2017年04月24日

「低劣な喫煙者」対策の筆頭

 平成二十九年四月十七月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「「低劣な喫煙者」対策の筆頭」


 を企画、取材、執筆しました。



12日付朝日新聞朝刊に「(1分で知る)たばこ2 子がぜんそくなら禁煙?」という記事がある。そこには、こう書いてある。

 「我が子がぜんそくになれば、親はさすがに禁煙するはずだ。だが、実際はそうとは限らないようだ。

 大阪国際がんセンターの田淵貴大医師が、2001年に始まった厚生労働省の調査に参加した生後半年の時点で親が喫煙者だった約36千人の子どもの家庭を調べた。ぜんそくなど受動喫煙の影響と考えられる病気の子の親も、病気でない子の親も、4年後に禁煙した割合はほとんど変わらなかった。

 子どもを育てている父親の喫煙率は約40%。母親は8%。同じ厚労省の調査に参加した、生後半年〜8歳の約43千人を田淵さんが調べたところ、両親が室内でたばこを吸う家の子は、そうでない子よりぜんそくで入院する確率が1.41.7倍高かった。

 このデータを日本全体に当てはめると、両親ともに禁煙すれば少なくとも21千人の子の入院を減らせる」

 子どもをぜんそくで入院させても、なお、吸い続ける…呆れた低劣ぶりである。なお、この調査をした田淵医師は、「日本における喫煙の学歴格差」という調査も発表している。(同調査は2010年国民生活基礎調査に基づく)

 それによると、喫煙者の割合は、2534歳男性では、中卒68.4%、高卒55.9%、専門学校卒49.5%、短大卒46.8%、大学卒36.5%、大学院卒19.4%、トータル47.9%。

2534歳の女性では、中卒49.3%、高卒23.9%、専門学校卒17.5%、短大卒10.3%、大学卒6.6%、大学院卒4.8%、トータル16.9%。

35歳以降の男女の年齢層も、同様に学歴の低いほど喫煙率が高かったという。

 このように、喫煙者には低学歴の人々が多く、その多くが子どもをぜんそくに陥れてもなお、タバコを吸い続けている。

 こういう手合いに対しては、一体どうすればよいのか。同論文では「喫煙格差を縮小することが明らかにされているタバコの値上げ(増税)などのタバコ対策を推進していく必要がある」としている。

 なお、同氏は、日本の2010年のタバコ値上げの効果についても評価している。それよると、値上げが禁煙、再喫煙の防止につながったことが明らかになったが、社会的弱者における値上げの効果は低かった。その原因は、値上げ後でも日本のタバコの絶対価格は安過ぎることによる、としている。(日本疫学会ニュースレター、平成281015日付)

 要するに、前出の低劣な喫煙者への対策の第一は、議論することではない。受動喫煙の弊害を、こんこんと説くことでもない。そういうことをいくら伝えても、一向にタバコを止めない連中なのである。残念ながら、話し合いの通じる相手ではない。

 ではどうすればよいかというと、対策の第一は、タバコの値段を上げることであるという。それも、これまでのような小幅な値上げではない、ということは、最低でもタバコ11000円以上にする必要があろう。(佐々木奎一)

posted by ssk at 23:10| Comment(0) | 記事

氾濫するクックパッドと乳児死亡こじつけ記事


 平成二十九年四月十四月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「氾濫するクックパッドと乳児死亡こじつけ記事」


 を企画、取材、執筆しました。



7日付で蜂蜜が原因で乳児が死亡、というニュースを記者クラブメディアが流した。

 この事件は、東京都足立区内の生後6か月の男児が120日あたりから離乳食として蜂蜜を混ぜて飲ませていたところ、220日、けいれんや呼吸不全となり入院し、蜂蜜に含まれていたボツリヌス菌が原因の乳児ボツリヌス症と診断され、330日に死亡したという事件。同症による死亡は国内初という。

 このニュースの出た翌日8日付でBuzzFeed Japanというニュースサイトが「離乳食で蜂蜜で男児死亡『クックパッド』のレシピ巡り物議」という記事を載せ、多くの人に読まれていた。

 無論、この見出しをみると、乳児の死亡とクックパッドのレシピが関係しているかのように見える。

 だが、記事本文を一瞥したところ、クックパッドと関係があるとは一言も書いていない。要するに、この記事は、クックパッドという巨大サイトの顧客吸引力と乳児死亡というセンセーショナルな言葉を結びつけることで、あたかも魚釣りで擬似エサに食いついて釣られる魚のように読者を釣ろうとする、卑しい記事である。

 ではなんと書いてあったかというと、この擬似エサ記事には、こんな風に書いてある。

 「この報道をうけ、料理レシピサイト「クックパッド」に非難の声が上がった。

 「離乳食 蜂蜜」とGoogleで検索をすると、クックパッドが上位にあがる。サイト内で「離乳食蜂蜜」のキーワードで検索すると、ヒットするレシピは147件(201748日時点)。

