2015年12月17日

原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 八

 「現在は原子力に対する恐怖が世界を支配している。これは要するに、原子力兵器を持つ強力な破壊力と航空機の発達によって地球上のどの地点も敵国から攻撃をまぬがれないところから来ている。いかにして、この問題を解決するかは今後の人類への大きな課題である」

 そして、「これに関して、人間が科学にのみ走ることを嘆き、精神運動とか宗教的理念の高揚から、これを解決せんとする気遣いが相当多い。

 しかし、この問題はあくまで人間の理性でなければ根本的の解決は得られない。原子力を開発した人間の理性は、この問題をも解決し得ると確信する」 

 と、原子力イコール危険、だから使用しない、ではなく、原子力の危険イコール人間の理性で解決できる、だから原子力を使用する、というロジックを強調し、こう夢想して結んでいる。

 「やがては、現代を以て人類が未開であった頃、初めて原子力の秘密を知って自ら驚きあわてた時代として、伝えられる時が来るだろう」

 「原子力と平和」と題し、平和を前面に出しているように見せて、実態は、平和は当面無理だから、科学技術を進化させて広島・長崎に落ちた原子力爆弾より桁違いの爆弾をつくって平和を築くしかない、と軍拡思想を説いた仁科芳雄の手記。

 「原子力の平和的利用」と題し、原子力の最も手近で現実的な用途は電力、と言いつつ、原子力は、「完全に同一操作により」、原爆も原発も作られる、と、原爆イコール原発であることを説き明かした、武田栄一の手記。

 そして、原発は「原子力の応用としては序の口にすぎない」と豪語し、原子力航空機でサンフランシスコ、東京間を、我々が郊外から丸ノ内まで電車で通うよりも気軽にできるかも、月に行くのだって夢ではない、とまさに夢をつづった菊池正士。

 この三人の手記は、約5年後にアメリカが推し進めた「アトムズ・フォー・ピース」(「原子力の平和利用」)の祖形である。

 「アトムズ・フォー・ピース」とは、195312月の国連総会で、アメリカ大統領ドワイト・デイビッド・アイゼンハワーが、「アメリカは誇りを持って『原子力の平和利用』(アトムズ・フォー・ピース)の推進計画の策定に着手する」といい、原子力情報を機密にしてきたこれまでの政策を大転換し、「原子力の平和利用」(アトムズ・フォー・ピース)を訴えたことを指す。

 その後、アメリカは、核兵器用に濃縮したウランを民間に転用し、世界中で原発建設を推進していく。それは一見、画期的な核軍縮提案に見えたが、実は、こういう狙いがあった。

 (続く)

posted by ssk at 00:36| Comment(0) | 連載
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