2015年12月30日

今週

 今週から2016年に入る。そんなわけで、一足早く、一昨日、鎌倉の鶴岡八幡宮に初詣してきた。
 鶴岡八幡宮へ行くと、ことあるごとに神に祈りを捧げていた源頼朝に思いを馳せるのが常だ。
 帰宅後、鶴岡八幡宮の神札を家に据えた。また、鶴岡八幡宮のお守りも持った。

 そして、昨日は、金沢八景の瀬戸神社と琵琶嶋神社へ行った。
 瀬戸神社では、茅の輪をくぐった。琵琶嶋神社は、松が見事だった。

 そのあと、西伊豆へ行った。日本一の夕日が、魂に焼きついた。
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2015年12月29日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十八・二十九

 これに対し、門川市長は、こう答弁している。 

 「核家族化や高齢化の下でペットとして動物を飼う、動物と人間との共生みたいなものが非常に大事だなということを実感しておりますし、また、子供の教育においても生き物を飼う、育てるということが非常に子供の心の成長に重要な役割を果たす、そういうときに、やはり社会全体でボランティアの人々の活躍も含めて、そうした京都において取組を市民ぐるみで進めていきたいな、そういうことを念じております。

 獣医師会等との色々な連携した取組も今京都市で進んでおりますので、動物愛護行動計画、仮称でありますが、そうしたものを定めていく、そうした取組の中で市民ぐるみの新たな施策の一歩踏み込んだ取組も進めて参りたい、そのように思っております」

 こう言っていた人物が、猫エサやり禁止条例をつくるとは、このとき、誰も思わなったに違いない。が、当の門川大作市長は、腹に一物あったのではないか。

 ちなみに、中村氏は、ここで出てきた「日本動物ネットワーク京都」を、その後も市会での発言時に、何度か引合いに出している。

 「日本動物ネットワーク京都(JANK)」は、01年に設立した団体で、2013年にNGO法人となっている。

 同団体のブログをみてみると、中村氏、そして京都市役所との、親密な関係がうかがえる。

 例えば、2014121日付の同団体のブログは、「新動物愛護センターに関する海外調査報告会」と題する告知をしている。

 そこには、「上記文書の通り、京都市保健福祉局保健衛生推進室保健医療課より下記の報告会について周知の依頼を受けました」とあり、写真が添付されている。

 その写真には、京都市の保健医療課長の名で、こう書いてある。 

 「海外行政調査個人報告会(中村三之助京都市会議員)の開催に係るリーフレットの配布について(依頼)」

 「日ごろは本市の動物愛護行政の推進に御協力を賜り、ありがとうございます。

 この度、市会事務局から標記の報告会の開催に当たり、市民や動物愛護団体の皆様への周知について依頼がありました。

 つきましては、御多忙のところ大変お手数ですが、別添のリーフレットを会員の皆様に配布していただき、広く御周知くださいますようお願い申し上げます」(写真は同ブログより)

  

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 そして、1424日付には、「海外行政調査報告会の受付をJANKのメンバー7名でお手伝いしてまいりました」とあるので、中村氏の個人講演会に運営側のスタッフとして参加していたことになる。

201452日付には、「新動物愛護センター『動物愛ランド・京都』の公式マスコットキャラクターの名称が決定しました。京都市のHP(←クリックで開きます)で公開されています」と、京都市HPのような告知をしている。(写真は同ブログより)

  

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 また、2014626日付では、「全国初 動物愛護憲章制定へ」と題し、「第一回京都動物愛護憲章懇話会」が開かれたことをつづっている。(写真は同ブログより)

  

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2014723日付には、「セミナーでの講演」と題し、625日に「『ペットに優しい社会』殺処分ゼロを目指して」と題し、京都市保健福祉局保健衛生推進室・保健医療課の太田眞一課長の基調講演を紹介している。(写真は同ブログより)

  

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 そして2014年の師走には、エサやり禁止条例についてのパブリックコメントを京都市が募集したことは記憶に新しいが、このときに、「パブコメに参加しよう!」と題し、「京都市は『京都動物愛護憲章』を制定し、人と動物が共生していくための社会づくりを目指しています。そのうえで動物飼育をする者が他人に迷惑をかけることを規制するための条例を新たに制定する動きがあるようです。

 糞尿問題など解決していくべき問題も多いと思いますが、ぜひ動物愛護・福祉を推進する皆さまの多様な意見を反映できるようにしていきたいと思っています」という告知をした。(写真は同ブログより)

  

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 なお、2015年正月以降は更新されていない。

 これら京都市との「密接なつながり」を窺わせる告知をみて、筆者は、ある言葉を思い出した。

 それは平成271121日のこと。この日、THEペット法塾の会員が集まる「動物問題交流会」が大阪市内であり、光栄にも筆者はそこで京都市の実情を報告する機会を得た。そこで、これまでこの連載で書いてきたことと、のちに書こうと思い温めていることも含め、10数分に言いたいことを凝縮して話したのだが、その集会で、THEペット法塾代表の植田勝博弁護士が、京都市の動物愛護ボランティアの中には、猫エサやり禁止条例に賛成して推している団体が多い、という意味のことを言っていた。

 くだんの「日本動物ネットワーク京都」がそれに当たるのかは、定かではないが、京都市の猫エサやり禁止条例ができる最中に、京都市の動物愛護ボランティアがまったく条例に反対の声をあげていなかったのはたしか。なかには、内心では反対していた団もあったかもしれないが、表立って反対した団体は絶無に等しかった。

 その裏には、京都都市役所との一体化があるのではないか。つまり、京都市役所という権力との良好な関係を維持しようとするばかりに反対できない、という、村社会の事情が働いているのではないか。

 ちなみに、そのことを筆者は、京都市在住の動物法の権威である吉田真澄氏(弁護士、元帯広畜産大副学長、ペット法学会の初代事務局長(現副理事長)で、日本で初めて「ペット六法」(誠文堂新光社刊)を編纂した、動物愛護ボランティアの間で広くリスペクトされている人物)にも感じる。

 (続く)
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施行から1年「特定秘密保護法」の闇


 平成二十七年十二月十一日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「施行から1年「特定秘密保護法」の闇」


 を企画、取材、執筆しました。



 けさの日本経済新聞に「秘密保護法施行1年 監視の実効性、疑問も」という記事がある。それによると、特定秘密保護法の施行から10日で1年が経ったが、「運用実態を判断する情報が不十分との指摘は多い」という。

 同法は毎年1回、特定秘密の指定や解除の件数などを国会に報告することになっており、6月に出た初の報告書によると、特定秘密の行政文書件数は23121件に上った。しかもこれは昨年12月末までの「22日間」のみが対象という。つまり、単純計算で1年間になおすと381万超に達することになる。

 「同報告書で目立ったのは、特定秘密に指定された件名のあいまいさだ。『電波情報、画像情報』(防衛省)、『領域保全の措置、方針』(内閣官房)など抽象的だ」。 

 そして、「同法は運用を監視する政府の仕組みとして、次官級で構成する『内閣保全監視委員会』と独立公文書管理監をトップとする『情報保全監察室』の2組織を設置した」「国会には衆参両院に与野党議員8人からなる情報監視審査会を置いた」が、特筆すべきは、「問題があって是正勧告しても政府、国会の監視機関ともに強制力はない」という点。

 山田健太・専修大教授(言論法)は、「特定秘密保護法のポイントは(1)指定と解除の仕組み(2)運用の監視(3)秘密の取扱者の扱い――の3つ。だがすべてについてどのように運用されているのか疑問が消えないというのが、1年たった現在の状況だ。(中略)中でも監視の仕組みは重要だが、政府と国会の各監視機関が適切なチェックをしているようには見えない。政府内に監視機関がある、是正の強制力がないなど制度の不十分さは明らかだ。改めて厳格な運用の仕組みを作り直すために国会で議論していくべきだ」と指摘している。

 なお、秘密保護法については107日付のジャパンタイムズの社説でも、問題点を指摘している。それによると、アメリカでは、市民が秘密指定の解除を求めるシステムがあり、実際にこれまで1509件の文書が開示されているという。日本には、そういう制度はない。

