2016年05月30日

いやましに袋叩きに遭う舛添氏にみる的外れな批判

 平成二十八年五月二十七日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「いやましに袋叩きに遭う舛添氏にみる的外れな批判」


 を企画、取材、執筆しました。



 高級ホテルに泊まったり週末に湯河原の別荘に行ったりしていた、という理由で、日本中から袋叩きにされている観のある舛添要一都知事。そのことについては16日付の当コーナーで紹介したが、その後も、いやましにマスコミで批判されている。

 例えば、火付け役の週刊文春は26日付の号でも、例によって舛添氏をこきおろしている。その中でも大きくクローズアップしているが美術である。同誌は「舛添知事の主な疑惑」という表をつくり、「画材店『世界堂』で額などを購入 所有する絵画の額装などで合計1784154円を政治資金で支出」とか、「ヤフオク!で美術品購入 キース・ヘリング(※筆者注:アメリカの画家)の手紙など合計214点の美術品などを購入し、その一部を政治資金から支出」などとして問題視している。

 また、「美術館『視察』一覧」という題で、20154月からの一年間で、38回にわたり舛添氏が都内の美術館・博物館を視察していることを取り上げている。例えば、「江戸のダンディズム 刀から印籠まで」(根津美術館)、「浮世絵から写真へ」(江戸東京博物館)、「モネ」(東京都美術館)、「隅田川をめぐる文化と産業」(たばこと塩の博物館)、「新宿風景」(中村屋サロン美術館)、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」(江戸東京博物館)、「カラヴァッジョ」(国立西洋美術館)などの視察をしていたことを問題視している。

 また、同誌によると、こうした美術展視察と、ヤフオクでの美術品関連の購入履歴を突き合わせると、「美術展視察の前後で、同じ画家の作品を落札している」という。例えば、15715日の太田記念美術館での「浮世絵の戦争画 国芳・芳年・清親」の鑑賞の5日前にヤフオクで、「浮世絵木版画/本物/広重芳年/国芳の美人画『新吉原角町』浅草」を購入したりているというもの。

 なお、美術関連の購入については、513日の会見で舛添氏は、記者からの「『週刊文春』では美術品の総額が900万円、世界堂に払っているのは178万円。額装や揮毫するときに使ったということか?」との質問に対し、「そうです」と回答。

 「900万円という額で合っているのか?」との問いには、「美術関係の書籍がある。私なんか浮世絵の研究とかに相当買いますから。世界堂については政治活動とプライベートでは基本的に分けています」と回答。

 「政治活動費として掛け軸とか浮世絵とか屏風とかは含まれているのか?」との問いには、「物によりけり。版画でもめちゃくちゃ高価なものもあるが、何千円で買える物もあります」と回答。

 「美術品を政治資金で買ったことがある?」との質問には、「財テクとかで買っているわけでない。外国のおもてなしに使っていいます」と答えている。

 「浮世絵を買っていますか?」との質問には、「はい、買っています。それは外国の方のプレゼントに使いました」と回答している。

 このように、週刊文春やその他の主要雑誌メディアや記者クラブメディアの批判に対し、舛添氏は、こうした美術関連の支出や視察は、都知事として外国の人と会うときに活用している、という意味の説明をしている。この舛添氏の言っている意味を理解した上で、批判に値するのか判断していく必要がある。

 「東京を変える、日本が変わる」(実業之日本社/2014328日)という舛添氏の本がある。その中で舛添氏は、「都としての外交」という言葉を使っている。無論、これは国の専権事項である国家としての外交を指しているわけではない。「都としての外交」というのは、具体的には、東京都の「姉妹友好都市」などとの関係強化を目的とした交流を指している。東京都の姉妹友好都市とは、ニューヨーク、北京、パリ、ニュー・サウス・ウェールズ州、ソウル、ジャカルタ、サンパウロ、カイロ、モスクワ、ベルリン、ローマの11都市である。例えば、舛添氏は、著書でこう述べている。「ご存じのように、国と国との関係でいえば、日本は中国および韓国との関係がうまくいっていない。しかし、幸いなことに、東京は北京とも、またソウルとも姉妹友好都市の関係にある。であれば、国対国ではなく、都市と都市との関係の中で、現在の硬直した関係を解きほぐすような、『都としての外交』ができるのではないだろうか(中略)たとえば、大気汚染に悩む北京に東京の環境保全技術を教え、高齢化がはじまったソウルに介護保険のノウハウを伝授する。これなら都の外交として、なんの問題もなく実行できる。これがきっかけとなって、中国や韓国からの観光客が増えれば、東京だけでなく日本中の自治体にとって、大きなメリットとなるだろう。また、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックを開催する東京都としても、一九八八年のソウル五輪、二〇〇八年の北京五輪について、開催都市としての苦労や反省点、できれば『今だから明かせる逸話』なども織り交ぜて、姉妹友好都市として腹蔵なく話してもらいたい。私自身はそれを切望している。そしてその内容を、二〇二〇年五輪にぜひとも活かしたい。要は、『教え、教えられる』という関係の構築が大切なのである」

 また、舛添氏は、「パリ・百年の計に学ぶ」と題し、景観を美しく保ち、暮らしやすいパリを形作ったジョルジュ・オスマン男爵について熱く語っている。また、当コーナーでも以前指摘したことのある日本橋についても、「日本橋に覆いかぶさっている高速道路を何とかしたいというのが、私の正直な気持ちだ。お江戸日本橋は日本の道路の起点。東京都民に限らず、多くの日本人が同じように感じているのではないだろうか。その意味で、青空を遮るあの重りのような高速道路は、一九六四年東京五輪の負の遺産だと思っている」と指摘したりもしている。ほかにも、バリアフリーや自転車専用道路、震災対策といった複合的な目線で首都東京をビジョンを語っている。

