2017年04月02日

プランテーションの観のある森林組合


 平成二十九年三月二十月付、のauのニュースサイト

   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「プランテーションの観のある森林組合」


 を企画、取材、執筆しました。



1日付の日本経済新聞朝刊に「森林組合『人手不足』9割」という記事がある。そこには、こうある。

 「日本の森が危機にひんしている。日本経済新聞が実施した『林業調査』によると、全国の森林組合の93%で人手が足りないことが分かった。戦後に植えたスギやヒノキが十分な大きさに育っているが、丸太価格の安さもあって多くが放置されている。荒廃を防ぐため、林業の担い手確保が大きな課題となっている。(中略)

 日本は国土の3割近くを人工林が占める。多くは戦後、木造住宅の木をまかなうために植えられた。今は半分以上が伐採できる樹齢に達しているとみられる。だが1980年に14万人を超えていた林業従事者は、2015年時点で5万人に届かない。

 背景には木材需要の減少による丸太の値下がりがある。調査で森林組合に林業の課題(複数回答)を尋ねたところ『丸太の販売価格の低さ』(78%)が『従事者の不足』(57%)や「国産材需要の少なさ」(43%)を上回りトップだった。

 林野庁によると、スギ中丸太やヒノキ中丸太の1月の平均価格はピークだった1980年の2~3割だ。値下がりが生産意欲をそぎ、離職を招いている。人手不足の解消に必要なこと(複数回答)を森林組合と住宅メーカーに聞くと『賃金・待遇の改善』がそれぞれ90%74%に達した。

 人口が減るなか、住宅需要に頼るのは難しい。国産木材の需要を伸ばすのに必要な取り組みを複数回答で聞いたところ『非住宅分野の拡大』との答えが57%あった」

 と、このようにあるのだが、改善の余地はないのだろうか。例えば、ヒノキのベッドやテーブル、本棚、机、タンス、まな板、桶、風呂といった生活品に対する需要は、それほど少ないだろうか?

 例えば、卑近な例でいうと、筆者は前に、ヒノキの家具を注文しようと思い、探したところ、大半が地方の森林の豊富なところにある中小零細メーカーがつくっていた。ヒノキ製品なので、価格は結構する。そして、驚いたのは、家具の納期を聞いたところ、ある業者では、数か月先になるという。要するに、繁盛している。

 特に都心部のように、自然の乏しい環境下にある自然貧乏人にとって、家のなかにヒノキのような木材製品があると、豊かな気持ちになれるものである。しかも、それが国産品であれば、なおさら良い、と思う人は多いに違いない。

 だから、記事にあるように、住宅分野の木材品の需要が少ない、というのは、にわかには信じ難い。

 さらに記事中で不可解なのは、「丸太の価格が安い」という点である。前出のように、ヒノキで家具をつくっている会社は、数十万円単位でいいモノをつくり商売している。それなのに、その原材料である丸太がベラボウに安いというのは、まるでプランテーションである。つまり、第一次産業が、家具という付加価値をつけれないばっかりに、搾取される構図になっているのではないか。

 要するに、森林で木を伐って丸太をこしらえる林業従事者、家具をつくる職人、家具を都心部などで売る小売業者まで、ちゃんと利益を分け合う形で商売していけば、本来、日本の宝である林業は発展するにちがいない。(佐々木奎一)

posted by ssk at 22:48| Comment(0) | 記事