2015年11月26日

原発再稼働とアンダーコントロールされない福島

 平成二十七年十一月九日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「原発再稼働とアンダーコントロールされない福島」


 を企画、取材、執筆しました。



 けさの新聞は休刊。7日付の毎日新聞朝刊に「鹿児島川内原発 周辺、線量測れず」という記事がある。それによると、鹿児島県が九州電力川内(せんだい)原発周辺の25カ所に設置したモニタリングポストの稼働状況を会計検査院が調べたところ、稼働に必要な電力を確保できず、空間放射線量を測定できない時間帯が生じていたことが分かったという。

 なんともズサンな話だが、そもそも福島第一原発が全くアンダーコントロールされていないなか、原発再稼働するなんてとんでもない、という声は根強い。福島原発の「再臨界」を懸念する識者もいる。

 例えば、42728日付週刊プレイボーイ電子版によると、43日、2号機の格納容器の温度が約20℃から70℃へ急上昇を計測。2日後には88度に達し、4月第3週現在も70℃前後から下がっていない。熱源はメルトダウンした最大重量100tと推定される核燃料。(※筆者註:東電は、この上昇について、温度計の故障の可能性が高いと説明)

 だが、異変は「3号機内部でも起きているようで、今年に入って何度か3号機の屋上から大量の蒸気が噴き出す様子がライブ配信映像で目撃された。そして、もっと見逃せないのが2号機の温度上昇と連動するように46日から福島第一原発周辺の『放射線モニタリングポスト』が軒並み高い数値を示し始めたことだ。

 中でも原発から北方向の南相馬市では、復旧したての常磐自動車道・南相馬鹿島SA(サービスエリア)ポストで通常線量の1000倍にあたる毎時55μSv(マイクロシーベルト)を最大に、市街地各所で数十倍の上昇が見られた。それぞれの線量上昇時には福島第一原発方向からの風が吹いていた」

 だが、福島県は、この後すぐに40ヵ所ものモニターを“機器調整中”とし測定を止めるという、不可解な行動に出たという。

 同時期、福島県以外にも異変はあった。47日、東京都内で、「北東・北方向から45メートルの風が吹き続けた7日正午から夕方にかけて、港区・新宿区・渋谷区・世田谷区を中心にいつもの24倍に達する線量上昇を確認した。また『原子力規制委員会』が公開した4月中旬までの全国線量グラフにも東北各県や神奈川県などで急激な上昇が見られた」

 「これは一体、何を意味するのか? 考えられるのは、原発内の核燃デブリ(ゴミ)が従来の注水冷却工程に対して異なった反応を示す状態に変化した可能性。例えば、デブリが格納容器下のコンクリートを突き抜けて地盤まで到達(メルトアウト)し、地下水と接触するなどだ」という。

 「『IAEA(国際原子力機関)』の“不測事態の管理技術会議”は、2012年時点で(中略)厄介な事態を予測している。それはデブリの核分裂反応が再び爆発的に加速化する可能性だ。通常ならば、原子炉や実験施設内でコントロールされる『再臨界』は自然状態でも一定の条件が整えば起き得る。その条件とは中性子と水、地質。IAEA技術会議のシミュレーションでは、まず原発地下の水流と岩盤層が中性子の反射装置となり、デブリ内のウランやプルトニウムが連鎖的に核分裂していく。そして膨大な崩壊熱で水蒸気爆発が繰り返され、新たに生まれた放射性物質が地上へまき散らされる…。」

 さらに「CTBT(包括的核実験禁止条約)に基づき『日本原子力開発機構』が群馬県高崎市に設置した高感度の放射性核種監視観測システムには、昨年12月から福島第一原発の再臨界を疑わせる放射性原子、ヨウ素131とテルル132が検出され続けている」(※同記事掲載の8日後、「CTBT高崎放射性核種観測所」は、3か月間も表示ミスを続けていたとして数値を訂正した)

 「また福島第一原発2号機横の観測井戸では、今年に入って新たな核分裂反応の再発を示すセシウム134とトリチウムの濃度が高まるばかりだ。昨年秋に開通した国道6号線の第一原発から第二原発までの12q区間でも高線量が続いている」という。

 今やらなければいけないのは、原発再稼働だろうか?(佐々木奎一)


posted by ssk at 14:38| Comment(0) | 記事
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