2015年08月13日

多摩川河川敷で虐げられる猫を護る「孤高の侍」小西修 十六(完)

 引き続き、「多摩川猫物語」(角川書店刊)の著者で、多摩川の猫たちの治療や給餌を続けるフリーランスのカメラマン小西修氏は、多摩川について、こう語った(写真は小西氏)。

小西氏.jpg


 「多摩川っていうところは、実は、一般の人には、色々なグラウンドがあったり、ジョギングしたり、ランニングしたり、ストレッチしたり、野球したり、サッカー場も、ゴルフ場もいっぱいある、ラグビーもできるし、それから、休みだと、音楽する人は、電車の音がうるさいから、ボンゴたたいたり、テナー吹いたり、歌の練習したり、いろんな人が遊びにくるのが、多摩川なんです。言うまでもなくね。

 ところが、もう一つ、別のまったく違う世界が川っぺりにあるわけですよ。そういう人たちが足を運ばない場所が。

 それは日本の、ある意味、人間と動物の縮図なのかなと思う」


 そこで筆者は「多摩川を見ると日本社会が見えてくる、ということですね?」と聞いた。


 すると、小西氏は、こう語った。


 「そう、よく見える。人間の心が観えてきますよね。人間が故意に手を下しているものだから、人間の心がよく観えます。

 ものすごいよく観える。どっちかというと、ふつうに恵まれた人間が、ホームレスの方や動物に手を下している。

 本当に、掘り下げれば、大きくて深い問題があると思いますよ。。それはもう、あまりにも大きいから、本にすると一冊じゃ済まないような、限りなく深い問題があると思います」


 余談だが、小西氏に取材したこの日、当初、とある媒体で掲載を予定していた。だが、ちょうどこの日、その媒体の関係者から連絡があり、「犬猫と宗教の話は当面、書かないでほしい」という趣旨のことを言われた。筆者は面を食らった。自分はフリーランスなので、他で書けばよいだけの話なのだが、いままでその媒体で何を書いてもそういう事態にはならなかったので、多少驚いたのだった。なんでも執拗で異様なクレームがあったのだという。


 犬猫にまつわる人間社会の闇を記した途端、こういう事態になった。


 筆者はその話を、ちょうど小西氏に取材する直前にメールで知り、小西氏に会って取材を始めた直後、電話で編集部から説明を聞いた。なので、まず、小西氏にそのことを伝え、急遽、ブログで掲載することになります、と謝った。小西氏は、全然それは構わない、と言った。


 そういう経緯があったので、筆者は、「犬猫のテーマは、タブーがありますね。闇が深いですね…」と語ったところ、小西氏は、日本っていう国はそういう国なの。臭いものに蓋しちゃう。 臭いったってね、たいした臭くないんだよね。たぶん」と言った。


 また、小西氏は、「猫としゃべるわけにはいかないけど、ぼくらだって、猫に教わることは、ものすごく大きいですよ。猫の世話たしかにしているけど、猫からもらうもの、本当にそれは大きい。

 まあ、不器用で、ぶっきらぼうで、格好つけたり、見栄を張ったりするところはあるんですけど


 そこで筆者は、「猫から教わる事とは具体的にはどんなことですか?」と聞いた。


 すると、小西氏は、こう語った。


 「言葉はわからなくても、動物と言うのは、猫に限らず、犬だって兎だって、通じることあるし、ちっちゃな鳥だって、そういうことある。

 本当に、その辺を歩いている人間っていうのは、いい人も立派な人もたくさんいるけど、バカも間違いなくいっぱいいるんですよ。

 人間よりは、よっぽど動物っていうのは、人を裏切らない。裏切ることを知らない。だから、信用できるんです。

 それよりは、よっぽど人間の方が信用できない。動物の純真な気持ちに触れているとよーくわかる。

 人間が一番、横暴でね、怖くてね、大嘘つきでね、その場を取り繕う嘘ぐらいは簡単に口から出せる動物なんですよ。だから、虐待したりするような人間もいる。そこまでいかなくてもね、人間っていうのは、ものすごく怖いんですよ。

 怖くてね、汚いし、目は濁っている。そういう人は珍しくない。いっぱい歩いている。これは事実です。

 純真なものはね、例えば人間の赤ん坊でもそうだけど、純真な動物もね、やっぱり、心打たれますよ。そのままストレートに。

 腹黒くてね、ひんまがってね、ひねくれてね。嘘をついたり、金儲けばっかりしてて、そんな人生、くそくらえだ」

 最後に、小西氏は、こう語った。


 「今、足の具合わるくて満足に歩けないのだけど、でも、多摩川出たら、50キロメートル乗りますよ。自転車で。たとえばね、何かカゼ引いた、とか、病気じゃなくても、何となく、今日調子わるいな、だるいな、とか、あるじゃないですか、誰でも。でもね、土手超えて、多摩川見えるじゃないですか。そうすると、スーッとするんだよね。なんか、身体が軽くなって。それは気持ちの問題ですからね。苦にならないんだよね。なんか、疲れない。

 ああいう、飼い主がいなきゃいけない犬猫なんだから、人間がそうしたんだから、そのぐらいはしなきゃ、と思って」

 (完)

posted by ssk at 18:44| Comment(0) | 連載
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