2015年08月13日

ブラック企業「市場大路」記事削除の真相 一

 平成二十七年七月二十七日から、この新ブログサイトへ移行したわけだが、奇しくもこの日、それまで十年間使っていたgooブログで、二つ目の記事削除の連絡をgoo事務局から受けた。


  一つ目の記事削除は、猫の殺処分だった。


 http://ssk-journal.com/article/157427643.html


 そして、二つ目とは、次の記事である。(写真はgoo編集画面)


 gooブログ編集画面.jpg以下、全文こちらに載せる。


 

 平成二十六年四月二十日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号


「潜入! ウワサの現場」で記事


「深夜3時まで「尻軽女!!」と罵倒した社長のブラック体質」


を企画、取材、執筆しました。



 ブラック企業が後を絶たない。例えば昨年12月に厚労省が公表した「若者の『使い捨て』が疑われる企業等への重点監督の実施状況」によると、調査した5,111事業場のうち、労基法違反はなんと全体の82.0%、4,189事業場に達した。内訳は、違法な時間外労働2,241事業場(43.8%)、賃金不払残業1,221事業場(23.9%)など。そうした中、こんなブラック行為で裁かれた会社もある。


 群馬地裁の判決文や訴状、証拠類などによれば、事件の当事者は、既婚者で二児の母の草津泉美氏(40代、仮名)。草津氏は1242日、知人A氏の紹介で、生姜のネット販売を行う群馬県内の会社「市場大路」(実名)に正社員として入社した。仕事内容はネットショップの管理やチラシの作成など。勤務地は本社事務所内の一室で、社長の清水晃氏(40代前半、実名)と二人きりでの仕事だった。


 清水社長は、ささいなことで怒鳴ることもあった。例えば、ロールカーテンのヒモが外れたので報告すると、「何てことするんだ! お前なんかクビだ! !」と怒鳴り散らし、その後、怒鳴ったことを草津氏に謝罪することもあったという。


 そんな中、入社から2か月後の68日(金)、事件は起きた。この日は市場大路の取引先の社長Y氏の提案により、Y氏と清水社長、草津氏、草津氏の友人のU氏の4人で、19時頃から高崎市内の飲食店「花火」で会食した。


 友人のU氏は高崎市から車で20分ほどの安中市在住だったが、この日は飲酒して草津氏が車で送る約束をしていた。


 清水社長は、飲酒するつもりだったので、この日は家には帰らず、高崎市内の宿を予約していた。


 そして取引先のY氏は、高崎市から車で約20分ほどの富岡市在住だったが、この日は飲酒はしないつもりできていた。しかし、いざ会食が始まると、Y氏は飲酒した。


 0時を回り、宴たけなわとなり、店を出ることになった。そこで草津氏はトイレに行き、戻ってきた時には、三人の間で、取引先のY氏を草津氏が送るという話になっていた。もともと草津氏は友人U氏を送っていくことになっていたし、方向も、安中市と富岡市は似ているので、ついでにY氏も送るというニュアンスだった。


 こうして草津氏は二人を車に乗せ、店を立った。


 すると、ものの5分もしないうちに、突然、清水社長が草津氏の携帯電話にかけてきた。車を止め、電話に出ると、清水社長は激高し、「そんな奴(取引先Y氏)早く車から降ろせ! タクシーで帰らせろ!!」「なんであんな奴を送って行くんだ!!」と執拗に求めた。もともと、清水社長も含めて、Y氏を送ることを決めたにもかかわらずである。


 ちなみに、この日の天気は土砂降り。取引先のY氏を深夜の雨の中、いきなり車から降ろすなどという非常識な真似ができるわけがない。草津氏は命令を拒否した。


 その後も34回、清水社長から電話がかかってきたので、「Y社長を降ろした後にすぐ電話をかけますから」と言った。


 こうしてY氏を富岡市まで送り届けた後、電話をしたところ、清水社長はY氏を送ったことの非難を執拗に繰り返し、「尻軽女」などと罵倒し始めた。


 電話をしていては運転できないので、友人U氏に電話を代わった。清水社長は、U氏に対しても、ずっと草津氏がY氏を送ったことを非難し続けた。


 U氏を降ろした後、草津氏は「もう自宅に帰りますから」と伝えた。すると、清水社長は「自宅に着いたらもう一度電話をよこせ!」と行ったので、深夜2時に帰宅してしぶしぶ電話をかけた。すると、清水社長は「どうして俺の気持ちがわからないんだ」「俺の気持ちを考えろ!」「尻軽女! !」などと、3時まで罵倒し続けた。