 なお、上記のとおり、御手本にしようとしているパリは東京都の姉妹都市の一つである。つまり、舛添氏の都市外交は、都知事としての政策に直結している。

 なお、今年36日付の毎日新聞に「仏政府から勲章 港区の大使公邸で授与・伝達式」という記事がある。それによると、「舛添要一知事がフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を贈られ、港区の同国大使公邸で1日、授与・伝達式があった。同勲章は文化や科学などの分野で同国のために功績を残した民間人や軍人に授けられる。知事は昨年10月、25年ぶりに都知事としてパリ市を公式訪問し、環境や文化、観光などの分野で交流、協力を推進する合意書を締結している。知事は20代の時に同国に留学した経験があり、仏語と日本語で『若い時にワインを飲みながら、友人たちと議論をしたことを鮮明に覚えている。フランス文明は私の血となり肉となっている』とあいさつ。『フランスと日本、パリと東京の良好な関係をさらに発展させるために努力したい』と強調した」という。

 これは舛添氏のいう都市外交の成果の一つといえよう。要するに、こうした都市外交のツールとして、美術品を購入したり、美術館の視察へ行ったりしている。そうした支出や活動を批判する週刊文春やその他マスコミや都民、国民は、舛添氏の実行している都市外交を否定しているに等しい。都市外交を支持するなら、批判は撤回すべきであろう。

 また、週刊文春は、「海外“大名”出張 昨年秋のパリ・ロンドン出張で高級スイート泊、520名で5000万円以上を支出」として批判している。だが、パリでは前述のとおり、都市外交で成果を上げている。スイートルームに泊まったのも、ハードスケジュールの中、少しでもいいところで泊まった方が、疲れが取れて、いい仕事ができる、費用対効果がよい、という考えもあったのではないか。

 なお、巷では、舛添辞めろの声が、テレビのオピニオンリーダーなどからも出ているが、ちょっと待ってほしい。そもそも、舛添氏は、違法行為をしたわけではない。それに、批判を浴びている点についても、上記のようにそれなりの理由がある。もちろん、舛添氏の支出は、庶民感覚からはかけ離れている面はあるが、そもそも舛添氏は、その経歴からみても、東京大学法学部政治学科卒業後、パリ大学現代国際関係史研究所客員研究員、東京大学教養学部政治学助教授など、庶民とはかけ離れている。だが、仕事の能力には定評がある。その能力がかわれて、都知事に当選したという経緯がある。はじめから、舛添氏は清貧な浪花節の政治家ではない。

 それなのに、自分たちで選んでおきながら、いまさら、清貧でない、という理由で、クビにしろ、というのは、理不尽だし、こらえ性がなさすぎる。辞めさせたいというなら、任期をまっとうした上で、選挙で決めていくのが筋である。自分たちで選んだ代表を、違法行為もしていないのにいちいち首を切るというのは、自分で自分の首を切っているようなものである。

 それに、そもそも優秀で清貧で民に寄り添う政治家なんていうのは、そうそうでてこない。舛添氏を辞めさせてもっといい政治家になってほしい、と思っている人は、ないものねだりの、幸せの青い鳥を求めているに等しい。こんなことでいちいち辞めさせていく先には、誰が当選しても不満ばかり言う、無責任な社会が到来するのがオチである。(佐々木奎一)

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2016年05月26日

地下アイドル殺害未遂犯のストーカーツイートの実体

 平成二十八年五月二十二日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「地下アイドル殺害未遂犯のストーカーツイートの実体」


 を企画、取材、執筆しました。



22日付の各紙朝刊は「アイドル刺され重体 20カ所以上 ファンの男逮捕」(毎日新聞)、「女性アイドル刺され重体 傷害容疑、男逮捕 小金井のイベント」(朝日新聞)、「アイドル女性、刺され重体―女性、警察に複数回相談、容疑者の執拗な書き込み」(日本経済新聞)といった見出しで報じている。

 それによると、21日午後55分ごろ、東京都小金井市本町6の雑居ビルで、武蔵野市の私立大学生、冨田真由さん(20)が、住所、職業不詳の自称・岩埼友宏(27)に刃物で首や胸などを20カ所以上も刺されて意識不明の重体となった。

 冨田真由さんは、いわゆる「地下アイドル」。(地下アイドルとは、比較的小規模なライブを中心に活動しているアイドルのこと。別名、ライブアイドル、インディーズアイドル、リアル系アイドル。知恵蔵miniより)。そして犯人は、冨田さんのファンだった。

 なお、警視庁によると、冨田さんは今月9日以降、自身の住まいを管轄する武蔵野署に、犯人・岩埼の名を挙げて「知っているファンの男からブログやツイッターで執拗に書き込みがされている」と相談。その後も電話などで同署に相談し、19日には「21日に小金井市でライブをする」との内容も伝えていたという。

 武蔵野署はライブ会場を管轄する小金井署に「110番が入ったら対応してほしい」と連絡し、小金井署は「110番があれば対応することにしていた。ライブ会場に警察官は配置していなかった」という。(毎日新聞)

 また、冨田さんのファンという30代男性によると、今年2月、冨田さんは「ライブの帰りに男の人から『電話番号を教えて』などと20分くらいつきまとわれ、とても怖かった」と相談し、「自分のツイッターにも不快な書き込みをされている」と悩んでいる様子だったという。

 なお、犯人のツイッターは、ネット上で公開されている。犯人は、「君を嫌いなやつはクズだよ。」という名で、冨田さんのツイッターに対し、例えばこういったツイートをしている。(すべて今年のもの。一部誤字は修正。絵文字は省略して表記)

 まず、118日、「楽しい時間をありがとー♪岩埼」と感情表現。さらに同日、「腕時計をプレゼントする意味を知っていますか?大切に使ってくださいね」と贈り物をした。後述のように、これは4℃というブランドもので推定45万円はする代物。

122日には、「真由ちゃんは淡白だねえ。(中略)誠意が足りないような気がする」「真由ちゃんがTwitterフォローしてよと言ったからフォローしてます。たまには返信してちょうだい でもまぁ、シカトされるのに慣れすぎちゃってひねくれちゃってるから、期待はしない。というのは嘘。なるべく節度あるコメントをしたいと思います」「真由ちゃんは利己主義者だなあ。偏屈者でもあるのかな?負けず嫌いな性格だと思っていたけど違うかな。かわいいかわいいと持て囃されて、チヤホヤされて、有頂天。『ひとりがいい』とか言ってんな」と、ツイッターに対する返事がないことに不満を露わにするという、利己的、自己中心的な発言をしている。