 なお、憲法学者で弁護士の小林節・慶應大名誉教授は、同法について、こう述べている。特定秘密保護法とは何かというと、政府が何か悪事を隠したとき、政府が指定すれば永遠に我々には見えなくすることができる。アメリカでは20年、30年経てば、自動的に公開される。これは歴史の資料です。

30年経てば、ほとんどの権力者は、生きていないか、施設に入っているような状態になっている。そのときに、「実はズルしてました、アハハ」となる。でも、それは教訓としてのちに、同じような悪事を起こらせないようにするために、歴史的に果たすべきことです。

 これを、日本では、永遠に見せないことができる、「世界でも稀にみる“悪事隠し法”」なんです。

 そして、それに向かってアプローチすると、「お前ねぇ、昔みたいに公務員法違反の懲役2年ではなくて、懲役10年よ」。怖くてみんなブルってしまいますよね。こういうことさせてはダメですよ、と述べている。(121日の横浜市内の集会「戦争法(安保法制)と憲法・教科書問題を考える」(主催:横浜教科書問題市民・有識者会議)にて)

 前述のジャパンタイムズでも、秘密保護法は大幅に改正するか、廃止しなければならない、と訴えている。安保法制と共に次の選挙の争点といえよう。(佐々木奎一)
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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十七

 さらに中村氏は、こう発言する。

 「門川市長さんへ、先ほど申しました日本動物ネットワーク京都のボランティア団体が、市長選立候補を表明された後、21日付けですけれども、門川(中略)立候補者に対してお願いの申入れをされました。

 それは、その団体が門川候補者のマニフェストをずっと読まれた中に、地方主権のモデル都市を目指した京都という部分で、その抱負、その考えに感銘されて、共鳴されて、その中で特に命を大切にという部分の所を多く書かれていたという門川候補者に大変思いを打たれて、ほかの候補者にない人間的な身近さを感じたという、これは実際、その方々から聞いたことです。そして、きっとこの方だったら私たちの思いを分かってくださるだろうと思って申入れをされたんです。

 その申入れの内容の概要をここで簡単に言いますけれども、一つは、現在の京都市家庭動物相談所,これを是非市民の憩いの場となるような場所に新たに建設していただいて、保護した動物の治療や里親探しの場として基本的な業務を是非してくださいと。

 京都市の家庭動物相談所というのは大変汚いと言ったら悪いですけれども、ぼろっちくて、みんなが近寄るというような雰囲気じゃないんですよね。正にそこでずっと殺されている場所と言うか、そういう部分がみんなイメージにあるもので、市民も近寄り難いしという部分。

 そして、二つ目のお願いされたのが、動物110番通報の対応など、ボランティアと協力して活動できる動物愛護推進事務所や、正しい動物の飼い方やしつけ教室も仕事の内容として盛り込んでいって、子供たちに優しさや思いやりの心をはぐくむ校外教室として、こういった府民、市民、特に独居老人などのいやしの場としての活用なんかも考えていただきたいなというようなこととか、訓練された動物を伴った老人施設への慰問などの、そんな活動もボランティアを利用してやっていけたらというようなこと。こういう具合いにイメージを大きく変えた施設へと、是非再スタートしてもらえないかというような、そんな思い。人と動物との共生の在り方を色々言われたんです。きっとお読みになられたと思います。

 そこで、大変その当時、選挙で忙しかったにもかかわらず、門川候補者はその提案、お願い事に対して真摯に、212日に回答されているんです。

 五つの内容に回答されているんです。ここで改めて、そういう団体からの思いに対して、当時はまだ市長立候補予定者でしたが、現在はもう市長になられました。改めてそのときの回答されたことについて御答弁を御本人からいただきたいなと、このように思うんですが、いかがですか」


 (続く)
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2015年12月27日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十六

 自民党の京都市議・中村三之助氏が、はじめて野良猫について市議会で言及したのは平成20318日の普通予算特別委員会。

 その前月には、門川大作氏が京都市長に初当選した。

 その門川大作市長に対し、中村氏は、「野良犬とか野良猫の問題についてなんですけれども」といい、こう質問した。

 「門川市長は犬猫は好きですか?」

 その後、「きっとお好きやと思うんです」といって野良猫について質問していくのだが、実際のところ、門川大作市長は、猫のことは好きなのだろうか?

 ちなみに、中村氏のこの「好きですか?」との質問に対し、門川大作市長は、スルーした。

 市長が猫と映っている写真はあるだろうか、と思い調べたところ、嬉しそうに、犬と写っているのはあった。が、猫と一緒の写真は、なかった。(写真は同氏HPより)

  

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 犬の写真ばっかりで思い起こすのは、エサやり禁止を掲げた環境省の「牧原プラン」である。既述のとおり同省HPには、牧原プランにかかわったタレントたちの写真が並んでいるが、犬とのツーショットや犬を飼っている、といったタレントの割合が非常に多く、猫派は少なかった。猫目線の欠落というのは、そういうところに如実に表れるものだ。

 門川大作氏は、猫が好きなのか、嫌いなのか?野良猫のことはどう思っているのか?

 これは猫エサやり禁止条例の核心である。

 仮に、門川氏が、猫は好きだ、と言ったとしても、にわかには信じ難い。猫に囲まれながら、猫に頬ずりして、満面の笑みで、目の奥までの、心から喜びの表情の写真を撮らない限りは。その写真の有無こそが、リトマス試験紙である。

 話を戻す。

 中村氏は、その後、こういうふうに語った。

 「野良猫の問題というのは大変社会的な問題になっておりますけれども、京都府下で犬猫合わせて年間約7,000頭が殺処分されていると、こういう現況であります。

 その多くは、人の身勝手な私用により捨てられて、そして増えていって、挙げ句の果てはどうしようもなくなって、最後、殺処分せなしゃあないと、こういうようなことになっているわけなんです」

 そして、あるボランティアの名を挙げた。

 「こういった現況をいつまでも看過していられないということで(中略)同じ問題意識を持たれた人たちが、実は平成13年に『日本動物ネットワーク京都』という、こういうボランティア団体をこさえられました。

 そして、そのボランティアの方々が、野良犬やら、また野良猫、公園にいる猫を捕獲して、そして自分らの寄付金、また自分らでバザー収益で得たそういうお金なんかを拠出して、そして不妊とか去勢の手術をして、そしてまた公園等に戻すという、こういった活動をずっとしてこられているんです。昨年でそこの団体は約160匹の猫を不妊去勢手術をされたということなんです。

 そのかいがありまして,京都市のデータを見ますと、猫の部分においては殺処分数も年々減少して参りました。平成10年度が5,119匹だったものが、平成18年度は2,209匹と、激減しているわけなんです。

 これらは正にボランティアの方々の(中略)成果(中略)と思うんです。しかし、そういうボランティアの方々は(中略)殺す猫、犬なんかはゼロにしたい、こういう思いがありますから、ゼロという数字から考えるとまだまだ十分ではないわけなんです」


 (続く)

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2015年12月26日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十四・二十五

 なお、既述のとおり、平成2636日の第4回プロジェクトチームでは、「2月市会定例会の代表質問、予算特別委員会での質疑について説明」とある。

 この中の市会定例会は、公明市議・吉田氏であることは、既に述べた。

 では予算特別委員会とは何のことかというと、これは吉田氏の友軍の伏兵の発言である。それは、自民党の京都市議・中村三之助氏。(写真は「2013 年度(平成25年度)京都市会海外行政調査(動物愛護)報告書」より

  
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 中村氏は、マッチポンプ吉田市議と同じ上京区が選挙区。中村氏は、平成26217日の予算特別委員会で、プロジェクトチームの状況ばとうなっているのか、と質問した。

 これに対し、土井直也・保健衛生推進室生活衛生担当部長は、 

 「年度内に一定の方向性を示して、また市会の方に御報告させていただきたいと考えております」と言った。

 これに対し、中村氏は、

 「ということは、最初のプロジェクトチームの報告、年度内ということは3月末までと、日があんまりないです。ということは、議会の中での教育福祉委員会、そのときに報告すると、そういう予定を考えてはるんですか。ほんでよろしいんですか。分かりました」