 この日、清水社長はかなり飲んでいたという。


 さらに翌69日(土)夕方、清水社長は草津氏に電話した。着信に気づいた草津氏に対し、清水社長は昨日同様、Y氏を送ったことを非難し、尻軽女などと女性の人格を否定する発言を連呼した。


 この非難の嵐に恐怖した草津氏は、勤務続行は不可能と判断し、退職を決意した。


 なお、清水氏の一連の言動について、のちに草津氏は「Y氏を送ったことを嫉妬していると感じた」と法廷で証言している。


 その後、草津氏は恐怖のあまり清水社長と電話で話すこともできなくなってしまったため、草津氏の家族が代わりに清水社長に電話し、「泉美が恐怖心で出社できなくなってしまったので退職したい」と伝えた。そして、退職にあたり、「事務所内にある私物の返還」「離職票の交付」「健康保険の脱退届出証」を求め、交付されている事務所の鍵と健康保険証を返還する、と申し出て、ひとまず明日10日(日)に私物を取りに行きたい旨伝えたが、清水社長は拒絶した。


 その後、草津氏は、初めに市場大路を紹介した知人A氏に、私物返還を委任。A氏は再三に渡り清水社長に電話したが、電話には出ず、面談要請も無視された。


 草津氏は、次の職場を探すためハローワークで就職活動をしたかったが、退職に伴う書類が一向に交付されないので、高崎労基署に相談した。労基署の担当者は、清水社長に電話し、退職手続きを取るよう勧告した。すると清水社長は社会保険労務士に相談して手続きを行うと回答。しかし、その後も一向に連絡はなかった。


 そのため、草津氏は危害を加えられないよう会社の紹介者A氏を伴い、職場のパートタイマーを通じて1272日(月)に会社を訪問すると伝え、同日向かった。するとA氏は外に残され、草津氏のみ社内に入った。部屋のなかには清水社長、その母親、社労士、見知らぬ男性社員の4人がいて、取り囲まれた。そこで清水社長は、草津氏の勤務当時の行為を色々非難し始めた。草津氏は恐怖し、退職の話し合いは不可能と判断し、私物を取り戻そうと思い立ち、私物の置いてある部屋に行こうとした。しかし、清水社長は入室を拒んだため、草津氏は諦めて事務所を出ようとした。すると清水社長の母親がドアが開かないよう、草津氏の手やドアを抑えつけたため、草津氏の手が傷つき全治1週間の負傷をした。なお、結局、私物は従業員が段ボール箱に詰めて返却してきた。


 その後も離職票が交付されないため、ハローワークで求職手続きが行えない状態が続いた。さらに国民健康保険、国民年金の加入も拒否される事態となった。


 翌8月、草津氏はハローワークを通さず、別の会社で働くことが決まった。その時、新たな職場の社労士が、市場大路に電話し、離職票と社会保険の離脱証明書の手続きをするよう伝えたところ、清水社長は「そんな書類もちゃんと出ていないような奴をなんで採用するんだ」と述べたという。


 それから約4か月を経た新年早々の1319日(水)、草津氏は市場大路を相手取り、群馬地裁に提訴した。請求内容は、退職申し出から14日間の未払い賃金202500円、罵倒による慰謝料10万円、暴行による慰謝料20万円、合計502500円を支払えというもの。


 その判決が131021日にあった。主文は「1 被告は原告に対し、金502500円を支払え」「2 訴訟費用は被告の負担とする」「3 この判決は、第1項に限り仮に執行することができる」。原告草津氏の請求を100%認める完全勝訴判決である。


 判決文には、草津氏が勤務できなくなったのは「被告代表者の執拗な非難の繰り返しによるものであり、その責任を負うべきなのは、被告側というべき」とし、さらに軟禁による怪我をさせたことなどの慰謝料として30万円の支払いが相当と判断。この判決を下したのは前橋地方裁判所の民事第2部の樋口隆明裁判長だった。(なお、市場大路は控訴し現在、東京高裁で係争中)


 この事件は草津氏が泣き寝入りせず、闘ったからこそ明るみに出た。それにより、第二、第三の被害者を防ぐことにもつながることだろう。ブラック企業にいじめられている社員は是非、この事件を参考にしてほしい。(佐々木奎一)


 (続く)

  





posted by ssk at 12:17| Comment(0) | 連載
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