126日には、「悪意と敵意には敏感であった方がいいよ。(中略)僕以上に滅茶苦茶な輩が出てくるかもしれない。なんせ今年は大殺界なんだから。愛情なんていとも簡単に憎悪に変わっちゃうけれど、僕は普通にトミーさんのこと好きですよ かわらないもの」と、薄気味悪い好意を伝えている。

21日には、「嫌うなら、徹底的に拒絶した方が良いよ」「『物』で気を引こうだなんて愚かでしょ 『腕時計』捨てたり売ったりするくらいなら返して。要らないのなら返して。それは僕の『心』だ」「あなたにも長く愛用できるモノを贈り、大切にしてもらいたいのです。これは『だから、私との関係も長く大切にして欲しい』という意味」とネチネチとツイート。

29日には「おはようさん 拉致監禁でもされてなきゃいいのだけれど。犯罪に巻き込まれていなければいいのだけれど。東京は恐い街だもの。気をつけてたって襲われる。危険に敏感であれ」と、不気味なあいさつ。

212日には数人の地下アイドル等の名を挙げ、「『会ってみたいな〜』って思った人に全部、会えてます。会うってのは目撃するってのと違うよ。俺がいま会いたい人は冨田真由」とツイート。

215日には、「あなたが優しい人だってことはブログを読んでいれば分かること。容姿だけを好きになっただけならばここまで執拗に絡むことはしない」と発言。それ以降も、こういうツイートをしている。

 「前にあげた本、全部返してください。読まないんだったら返してください。要らないんだったら返してください。で、ライブに行ってもいいですか?」(224日)

 「トミーさんはファンを大事にしない人間なんだね。トミーさんはファンを“想わない”人間なんだね。トミーさんはライヴに来てくれるファンしか“興味”が無いんだね。トミーさんは意固地な人間だね。独りが好きなトミーさん。弱い人間」(312日)

 「人間なめんなっ命なめんなっ――自殺するような子供を育てた親に責任ってあると思いません?生きるのも死ぬのも“勝手”は許されないのが人間社会。違う?――フラれたから殺すとか過激だよね〜愛と死って対極にあるらしいんだけど」(同日)

 「トミーさんだって普通に信号無視したりするのでしょうけど、その時に『信号無視すんなっ!!』と怒鳴られたらどう思い、どう対処しますか?僕は今怒ってます。どーもこんにちはキチガイです」(316日)

 「腕時計も使ってね〜 まだ持っていればだけど」(同日)

 「トミーさんってなめくさってるよね プロには成れない人。感謝を知らなければ謙虚さもない。魅力がないから今、そんな所に居る」(45日)

 「また死んだふりッスか がんばれよ」(415日)

 「案外忘れがちだけど、君も僕もいつか死ぬんだよ。死んでしまうんだよ。大事に生きなきゃね」(416日)

 「ごめんね。そのうち死ぬから安心してね ごめんね」(428日)

 そして、同日1946分の次のツイッターから事態は急転していく。「渋谷青山通り郵便局から荷物が届きました。差出人不明。腕時計と本3冊が入ってました。わざわざ送ってくれなくても取りに行きましたよ?ほんと、嫌な女」

 つまり、恩着せがましくプレゼントした腕時計や本を、にわかに、冨田さんは返したというわけ。プレゼント返却=自分に気がない、という自明の現実をつきつけられ、怒り心頭に発した犯人は、立て続けに、こんなツイートをした。

 「名前くらい書きなよ。詐欺かと思ったじゃん。お菓子とかお花も返すん?そのうち送られてくるんかな〜。楽しみにしてますね 時間もお金も返す気なら、ほんまもんの悪意だね。素敵すぎて嬉しいね」

 「こうやって書けるのは《訴訟》狙いですか?ブロックせずにほったらかしにしているのは、僕が下手を打つのを待ってるんすかねー いやはや怖いわ〜冨田真由怖いわ〜」

 「早く『ゴミ』返してね でもさぁ差出人不明は失礼だとは思わない?思わないんだろうね。それが『冨田真由』」

 さらに、返却された物について、「風呂場にてライターで火を点け燃やしました やったね  4℃の腕時計はハンマーでぶっ叩いて粉々にしてやります」とツイート。

 翌日、冨田さんからツイッターでブロックされたのか、その後は冨田さんの周辺の人物に、こういうツイートをした。「冨田真由に『全部返せ』と伝えてください。『全部返せ』それだけです」

 その後も、「全部返してください」(51日)、「全部送れと伝えてください」(52日)、「早く返せと伝えてください」(53日)、「捨ててしまえばいいものを、わざわざ送って来たのだから、ひとつ残さず全部返せよ」(同)、「1週間経ちました。なぜ返さない?」(57日)と迫った。

 その後、犯人は、「劇的を望む」などとツイートし、58日を最後にぱったり止んだ。

 そして冒頭の記事にあるように、59日、冨田さんが警察に相談に行った。ひょっとしたら警察が犯人に警告したのかもしれない。

 なお、犯人はブログもやっていたようだ。22日付のj-castニュースによると、「惨めさの中で世界を笑う」という犯人のものとみられるタイトルのブログがあり、「内容は、164月頃から徐々にエスカレート。冨田さんの写真をアップロードし『気持ち悪いよねー』とのコメントをつけた投稿のほか、『あいつ死ねばいいのに』『殺したい、殺したい、殺したい』『犯罪します』といった過激な言葉が頻出していた。さらに事件前日の520日には、「殺人なんてのは何世紀も前から毎日毎日飽きずに懲りずに世界中のあちらこちらで何十何百件も起こっているアリキタリナ愚行。加害者になるのも被害者になるのも生きていれば遭遇する可能性は十分ある。恐いね(笑)」と犯行を示唆。さらに事件当日の朝には、「人を何らかの行動に駆り立てるのはたいていの場合、意欲などではなく羞恥だ」とのタイトルで本文に一言、「行ってきます!」とだけつづり、事件5分前の2117時には、「まだかなまだかな〜」との一文も投稿していた。

