2015年09月06日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十六

 猫銃撃事件により約27千人の内灘町に激震が走るなか、さらに同時期、段ボール箱に入れられた10匹もの子猫の遺棄事件が頻発した。

 そうした中、桐畑氏の団体は翌7月に猫の譲渡会を開催すると新聞、HP、チラシで告知した。

 すると、町役場から、「役場庁舎に遺棄された子猫5匹も譲渡会に参加させてほしい」と連絡があった。

 猫を取り巻く町の環境に対する危機感は共通していることなどから、役場も譲渡会に参加することが決定した。

 平成21年度に内灘町から保健所に持ち込まれた子猫の数は41匹。それがこの譲渡会を機に、役場は、「一匹でも救いたい、現状を変えたい」との思いから新しい飼い主を見つける努力を始めたという。

 また、そのころから桐畑氏は、保健所に引き取られる猫の数を減らすため、地域猫活動を始めた。桐畑氏は、まずはじめに、内灘町内の動物病院を訪れた。この病院は銃撃事件の被害猫のかかりつけ病院で、事件に大変心を痛め、子猫の遺棄、殺処分にも悩んでいた。

 そこで、桐畑氏は、そうした問題を解決するため、避妊去勢手術費用を、「オス5千円、メス1万円」で行えるか?捕獲箱での預かりは可能か?耳先Vカットの必要性を理解してもらえるか?と問うた。

 すると院長は、こう言った。

 「地域に貢献できることはやりましょう!いいですよ」

 その後、平成24年に「玉桜基金」が設立された。これは、石川県内に在住の資産家からの寄附により設立された基金で、寄付者が可愛がっていた2匹の猫たち「玉緒ちゃん」と「桜ちゃん」から名付けられた。

 玉桜基金設立の趣旨は、あらゆる地域で“野良猫”として生きていかなくてはならない境遇の猫たちを不憫に思い、また不幸に生まれてくる命を一匹でも減らしたいという、猫たちに対する意思を、より多くの方々に知ってもらい、不幸の連鎖を止めるための基金。

 具体的には、飼い主のいない猫への「避妊去勢手術」のうち、メスの手術費1万円のうち、基金から5千円を助成。さらに、負傷猫の治療費を上限2万円まで助成するというもの。(写真は、玉桜基金HPより)


玉桜基金HPより.jpg


 さらに同年、内灘町が「地域猫活動推進交付金制度」を設けた。これは、1匹につき5千円の手術費用を、上限5万円まで、町会を通して助成するというもの。上限5万円を超える分は、町会が負担する。

 こうして、正規の手術費オス15千円、メス2万円のところ、動物病院の協力により、メス1万円、オス5千円となった上、町の助成金により、メスは5千円、オスはゼロ円となった。さらに町の助成を差し引いたメスの費用5千円は、玉桜基金が助成する。こうして住民負担は、ゼロとなった。

 現在は、ほかに5つの石川県内の動物病院でも協力してもらっているという。こうして桐畑氏が代表をつとめる「猫の避妊と去勢の会」で手術した猫は、平成24から平成26年の3年間で1025匹に上る。内灘町で保健所へ子猫が持ち込まれる数は、今ではゼロだという。


右が桐畑陽子氏。左が野村佳世子氏.jpg


 なぜ、地域猫活動ができたのか。内灘町役場の野村佳世子氏は、その理由を以下の3点挙げた。(写真右が桐畑陽子氏。左が野村佳世子氏。院内集会にて)

 「第一に、問題を共有すること。役場、町会、NPOなどが『このままではダメだ。なんとかしなければ…!』と、どのような活動をすればよいか一緒に考えることです」

 「第二に、協同できる仲間を集めることです。役場、町会だけで活動するのは実際難しく、一緒に活動してくれる地域住民を見つけることが必要です」 

「第三に、金銭的負担の軽減です。一番ネックになる金銭面での負担が軽減できれば理想です。」

 そして、野村氏は、こう語った。「内灘町では、役場の担当者と桐畑さんを中心に取組み、その熱意がみんなに伝わり、今、結果が出始めています。リーダーとなる人間がいれば、どこの町でもうまくいくと思いますので、是非、参考にしていただければと思います」

 エサやりの地域住民を排除する京都市とは、正反対である。

 話を、京都市クレーム案件に戻す。

 (続く)

posted by ssk at 17:52| Comment(0) | 連載
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