平成二十七年九月二十五日付、のauのニュースサイト
EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事
「ノーベル平和賞マララ『兵器ではなく本を!』」
を企画、取材、執筆しました。
けさの朝日新聞一面に紫色のスカーフをまとった女性の顔写真付きで「テロ思想根絶へ『兵器より子供に本を』マララさん語る」という記事がある。
マララとは、2014年のノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイ(現18歳)のこと。マララは1997年、パキスタン北西部のスワート地区生まれ。同地区は女子教育を否定するイスラム過激派「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の支配下にあった。マララは11歳になった2009年ごろからTTPの女子教育抑圧や残虐行為をブログを通じて仮名で世界に発信し続けた。その後、実名を明らかにし、TTPの襲撃標的となり、15歳だった2012年10月、下校途中のスクールバスの中で銃撃され、意識不明の重態に。しかしイギリスの病院で奇跡的に回復し、女子教育の権利確立を求める運動を再開。2013年には見舞金や寄付、国連の支援金などを基にマララ基金を創設し、世界各地の女子教育支援計画に助成。その後も、ナイジェリアでイスラム過激派ボコ・ハラムに誘拐された女子学生の解放を訴えたり、パレスチナ自治区ガザの紛争で壊れた学校の再建を訴えるなど世界各地で活動している。(日本大百科全書(小学館刊)より)
そのマララが自身を題材としたドキュメンタリー映画の制作を機に、朝日新聞とのインタビューに応じた。
それによるとマララは「残念なことに、兵器は常に破壊をもたらします。人々を殺害し、破壊する。世界は兵器にお金を費やしすぎています。もし世界の指導者たちが、軍に費やす総額のわずか8日分だけでも支出をやめようと言いさえすれば、その8日分の額だけで、世界中のあらゆる子供が12年間にわたり教育を受けるための1年分を確保できるのです。だから世界の政治指導者たちが軍と兵器、戦争への支出を止めれば事態は実際に大きく変わる」と述べたという。
また、オバマ米大統領に対して無人機の問題を提起したことについては、「私が無人機攻撃の問題に触れたのは、無人機がテロリストを殺害できるのは確かですが、テロリズムを、テロリズムの思想自体を殺すことはできないからです。テロリズムに対してそれを止めたければ、あらゆる児童が質の高い教育を受けられるよう保証する必要があります。こうした人たちの多くは教育を受けておらず、職がなく失業中で、希望もないのです。そして彼らは銃を取るのです。子供たちに銃を取らせたくないのであれば、本を与えなければなりません」と語ったという。(同紙電子版より)
ちなみに、あまりの残酷さから世界84カ国が使用、製造、輸出の禁止条約に批准している無差別殺傷兵器「クラスター爆弾」は、今年、イエメン、リビア、スーダン、シリア、ウクライナの世界5か国で使われている。そのうちイエメンでは、少なくとも3種類の米国製のクラスター爆弾が、サウジアラビア軍によって使われた。(9月4日付ニューヨークタイムズより)
このように大量殺戮兵器・クラスター爆弾を輸出している米国と同盟を結ぶ日本は、先週9月19日未明、ついに米国とともに世界の裏側まで戦争に行ける法律を成立させた。それに昨年4月1日の閣議決定により日本は、兵器輸出の道も開いている。
平和憲法を掲げながら、ノーベル平和賞受賞者マララとは反対の道を進む日本――果たしてこれでよいのだろうか?(佐々木奎一)