 と念を押した。

 次いで、同月24日の予算特別委員会で中村氏は、

 「犬猫等ふん尿被害対策検討プロジェクトチームの設置ですが(中略)次回の常任委員会で、3月10日になりますけれども、報告しますというようなお答えがございましたけれども、このチームは、実効性の高い対策を検討するというところまで言うてはった内容でございますけれども、そんなことで間に合うのかと。10日、本当にそういう実効性の高い内容で、報告を我々にしてもらえるのかと、甚だ心配なんですが、いかがですか」

 とクレームを言った。

 これに対し、瀧本章・保健福祉局保健医療・介護担当局長は、

 「先生の方から310日、間に合うのかということでございますけども、まず市民アンケート、今回犬猫ふん尿被害対策検討プロジェクトということで検討を鋭意進めておるわけですが、そういった中で、市民の方の意識をしっかり調べたいということで、モニター調査という形になるんですが、対象者1,000人を対象にして、意識調査をしようという風に思っております。(中略)

 ただ、この調査につきましては、募集期間、あるいいは結果の集計、そして、そこから出てきた数字につきましてのプロジェクトチーム会議での分析、そういった必要な作業工程を検討いたしますと、誠に申し訳ございませんが、次回の委員会で報告するというのが、ちょっと手続的に難しいと、時間的に難しいという状況が分かってまいりました」

 といい、

 「大変申し訳ないのですが、引き続き、中身をしっかりと検討させていただき、改めて御報告をさせていただきたいと思っております。私どもの十分な作業工程の検証がないままの発言となってしまいましたことを、改めてお詫びを申し上げる次第でございます。

 年度内には、方向性を取りまとめられるよう、鋭意努力してまいりたいと思っております。誠に申し訳ございません」

 と詫びた。

 すると中村氏は京都弁で、

 「ほんまに、年度内、また言うていいんですか。またもう1回、もう1回訂正するなんていうのは恥ずかしいですで。僕は、そんなに急いでせえせえと言っているわけではないんです。だから、そうやってある意味で、実効性の高い内容まで検討して報告しますと言うてくれてはるんやから、待ってますから、慌てて、慌ててせえと誰も言うてはらへんのやから、いいもん出してもろうたらいいんです」

 と言った。

 これに対し、高木博司・保健福祉局長は、

 「年度内に(中略)大きな方向性、私ども行政としての考え方、これをお示しさせていただきまして、議会の先生方の御意見、そして市民の方々の御意見も聴いたうえで、肉付けをして、完成形としていきたい」と考えています、と言った。

 このように役人が平謝りしたわけだが、遅れている原因は「市民アンケート」と明言している。そして「市民アンケート」は、同年21日に公明市議・吉田氏が、門川大作市長に対し、活用するよう迫り、市長が活用する、と明言していた。つまり、吉田氏が原因とみられる。

 なお、中村氏は、これまで何度も、野良猫について言及している。

 (続く)

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海と、天地の生き物を汚染するマイクロ・プラスチック 三

 なお、このエクセルの「マイクロビーズ化粧品リスト」の製品のなかには、今販売されているものはもちろんのこと、すでにメーカーでは販売していないものも多少あるが、そうしたものの中にも、「あ、これは前に使っていた…」と思い起こし、知らず知らずに海を汚染していたことを知る契機にもなるし、在庫を抱えて今もドラッグストアで売っているというケースも考えられるので載せている。実際、筆者使っていたシャンプーにプラスチックが入っていたのを知り、愕然とした。

 それにしても、スクラブ以外のものが実に多い。欧米では、マイクロビーズ、イコール、スクラブ、であるかのように報じているケースが多いので、スクラブ以外もマイクロビーズといえるのか、と疑問に思い、調べたところ、ちょうど今年夏に国連が「Plastic in Cosmetics 2015 Fact sheet」という、マイクロビーズについての報告書を発表していた。それによると、消臭剤、シャンプー、コンディショナー、リップスティック、ヘアカラー、シェービングクリーム、日焼け止め、虫よけ、モイスチャライザー、ヘアスプレー、フェイシャルマスク、ベビーケア製品、アイシャドー、マスカラなどなど、様々な製品に、マイクロビーズが入っている、と書いてある。そして、そのうちの多くのサイズは150マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)というから異様に小さいという。

 これほど小さいということは、プラントンが間違えて食べてることも有り得るのではないか?

 株式会社 日本海洋生物研究所HPによると、代表的な海の動物プランクトンのサイズは、最小のピコプランクトン(0.22μ(マイクロ)m)から、ナノプランクトン(220μm)、マイクロプランクトン(20200μm)、メソプランクトン(200μm20mm)など様々あるという。ナノプランクトン以上のサイズなら、マイクロビーズを食べていても不思議ではない大きさだ。また、最も小さいピコプランクトンでさえ、マイクロビーズと同等のサイズのケースもあるので、魚が間違えてマイクロビーズを食べていることはいかにも有りそうだ。

 実際、環境省水・大気環境局水環境課海洋環境室が公表している資料によると、マイクロビーズについて、「動物プランクトンに近い大きさの微細片は、誤食を通して容易に生態系に混入するだろう」と書いてある。(平成26年度沖合海域における漂流・海底ごみ実態調査委託業務報告書[概要版]」より)


 (続く)

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2015年12月25日

検証「育鵬社の教科書」 反知性的封建主義、愚民化政策のトゥールとして 一

 戦後の歴史教育を自虐史観と否定した戦前回帰の思想を持つ「新しい歴史教科書をつくる会」(1997年発足)が内部分裂してできた「育鵬社(いくほうしゃ)」(2007年に扶桑社の教科書事業部門を分離して設立)の、「中学の歴史・公民」の教科書の採択が今夏行われ、育鵬社を採択したのは前回(4年前)の11都府県23教委から、以下の14都府県31教委に増えた。

 都県が、宮城、埼玉、千葉、東京、山口、香川、愛媛、福岡。

 市が、大田原(栃木県)、武蔵村山(東京都)、横浜、藤沢(以上神奈川県)、金沢、加賀、小松(以上石川県)、大阪、東大阪、河内長野、四條畷、泉佐野(以上大阪府)、呉(広島県)、防府、岩国(以上山口県)、松山、新居浜、四国中央(以上愛媛県)、石垣(沖縄県)。

 町村が、小笠原村(東京都)、和木町(山口県)、上島町(愛媛県)、与那国町(沖縄県)。(1031日付朝日新聞朝刊より)

 だが、育鵬社の教科書とは、具体的にはどういう教科書なのか。例えば、同記事には、「日本の太平洋戦争開戦について『南方の資源獲得』に触れつつ、『欧米による植民地支配からのアジア解放』という面を強調。東京裁判については、特設ページで批判的な視点を多く紹介している。公民では、伝統的な家族観を重視したり、戦争放棄と国防・兵役の義務を併記した海外の憲法を紹介したりしている」とあるが、いまいち問題点がはっきりしない。新聞記事やネット媒体の記事を読んでも、断片的にちょこちょこっと書いてあるだけで、肝心の教科書の中身がよくわからない。読書のなかにも、そう思っている人もいるのではないだろうか。

 そこで、筆者は、育鵬社の教科書を、徹底検証することにした。筆者の住む横浜市では5箇所の図書館で教科書を観ることができる。そのうちの一つ、横浜市立中央図書館へ10日行ってきた。

 検証する教科書は前回採択した2012年発行の教科書。これが今まさに学校現場で使われている教科書である。

 なお、比較対象として、帝国書院の教科書を使った。理由は時間の都合で一社に絞らざるを得なかったことと、横浜市では、市教委が育鵬社に有利になる採点式に変更して無理矢理、育鵬社に決めた、このとき次点が帝国書院だった、という経緯があったためだ。

 それでは育鵬社の「中学社会 新しいみんなの公民」をみてみよう。是非、中学のときどういうふうに学んだかかを思い返しながらみてほしい。(写真は育鵬社「中学社会 新しいみんなの公民」より)