 なお、ツイッターをみるかぎり、この犯人は、一応、サラリーマンをしており、料理や洗濯も自分でこなしている。つまり、一応、表向きは普通の社会人だった。それが冨田さんを病的に好きになり、プレゼント返却という冨田さんの意志表示を目の当たりにしたのを境に、凶悪なストーカーと化して、警察に通報されたことで一層逆上して犯行に及んだように見受けられる。身勝手極まりない輩である。

 なお、往々にしてアイドルというのは、事務所がガードして、ファンとは一線を画すものだが、地下アイドルはそんなに稼いでいないので、無論マネージャーはつかない。そういう中で起きた悲劇である。では、どうすればよいか――。

 これまでのストーカー事件を見る限り、犯行現場に警察を動員する、という手段は、現実的にはあまり期待できない。要するに、事件が起こるかどうかわからない現場まで警察は手が回らないのだろう。ではイベント主催者がガードマンを雇えるかといえば、そんな利益も出ていないはずだ。地下アイドル個人で警備を雇うのも経済的に困難であろう。そうであるが故に、今後はファンたちが、自前で親衛隊をつくり、イベント会場をボランティアで警備するというのはどうであろう。

 また、今回は地下アイドルが被害者だったが、この事件の本質はストーカー事件である。こういう輩に対して、警察が、いままでどおりに相談に乗るだけでは、悲劇はなくならないのは明らか。警察は、被害者が自衛できるよう、ストーカーが気絶するほどの強力なスタンガンや催涙スプレー、防刃ベストといった防衛品を低価格でレンタル、もしくは補助金で買えるようにしたり、そうした防衛品の使い方の講習会を開いたり、重度のストーカー被害に遭っていると判断したときは、ストーカーのわからない場所に引っ越すための費用の一部を補助するといった「ストーカー対策予算」を設けて対応するとよいのではないか。(佐々木奎一)

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2016年05月18日

舛添都知事、湯河原温泉、ホテルで会議で袋叩き…

 平成二十八年五月十六日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「舛添都知事、湯河原温泉、ホテルで会議で袋叩き…」


 を企画、取材、執筆しました。



 週末の各紙は「疑惑持たれ恥ずかしい 正月旅行、子どもと約束 舛添知事、疑惑説明1時間45分」(朝日新聞)、「舛添知事『公金に鈍感』『家族旅行中、昼間に会議』『海外と交流、版画を活用』」(同)、「舛添都知事 記者会見 釈明…晴れぬ疑念 追及され反省の弁」(毎日新聞)、「あきれる舛添氏の公金感覚」(日本経済新聞)といった具合で、舛添要一・東京都知事の政治資金についての説明会見を批判する記事で持切りだった。

 騒動の発端は、週刊文春5512合併号の「舛添知事『公用車』で毎週末『温泉地別荘』通い」という記事による。これは舛添知事が、週末になると温泉地・神奈川県湯河原町の別荘に公用車でしょっちゅう行っている、という内容。さらに同誌の翌週日号でも「舛添都知事 血税タカリの履歴 これも政治資金!→正月家族で温泉宿37万円 自著100冊買上げ10万円 美術品等900万円 湯河原別荘近くの回転寿司5万円 自宅近所ピザ屋20万円 3000円床屋は子供の分も領収書」を掲載した。

 これに対し舛添知事は、精査して説明すると言い、13日の会見で説明した。そのことを袋叩きにして報じたのが、冒頭の記事というわけ。

 なお、けさのTBS電子版の「舛添都知事の説明『納得できない』9割」によると、舛添知事が家族で宿泊したホテル代を「会議費」として自らの政治資金から支出していたことをめぐり、舛添氏が先週行った釈明におよそ9割の人が納得していない、という。だが、納得していない人のなかで、1時間45分におよぶ会見の内容をしっかり把握した人はどれだけいるだろうか。たとえば、産経新聞電子版には、くだんの記者会見を文字起こしした記事がアップされている。それによると、舛添氏は、ホテル代を会議費としているのは、家族で泊まっていたホテルで事務所関係者を呼んで会議をし、その時に都知事選の立候補の決断をした、重要な会議だったので政治活動とした、という説明をしている。

 ほかにも、例えば、自著100冊を買ったことについては、資料として人に配るためだった、と言っていたりする。なお、政治家が自著を政治資金で買い上げて自己紹介を兼ねて配布するというのは、オーソドックスであり、そういう会計処理をしている議員は多い。

 ほかの指摘されている経費についても、舛添氏は、仕事を兼ねていた、という説明をしていた。だが、会見に出ていた記者たちは、ホテルは家族で行っておりプライベートではないか、といった追及ばかりしていた。

 なお、舛添氏は、誤解を招いた分や確認が取れなかった分45万円分を返金する、と言い、今後はこういうことがないように改善する、と謝罪していた。

 では、どうすれば、今後、こういう騒動を防ぐことができるのか――。これは一にも二にも、仕事かプライベートか判然としない経費を、どうするか、にかかっている。具体的には、「按分」が有効である。按分とは、ホテル代なり、飲食代なりのうち、何割が仕事分で、何割がプライベート分、というふうに分けていく方法である。そもそも政治家は、24時間、何をやっていても政治活動の面があり、公私の別は難しい。その公私両面のある費用を、どちらか一方に立て分けるというのは、正確な収支報告をする妨げになる。

 なお、湯河原の別荘に行っていたことも問題視されているが、温泉でリフレッシュして、それでしっかり仕事をしてくれれば、都民にとってもよいことなのではないか。要するに、知事にとって大切なのは、仕事ぶりである。都知事として無能で、都民を苦しめるなら問題だが、仕事ぶりに瑕疵がないなら、回転寿司やホテル代といった瑣末なことで、よもや辞めさせるということがあっては、地方自治の危機ではないか?(佐々木奎一)


PS この国では、定期的に、有名な政治家を瑣末なことで血祭りに上げる、という衆愚政治がまかり通っている。

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2016年05月16日

今夏の参院選の焦点「78議席」



 平成二十八年五月二日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「GW以降特別注目のニュース(国内政治編) 今夏の参院選の焦点「78議席」」


