平成二十九年四月十七月付、のauのニュースサイト
EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事
「「低劣な喫煙者」対策の筆頭」
を企画、取材、執筆しました。
12日付朝日新聞朝刊に「(1分で知る)たばこ2 子がぜんそくなら禁煙?」という記事がある。そこには、こう書いてある。
「我が子がぜんそくになれば、親はさすがに禁煙するはずだ。だが、実際はそうとは限らないようだ。
大阪国際がんセンターの田淵貴大医師が、2001年に始まった厚生労働省の調査に参加した生後半年の時点で親が喫煙者だった約3万6千人の子どもの家庭を調べた。ぜんそくなど受動喫煙の影響と考えられる病気の子の親も、病気でない子の親も、4年後に禁煙した割合はほとんど変わらなかった。
子どもを育てている父親の喫煙率は約40%。母親は8%。同じ厚労省の調査に参加した、生後半年〜8歳の約4万3千人を田淵さんが調べたところ、両親が室内でたばこを吸う家の子は、そうでない子よりぜんそくで入院する確率が1.4〜1.7倍高かった。
このデータを日本全体に当てはめると、両親ともに禁煙すれば少なくとも2万1千人の子の入院を減らせる」
子どもをぜんそくで入院させても、なお、吸い続ける…呆れた低劣ぶりである。なお、この調査をした田淵医師は、「日本における喫煙の学歴格差」という調査も発表している。(同調査は2010年国民生活基礎調査に基づく)
それによると、喫煙者の割合は、25〜34歳男性では、中卒68.4%、高卒55.9%、専門学校卒49.5%、短大卒46.8%、大学卒36.5%、大学院卒19.4%、トータル47.9%。
25〜34歳の女性では、中卒49.3%、高卒23.9%、専門学校卒17.5%、短大卒10.3%、大学卒6.6%、大学院卒4.8%、トータル16.9%。
35歳以降の男女の年齢層も、同様に学歴の低いほど喫煙率が高かったという。
このように、喫煙者には低学歴の人々が多く、その多くが子どもをぜんそくに陥れてもなお、タバコを吸い続けている。
こういう手合いに対しては、一体どうすればよいのか。同論文では「喫煙格差を縮小することが明らかにされているタバコの値上げ(増税)などのタバコ対策を推進していく必要がある」としている。
なお、同氏は、日本の2010年のタバコ値上げの効果についても評価している。それよると、値上げが禁煙、再喫煙の防止につながったことが明らかになったが、社会的弱者における値上げの効果は低かった。その原因は、値上げ後でも日本のタバコの絶対価格は安過ぎることによる、としている。(日本疫学会ニュースレター、平成28年10月15日付)
要するに、前出の低劣な喫煙者への対策の第一は、議論することではない。受動喫煙の弊害を、こんこんと説くことでもない。そういうことをいくら伝えても、一向にタバコを止めない連中なのである。残念ながら、話し合いの通じる相手ではない。
ではどうすればよいかというと、対策の第一は、タバコの値段を上げることであるという。それも、これまでのような小幅な値上げではない、ということは、最低でもタバコ1箱1000円以上にする必要があろう。(佐々木奎一)