  
育鵬社 中学公民 表紙 奥付.jpg

 そんな書き出しで、20151213日付のauのニュースサイトEZニュースフラッシュ増刊号のコーナー「ウワサの現場」で記事を書いた。今回、このときの記事を大幅に加筆し、筆者のこの公式サイトに載せることとする。

 後述のように、育鵬社の教科書の内容は、日本国憲法を無視して解釈改憲と称し集団的自衛権の行使を可能とする安保法制を成立させた安倍自公政権のやっていることと酷似している。

 立憲主義の意味もわかっていない発言などから、安倍自公政権=反知性主義とよくいわれるが、育鵬社の「中学社会 新しいみんなの公民」は、まるでその安倍晋三氏がこれを読みながら政治をしているかのような内容なのである。「安倍晋三の教科書」「安倍自公政権の教科書」といっても過言ではないほど、書いていることとやっていることが酷似している。要するに、育鵬社の中学公民を教育現場に持ち込むことは、反知性主義、そして反民主主義、すなわち時代に逆行した封建主義の思想を子どもに植え付ける「愚民化政策」である。

 具体的にみてみよう。育鵬社「中学社会 新しいみんなの公民」のなかで、まず、目を引いたのはP32「国家と私」という章だ。ここで、「国家に守られて生活する私」という小見出しで、「私たち国民は国に守られ、国の政治の恩恵をうけています」とある。これは、国民は「お上」に守らている、だから、お上を敬いなさい、という封建主義のトーンがにじみ出ている。

 これは変だ。国民主権なのだから、国民を守るのは、国民である。国民主権を否定しているに等しい。(写真は育鵬社「中学社会 新しいみんなの公民」より)

  

育鵬社 国家に守られて生活する私.jpg


 それに比べ、帝国書院には、文部省が47年に発行した「あたらしい憲法のはなし」の挿絵をのせている。そこには、日本国民はぜんたいの意見で、憲法を制定、改正し、国の政治を国会・内閣・裁判所に行わせる、と書いある。国民主権の原理である。この民主主義の大前提の観点が、育鵬社にはない。

 なお、育鵬社の教科書は、この「私たち国民は国に守られ、国の政治の恩恵をうけています」との一文の直後に、「しかし、主権者として政治を動かす力をもっていることは忘れてはいけません」とある。直前に忘れさせる文を書いておきながら、こういう言い回しで誤魔化しているというわけ。

 (続く)
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2015年12月24日

夫の姓96%、最高裁『夫婦同姓』合憲判決の背景


 平成二十七年十二月十八日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「夫の姓96%、最高裁『夫婦同姓』合憲判決の背景」


 を企画、取材、執筆しました。



 けさの日本経済新聞に「『選択的夫婦別姓』、自民、慎重論多く、民主、法案提出へ」という記事がある。それによると、夫婦同姓を合憲とした最高裁判決を受け、与野党で17日、結婚の際に夫婦同姓か別姓かを選べるようにする『選択的夫婦別姓制度』をめぐり、幅広く議論すべき、という声もあるが、慎重意見が多かったという。

 また、野党の民主党は、来年1月召集の通常国でに選択的夫婦別姓を導入する民法改正案を提出する考えを示したという。

 これは一昨日の最高裁判決による。原告の一人・塚本協子さん(80)は、戸籍上の姓は小島。提訴のきっかけは、民主党政権の2009年に千葉景子法相(当時)が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案法改正に意欲を示したが、連立を組む国民新党の反対で法案の閣議決定を見送ったこと。これを機に「司法が最後のとりで」と計5人の原告団を結成して11年に提訴。国会が法改正を長年放置したため精神的苦痛を受けたとして、計600万円の損害賠償を求めた。

 この最高裁判決が16日にあり、このテーマについての初の憲法判断が下った。

 朝日新聞によると「判決は、夫婦同姓の制度について『社会に定着しており、家族の姓を一つに定めることには合理性がある』と指摘。どちらの姓を選ぶかは当事者に委ねられており、性差別には当たらないと判断した。

 現実には妻が改姓することが多く、アイデンティティーの喪失感を抱くなどの不利益が特に近年増していることを認める一方、旧姓の通称使用が広まることで『一定程度は緩和できる』と指摘。夫婦同姓が、憲法の定める『個人の尊厳』や『男女の平等』に照らし、合理性を欠くとは認められないと結論づけた」

 その一方で、「ただ、この判決が『選択的夫婦別姓が合理性がない、と判断したのではない』とも述べ、『この種の制度のあり方は国会で論じ、判断するものだ』と国会での議論を求めた」という。

 この判決を下した15人の裁判官のうち、5人が「違憲」とする反対意見を述べたが、そのうち実に3人の女性裁判官は全員「違憲」としたという。

 原告の塚本さんは、判決を聞いたとたん、悲しみで涙があふれた。原告弁護団長の榊原富士子弁護士は、「最高裁の女性裁判官が3割にも満たないようなこの状況が、残念な結果を生み出したと思う」と悔しさをにじませたという。(毎日新聞)

 ちなみに、夫婦の姓は当事者に委ねられている、とはいうが、現実は、夫の姓になる割合は実に96%に達する。(2014年に婚姻した夫婦。厚生労働省の人口動態統計より)

 結婚して名字を変えた女性のなかには、一人っ子や、姉妹だけで兄弟がおらず、姉妹には子どもがいないため、結婚により家名が途絶える、という女性も多い。そういう人のなかには、顔は笑って心で泣いた人も無数にいることだろう。

 ではどうすればよいか――。たとえば海外では、ドイツが「夫または妻の姓。合意できなければ、各自の姓、または結合姓(夫と妻の姓の並列)も可」、スウェーデンが「夫または妻の姓。または各自の姓。結合姓も可」、フランスが「各自の姓。妻は夫の姓も可」、タイ「夫または妻の姓、または各自の姓」、トルコが「夫の姓に統一。妻は結合姓も可」、中国と韓国が「各自の姓」、米国は「州によって異なる。ただし、同姓制はない」となっている。(読売新聞)

 このため、海外のように夫婦別姓を可能にするとよい、という声もあるが、その一方で、姓が一つになることで夫婦、家族に一体感が生まれる、という声は根強い。

 だからこそ、今回の最高裁判決になったわけで、国会ですぐに事態が変わるとも思えない。

 それよりも、夫の姓が96%に上ることに疑問を持つ男どもが、この国の男性を代表して、率先して結婚するときに女性の性に変更して、この国の男尊女卑のカルチャーを変えていくべきである。今必要なのは、行動である。(佐々木奎一)



PS:姓を変えることで、喪失感に苦しむことも多い。

 例えば、1217日付の朝日新聞朝刊の「耕論『夫婦同姓』合憲、でも…」で、プロテニス選手・クルム伊達公子は、こう語っている。

 「2001年の結婚で、いったん『クルム公子』になりました。夫はドイツ人のレーシングドライバー、ミヒャエル・クルム。このとき戸籍名から『伊達』をなくし、彼の姓にしたのです。(中略)

 印鑑も『クルム公子』で作りました。『クルムさーん』と呼ばれることが新鮮でしたね。

 でも、しばらくして寂しさがすごく湧いてきました。伊達公子の伊達がなくなる。名乗れなくなる。そのことに喪失感を感じたんです。自分でもびっくりしました」

 また、1217日付の毎日新聞朝刊には、通称の実情について、「労務行政研究所が2013年、企業約3700社を対象にした調査では、645%が旧姓使用を認めている」というがしかし、こうも書いている。

 「事務手続き上の手間などを理由に、旧姓使用を認めない中小・零細企業も少なくない」

 またこう記している。

 「国家公務員も01年から旧姓の使用が認められ、国家資格の司法書士や行政書士も登録名簿に旧姓の併記が可能だ。弁護士も登録は戸籍名だが、仕事上では旧姓が使用できる。

 医師や看護師は戸籍名で登録し、結婚などで姓が変わった場合は、変更の届け出が義務付けられている。ただ、罰則はなく、登録時に発行される免許証を書き換える必要もない。このため、厚生労働省の担当者は『旧姓を使い続ける人も少なくない』と話す。

