2015年10月19日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 五十九

 次に「(2)役割分担について」。

 「@保健所 (例)相談(保健所職員の派遣要請含む)、受付、現地調査」 

「A家庭動物相談所 (例)捕獲檻の貸出、猫の搬送、術前術後管理」

 「B社団法人京都市獣医師会 (例)手術実施、術前術後管理指導」

 「C生活衛生課 (例)予算、広報、資料作成」

 「D住民が行うこと 

 (例)地域の合意形成、活動計画、申請書の作成、猫の捕獲、返還後の猫の管理、報告」と書いてある。

 次に「3 受入団体の条件について (例)地域の範囲が比較的明確であり、対象となる猫が把握されている

 猫が生息する地域の住民を含んだ同一世帯でない3名以上の活動団体である

 地域の自治会、町内会等の理解と合意を得られている

 地域管理猫の目的を理解し、趣旨に沿った活動を実施できる」。

 その下に出席者がこう意見している。

 「餌やりはしても糞の始末をしていないのが多い。

 自治会の責任・負担を軽くしておく、元に戻すことを容認するくらいにしておく。善意もあるが、ソトネコを野良ネコといって動物病院に連れてくる例がある。

 猫を捕獲する場合、まずつかまえるのは弱い猫、元気で繁殖力の強い猫はなかなかつかまらない。多少の病気でも増えて困るという観点から手術を行う(死亡のリスクの十分な説明と合意をしておく。駄目でもやるということを明文化する。)

 餌やりグループと町内の合意が鍵。

 猫の保管は元のケージでおくか管理檻に移すかして安全性の確保と放す準備をしておく。」

 「グループの方に頑張ってもらう。行政が関与しなくてもできるのが理想であるが、行政はグループの方だけでなく地域住民に制度の仕組みや目的を説明することが必要である。

 問題となるのは、入り口での振り分けとトラブルの際の責任の所在である」

 この「入り口での振り分けとトラブルの際の責任の所在」というのは、「入り口の振り分け」、つまり、「町内会の合意」というハードルを入口に設けることで、大多数の餌やりを振り分けるという意味と見られる。また、「トラブルの際の責任の所在」とある一方で、「自治会の責任・負担を軽くしておく」と書いてある点から見ても、町内会の人間中心の制度であることがわかる。そこには、猫を嫌な人もいるかもしれないが、猫を減らすため、町内会の将来の世代のため、町内会に今生きる人には我慢もしてもらって、みんなで猫との共生を進めていきましょう、という地域猫活動の本来の趣旨は、ない。

 (続く)

posted by ssk at 22:24| Comment(0) | 連載
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。