平成二十九年五月二十九月付、のauのニュースサイト
EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事
「天皇陛下を全否定、安倍自公の夜郎自大極まれり」
を企画、取材、執筆しました。
5月21日付の毎日新聞朝刊一面に「有識者会議での『祈るだけでよい』 陛下、公務否定に衝撃 『一代限り』に不満」という記事がある。そこには、こうある。
「天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議で、昨年11月のヒアリングの際に保守系の専門家から『天皇は祈っているだけでよい』などの意見が出たことに、陛下が『ヒアリングで批判をされたことがショックだった』との強い不満を漏らされていたことが明らかになった。陛下の考えは宮内庁側の関係者を通じて首相官邸に伝えられた」「陛下は、有識者会議の議論が一代限りで退位を実現する方向で進んでいたことについて『一代限りでは自分のわがままと思われるのでよくない。制度化でなければならない』と語り、制度化を実現するよう求めた。『自分の意志が曲げられるとは思っていなかった』とも話していて、政府方針に不満を示したという。
宮内庁関係者は『陛下はやるせない気持ちになっていた。陛下のやってこられた活動を知らないのか』と話す。
ヒアリングでは、安倍晋三首相の意向を反映して対象に選ばれた平川祐弘東京大名誉教授や渡部昇一上智大名誉教授(故人)ら保守系の専門家が、『天皇家は続くことと祈ることに意味がある。それ以上を天皇の役割と考えるのはいかがなものか』などと発言。被災地訪問などの公務を縮小して負担を軽減し、宮中祭祀だけを続ければ退位する必要はないとの主張を展開した。陛下と個人的にも親しい関係者は『陛下に対して失礼だ』と話す。
陛下の公務は、象徴天皇制を続けていくために不可欠な国民の理解と共感を得るため、皇后さまとともに試行錯誤しながら「全身全霊」(昨年8月のおことば)で作り上げたものだ。保守系の主張は陛下の公務を不可欠ではないと位置づけた。陛下の生き方を『全否定する内容』(宮内庁幹部)だったため、陛下は強い不満を感じたとみられる。
宮内庁幹部は陛下の不満を当然だとしたうえで、『陛下は抽象的に祈っているのではない。一人一人の国民と向き合っていることが、国民の安寧と平穏を祈ることの血肉となっている。この作業がなければ空虚な祈りでしかない』と説明する。
陛下が、昨年8月に退位の意向がにじむおことばを表明したのは、憲法に規定された象徴天皇の意味を深く考え抜いた結果だ。被災地訪問など日々の公務と祈りによって、国民の理解と共感を新たにし続けなければ、天皇であり続けることはできないという強い思いがある」
このように天皇陛下の生き方を否定した連中については、当コーナー昨年12月12日付「天皇退位を巡る有識者会議の動向と天皇陛下の望み」に詳報している。具体的には、次の発言である。
「天皇は続くことと祈ることに意味があり、世襲制の天皇に能力主義的な価値観を持ち込むと皇室制度の維持が困難になる。退位をしなくても高齢化への対処は可能で、ご高齢の場合も摂政を置けばいい」(平川祐弘・東京大学名誉教授)
「公務の負担軽減は、各皇族で分担し、量的な軽減を図り、方式も改めるべきだ。退位の制度を設けるのではなく、皇室典範を改正して高齢の場合にも『摂政』を置けるようにすべきだ」(原康男・國學院大学名誉教授)。
「天皇の仕事の第一は、昔から国民のために祈ることであり、国民の目に触れるような活動はありがたいが、本当は必要はなく、任務を怠ったことにもならない。摂政であれば、何も問題なくスムーズにいくので皇室典範どおりにやればいい」(渡部昇一・上智大学名誉教授)。
「退位のために皇室典範の改正も特例法の制定もすべきではない」(笠原英彦・慶應義塾大学教授)。
「天皇のお役割は、国家国民のために『祭し』をとり行ってくださることであり、天皇でなければ果たせない役割を明確にし、そのほかのことは、皇太子さまや秋篠宮さまに分担していただく仕組みを作るべきだ。ご譲位ではなく、摂政を置かれるべきだ」(櫻井よしこ・ジャーナリスト)。
「ご高齢の現状に鑑みて、国事行為の臨時代行こそが最も適した対応だ。法的な措置を要することは、与野党が一致するまで見送るのが相当で、天皇より上皇の方が権威を持つ『権威の分裂』という事態がありうるので、退位にはよほど慎重でなければならない」(今谷明・帝京大学特任教授)。
「退位を認めると皇室制度の存立を脅かす。退位を実現すれば、憲法上の瑕疵が生じ、皇位の正統性に憲法上の疑義を生じさせる」(八木秀次・麗澤大学教授)。
いうまでもなく、これらの面々は、安倍晋三と思想を共有している。要するに、これら天皇陛下を苦しめる発言は、安倍自公政権の言葉に等しい。
明治以降、これほど天皇陛下を軽んじた政権は、絶無である。例えば、西郷隆盛がこの事態を知ったら、慟哭して、ゆっさ(いくさ)を起こすに違いない。無論、西郷だけではない。この国をつくった全ての先人たちは、安倍自公を許すまい。
安倍自公の夜郎自大ここに極まれり。驕れる安倍自公は、これから先、必ず落ちていく。野党はその時のために力をつけるべきである。(終)