 一方、公的、法的な手続きには、戸籍名を求められるケースが多い。今回の夫婦別姓訴訟の原告の一人でもある行政書士の小国香織さん(41)は、遺言状の作成を依頼された際、公証人から戸籍名での署名を求められ、戸惑ったという。

 法人登記簿の役員欄は今年2月、旧姓が併記できるように規則が改正されたが、身分証明に使われる運転免許証や住民票、健康保険証などは、氏名の記載を戸籍名に限定している。

 パスポートは、仕事などで必要な場合に限り、旧姓の併記が認められているが、航空券が戸籍名で発行され、混乱を招くこともある」
 このように、通称を使っても仕事に不都合を及ぼすケースもある。




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2015年12月23日

来夏参院選向け空手形・バラ撒き「1億総活躍」

 平成二十七年十一月二十七日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「来夏参院選向け空手形・バラ撒き「1億総活躍」」


 を企画、取材、執筆しました。



 けさの各紙は一面で「低年金者に3万円検討 1億総活躍緊急対策 給付1000万人想定」(朝日新聞)、「保育・介護施設100万人分増 一億総活躍 最低賃金 年3%上げ1000円に」(日本経済新聞)、「『1億活躍』緊急対策 介護受け皿『50万人』明記」(読売新聞)といった見出しで報じている。

 それによると、「GDP(国内総生産)600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」の三つの目標を柱とした「一億総活躍社会」を掲げる安倍自公政権は、この目標達成の具体策を検討する有識者らによる「国民会議」で昨日、実現に向けた緊急対策を決めたという。

 その中身は「年3%の最低賃金引き上げ、将来的に全国加重平均1000円目指す」「低年金受給者を支援(3万円の給付を検討)」「法人実効税率を早期に20%台にする」「介護の受け皿を50万人分拡充し、待機高齢者を解消」「介護福祉士をめざす学生への学費貸し付け対象を大幅拡大」「介護休業給付を賃金の67%に引き上げ」「低年金受給者を支援(3万円の給付を検討)」「結婚に向けた地域での出会いの場の提供」「非正規労働者の正社員転換促進」「不妊治療への助成拡充」「認可保育所の整備などで保育の受け皿を201317年度に50万人分拡充」「三世代同居のための住宅建設や支援」「中小企業のパートも厚生年金加入」など。

 これについて朝日新聞2面の記事「時時刻刻 1億総活躍、苦肉の対策 参院選控え、政策寄せ集め」に、「低年金受給者への給付金は(中略)一度使ってしまえば終わりで、貯蓄に回る可能性もあり、持続的な消費拡大にはつながらない(中略)政府内からは早速、『来夏の参院選をにらんだバラマキととられても仕方ない』(経済官庁幹部)との声が漏れる」「首相が『1億総活躍社会』を打ち出したのは、自民党総裁選で再選が正式に決まった924日。来夏の参院選をにらみ、世論が大きく割れた安全保障法制の影響を払拭する新たなスローガンを掲げる狙いがあった。加藤勝信1億総活躍担当相も今月22日の講演で、首相らと事前に『(安保法制が)一区切りを得た後にはもう一度経済に軸足を置いて取り組むべきだ』と話し合ったことを明かした」という。

 他紙もこの緊急対策については「賃上げのような『民間頼み』の項目や、財源に踏み込まない分野も目立ち、実現に向けたハードルも予想される」(読売新聞)、「『介護離職ゼロ』や『出生率1.8』といった目標はいずれもハードルが高く、政策をすべて実行できても到達するかどうかは見えない。国民の負担増や介護・保育の職員不足への不安も大きい」(日本経済新聞)と、実現不能であることを示唆している。

 なお、「GDP600兆円」についても実現不能という指摘は実に多い。例えば、115日付の文化放送「くにまるジャパン」で政治アナリスト伊藤惇夫氏は、IMF(国際通貨基金)によると、現在、日本のGDPは約500兆円。アメリカが約2000兆円。中国が約1200兆円。日本は第3位。これを600兆円といっているが、それは無理だろう、という声が強い。IMFの調査では世界188か国中、GDPの前年比伸び率トップがエチオピアで10.347%。2位がトルクメニスタンも10%超え。3位がコンゴ、4位がウズベキスタン、5位がパラオ。要するに、上位に入っているのは全て途上国なんです。

 一方先進国で一番上位にきているのがイギリスで2.553%、世界111位。アメリカ115位。ドイツ140位。日本は172位。

 これが一体何を意味するのか。要するに、先進国がこれ以上GDPを伸ばし続けるのは不可能だということを、明確にこの数字は物語っているわけですよ」

 つまり、昨日打ち出した安倍自公政権の緊急対策は、選挙向けの絵空事の夢物語と、低年金者1000万人へのバラ撒きでしかない、ということになる。

 そして、巷間言われるように、選挙が終われば、安保法制のときの同じように、他の政策を棚上げして、今度は憲法改正に血道をあげるのは想像に難くない。(佐々木奎一)
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2015年12月22日

海と、天地の生き物を汚染するマイクロ・プラスチック 二

 『マイクロビーズ』という言葉をご存じだろうか?これは、化粧品、洗顔剤、ボディソープなどの「パーソナルケア製品」に含まれる「微細なプラスチック粒子」である。マイクロビーズの大きさは1mm以下で、消費者のバスルームや洗面所から下水処理施設のフィルターを通過して川や湖、海に、毎年何百万トンも流れ込んでいる。マイクロビーズは殺虫剤などの化学物質がつきやすく、マイクロビーズを食べた動物プランクトンや魚が体内に有害物質を蓄積する恐れがあり、食物連鎖で環境全体を汚染し、人間にも深刻な影響を与えるリスクがある。

 そのため、例えば米国では、コロラド、コネチカットなど8つの州で、マイクロビーズを含むパーソナルケア製品の製造を2017年末から禁止し、2018年末に販売を禁止する法律を制定した。さらにカリフォルニア州では今年10月、生分解性のマイクロビーズを含め、2020年までに禁止するという、他州より、より抜け道のない法案を制定した。(Corporate Environmental Lawyerより)

 筆者は、昨年8月、他媒体でマイクロビーズの企画取材執筆をした。その時は、英字新聞に基づき、当時日本で売り出し中の洗顔剤、ボディソープ、歯磨き粉を対象に調べた。詳しくはその記事の通りだが、この取材のなかで、「製品の成分表示のなかで、マイクロビーズをどう表示しているのか?」という筆者の質問に対し、いくつかの社は「ポリエチレン」「ポリエチレン末」と回答していた。そして今年夏、マイクロビーズは「ポリエチレン」「ポリプロピレン」と表記されているケースが多い、と書いてある英字新聞を筆者は読んだ。

 そこで、昨年の取材では、化粧品メーカーに対し、製品名をピックアップして、この製品にはマイクロビーズは入っているか?という質問の仕方だった。(マイクロビーズの入っている製品名を聞いても大半の社が無回答だった)。そのため今度は「ポリエチレン」「ポリエチレン末」「ポリプロピレン」の入っているパーソナルケア製品を独自調査した上で、質問を組み立てることに決めた。

 また、昨年の調査では、中小零細メーカーも取材対象だったが、企業責任の重さという観点から、今回は、大手化粧品メーカーに絞ることとした。こうして以下の26社をピックアップした。(参考:業界動向SEARCH.COMNPO法人動物実験の廃止を求める会・JAVAなど)

 資生堂、花王、カネボウ、ポーラ・オルビスホールディングス、コーセー、マンダム、ファンケル、ノエビアホールディングス、ドクターシーラボ、ミルボン、ナリス化粧品、P&Gジャパン、富士フイルムヘルスケアラボラトリー、サンスター、日本メナード化粧品、ライオン、ユニリーバ・ジャパン、ホーユー、アルビオン、日本ロレアル、ピアス、再春館製薬所、ロート製薬、クラシエホームプロダクツ、LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン)、エスティローダー。