 これらは一般ユーザーがレシピを投稿したものだ。

 不正確な医療記事を掲載して炎上したDeNAの「WELQ」(現在は閉鎖)に絡め、「同程度に問題なのでは?」と指摘する声や「殺人サイト『クックパッド』」など過激なものも見られる」

 ここでいう「声」なるものは、どこの誰なのかも明かさない低劣な連中のひしめき合う、ネット内での無責任なコメントである。そもそもクックパッドが原因という情報は絶無なのに、クックパッドを槍玉にあげる点が、うさんくさい。クックパッドの同業他社の従業員かもしれない。

 このような、いかがわしい声、なるものを、この擬似エサ記事は拡散している。しかもこの記事にはクックパッドについてこんな記載もある。

 「では、そのレシピ内容はどうなのか。「蜂蜜離乳食」で検索した際の人気ランキング1位の「離乳食完了期〜きな粉はちみつ湯」を見る。

 そこには「蜂蜜は一歳未満のお子さんには控えてください」と注意書きがある。

3位の「バナナきな粉蒸しパン」には材料にはちみつが推奨されているが、「はちみつは1歳過ぎてから使ってます」とだけある。(中略)

 同社が展開する妊娠や出産、育児などの情報サイト「クックパッドベビー」。離乳食の食べていいものダメなものには、はちみつは1歳未満は「×」になっており、1歳〜16カ月は「△」になっている。

 「ボツリヌス菌の心配があるので」と明記され、決して、クックパッド自体が蜂蜜の危険性に触れていないわけではない」

 このようにクックパッドに非がない点を書いておきながら、他方でクックパッドで乳児が死亡したように書くのだから、悪質である。

 それに、そもそもの話、大抵の蜂蜜の製品の裏側の注意書きには、一歳未満にはたべさせないように、と書いてある。それだから、離乳食で蜂蜜入りのレシピといえば、1歳〜16か月が対象とのは、育児中の者にとっては言うまでもない話である。

 それを食品の注意書きのラベルをみることすらしない怠慢な人目線で世の中を合わせようなどというのは、衆愚である。それに、検索して上位にでてくるからクックパッドを槍玉にあげて吊るし上げる、という発想自体、低劣で卑しい。

 それに、そもそもクックパッドというのは、素人がレシピを投稿するサイトで、料理研究家や料理人などのプロに比べ、レシピの数が膨大で、口コミの評価が可視化されていて、プレミアム会員でも月額280円と料金が安く、無料会員でもある程度はサイトをみれるのが売りだ。

 もちろん、素人のサイトゆえに、レシピがおいしくても、栄養にどこまで気を使っているかは疑問、というデメリットもあるが、これはメリットと表裏である。もしも、いちいちのレシピを栄養士がチェックしたら、料金もあがるだろうし、ダメ出しされるかも、と萎縮して素人が気軽に投稿できなくなり、クックパッドの持ち味である活気もなくなってしまうことだろう。

 こういうサイトの特性にもかかわらず、検索で上位になったから、などという、クックパッドになんら非のない点を理由にして、乳児死亡に無理矢理こじつけて批判する、というのは週刊誌の低劣な手口そのものであり愚劣である。

 無論、記者クラブメディアも例によって、「蜂蜜危険な乳児ボツリヌス症ネットには離乳食レシピも」(11日付毎日新聞電子版)などという追従記事を載せたりしている。

 批判しているジャーナリズムもどきのほうが、批判されているほうよりもよっぽど低劣で批判に値する、という哀しい構図になっている。無論、本物のジャーナリズムは、これらとは一線を画すが、果たして今の日本に本物のジャーナリズムは、ありやなしや。(佐々木奎一)

posted by ssk at 22:46| Comment(0) | 記事

トランプ大統領のシリア攻撃と安倍自公政権

 平成二十九年四月十月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「トランプ大統領のシリア攻撃と安倍自公政権」


 を企画、取材、執筆しました。



 シリア政府が4日にシリア国内の反政府勢力支配地区に対してサリン兵器を使ったとして、アメリカのドナルド・トランプ大統領が6日、シリア空軍基地へのミサイル攻撃を命じ、米軍艦が巡航ミサイル「トマホーク」約50発をシリア政府拠点に発射した。

 そのことについてトランプ大統領は、シリアのバシャール・アル・アサド大統領は「独裁者」で、「罪のない市民に恐ろしい化学攻撃を実施した」「私は今晩、シリアの殺戮と流血を終わらせ、あらゆる種類とあらゆるタイプのテロリズムを終わらせるため、我々と協力するようすべての文明国に呼びかける」という声明を出したという。(7日付CNNより)

