリームチーク、ジェルアイライナー、トリートメント、パウダーチーク、パウダーファンデーション、フェイシャルマスク、プレストパウダー、ペンシルアイライナー、ポイントリムーバー、ボディソープ、ボディ洗浄料、マスカラ、リップグロス、リップケア、リップライナー、口紅、洗い流すパック・マスク、洗顔料、頭皮ケアと、化粧品全般に及ぶ。
そこで資生堂が「普通に使用しています」と言っていたことに合点がいったが、ポリエチレン末としかいわず、ポリエチレンと言わなかったことに、だまされた、と思った。
そこで、こういうふうに質問した。
「昨年7〜8月にマイクロプラスチックビーズについて、御社に質問した折、マイクロビーズについて、色々な製品に『普通に使用しています。(表示成分名称『ポリエチレン末』)」との回答でした。しかし、当時、筆者が他社にも同様の取材を重ねたところ、マイクロビーズを、『ポリエチレン』と表記しているメーカーがいくつかありました。そこで御社の『ポリエチレン』表記の化粧品を調べたところ、数百の製品がありました。
そこで質問なのですが、当時、『ポリエチレン』と回答しなかった理由をお教え願います」
(続く)