 を企画、取材、執筆しました。



GW以降注目の政治ニュースは、なんといっても夏の参院選である。1日付の時事通信電子版によれば、安倍自公政権は622日公示、710日投開票にする予定という。

 なお、安倍晋三首相は429日の日本テレビの番組で、「夏の参院選で憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席確保をめざすのかと問われると、『私たちだけで3分の2を取るのはほとんど不可能に近い。与党以外の政党、個人の皆さんをいかに集めることができるかだ」とし、野党も取り込んで3分の2をめざす考えを示した」という。(430日付朝日新聞朝刊より)

 「野党も取り込んで3分の2」とは、具体的には、510付の週刊エコノミストの記事「官邸の狙い 安倍首相 参院選は改憲へのラストチャンス」に詳しい。それによると、「参院では現在、自公の会派は計134議席(議長を除く)。自公だけで非改選議員を含めて参院定数(242議席)の3分の2超(162議席)を占めるには、改選数121のうち86議席の獲得が必要だ。現実的なのは、改憲に前向きなおおさか維新の会や日本のこころを大切にする党を含めた「改憲勢力」での3分の2。自公にこの2党を加えた4党の非改選議席数は84議席。改憲勢力で『78議席』が目標ラインとなる」。

 改選数121のうち78議席とは、夏の参院選で改選勢力が64%の議席を取るということである。

 ちなみに参考データとして、2日付の日本経済新聞朝刊に載っていた同紙の世論調査では、7月の参院選で、「投票したい政党」か「投票したい候補者がいる政党」を政党名を読み上げて聞いたところ、自民党が44%。おおさか維新の会6%。公明党4%。一方、野党は民進党15%、共産党5%、社民党1%など野党5党を合わせて28%という。注目なのは自民党が前月調査から8%もアップしている点。その要因は、熊本地震で自民党が支持を広げたとみられることだという。

 だが、本当に安倍自公政権の震災対応は評価できるのだろうか。例えば、熊本地震によりエコノミークラス症候群にかかる人が相次いでおり、入院が必要な重症と判断された患者は少なくとも35人(うち1人死亡)に上る。そのことについて週刊新潮55日・12日号の記事「『安倍内閣』熊本支援の失態失策 大失敗特集」に、こんな下りがある。「50代女性がエコノミークラス症候群によって亡くなりましたが、明らかな人災です。実際にそうなるまで、誰も注意喚起をしなかった。かつて04年の中越地震でも余震が多く、車中泊の方が大勢おり、そうした症状も多く見られましたが、今回は車中泊が多いとわかった時点で政府は大々的に注意を呼びかけるべきでした」。(危機管理コンサルタント田中辰巳氏のコメント)

 こうした安倍自公政権の震災対応も、今後、検証されていくことだろう。

 なお、仮に、参院選で改憲勢力が3分の2議席を占めて改憲発議をする場合に、「緊急事態条項」を書き加えるのではないか、という見方は前々からある。熊本地震があったので、その線は一層強まったといえよう。

 緊急事態条項とは、戦争、内乱、恐慌、大規模な自然災害などの緊急事態で、首相が「緊急事態を宣言」すると、国会の制約を受けずに権限を行使でき、自治体や国民はそれに従わなければならない、というもの。

 だが、この緊急事態条項は多くの識者から危険視されている。例えば、22日付の毎日新聞夕刊の記事「本当に必要? 『緊急事態条項』」によると、災害の法律に詳しい弁護士の小口幸人氏は、「憲法に緊急事態条項を入れる必要性は全くありません」と断言する。災害対策基本法では、市長の判断で建物の一時使用や収用、除去までできると定めてあり、必要なら、立ち入りもできる。同法には、首相による「災害緊急事態の布告」を定めており、国会閉会中でも緊急の必要がある場合、政令を出し物価を抑えたり、債務支払い延期を決めたりすることが可能という。小口氏は切実な表情で「憲法に緊急事態条項があったら大震災で起きた数々の悲劇を食い止められたのかといえば、そうではない。今の法律を十分に使いこなせなかったのが問題。被害を最小限に抑えるのは、法整備やその周知、訓練などを含めた事前の準備。大震災を改憲のダシにしないでほしい」と訴えたという。

 また、同記事には、こうある。

 「緊急事態条項がないのは憲法の欠陥だ、という意見も改憲派からはよく聞かれる。だが、憲法に詳しい弁護士の伊藤真さんは『先人の知恵の産物であり欠陥ではありません』と切り出し、憲法の制定過程を交えて解説する。

 連合国軍総司令部(GHQ)と日本側が緊急事態条項を巡って議論した際、GHQは『憲法に明文を置かなくても、内閣が超憲法的に対応すればよい』という趣旨の主張をしたが、日本側は『緊急事態条項のあった明治憲法以上の弊害が起きうる』と反論。激論の末、緊急時に衆院議員が不在でも参議院で緊急集会の開催が可能と憲法542項に明記された。参院の改選は定数の半分なので、国会議員がゼロになる事態は起きない。『緊急時は参院が立法府として対応できる』と伊藤さん。改憲派は『議員の任期を特例で延長できるよう定めておくべきだ』とも主張するが、その必要はない。

 『明治憲法での弊害』というのは、議会にかけずに発する緊急勅令などが発令された後に起きた不幸な事件を指す。関東大震災(1923年)では政府が戒厳を布告。軍や警察などによる無政府主義者などへの弾圧につながった。日本には緊急事態条項がもたらした苦い経験がある。

 これが念頭にあったのだろうか。現憲法の制定に尽力した金森徳次郎憲法担当相は467月、帝国議会衆院憲法改正案委員会で次のように語った。『緊急勅令及び財政上の緊急処分は行政当局者にとりましては実に調法なものであります。しかしながら(略)国民の意思をある期間有力に無視しうる制度である(略)。だから便利を尊ぶかあるいは民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になるのであります』

 伊藤さんは力説する。『当時の政治家は緊急事態条項が乱用される危険性を認識し、明治憲法下での人権侵害を反省していました。たとえ一時でも、為政者をフリーハンドにしてはいけません』。先人の反省は極めて重い」

