2015年09月20日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 二十九・三十

 このように、当時の環境大臣政務官で、現、衆院環境委員会・理事、そして自民党環境部会・副部会長でもある環境族の牧原秀樹氏がつくった「牧原プラン」は、「無責任な餌やり」という、全国の自治体の役人がどうとでも解釈できる言葉を入れることによって、例えば京都市に“エサやり禁止のお墨付き”を与える、といった役割を果たした。筆者の取材に対し、京都市の役人は「牧原プラン」をエサやり禁止条例の参考にした、と述べている。無論、牧原プランのできる前から京都市はエサやり禁止に向けて水面下で動いていたので、牧原プランを楯に取った形である。

 前出のように、牧原氏は、牧原プランに不十分な点があれば、「皆様のご意見も伺い、追加修正」をする、と表明していた。

 それなのに、京都市がエサやり禁止条例のパブリックコメントを受付けた月である昨年12月と、条例案を京都市議会に提出する直前の今年27日、そして条例案が可決された直後の326日に、それぞれTHEペット法塾(代表:植田勝博弁護士)が大阪、京都、東京で開いた反対集会(東京は全国動物ネットワークと共催)で、牧原氏は来賓として呼ばれていた。そのたびに、牧原氏は欠席してメッセージを送っていたが、牧原プランにある「無責任な餌やり」については一切ふれず、開催おめでとうございます、という、おためごかしの社交辞令に終始していた。

 そうした中、今年619日の院内集会「野良猫保護、実験動物の福祉、被災動物と動物愛護法改正」(主催:THEペット法塾 共催:全国動物ネットワーク)に、初めて牧原氏は現れた。牧原氏は開会から1時間ほど経った頃、にわかに会場に姿を現した。そして市民団体の人の話が終わった後、司会に紹介されて、マイクを持って挨拶した。

牧原氏の話の内容は、去年6月に牧原プランを出して殺処分ゼロを国家の方針とした、殺処分ゼロに向け初めて予算をとった(5千万円を要求し1300万円に決定)、12のモデル地域にお金を出している、それから環境大臣政務官を辞めて、それでゆるくなってはいけないということで、超党派で動物、命を大切に思う仲間で議員連盟を立ち上げた、これも初、普段は国会で同じ日本人かと思うくらい喧嘩をするが、動物ということに関しては完全に一致団結して心を合わせて次の動物愛護法改正のときにしっかりやっていこう、ということでやっている、今日は植田代表をはじめ、この会議をやるということは、それに向けて歴史的な会議になるんじゃないかな、と思っている、今日は実は私の方で部屋をとらせていただいた、15時から19時半という超長丁場の会議でありまして、うちの秘書は子供もいるんですけど、今日は20時までは帰れない、ちゃんとキレイにしてから鍵を返す、最後までいます、それくらい今日は大切な会議、今、たくさんの方々からご報告を承りました、是非、このことを活かして次の法改正につなげていきたい。

 こう、言った後、牧原氏は、こう語った。

 「なかなか動物愛護の関係、今も何人かお話ありましたけれども、理解を得るというのが難しいんですよね、やはり日本人のなかには、命よりも、自分がうるさい、とか、自分が汚い、とかいうことを、重んじる人が残念ながら多くなってしまっている現状がございます。

 しかしそのことに決してめげることなく、わたしはここの活動が、将来、心豊かな日本の土台になると思ってますので、どうぞよろしくお願いします。皆さまのこの大会のご成功をご祈念申し上げて挨拶とします」

 この中の「理解を得るというのが難しいんですよね、やはり日本人のなかには、命よりも、自分がうるさい、とか、自分が汚い、とかいうことを、重んじる人が残念ながら多くなってしまっている」という言葉は、京都市の事例でみてきたような野良猫の苦情者が多いという意味と見受けられる。そして、そうした苦情の声が多いので、野良猫へのエサやりが理解を得るのは難しい、エサやり禁止の流れはしょうがない、牧原プランを修正もしない、ということを言外に匂わせた。

 その後、牧原氏は、パネリスト用のイスに座った。筆者は、てっきり、トークに参加するのかと思った。おそらく、主催者のペット法塾の植田代表や、牧原氏を握手で迎えていた議員連盟で一緒に活動している参院議員・福島瑞穂氏や、会場の参加者の多くも、牧原氏はトークに参加するのでは、と思ったのではないか。

 パネリストとして参加すれば、おそらく、牧原プランの中身について、厳しい追及が飛んでくることだろう。一体、牧原氏はどう答えるつもりなのか。それとも、実は牧原氏は、ひそかにエサやり禁止に反対していて、他の京都市の猫エサやり禁止条例に反対するパネリストに同意して気勢を上げてるのだろうか。何よりも本当にパネリストとして参加するのだろうか。

 そんなふうに半信半疑で様子を見ていると、にわかに牧原氏は、主催者に一礼して、会場をあとにした。



牧原氏空席.jpg

 (パネリスト牧原氏のイスは空席だった)



会場 .jpg

 (会場)

 (続く)

posted by ssk at 21:10| Comment(0) | 連載
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