それまで毎日必ず、カミさんか妹がふじちゃんにごはんをあげられていたにもかかわらずである。
「最後に見たのは金曜日」、カミさんもフジちゃんの消息は金曜日が最後…。
「そんな…」
しばらく絶句したカミさんは、涙ながらに言葉を絞り出す。
「これから一緒に暮らすんです。今日、今日これから一緒に行くんです」
そんなカミさんに、おばさんは不思議そうに「ボランティアか何かの方ですか」と聞く。
カミさんは半ば取乱し気味にかぶりを振りながら「違います。一緒に暮らすんです」と答えた。
涙が止まらなかったが、少し冷静さを取り戻したカミさんは、自分の連絡先を書いたメモをおばさんに渡した。
「あの子と一緒に暮らします。もしあの子を見かけたら、こちらに連絡を下さい」と、お願いした。
おばさんは、「わかりました。今度、たまを見かけたら、ここに必ず…」
そう言い残し、おばさんは、かなたへ去っていった。