2015年11月10日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十七

 「ネオジム磁石は、どういった使われ方をするんですか?」と筆者は聞いた。

 「エネルギーの消費をするのは、ほとんどがモーターなんです。車のモーターとかね。

 電気を使っているものは、電灯とかキッチンとか、そういうのですけど、実際には一番よく使っているのは、モーター、動くもの。例えば、自動車には、色々なモーターが付いていますね。一番大事なのは、ハイブリッドカーとか、電気自動車とか、そうした車のモーターは、ネオジム磁石がなければできないんですね。ものすごい量を使っているんです。

 それから携帯電話も、振動しているところ、あれもちっちゃいモーターですけれども、ブルルッと震えたらネオジム磁石なんですね。

 振動モーターからハイブリッドカーのモーターまで、各家庭には百個くらいあるんですよ。モーターが。それにネオジム磁石を使っているんですね。

 そのモーターの電気の消費量を落とす役をするんです。消費している電力は、50%位はモーターで消費しているんです。今、日本の発電所で発電されているエネルギーの50数%は、モーターで消費されています。そのモーターの消費電力を落とす、あるいは節約する役をするのがネオジム磁石ですね。それを開発したんですね。

 だから、みんなにものすごく役に立っているんです。みなさんも、みんなどこかで、たとえばカメラのなかにビューと動くようなところがあったら、それ全部ネオジム磁石。モーターですね。もう、いっぱい色々なところにありますね」

 この話を聞いている筆者の持っているデジタルカメラや携帯電話、録音機にも、眞人さんの発明したネオジム磁石が使われていることになる。日本中のみならず、世界中の人々が、眞人さんの発明の恩恵にあずかっている、そう言っても過言ではない。筆者は、その途方もないキャリアに、びっくりしてしまった。

 その後、久子さんが、ニュートンを持ってきてくれた。それは、眞人さんへのインタビュー記事で、記事のリードに、ノーベル賞候補という趣旨のことが書いてあった。眞人さんの話を聞いたあとだっので、納得できた。

 「いつかノーベル賞、とるかもしれないですね」と筆者が話していると、久子さんは、教科書を持ってきた。そこには眞人さんの顔写真入りで業績を紹介したページがあった。たしかに教科書に載るレベルの業績だと筆者は思った。

 もちろん、眞人さんのようなノーベル賞候補の人はほかにもいることだろう。そういう人たちのなかから、たまたま毎年何人かが選ばれるのがノーベル賞というものなのだろう。

 そういえば、鎌倉の文士・川端康成が、そのようなことを言っていたのを思い出した。川端康成がノーベル文学賞を受賞したとき、川端康成を慕っていた三島由紀夫が、鎌倉の自宅までやってきて座談をしている音源を、NHKラジオが前に放送していた。そこで川端康成は、ノーベル文学賞をとったのは、たまたま自分がとっただけ、という意味のことを、ぶっきらぼうに、投げやりに言っていた。受章したことを、道端に落ちていたのをたまたま拾った人がいただけ、という意味合いのたとえをたしかしており、謙遜している口調ではなかった。鎌倉の文士連だけでも、すごい文筆家はほかにもゴロゴロいるのだから、たまたまとっただけ、というのは本心だったことだろう。目の前にいる人物も然り。

 要するに、ノーベル賞候補と言われている時点で、すでにノーベル賞受賞と同じくらいすごいことだと筆者は思う。培った業績は不変である。

 まさか野良猫の取材をしていて、そのような最高峰の科学者に会うことになるとは、思ってもみなかった。

 (続く)

posted by ssk at 20:00| Comment(0) | 連載
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