 なお、トランプ大統領が攻撃を命じた日、ちょうど中国の習近平国家主席が、フロリダ州のトランプ大統領の別荘に居た。

7日付ジャパンタイムズ電子版の記事によれば、トランプ大統領の上記声明は、北朝鮮がもしも核実験と長距離弾道ミサイルの発射実験をやめないならば、同じように攻撃する、というサインであり、北朝鮮にやめさせるよう、習近平国家主席に暗黙のプレッシャーをかけている、と日本政府高官は見ているという。

 無論、この事態は日本にとって対岸の火事ではない。安倍自公政権が20147月、解釈改憲と称して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をし、翌年9月に安保法制を強行採決したことにより、安倍自公がアメリカの戦争に参加する可能性がある。

 また、こういう記事もある。41日付ロイター電子版のコラム「トランプ大統領、北朝鮮に『禁断のカード』切るか」には、こうある。

 「ティラーソン米国務長官は今月、北朝鮮に対する「戦略的忍耐」はすでに終わり、同国の核開発の野望に歯止めをかけるために「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と警告した。その言葉通り、米韓両軍の部隊は幅広い軍事シナリオに向けて準備を進めている。

4月末まで行われる米韓の合同軍事演習には、実に30万人が参加する。1953年に朝鮮戦争が停戦して以来、朝鮮半島ではこうした演習が日常的な光景となっている。近年では、その規模は拡大し、より現実的なものとなった(中略)金正恩朝鮮労働党委員長が率いる北朝鮮が核弾頭やミサイル実験を進めるなかで、多くの専門家は、米国政府が最終的に軍事行動に踏み切る可能性は徐々に高まっていると考えている」

 そして、具体的な攻撃として、北朝鮮のミサイル・核兵器関連とみられる施設に対する、奇襲による空爆などを挙げている。が、「多くの専門家は、こうした攻撃によっても多くの施設が無傷で残ってしまい」、北朝鮮が「日本やグアムなどにある域内の米軍基地にミサイル攻撃を仕掛け、韓国に対して圧倒的な砲撃を浴びせる可能性を懸念している」。

 「北朝鮮による砲撃の効果について、アナリストらの見解は分かれている。北朝鮮の砲兵部隊は最初の1時間で最大50万発の砲弾を韓国の首都ソウルに撃ち込めるとの声もあれば、より懐疑的な意見もある。

 また、北朝鮮が自国のミサイルと弾頭が狙われていると考えた場合、先手を打って発射してくる恐れがある。標的として最も可能性が高いのは日本だろう。

 いずれの行動も、米韓両政府による北朝鮮制圧に向け準備されたシナリオの発動を促し、恐らく北朝鮮の現体制は終焉を迎えることになるだろう。

 ここ数年、米韓両国軍は、北朝鮮の攻撃を阻止するための演習から、非武装地帯(DMZ)を越える全面的な侵攻作戦の立案へと関心を移している。

 これは本格的な作戦行動であり、近年の歴史において米国やそれ以外の国が戦ってきたどんな戦争よりも大規模なものになろう。攻撃部隊は山岳地帯、組織的な抵抗に加え、化学兵器や核兵器、放射線兵器といった潜在的な脅威に立ち向かわなければならない。

 いくつかの兆候からすると、米国は単に北朝鮮体制上層部を抹殺することで、戦闘激化を防ごうとするかもしれない。

 韓国の聯合ニュースによれば、今月の演習には米海軍特殊部隊シールズの「チーム6」も参加している。2011年にアルカイダの指導者だったオサマ・ビンラディン容疑者の暗殺を実行した部隊だ。引用された韓国軍幹部の発言によれば、チーム6は韓国側特殊部隊とともに、北朝鮮首脳陣に対する攻撃シミュレーションに取り組んでいるという。

 こうした選択肢の実行は非常に難しいだろう。北朝鮮の防空網によりヘリで部隊を送り込むのは困難で、金正恩氏は厳重に警護されていると見られている。

 今のところ正恩氏は、誰からも妨害されることなく核開発計画を強化していけると考えているようだ。だが米政府としても、それをただ指をくわえて見ているつもりはないかもしれない。

 トランプ氏は米国の歴代大統領のなかでも最も予測困難な人物の1人だ。北朝鮮に対する軍事的選択肢を行使するというリスクを冒すような米国の指導者がいるとすれば、それがトランプ大統領だったとしても不思議はない」

 このように記している。なお、これまでの言動を観る限り、安倍自公政権は、トランプ大統領が北朝鮮を攻撃することをバックアップし、戦争に参加しようとすることだろう。そうなると大量の日本人が犠牲になる。平和憲法を持つ日本でありながら。(佐々木奎一)




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