 次に、製品の成分表示を、サイト「化粧品成分情報サイト美肌マニア」に基づき調べた。

http://bihada-mania.jp/seibun/

 同サイトの「成分検索」で、「ポリエチレン」「ポリエチレン末」「ポリプロピレン」と入力すると、製品名がズラリと出てくる。

 こうして調べたところ、驚くべきことに、特にポリエチレンの入っている製品は、スクラブ洗顔剤のみならず、アイケア、アイリンクルクリーム、ゴマージュ・ピーリング、コンシーラー、コンディショナー、ジェル・クリームチーク、ジェルアイライナー、トリートメント、パウダーチーク、パウダーファンデーション、フェイシャルマスク、プレストパウダー、ペンシルアイライナー、ポイントリムーバー、ボディソープ、マスカラ、リップグロス、リップケア、リップライナー、口紅、洗い流すパック・マスク、洗顔料、頭皮ケアなど化粧品全般に及んだ。

 その数800製品以上(大手29社のうち17社の製品。グループ企業の製品含む)。詳しくは以下のエクセル表の通り。


 マイクロビーズ化粧品リスト.xlsx


 (続く)

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原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 十

 くだんの菊池正士の手記から20日後の1949610日の讀賣新聞朝刊に、こんな広告が出た。

 それは、「原子力講演と映画の会」という広告。主催は読売新聞社、つまり、社告である。

 冒頭には、こう書いてある。

 「『原子力時代来る!』の声は大きいが、一般にはまだその意義が徹底していない。原子力とは何か、その平和的利用による威力は、これからの政治、経済、生活、産業にどんな変革をもたらそうとしているであろうか。その秘密を誰にもわかり易く面白く解説する権威ある公開講座」

 そして、「第三回読売科学公開講座  ―入場無料」とあり、その横に、白抜きの大きな字で「原子力講演と映画の会」とある。

 日時は「613日 午後1時ー5時」、場所は「有楽町 読売会館ホール」。

 その横に「プログラム」が、こう書いてある。

 「原子力と平和  科学研究所長理博 仁科芳雄」

 「原子力発生の工業的背景 工大助教授理博 武田栄一」

 「原子力時代の医学と農業 東大助教授医博 吉川春寿」

 「原子力による人類生活の変革 東大教授理博 嵯峨根遼吉」

 「CIE教育映画『原子力』」

 このなかの、仁科芳雄、武田栄一は既述の通り。

 吉川春寿は、のちの東京大学大学院医学部長。

 嵯峨根遼吉は、戦前から理研の仁科芳雄のもとで学んでいた核研究者。のちに特殊法人・日本原子力研究所の副理事長など原発法人の要職を歴任する人物。

CIEとは、Civil Information and Education Sectionの略で、GHQの民間情報教育局。ここで第二次大戦後の日本占領下の文化面の情報収集と行政指導をし、教育制度改革などを実施した。(デジタル大辞泉より)

 写真は、その社告。


原子力講演と映画の会 広告.JPG

 のちに讀賣新聞は、「原子力平和利用博覧会」というイベントを都内の日比谷公園で主催して、そのことを大々的に報じ、“原発プロパガンダ”と化していくのだが、「原子力講演と映画の会」は、その「祖形」である。

 なお、「イベント」は、讀賣新聞のお家芸である。

 「巨怪伝 上―正力松太郎と影武者たちの一世紀」(佐野眞一、文藝春秋)には、戦前に部数を伸ばして大手紙の一角まで上り詰めた正力松太郎のやり方について、「地道な取材活動による紙勢の拡大という発想は、正力の頭のなかにはほとんどなかった」、「イベントという“疑似ニュース”」が、拡販の手段だった、と指摘している。

 例えば、1926年に囲碁の名人・本因坊秀哉と七段・雁金準一の対極を実現させ、その棋譜を連日報じて大反響だったり、1933年にはフランスからボクシングの世界チャンピオンを招聘し、両国国技館や早大グラウンドで日仏対抗拳闘選手権をしたり、1935年には多摩川園で菊人形展を開き一日4万人もの入場者がつめかけるなど、イベントでヒットを連発させてきた。

 例えば、写真は、その菊人形展の社告(1952918日付朝刊)。


菊人形展 社告.JPG


 要するに、原発も同じ手法で広めていったというわけ。

 (続く)
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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十三

 門川大作市長は、

 「私は動物の触れ合いを通して全ての命を大切にするまちを築いていくために、マニフェストにおいても全国一の動物愛護センターを創設することを市民の皆様にお約束いたしました。その目的を達成していくためには、ペットを飼っている方のみならず動物が苦手な方も含め、市民ぐるみで全ての命を大切にする機運を高め行動に移していくことが必要であります」

 と、動物嫌いな市民のためにも、全国一の動物愛護センターをつくると明言。

 そして、

 「曽我議員御指摘の京都市動物愛護憲章の制定につきましては、動物愛護団体や市民ボランティア等の皆様と共に汗する共汗で、人と動物が共生できるまちの理想像を示すことができるものとして、センターの竣工に併せまして制定できるよう検討を進めてまいります」

 と、「動物愛護センター」とセットで「動物愛護憲章」を定める、と宣言した。

 さらに、注目なことに、この翌月の平成24316日の予算特別委員会で、同じく池田大作教団コーメートーの京都市議・大道義知氏は、こう質問した。(写真は大道義知。同氏HPより)


大道.JPG


「是非ともお願いしたいのは、(中略)先日、曽我議員が求めました憲章の件なんでございますが、憲章についても京都府と連携を取っていただいて、京都市愛護憲章という名前ではなくて、京都愛護憲章であるべきだと思います。これはまさに広域的なお話になりますし、他府県との問題も整合性も持たないけないんですが、やっぱりその象徴として出来たということであれば、名称についてもしっかりと協調のできるものをお願いしたい」

 これに対し、星川茂一・副市長は、こう言った。(写真は星川茂一副市長(当時)、京都市教育委員会HPより)


星川 京都市教育委員会HPより.JPG


「憲章の名前も含めまして、やはり府市協調でやるという委員の御提案、そのとおりだと思います。今後、京都府と協議をしてまいりたいという風に思います。」

 そして、この答弁から2年後に、同じく池田教団コーメートーの吉田孝雄市議が、「京都動物愛護憲章(中略)は平成242月議会で我が会派の大道議員と曽我議員が提唱したもの」と自党を自賛し、罰則強化を迫った。教団の主張通りにコトが進んだ。

 つまり、京都動物愛護憲章の生みの親は、池田教団コーメートー京都市議の曽我修・大道義知氏ということになる。

 そして、再三の指摘の通り、京都市猫エサやり禁止条例の生みの親は、くだんのマッチポンプ・吉田孝雄氏である。

 そして、教祖・池田大作の名を冠し、教団と親密な関係にある門川大作・京都市長は、ことごとく池田教団の言い分に合意した。

 要するに京都市は、池田大作教団に牛耳られた。

 (続く)
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2015年12月20日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十二

 エサやり規制の文言の入った、この「京都動物愛護憲章」を反映させて、実効性の形にしたものが、「京都市猫エサやり規制条例」である。そして、この「京都動物愛護憲章」は、巨大ハコモノ施設「動物愛ランド・京都」(京都動物愛護センター)から派生したものである。

 一体誰が派生せさたのか?

