2015年10月28日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十五

 いうまでもなく動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)は、動物虐待を犯罪行為と定めている。

 同法四十四条にはこうある。

 「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

2   愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する。

3   愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する。

4   前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。

   牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる

   前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」

 つまり、このクレーマーが猫を監禁して2週間も水しか与えていないというのは、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する」、もしくは「愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させる(中略)虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する」に該当する。

 にわかに異様な犯罪に直面したこの役人は、こう言った。

 「保健センターに引き取ることができるのは、自活不能な猫か負傷猫に限られており、野良猫の引き取りは行っていない。捕獲した猫に関しては、新たに飼い主を捜してもらうか、元いた場所へ返してもらいたい」

 これに対し、クレーマーはこう言った。

 「現在、近隣にたくさん猫がいるのに、放すことは不可能である。怪我をしたら引取ってもらえるというが、自分が怪我をさせれば来てくれるということか。このままエサをやらずに死ぬのを待っていたら引取ってもらえるのか。」

 これに対し、役人は、こう言った。

 「動物に危害を加えて怪我をさせると、虐待になり処罰されますのでやめて下さい。」

 これに対し、クレーマーはこう言った。

 「それでは市民の為に何もしないことになる。行政の怠慢ではないのか。上の者に被害があることを伝え、何とかして欲しい。」

 役人はこう言った。

 「被害の状況や届出内容を把握して、できることがないか検討したいので、住所を教えて欲しい」

 これに対しクレーマーはこう言った。

 「教えたら今捕獲している猫が死んで引取り依頼をした時に、自分の身元がばれてしまう。今回の電話の件は忘れてもらいたい」

 そう言って、このクレーマーは、電話を切った。

 (続く)

posted by ssk at 23:47| Comment(0) | 連載
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