2015年10月21日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 六十一


なお、京都市の獣医師会が、耳カットしない代わりに「二重オペ」になっても構わない、と言ったのは「暴論」というのは、筆者の周囲の人間の原体験から、痛切にそう思うのだ。

 私事だが、筆者のカミさんの実家では、最近、家にやってくるメスの白黒の野良猫(推定1歳位)にエサをあげ始めた。そうして徐々に慣れさせていくなかで、市内の動物センターで登録されているれきとしたボランティア団体の代表者に相談し、手術をすることとなった。

 当初は捕獲器を使う予定だったが、その猫は非常に人なつっこく、エサをやるうちに、足元で仰向けになってゴロンゴロン転がったり、愛嬌たっぷりでニャーニャー鳴くようになりで、トラップで捕獲するまでもなく、ケージに入れれる状態になった。

 そうして満を持して猫をケージに入れて動物病院に行って手術したところ、なんと既に不妊手術済みだったのである。

 無論、この猫は耳カットしていない。例えば、筆者の住む横浜市の片隅の栄区では、市の助成と、区内の有志の動物病院による「栄区動物と仲良く暮らせる街づくり協議会」という民間団体の助成を合わせることにより、野良猫の不妊去勢手術をした場合、市民の負担はオス3千円、メス5千円となるのだが、その際、猫の耳はVカットしない。その代り、マイクロチップを埋め込むことになっている。

 だが、その猫はマイクロチップもなかった。

 家で飼われていた猫だったが、捨てられてしまったのだろう。そのボランティアの代表も、そう言っていた。

 ケージに入れられて、知らないところに連れて行かれて、切らなくてもよい腹を切られて、入院し、抜糸までに一週間以上かかり、その間、切った箇所を舐めないよう、エリザベスカラーと呼ばれるエリマキトカゲのようなモノを首に装着されたりして、やっと抜糸となった。

 その猫は今、カミさんの実家で飼われている。

 このように横浜市では、捨てられた飼い猫でない限り、区によって耳先Vカットにしたり、マイクロチップを入れることにより、手術済みの野良猫であることを確かめることができるシステムになっている。そうすることで野良猫が何回もメスを入れないで済む。飼い猫が捨てられた場合でなければ。

 要するに、切らないでいいのに何回も手術するのは、可哀そうである。二重オペという発想は暴論、と筆者は思う。

 (続く)

 ※横浜市栄区の不妊去勢手術の助成について2015年10月22日付で一部訂正しました。お詫びします。
posted by ssk at 20:00| Comment(0) | 連載
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