 池田大作教団である。

 もともと京都動物愛護センターは、京都市が平成213月に策定した「動物愛護行動計画」で、動物愛護行政の中核的役割を果たす施設、として設置が明記された。

 こうして平成26年度に竣工予定で進める中、平成2489日に、京都市と京都府が共同で、京都動物愛護センターを設置することとなった。動物愛護センターが京都市内に2か所ある不効率を解消するためだった。

 この府と市の取り決めからさかのぼること約5か月前の平成2432日の、京都市会の定例会で、にわかに池田教団公明党の京都市議・曽我修氏が、門川大作・京都市長に対し、こういう提言をした。(写真は曽我修。公明党HPより)


曽我 修.JPG


 「動物愛護行政についてお尋ねいたします。今や、ペットは犬や猫から爬虫類まで種類も多様化し、単なる愛玩の対象ではなく飼い主の心に潤いを与え心豊かな生活を送るうえの良きパートナーとして、その役割が高まってきております。

 しかし一方では、不適切な飼い方によって近隣住民に迷惑を及ぼしたり、飼い主がペットを虐待したり遺棄するなど様々な問題も生じております」

 このように、「近隣住民に迷惑」を及ぼすなどと愛護動物を問題視したうえで、にかわに、こう言った。

 「私は市長に、今後の動物愛護行政の推進に当たっての提案をさせていただきます」

 そして、こう訴えた。

 「新たに設置される京都市動物愛護センターについては、動物を好きな方のみを対象とするものではなく動物愛護精神高揚の効率的な実施を目的に、動物が苦手な方、動物に興味がない方にとっても有益な施設となるような機能を有するものとしていただきたいと思います」

 さらに、こう、迫った。

 「あわせて、動物愛護の理念が京都市民に醸成されつつある今こそ、それを後押しする取組として将来の条例化も視野に入れた京都市動物愛護憲章を制定すべきと考えます」

 このように、「条例化」も視野に入れた「京都市動物愛護憲章」と言った。憲章ができる3年近く前の時点で、である。

 この曽我氏の言に対し、市長の門川大作氏は、こう、答えた。

 (続く)

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2015年12月19日

『遺伝子組換えサーモン』表示義務なし

 平成二十七年十一月二十九日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「『遺伝子組換えサーモン』表示義務なし」


 を企画、取材、執筆しました。



 昨日付の朝日新聞朝刊の天声人語に「遺伝子組み換えサケ、米市場に」とある。それによると、「生きている魚を想像せず、切り身だけを見るなら、これも受け入れられるのだろうか。遺伝子組み換え技術により、通常の2倍ほど速く成長するサケが米国で開発された。それを食品として販売していいと、米当局のお墨付きが出た▼消費者や環境保護の団体は反対したが、早ければ2年後、ピンク色の身が店頭に並ぶ。遺伝子を組み換えた魚だと表示する義務もない(中略)▼このサケ、反対派はフランケン・フィッシュとも呼ぶ。本家のモンスターが科学の積み重ねの上に生まれたように、新型魚にも前史がある。穀物の遺伝子組み換えは普及し、ホルモン剤で牛の成長を速めている国もあるという。怪奇譚か、新たなる正常か。素朴な自然の恵みから随分遠い所に、私たちは来た」

 ちなみに今月20日付のニューヨークタイムズに、この「遺伝子組換えサーモン」の話が詳しく載っている。それによると、遺伝子組換え技術は今、「CRISPRCas9」と呼ばれるゲノム編集技術により、「遺伝子組換え家畜・ペット」への関心が急速に高まっているという。例えば中国では最近、筋肉が増え毛の長い「遺伝子組み換えヤギ」がつくられた。スコットランドの研究者たちは、アフリカの豚コレラウィルスに抵抗力のある「遺伝子組み換えブタ」をつくったという。そして現状、これらが米国FDA(食品医薬品局)により規制されるかどうかは未知数という。

 なお、今回のFDAの承認を受け、消費者、環境団体が猛烈に反対しているため、いくつかの米大手スーパーマーケットでは、遺伝子組換えサーモンを売るプランはない、と宣言しているという。

 なお、売上が減ることを恐れ、遺伝子組み換え食品を自発的に表示しようという会社は、絶無に近いが、成分を開示をせよ、という消費者のプレッシャーの高まりを受け、多くの会社はNon-GMO食品であるという表示はするようになってきているという。

 また、バーモント州では遺伝子組み換え商品の表示を義務化する「バーモンド法」という法律が、来年7月に施行させる予定。そうした動向から、遺伝子組み換えの表示の問題は解決に向かっている、と同紙は述べている。

 だが、たとえバーモンド州で表示されても、一国全体で表示されるわけではない。それに自主的に表示するスーパーが増えるといっても、全てのスーパーというわけではないし、中小零細の店や加工品、外食店などで表示されるのかも疑問。要するに、全く楽観できる状況でない。

 冒頭の天声人語には「▼環太平洋経済連携協定(TPP)では、素性の知れない食品が入ってくるのではとの不安があった。食の安全を守る制度に変更はないと日本政府は言うが、主導役の米国で何が起きているか、よく見ておいた方がいい」と述べているが、TPPは何年かごとに制度を見直す仕組みになっている。そして、米国の食品業界は日本でも遺伝子組換え食品の表示をしなくても済むようにしたい。だから、そのために米政府にいって日本に圧力をかけてくることだろう。TPPの名の下、日本の消費者は、米企業の利益のために、「遺伝子組換え肉・魚・穀物・野菜」を食べさせられる危機にさらされている。(佐々木奎一)




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2015年12月18日

クロ猫 三

 その後、筆者は、ご婦人たちが猫のエサやりをしているという、朝8時〜8時半の間と、4時半から5時半くらいの間に、行こう、と思いつつ、何日か経過した。

 そうした中、たまたま平日夕方に駅の方に行く用が入り、向かった。川沿いのエサやりをしている付近にさしかかったとき、遠目から、なんとなく、人が集まっているのが見えた。

 筆者はこのとき、クロ猫を映した写真の入った機器は家に置いてきてたが、少し遠回りをして、ふらっと、集まっている場所へ向かった。

 近づいていくと、自転車が数台あり、45人のご婦人たちがいた。

 その姿がなんとなく、五芒星の各定点で、まるで十二神将のように何かを護って立っているかのような、オーラを感じた。

 よく見ると、付近に何匹か猫がいて、もぐもぐとエサを食べている。

 この人たちに、違いない。

 そこで、その中の一人の、短髪で、黒系の色の入った眼鏡をかけて、腕を組みながら、向かいのご婦人と話している方に、「お聞きしたいことがあるのですが、」と声をかけ、「この辺りで、太ったクロ猫を見かけたのですが、避妊去勢手術はしているかご存知でしょうか?」と聞いてみた。

 すると、短髪の方の向かいにいた、エスパー魔美のような風貌の方が、「あそこにいるクロ猫のこと?」と指差した。見ると、エサを欲しそうに小走りで寄って来ているクロ猫がいた。がしかし、そんなに太っていない。

 「もっとコロコロした大きなクロ猫なのですが」と言うと、「どの辺で見ましたか?」というので、指を指しながら「あっちの対面の川沿いの方です」と筆者は言った。

 すると、ご婦人たちは、あそこにいるあの猫かな、という感じで話し合い、「この辺りの川沿いの猫は、すべて手術していますよ」と、まるで戦士のような雰囲気で断言した。

 この人たちの地域猫活動なら大丈夫だろう、と安心した。

 (続く)

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2015年12月17日

原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 九

2013811日付テレビ朝日「ザ・スクープスペシャル 戦後68年特別企画 原発と原爆〜日本の原子力とアメリカの影〜」によると、当時、アメリカではこういう議論がされていたことが、のちに開示された機密文書により明らかになっているという。

 「『平和と繁栄を生む原子力』の方が、『戦争を生む原子力』よりも、世界に受け入れられやすい」「原子力が建設的に利用されれば、核兵器も受け入れやすくなるだろう」(195210月、米国防総省機密文書)

 「現在の世界の世論の下では、我々は核兵器を使用できない」「その感情を緩和するため、あらゆる努力をすべきだ」(19533月、米国家安全保障会議議事録)

 「アメリカが同盟国に開示する原子力の情報は、次のカテゴリーを含む。『核兵器の戦略的活用』」(195312月、米国家安全保障会議報告書)

 また、同番組のインタビューでは、元米エネルギー省政策顧問ロバート・アルバレスがこう語っている。

 「原子力の平和利用と核兵器は、安全保障政策上、表裏一体で、核には二面性があるのです」

 つまり平和利用という名目で、西側諸国に原子力技術を供与し、核配備につなげようという狙いがある。

 このように、後述の大々的な「原子力の平和利用」キャンペーンが始まるのは1953年からだが、讀賣新聞では、その約5年前から始まっていることを、三氏の手記は示している。

 しかも、仁科芳雄の手記「原子力と平和」の約3か月前の1948521日付の讀賣新聞朝刊には、「原子力を人類福祉へ ト大統領演説 利用法の発見近し」という記事もある。

