2016年12月02日

54年ぶり…東京で11月に初雪

 平成二十八年十一月二十五月付、のauのニュースサイト


   EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「54年ぶり…東京で11月に初雪」


 を企画、取材、執筆しました。



24日は関東甲信の各地で雪が降っている。例えば東京では午前6時半前に初雪が観測された。東京で11月に初雪が観測されるのは19621122日以来54年ぶりとなる。

 この都心部の雪は、執筆現在の午前1125分時点で降り続ており、徐々に道路などに雪が積りつつある状況。(その後、みぞれまじりの雪に変わり始めた)。この初雪は、異常気象なのだろうか?

 ちなみに、54年前の東京の初雪は、どういうものだったのか。当時の朝日新聞にはこうある。この日は「昼から真冬なみの冷え込み」で、「東京では午後712分からみぞれまじりの初雪がふりはじめ、夜がふけるにつれてみぞれの勢いは強まっていった」。

 「東京は各家庭ともあわててコタツや石油ストーブをひっぱり出し、町や駅では帰宅を急ぐ人たちで大ラッシュだった。都内の主要道路も家路を急ぐ車がいたるところでじゅずつなぎ、下町の千葉、水戸街道では夜七時ごろ解消する夕方の交通マヒが九時ごろまでかかった」「銀座など都心の盛場は早目に人の姿が消え、銀座のバー、喫茶店も客足は遠のき、早じまいの店が目立った」「新宿の繁華街も人出が少なく、チラホラの買物客は『一刻も早く家へ』と気ぜわしくタクシーへ。渋谷の映画街がハネてはき出された客たちは『おお、寒い』を連発、首をすくめて駅の方へかけ足」という状況だったという。

 なお、当時の読売新聞によると、「都心部ではみぞれだったが、気象庁の観測法規ではみぞれも“雪”となるため、これが初雪と観測された。このみぞれは二十三日午前一時すぎやんだ」とある。

 つまり、54年前は、みぞれだった。昨日は、雪そのものだった。

 なお、昨日の昼過ぎのテレビ朝日系ニュースは、「24日午前11時に東京で積雪が観測されました。11月に東京で積雪が観測されるのは史上、初めてとのことです」と、速報していた。観測史上はじめて、であれば、異常気象というのことになりそうだ。がしかし、この速報には、大なるクエッションを付けざるを得ない。

 そもそも東京で11月に初雪というのは、1876年の気象庁の観測以来、今回で11回目となる。つまり、過去53年間は降らなかったが、それ以前はおよそ8年半に一回のペースで降っていた。

 しかも、そのなかには、積雪があった、と新聞が報じているものもある。例えば、今から66年前の19501129日、東京で初雪が観測された。同日の読売新聞夕刊によると、この日は、「東京に初雪が二、三センチほど積もった―汽車も電車もバスも白い雪をのせて早朝の勤め人を運ぶ」とある。そして、同記事の横には、「こんなに積もった初雪=けさ7時馬場先門前で」というキャプション入りで、車の上に降り積もった雪を、手で掻き落としている女性の写真がのっている。

 つまり、テレビ朝日とその情報源の気象庁のいう、観測史上初めて東京で11月に積雪、というのは、実体に反する。なお、気象庁は、一点記録主義といって、大手町の観測所で雪が計測されない限り、都心のあちこちで雪が降り積もり、たとえ子供たちが雪だるまをつくる状況でも、「初雪ではありません」と言い張る組織だ。(参考「確かに雪が降ったのに…『東京は初雪ありません』気象庁 一点(大手町)観測だけで“記録”」19701226日付毎日新聞朝刊、(雪だるまの写真付))

 それだから気象庁が「観測史上初」などという大げさな謳い文句を口にして、記者クラブメディアがそれを拡散しているときは、まゆつばものである可能性も視野に入れた方がよさそうだ。

 なお、朝日、読売、毎日新聞の敗戦前の記事のなかで、11月の東京の初雪を大きく取り上げているのは稀有。例えば、19321119日付の読売新聞夕刊の記事「けさ初雪 チラリと6分間 33年ぶりのこと 早慶戦まず好天気です」によると、この日の午前820分頃、東京で初雪が降ったという。これは「明治三十三年十一月十七日につぐ三十三年振りの早い初雪」(※筆者注、観測史上、東京で最も早い初雪は今も1117日)で、この日は「八時十七分から六分間」降ったというから、かなり小ぶりである。戦前はこの程度しか報じられていないので、その意味では、昨日の初雪は、ここ140年間の11月の東京の初雪のなかでは、屈指の量の雪が降っていたもかもれしない。

 なお、東京では1117日が最も早い初雪ではあるが、東京以外では、かつてはこんな初雪もあった。

1924年(大正13年)1112日付の朝日新聞朝刊「今年の初雪 日本記録を破る」によると、同年119日、佐賀市、長崎、徳島、広島などで初雪が降り、翌10日には、筑波、水戸、足尾などでも初雪が降ったという。

 また、1938年(昭和13年)1114日付読売新聞朝刊「全国に雪の奇襲」によると、同年1113日、長崎、熊本、大分、広島、岡山、徳島、京都、彦根、浜田、福井、富山、高山、松本、長野、岐阜、名古屋などで雪が降ったという。

 このように、11月の初雪自体はけっこうある。昨日の初雪の積雪量が多いにしても、それが50年や100年に12度程度なのか、それとも頻度が増すのかどうか、今年以降の推移をみていかなければ、異常気象なのかどうか、判断できない。(佐々木奎一)

posted by ssk at 20:19| Comment(0) | 記事