 あるいは、安倍自公政権は、緊急事態条項を引っ込めて、別の手で来るかもしれない。前出の週刊エコノミストには、「お試し改憲」という手口の指摘がある。記事によると、「改憲発議に必要な3分の2以上の賛成を得られる項目なら極端な話、前文の助詞1文字でもいい」と閣僚経験者は語ったという。「『お試し改憲』は、国民を改憲に慣れさせるため、反対の少ないところから手をつけようという発想」で、政務三役経験者は「まず、日本人の力で憲法改正を成し遂げることが重要だ。癖がつけば、発議に3分の2以上を求める96条も変わる」と言ったという。

 夏の参院選で、安倍自公ほか改憲勢力が夏の参院選で78議席以上を取れば、こうした憲法改正発議が現実味を帯びてくる。(佐々木奎一)




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2016年05月13日

衆参同日選見送りにみる安倍1強終焉

 平成二十八年四月二十五日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「衆参同日選見送りにみる安倍1強終焉」


 を企画、取材、執筆しました。



 けさの朝日新聞一面トップに「同日選、首相見送り」という記事がある。それによると、安倍晋三首相は、夏の参院選と衆院選を同時に行う衆参同日選について、「考えていない」との認識を周辺に伝えた。「首相はこれまで、7月に予定される参院選に向けて野党が進めている選挙協力にくさびを打ち込むため、堅調な支持率も背景に与党に有利とされる衆参同日選の可能性を視野に入れていた。だが、被災者への支援や復旧・復興を進める被災自治体に同日選の準備で負担を強いるのは現実的ではないと判断。また、2年半以上の任期を残す衆院を現時点で解散すれば、『選挙を優先して危機対応を軽視した』との批判を招きかねないとの見方も働いた」という。

 なお、同記事には、安倍首相がいつ誰に同日選を「考えていない」と伝えたのかは明確には書いていないが、「首相は24日午前8時半過ぎから首相官邸で麻生、谷垣両氏と会談。菅義偉官房長官も同席し、その場で補正編成を指示した上で、526日から始まる主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)前までの成立を目指すよう促した。首相はこうした方針を谷垣氏以外の自民党幹部や、公明党幹部にも電話で伝えた」とか、二面の「同日選戦略、霧散 『被災地に負担』批判懸念」という記事にも、「衆院補選投開票日の24日朝、安倍晋三首相は動く。麻生太郎副総理兼財務相と自民党の谷垣禎一幹事長を首相官邸に呼び、熊本地震の復旧・復興に向けた補正予算案を編成し、今国会での成立をめざすよう指示した」などと、さかんに24日の朝、首相官邸で麻生、谷垣と会っていたことを書いており、この時に安倍首相は「同日選は考えていない」と言ったことを匂わせている。

 なお、今年11日付の当コーナーでは、「壊憲の有無を決する今夏の国政選挙」と銘打ち、いくつかのシナリオを示した。その中のシナリオ1として、衆参同日選を実施し、改憲勢力の安倍自公維が衆参で3分の2以上の議席を確保した場合は、次の衆院の任期2020年夏までたっぷり時間があるので、平和憲法を含めた日本国憲法の根幹を変える可能性が高くなってくると指摘した。このシナリオ1は、ひとまず回避した形だ。

 つまり、今夏は、参院選のみを実施することになる。安倍首相は、参院で憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席確保を狙ってくる。だが、仮に参院選で自公維が勝ったとしても、この場合、衆院任期は201812月までなので、自公維は常に、次の衆院選を意識して進めていかなければならない。野党勢力がボロボロでない限りは。

 つまり、憲法の命運を握るのは、実は野党である。その意味で、昨日投開票の衆院北海道5区補選は興味深い。結果は「衆院補選・北海道、自民が野党統一候補破る」(朝日新聞)、「北海道5区、与党接戦制す」(日本経済新聞)といった記事の通りだが、朝刊の締め切り時点では、投票数は確定していなかった。NHK電子版によると、最終的な得票数は、「和田義明(自民・新)当選、135842票。▽池田真紀(無・新)、123517票」という。野党勢力の池田真紀氏が自公候補をかなり追い詰めていたのだ。なお、北海道は、もともと鈴木宗男氏の支持基盤で、これまで宗男氏は野党支持だった。その宗男氏は、今回、自民党についた。そうしたなかで、野党がこれだけで自公と競り合った。これは、いっときの安倍1強時代が終わったことを意味する。

 そうなると、たとえ今夏の参院選で、安倍自公維が3分の2議席を確保したとしても、自公維は、常に次の衆院選を意識しなければならない。つまり、壊憲へのアクションは、政権転覆に直結する。(佐々木奎一)



PS なお、安倍自公政権は、バラク・オバマ大統領の広島訪問にかこつけて、衆参同日選に出るのではないか、という臆測もでているが、もしも安倍晋三が、衆参同日選を行えば、震災を政争の具にした、歴代最も狡猾で、国民のことを考えなかった首相として、日本史と世界史に汚名が刻印されることになる。


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2016年05月09日

さらに悪化する「報道の自由」

 平成二十八年四月二十一日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「さらに悪化する「報道の自由」」


 を企画、取材、執筆しました。



20日付の朝刊に「国連『報道の自由に脅威』放送法改正勧告へ」(毎日新聞)、「日本の報道の独立性に『脅威』 国連報告者『政府の圧力、自己検閲生む』」(朝日新聞)という記事かある。

 それによると、「表現の自由」に関する国連特別報告者として初めて公式に訪日したデービッド・ケイ(米国)が日本での調査を終え、19日に都内の外国人記者クラブで会見した。ケイは11日から訪日し、報道機関関係者や政府職員、国会議員、NGO関係者らの話を聞き調査した。

 会見でケイは「特定秘密保護法や、『中立性』『公平性』を求める政府の圧力がメディアの自己検閲を生み出している」「ジャーナリストの多くが匿名を条件に面会に応じた。政治家からの間接的圧力で仕事を外され、沈黙を強いられたと訴えた」と述べ、放送法をめぐっては「放送法のうち(政治的公平性などを定めた)第4条を廃止し、政府はメディア規制から手を引くべきだ」と提言し、高市早苗・総務相が番組の公平性を理由に放送局の「電波停止」に言及した発言について、高市氏との面会を希望したが「国会会期中との理由で会えなかった」と言った。

