2015年12月22日

海と、天地の生き物を汚染するマイクロ・プラスチック 二

 『マイクロビーズ』という言葉をご存じだろうか?これは、化粧品、洗顔剤、ボディソープなどの「パーソナルケア製品」に含まれる「微細なプラスチック粒子」である。マイクロビーズの大きさは1mm以下で、消費者のバスルームや洗面所から下水処理施設のフィルターを通過して川や湖、海に、毎年何百万トンも流れ込んでいる。マイクロビーズは殺虫剤などの化学物質がつきやすく、マイクロビーズを食べた動物プランクトンや魚が体内に有害物質を蓄積する恐れがあり、食物連鎖で環境全体を汚染し、人間にも深刻な影響を与えるリスクがある。

 そのため、例えば米国では、コロラド、コネチカットなど8つの州で、マイクロビーズを含むパーソナルケア製品の製造を2017年末から禁止し、2018年末に販売を禁止する法律を制定した。さらにカリフォルニア州では今年10月、生分解性のマイクロビーズを含め、2020年までに禁止するという、他州より、より抜け道のない法案を制定した。(Corporate Environmental Lawyerより)

 筆者は、昨年8月、他媒体でマイクロビーズの企画取材執筆をした。その時は、英字新聞に基づき、当時日本で売り出し中の洗顔剤、ボディソープ、歯磨き粉を対象に調べた。詳しくはその記事の通りだが、この取材のなかで、「製品の成分表示のなかで、マイクロビーズをどう表示しているのか?」という筆者の質問に対し、いくつかの社は「ポリエチレン」「ポリエチレン末」と回答していた。そして今年夏、マイクロビーズは「ポリエチレン」「ポリプロピレン」と表記されているケースが多い、と書いてある英字新聞を筆者は読んだ。

 そこで、昨年の取材では、化粧品メーカーに対し、製品名をピックアップして、この製品にはマイクロビーズは入っているか?という質問の仕方だった。(マイクロビーズの入っている製品名を聞いても大半の社が無回答だった)。そのため今度は「ポリエチレン」「ポリエチレン末」「ポリプロピレン」の入っているパーソナルケア製品を独自調査した上で、質問を組み立てることに決めた。

 また、昨年の調査では、中小零細メーカーも取材対象だったが、企業責任の重さという観点から、今回は、大手化粧品メーカーに絞ることとした。こうして以下の26社をピックアップした。(参考:業界動向SEARCH.COMNPO法人動物実験の廃止を求める会・JAVAなど)

 資生堂、花王、カネボウ、ポーラ・オルビスホールディングス、コーセー、マンダム、ファンケル、ノエビアホールディングス、ドクターシーラボ、ミルボン、ナリス化粧品、P&Gジャパン、富士フイルムヘルスケアラボラトリー、サンスター、日本メナード化粧品、ライオン、ユニリーバ・ジャパン、ホーユー、アルビオン、日本ロレアル、ピアス、再春館製薬所、ロート製薬、クラシエホームプロダクツ、LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン)、エスティローダー。

 次に、製品の成分表示を、サイト「化粧品成分情報サイト美肌マニア」に基づき調べた。

http://bihada-mania.jp/seibun/

 同サイトの「成分検索」で、「ポリエチレン」「ポリエチレン末」「ポリプロピレン」と入力すると、製品名がズラリと出てくる。

 こうして調べたところ、驚くべきことに、特にポリエチレンの入っている製品は、スクラブ洗顔剤のみならず、アイケア、アイリンクルクリーム、ゴマージュ・ピーリング、コンシーラー、コンディショナー、ジェル・クリームチーク、ジェルアイライナー、トリートメント、パウダーチーク、パウダーファンデーション、フェイシャルマスク、プレストパウダー、ペンシルアイライナー、ポイントリムーバー、ボディソープ、マスカラ、リップグロス、リップケア、リップライナー、口紅、洗い流すパック・マスク、洗顔料、頭皮ケアなど化粧品全般に及んだ。

 その数800製品以上(大手29社のうち17社の製品。グループ企業の製品含む)。詳しくは以下のエクセル表の通り。


 マイクロビーズ化粧品リスト.xlsx


 (続く)

posted by ssk at 21:45| Comment(0) | 連載
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