2015年11月04日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 七十二

 一通りエサを上げた後、再び歩き始めた。

 すると、ブーンと、バイクが通り過ぎた。佐川さんは言う。

 「あの人も文句言ってきた人です。あの人も『エサやるなー!』と言って」

 バイクのブレーキをかけて、バイクからおりずに、そう怒鳴り付けたのだという。

 その後、大きな敷地に入って行った人がいた。

 「いま、挨拶してくれましたけど、ここの造園屋は、ものすごい『餌やるな!こんな道路でやってええかいな!』と怒ってきました。いまの人たちは従業員だから、挨拶しましたけど。ですから、敵だらけです。

 猫の糞尿の被害がすごいんだと思います。造園さんは樹大事にしてますよね。だから困っているんだと思います。

 だからといって、対策講じないでしょ。だからこんなに増えていってしまったのに。

 吉田真澄先生(京都市在住の弁護士。元帯広畜産大副学長、ペット法学会の初代事務局長(現副理事長)で、日本で初めて「ペット六法」(誠文堂新光社刊)を編纂した人物)は、『そもそも自分達に問題解決能力がないのに、文句ばっかり言って』とはおっしゃっています。

 ここの住民はほとんどエサやることは悪いことだと思っています。なぜかというと、やっぱり、すごい30匹くらいに増えたからだと思います。

 『エサやっていい』とおっしゃっている人もいるんですけど、エサやるな、と言う住人が多いから、餌やっていい、とは言えないんです。 あとご主人がダメといったり家族の反対もあるんです」と佐川さんはいう。

 なお、「30匹くらいに増えた」、というのは、佐川さんが引っ越してくる前からエサをやる人たちはいたが、集まってくる全ての猫をすぐに手術するのは経済的に困難だったため、猫が増えてしまった面もあったようだ。

 ただでさえ、京都市は町内会の同意がないと手術代を一切助成しないので、30匹いると、手術代だけで11万円としても30万円かかる。それを一、二人だけで背負うというのは現実的には難しい。それだけの額をポンと野良猫に使うことに家族が納得しないケースもあるかもしれない。経済面でみた場合、地域猫活動を全国で成功させるには、より多くの人々の協力と、自治体のより多くの助成が必要なのは明らかである。

 なお、佐川さんは後述のように旦那さんの理解もあるため、どんどん手術した結果、たったの約一年半で、27匹から13匹と、劇的に野良猫の数を減らした。これがもしも、手術までに時間を置いたら、猫はネズミ算式に増えるので、逆に増えてしまったかもしれない。

 地域猫活動は、キッチリやっていけば、やはり抜本的に野良猫問題を解決していくことがてきる。

 そう思いつつ、歩を進めると、「あ、来ました、うちの夫が」と、佐川さんはいった。

 (続く)

posted by ssk at 20:00| Comment(0) | 連載
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