 慰安婦問題など歴史問題については「戦争中の罪を教科書でどう扱うかについて政府が介入することは、国民の知る権利を脅かし、過去の問題に取り組む力を低下させる」と懸念を示した。また、「記者クラブの排他性も指摘した」という。(朝日新聞より)

 また、ケイは、特定秘密保護法について、特定秘密の定義があいまいで範囲が広がること、報道機関が萎縮する恐れがあることを挙げ、「法を根本的に変えるべきだ」と語った。ヘイトスピーチ対策にも触れ、まずは雇用や住居に関する人種差別を禁止する法制定を急ぐべきで、ヘイトスピーチの定義があいまいなまま規制すれば表現の自由に悪影響を及ぼす可能性があると指摘した」という。

 なお、この国連報告者ケイについて、読売新聞は、160字程度のツイッターのような文字数のベタ記事で報じたのみ。日本経済新聞にいたっては、この件について触れてさえいなかった。

 ちなみに、このケイの記者会見は、ジャパンタイムズも報じている。それによると、上記全国紙4紙のうち朝日新聞がかろうじて「記者クラブの排他性も指摘した」という一文だけ載せていた「記者クラブ」について、ケイは「メディアの独立を取り戻すために、記者クラブは廃止しなければならない」と断言している。なぜなら、記者クラブは、政府等の圧力を考慮して手加減して報じている、ソフトな圧力もあれば、お仲間の記者クラブ同業者や役所からの圧力の場合もあるが、そうしたプレッシャーに抵抗するのはとても難しい、と指摘。

 世界の常識では、ジャーナリストというのは、権力を監視することが役割である。決して、政府発表を代書したりコピーして、それをオンラインや紙面に載せたり、テレビ番組で繰り返し放送するのが、ジャーナリストの役割ではない、と、記者クラブメディアを批判した。

 一方、ケイは、日本のインターネットの報道の束縛のない自由な状態と、ネットアクセス環境を称賛し、ネットの検閲をしている他国は、日本をモデルにする必要がある、と言った。なお、ケイは今回の調査のレポートを2017年の国連人権会議で発表する予定という。

 なお、折しも、20日付のジャパンタイムズによると、パリに本部を置く国際NGO「国境なき記者団」の「報道の自由度ランキング」では、日本は180か国中、72位だった。日本は2010年時点で11位だったが、安倍自公政権になってから急落し昨年は61位まで陥落し、今年はさらに堕ちたというわけ。

 しかも、安倍自公政権の推し進めようとしている改憲草案は、今とは比較にならない報道表現の自由を制限する憲法となっている。そして、その改憲草案を実現するため、安倍自公政権は、今夏の参院選で3分の2議席を奪取した暁に、憲法改正をしようとしている。そうなると国民の自由は急速にしぼんでいくことになる。果たしてそれでよいのかどうか、主権者である私たちが、判断していかなければならない。(佐々木奎一)


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学生イッキ飲みの風習にノン! 「ゴチ会」

 平成二十八年四月二十八日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」で記事 


 「学生イッキ飲みの風習にノン! 「ゴチ会」」


 を企画、取材、執筆しました。



 大学サークルの合宿の多いGWがやってきた。そうしたなか、「のまれないで!『アルハラしま宣言』 事故遺族らの団体がポスター・ステッカー」という記事が26日付の朝日新聞夕刊にあった。

 それによると、「コイツ、大丈夫かな」「でもこれが部の伝統だもんな」「もう飲めないなんて言いにくい」「雰囲気だし、飲まなきゃ」などと、飲ませる側、飲まされる側の心理をつづったポスターやチラシを、飲酒事故で子どもを失った親が中心となってつくる「イッキ飲み防止連絡協議会」が作成し、全国724大学とサークルに配ったという。

 なお、大学の飲酒死亡事件の生々しい実態については、42日付のジャパンタイムズに詳しい。それは東京大学2年・高原滉(あきら)氏(当時21)が死亡した事件。遺族である両親によると、遺族が滉氏の死亡を知ったのは、12728日の深夜3時、自宅にかかってきた電話によってだった。すぐに病院にかけつけたが、滉氏のすでに身体は冷たく死後硬直で固くなっていた。

 滉氏は、テニスクラブの「コンパ長」として、飲み会を担当していた。事件の起きた12727日の夜は、滉氏や同期の部員、先輩後輩、サークルOBなど約40人が隅田公園に集まった。翌日夜の隅田川花火大会の場所取りを兼ねた飲み会だった。

 コンパ長として、滉氏は“マキバ”と呼ばれる、このサークルの伝統的な飲酒の儀式を始めた。それはサークルのメンバーが円形になり、フォークダンスのマイムマイムを歌い踊りながら、順番に中央に置いた2.7リットルの焼酎「大五郎」をラッパ飲みしていくという儀式。滉氏は、コンパ長として誰よりも多く飲むことを求められ、午後10時に気絶するまでに約1.1リットルの大五郎を飲んだ。滉氏は失禁するほど重篤な状態となったが、メンバーは滉氏のズボンを脱がせただけで、水を飲ませたり介抱もしないまま、集団から離れたところに放置した。そして4時間後、メンバーの誰かが滉氏の反応がないのに気付き、救急車を呼んだ。しかし、呼ぶのはあまりにも遅過ぎた。

 医者は、滉氏が死んだ時刻は午前0時頃だとみている。「もし誰かが、意識不明の息子を放って置かず、救急車を呼んだなら、息子は生きていたかもしれません」と遺族は訴える。(マキバについての個所は弁護士ドットコム「東大サークルのコンパで「大量飲酒」死亡事故ーー学生の両親が参加者21人を提訴」も参照した)

 アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)の代表・今成知美氏によると、学生たちが助けを求めるのを嫌がるのは、まれではないという。「彼らはトラブルになるのを心配し、救急車を呼ぶのをためらいます。不幸なことに、この躊躇が、しばしば死を招きます」と今成氏はいう。

