筆者は、三年以上前から、原発広告のことを本にしようとして、色々調べたりしていたが、機を逸してしまい、もうやる気しない、と思いつつ、本棚に資料を入れっぱなしにしていた。それで先日、本棚を整理していると、その原発広告の資料が出てきた。
改めて、手に取って見たが、なかなか興味深い。
それに機を逸したと思っていたが、今年に入り、驚くべきことに原発再稼働され、今後ゾロゾロと再稼働させようと安倍自公政権・財界・原発立地は目論んでいる。
それと、私事だが、ちょうど数週間前に、スイスの大学院に籍を置く外人から連絡があり、4年以上前に書いた筆者の原発広告の記事について、問い合わせがあった。そのため、返答したのだが、その折、改めて自分の記事を読み返して、我ながら原発広告のディープさを再確認したりもした。
そういう伏線があったからかは、自分の深層心理まではわからないのだが、改めて、原発広告を一冊の本に残したい、と思った。一言でいうと、パッションである。
ただ、原発広告といっても、月刊誌、週刊誌から、専門誌、地方紙、全国紙と、様々ある。全てを網羅できればベストだが、それは誰かをこき使わない限り、時間的、経済的に無理である。そこで、削ぎ落として削ぎ落として、一番知りたい広告を突き詰めたとき、一つの媒体が残った。それは「読売新聞」である。
読売新聞は、公称部数約1000万部という世界一の部数。その影響力は大きい。たとえ同じ内容でも産経新聞とは、比較にならない。原発再稼働が進む裏には、読売新聞の音頭取りがある。部数で群を抜いているだけではなく、同紙は、現役の論説委員が写真入りで原発広告に登場して原発を礼讃したり、「フォーラム・エネルギーを考える」というNPO法人を登場させたりしている。この団体のメンバーは松田英三(読売新聞論説委員)、東嶋和子(元読売新聞記者、科学ジャーナリスト)、舛添要一(参院議員)、山谷えり子(同)、山名元(京大教授)、木場弘子(キャスター)、露木茂(東京国際大学教授、フリーアナウンサー)、進藤晶子(元TBSアナウンサー)、大山のぶ代(声優)、今井通子(登山家、医学博士)、ダニエル・カール(タレント)、ケント・ギルバート(同)、堺屋太一(評論家)などなど計169人が名を連ねている。フォーラム・エネルギーを考える、に対し筆者が突撃取材を敢行して質問をぶつけたところ、資金源は、電事連だった。
そういうふうに思い返したのち、先日、筆者はauのニュースサイトEZニュースフラッシュ増刊号のコーナー・ウワサの現場で、隔週で企画取材執筆をしていることもあり、読売新聞の原発広告のはじまりをテーマにする企画を出し、執筆した。
この執筆をしているとき、我ながら、ジャーナリストとして、おもしろかった。もともと、本にしようとしていたテーマだからに違いない。このテーマは必然的にメディア論も兼ねるので、広告屋や、ボランティアを手足のようにこき使って搾取するNGO、それらとタイアップする出版社(※筆者に著作権法違反容疑の不義理をしたため、すぐに直おせ!と若干キレてしまい、「訂正後、すぐに連絡します」といったきり2年以上連絡がない、という、筋を通さない出版社、編集者の名前は、忘れた)では書けないものが、自分には書けるはずであると思っている。
そこで、下書き原稿を、この公式ブログで、本の折り返し地点乃至三分の二程度まで書いて、その後に大幅加筆修正、追加取材をして、本に残せればと思っている。そういうわけで、原発広告の始まりから、検証していく。
そもそも、日本に原発を導入したのは、読売新聞社主だった正力松太郎といっても過言ではない。
(続く)