2015年09月05日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで 苦情の内実 十四・十五

 さらに、クレーマーは、こう言った。「■■氏へどう話したのか、そもそも本当に話したのか疑問である。現場も見に来るべき」

対する役人・河野氏は、再度、■■氏へ話に行く、と回答。

 翌日、河野氏は、京都市建設局土木管理部の伏見土木事務所に電話し、「路上にゴミを放置してはならない等の法令規定はあるか」と問い合わせた。対応した同事務所の中田氏は、「道路が通行できないほどの物であれば動くかもしれないが、特に指導権限はない」と答えた。

 翌日81日午前11時頃、■■氏を訪問し、置きエサを控えるよう再度伝え、了承を得た。

 そのことを後日、クレーマーに伝えると、「エサの片づけは誰が確認するのか」とクレーマーは迫った。

 河野氏は「行政ではしかねる」と言った。

 するとクレーマーは、「個人で対処すべき問題ではなく、『まち美化』や『衛生』と名前を冠した行政が何とかするべき話である」と従来の主張を繰り返したので、「現時点行政では法的対処はできないこと、条例の制定は議員主体であり、まちねこ事業を近年開始して取り組んでいる」と説明して了承を得たという。

 このクレーム案件で、特徴的なのは、エサをやっている人が、猫を捨てる社会に対する問題意識が高く、避妊去勢手術をしている点から見て、地域猫活動をしようとしているが、置きエサを続けている点が、決定的に地域猫活動とはいえないという点だ。

地域猫活動とは何なのか、最低限、必要な知識を、全国のエサやりさんが共有することができれば、野良猫エサやりを巡るトラブルは激減するはずだ。そのためには、行政は、置きエサをしてはダメ、というだけではなく、なぜダメなのか、猫愛に満ちた人の心に刺さるよう、説明していく必要があるのではないか。

もう一つ、特徴的なのは、エサやりさんの側がクレーマーと直接、「話し合いたい」と言っていた点だ。猫トラブルの解決には、住民間の話し合いが不可欠なのだから、行政が間に入って、話し合いの場を設ける必要があったのではないか。

 なお、話が前後するが、前々回、京都市とは違って、全国には避妊去勢手術必要の一部を助成する自治体は多く、なかには、住民の手術代の負担がゼロとなる自治体もあることに触れた。

 その負担ゼロの自治体を紹介したい。それは、石川県内灘町。

 筆者はこの話を、今年326日に参院議員会館で開催した「第一回 動物愛護法に関する院内勉強会(ラッシュジャパン助成事業)テーマ 地域猫「飼いネコのいない猫たちをどうするのか」(主催:全国動物愛護ネットワーク、共催:THE ペット法塾)での、NPO法人 猫の避妊と去勢の会・桐畑陽子氏、石川県内灘町・町民福祉部・環境衛生課の野村佳世子氏の話を聞いて知った。

 両氏によると、きっかけは、平成226月頃のこと。ちょうどこの時期、いたましい事件が起きたという。(以下、事件については読売新聞に基づく) 

同月25日の朝、同町の男性(78)の家の二階の寝室で、飼い猫のメスの「ミケ」が、ぐったりとした様子で横たわっていた。右前脚に円い傷を発見。血はほとんど出ていなかったが、呼吸が荒く、「このままでは死んでしまう」と思い、すぐに町内の「たむら動物病院本院」に担ぎ込んだ。

 すると、なんと猫の身体から直径約5.5ミリ、長さ約7.5ミリの金属製の銃弾が見つかった。銃弾はミケの右前脚付近から入り、左胸にとどまっていた。肋骨を折り、肺を傷つけていたが、命は取り留めた。呼吸困難で、体力も落ちていたため、銃弾の摘出手術は28日になって行われた。

 金沢市内の銃砲店によると、銃弾は空気銃用の「ジェット弾」とみられ、鳥類の狩猟に使われる。銃弾が左胸部にとどまっていることから、10メートル程度の距離から撃ったらしい。男性店長は「目に当たったら確実に失明する。強力な空気銃ならヘルメットも割れるほどの威力だ」と話す。(写真は、読売新聞の記事)

  

銃弾 (1).JPG



銃弾 (2).JPG



 県警生活安全企画課によると、空気銃の所持には県公安委員会の許可が必要で、用途は狩猟か有害鳥獣駆除、競技用に限られている。県内では5月末現在、65人が247丁を所持。

 飼い主によると、ミケの行動範囲は、道路を挟んで向かいにある公園など家の周辺に限られている。

 その後、同月30日、同町大清台、会社員本忠雄容疑者(61)が銃刀法違反(発射制限違反)と動物愛護法違反の疑いで逮捕された。

警察によると、同容疑者は624日午後11時頃、自宅近くの駐車場で、同所の無職氷見山秀夫さん(78)の飼い猫に、県公安委員会から許可を得ている競技目的以外で空気銃を発砲し、傷を負わせた疑い。調べに対し、「日頃から猫に敷地内に入られたり車の上に乗られたりして、腹が立っていた」と供述したという。

 (続く)

posted by ssk at 21:43| Comment(0) | 連載
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