 また、世間では、こうした死亡事件について、イッキ飲みをした学生がムチャをしたから悪い、という見方がされることが多いが、イッキ飲み防止連絡協議会の代表・石谷師子氏は、「そうした世間の見方は、間違っています。亡くなった学生たちは、イッキ飲みを強制されて命を落としたという事を理解してほしい」と訴える。

 飲酒死亡事故が起きると、大学は内部調査をするが、ほとんどの場合、犠牲者は強制的に飲まされてはいなかった、と結論付ける。だが、身体的に強制されたかどうかは、問題ではない。そういう飲み会の場は、飲むことの「同調圧力」の空気をつくり出し、イッキ飲みを余儀なくさせる。この集団内の圧力がイッキ飲みを強制させる。

 なお、滉氏の代理人の山本雄一朗弁護士によると、滉氏のテニスサークルは、騒がしい振る舞いで有名で、事件のあった日も二つの苦情が警察にあったという。大学内でも、野蛮な飲み会をするサークルとして悪名高く、これまでにも数々の飲み会で救急車が呼ばれてきたと信じられているという。

 ちなみに、こういう野卑なイッキ飲みをする学生が絶えない中、「大人の飲み方」を志向する動きも出てきている。飲み放題で安くておいしくない酒ばかり出るのは嫌だという学生たちの想いに応える形で、「ごちそう+飲み物2杯」で、飲み放題コースの料金3千円程度で、「ごちそうを味わう」というコンセプトで、これを「ごち会」という。「ごち会」は学生団体「想食系幹事」と、不適切な飲酒防止の啓発に取り組むフランスに本社のあるアルコールメーカー「ペルノ・リカール・ジャパン」によるプロジェクト。

 ごち会に賛同するレストランの一つで都内の飯田橋にあるグリルオオムラのオーナーは、「大人たちには、若者にアルコールを飲み方を教える義務がある、と私は思っています。ゴチ会はそのためのグレイトな方法です」という。

 大学生は、大人の酒の飲み方を学ぶ必要がある。なお、社会人にもなって他人にイッキ飲みを強いる輩は論外であることは、言うまでもない。(佐々木奎一)

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2016年05月01日

文科相の教科書“発禁処分”発言の背景

 平成二十八年四月十四日付、のauのニュースサイト


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 「文科相の教科書“発禁処分”発言の背景」


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13日の各紙朝刊は「教科書22社を調査 謝礼、独禁法違反疑い 公取委」(朝日新聞)、「「不当な顧客誘引」調査 公取委 教科書謝礼巡り22社」(読売新聞)といった見出しで報じている。

 それによると、教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せて謝礼を渡していた事について、公正取引委員会は12日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで、小中学校の教科書を発行する22社に対し調査を始めた。独占禁止法違反が認められれば、公取委は排除措置命令や警告を出す可能性があるという。

 そして、馳浩文科相は12日の記者会見で、公取委が排除措置命令を出す事態になった場合、「教科書発行の指定取り消しも含めて当然検討する」と述べたという。(朝日新聞より)

 義務教育用の教科書は、発行者の指定制度となっており、国の定めた基準に該当する場合のみ、指定を受け、教科書を発行することができる(文科省HPより)。要するに、指定取り消しとは、“発禁処分”を意味する。

 だが、教科書の中身が悪質なので指定取り消しというのならわかるが、教科書の内容に問題がないのに、発禁処分にするというのは、権力の濫用ではないのか? 仮に独禁法に触れたならば、教科書会社の経営責任が問われるべきではないか?なぜ、安倍自公政権は、教科書の発禁処分などという乱暴な真似をしようとしているのか? 多くの教科書が発禁処分になると、どういうことが起きるだろうか?

 そもそもこの教科書謝礼事件が、にわかに表沙汰になったのは昨年1030日のことだった。この日、小中高校の教科書を発行する三省堂が、1年以上前の2014823日に、公立中学校の校長ら11人を集めた都内のホテルでの会議で、15万円の謝礼金を渡していたとして、文科省が、再発防止を求める指導文書を同社に手渡したのだ。そのことを各紙が一斉に報じた。

 その後、小中学校の教科書を発行する22社のうち計10社が同様のことをしていたことが、文科省の調査で発覚した。東京書籍、大日本図書、学校図書、教育出版、教育芸術社、光村図書、啓林館、数研出版、日本文教出版、三省堂の計10社である。

 そして今回、公取委が独自に22社を一から調査し、その結果次第では、発禁処分もあり得る、というのが、冒頭の記事。

 このような経緯なのたが、発端の三省堂の件が明るみになったのは、安保法制が2015919日未明に成立してから、約1か月後のことである。周知のように、安保法制の国会審議では、憲法学者3人が揃い踏みで違憲と断じたり、小学の教科書にも立憲主義、平和主義について載っているのに、それを無視する安倍首相の見識を、野党議員が追及する場面もあった。要するに、安倍自公政権の違憲性は、小中の主流の教科書に照らし合わせても、明らかだった。

 安倍自公政権にとって、自分たちを否定するようなメインストリームの教科書は、消えてほしい存在に映ったことだろう。主流の教科書よりも、安倍自公政権は、マイナーな育鵬社(いくほうしゃ)の教科書を国民に使わせたい、と思っているはずだ。なお、育鵬社の教科書とは、当サイトにあったウワサの現場のコーナーでたびたび紹介してきた、安倍自公政権の言動と軌を一にする、公民と歴史の中学の教科書である。

 ちなみに、謝礼をしたとされる10社の中には、育鵬社は入っていない。

 また、育鵬社の母体である「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版の教科書も入っていない。(育鵬社は、新しい歴史教科書をつくる会から分裂してできた)。自由社の教科書は、育鵬社よりもさらに右寄りの内容。

 ちなみに、この「新しい歴史教科書をつくる会」は今年37日、くだんの10社の社長を「贈賄」の罪で刑事告発。今月25日には国会で「『教科書贈収賄事件』を糺す緊急集会」と題し、気勢をあげようとしている。

 そうした中で、文部科学大臣が、教科書の発禁処分を公言した、というのが今の情勢である。安倍自公政権の進める自民党壊憲草案といい、育鵬社の教科書といい、戦前の軍靴の音が聞こえてきそうな昨今の政治である。(佐々木奎一)






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