 それによると、「トルーマン米大統領は2日、ワシントン全国保健大会集会で、原子力の平和利用について、偉大な発見が目前に迫っていると、次のとおり演説した」という。

 「原子力の平時の応用については、偉大な仕事が進行中であると聞いている。故ヘンリー・フォード氏も、かつて第二次大戦中の科学的研究の成果は、戦争による巨大な損害を補って余りあるであろう、とわたくしに述べたことがあるが、フォード氏の予言はある程度まで真実になろうとしている、というのは、我々は現在、原子力を破壊目的よりむしろ、人類の福祉に役立つように利用する方法を発見しようとしているからである、わたくしは世界を素晴らしい住家とするような偉大な発見が目前に迫っているということを聞いている、我々自身もこのような情勢に対応するため、ただちに準備を整えようではないか」 

 これはのちの「アトムズ・フォー・ピース」の祖形といえる。

 なお、「原発・正力・CIA 機密文書で読む昭和裏面史」(有馬哲夫、新潮社、20082月)に、このトルーマン演説の約1年後の19496月に、アメリカ上院で原子力委員長ルイス・ストローズも加わって原子力の平和利用を促進する政策が議論された、と書いてある。

 また、のちの「アトムズ・フォー・ピース」政策について、日本では色々な反応があったが、「原子力の平和利用についてもっとも早くから強い関心を持った人々は(中略)学者のグループだったろう。日本の原子力の研究は戦前までさかのぼることができる。その中心人物の一人は東京大学出身の物理学者、仁科芳雄博士だった」とある。

 こうしたくだりは、筆者の指摘と符合する。つまり、原発イコール原爆という爪を隠した「アトムズ・フォー・ピース」政策の祖形は、1949年以降の讀賣新聞にみることができる。

 ちなみに、ほかの大手紙の朝日、毎日新聞では、こうした記載は一切ない。

 すでに占領中から讀賣新聞は、どこよりも「原発(=核兵器)」と密接につながっていた。

 (続く)

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原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 八

 「現在は原子力に対する恐怖が世界を支配している。これは要するに、原子力兵器を持つ強力な破壊力と航空機の発達によって地球上のどの地点も敵国から攻撃をまぬがれないところから来ている。いかにして、この問題を解決するかは今後の人類への大きな課題である」

 そして、「これに関して、人間が科学にのみ走ることを嘆き、精神運動とか宗教的理念の高揚から、これを解決せんとする気遣いが相当多い。

 しかし、この問題はあくまで人間の理性でなければ根本的の解決は得られない。原子力を開発した人間の理性は、この問題をも解決し得ると確信する」 

 と、原子力イコール危険、だから使用しない、ではなく、原子力の危険イコール人間の理性で解決できる、だから原子力を使用する、というロジックを強調し、こう夢想して結んでいる。

 「やがては、現代を以て人類が未開であった頃、初めて原子力の秘密を知って自ら驚きあわてた時代として、伝えられる時が来るだろう」

 「原子力と平和」と題し、平和を前面に出しているように見せて、実態は、平和は当面無理だから、科学技術を進化させて広島・長崎に落ちた原子力爆弾より桁違いの爆弾をつくって平和を築くしかない、と軍拡思想を説いた仁科芳雄の手記。

 「原子力の平和的利用」と題し、原子力の最も手近で現実的な用途は電力、と言いつつ、原子力は、「完全に同一操作により」、原爆も原発も作られる、と、原爆イコール原発であることを説き明かした、武田栄一の手記。

 そして、原発は「原子力の応用としては序の口にすぎない」と豪語し、原子力航空機でサンフランシスコ、東京間を、我々が郊外から丸ノ内まで電車で通うよりも気軽にできるかも、月に行くのだって夢ではない、とまさに夢をつづった菊池正士。

 この三人の手記は、約5年後にアメリカが推し進めた「アトムズ・フォー・ピース」(「原子力の平和利用」)の祖形である。

 「アトムズ・フォー・ピース」とは、195312月の国連総会で、アメリカ大統領ドワイト・デイビッド・アイゼンハワーが、「アメリカは誇りを持って『原子力の平和利用』(アトムズ・フォー・ピース)の推進計画の策定に着手する」といい、原子力情報を機密にしてきたこれまでの政策を大転換し、「原子力の平和利用」(アトムズ・フォー・ピース)を訴えたことを指す。

 その後、アメリカは、核兵器用に濃縮したウランを民間に転用し、世界中で原発建設を推進していく。それは一見、画期的な核軍縮提案に見えたが、実は、こういう狙いがあった。

 (続く)

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2015年12月16日

ブラック企業「市場大路」記事削除の真相 八

 こうして記事が削除されたため、これまで七回にわたり「ブラック企業『市場大路』記事削除の真相」を記し、今、八回目に至る。


 なお、控訴審以降の経緯を記す。


20131021日に、前橋地方裁判所で、市場大路の完全敗訴判決が下った。


 その後、市場大路は控訴した。


 これに対し、原告の草津泉美氏も、附帯控訴した。(附帯控訴とは、民事訴訟法上、被控訴人が控訴審の手続中に、控訴に付帯して原判決に対する不服を主張し、自己に有利に変更を求める申し立て。(ブリタニカ国際大百科事典小項目事典より))


 付帯控訴の内容は、市場大路に対する支払い額を、一審判決の502500円から、609500円に変更するよう求める、というもの。


 もともと502500円の内訳は、慰謝料30万円、未払い給与202500円だった。そこから退職に対する所定書類の交付を行わなかったなどの求職活動の妨害による損害金として、請求額を107千円増やし609500円とした。


 こうして201431115時、東京高裁第二民事部で、第一回目の控訴審の期日があった。裁判官は、佐久間邦夫裁判長、林正宏・蓮井俊治裁判官。


 この場で、翌月の4241310分に、判決が言い渡される事が決まった。


 つまり、裁判所は、高裁で一切審議する必要はない、と判断した。審議をしない、ということは、市場大路が完全敗訴した一審判決が覆るとは、考えにくい。


 そうした中、控訴審判決が迫る416日の10時半、にわかに、和解が成立したのだった。


 和解内容は次の通り。(控訴人とは市場大路。被控訴人とは原告の草津泉美氏)


 「1. 控訴人は、被控訴人に対し、本件和解金として、414575円の支払義務があることを確認する。


2. 控訴人及び被控訴人は、前項の金員が支払い済みであることを相互に確認する。


3. 被控訴人は、その余の請求を放棄する。


4. 本件和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。


5. 訴訟費用は、第12審を通じて各自の負担とする」


 このように書いてあった。なお、「本件和解金として、414575円」とあり、「前項の金員が支払い済み」とあるが、これは、一審の判決文には、第一項に「被告は原告に対し、金502500円を支払え」とあり、「この判決は、第1項に限り仮に執行することができる」とあるので、その中の414575円が、既に原告に支払われたと見られる。なぜ、502500円とあったのに、414575円しか支払われていないのかは、裁判文書に記載がないので定かではないが、既に払われている金額でもって、和解を成立させた点が、原告の、もう市場大路とは関わりたくないという思いが滲み出ている観がある。


 もともとこの事件は、労働審判から始まっていた。(労働審判とは、平成1841日から始まった手続で、解雇や給料の不払など、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、迅速かつ適正に解決することを目的としている。具体的な方法は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が、労働紛争を原則3回以内の期日で審理し、適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合、柔軟な解決を図るための労働審判を下す、という紛争解決手続。労働審判は裁判での判決に類する。この労働審判に対して当事者から異議の申立てがあれば、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は訴訟に移行する。(参考:裁判所HP))。


 この労働審判により、市場大路が草津氏に対し、一審判決より低い金額の支払いで解決する、という審判が下った。しかし、市場大路が異議を申し立てたため、調停は決裂し、裁判に移行した。つまり、もともと草津氏側は、長期戦となる裁判をしたくはなかった。そういう意味合いのことが草津氏側の裁判文書に書いてあった。


 こういう経緯があるので、既に払われている金額でもって和解を成立させたのは、もう市場大路とは関わりたくない、という原告の気持ちが表れているように見えるのである。


 要するに、控訴審でも、市場大路の言い分が採用された形跡はないまま、裁判は終結した。よって、市場大路の記事削除要請には根拠がないので、筆者の記事「深夜3時まで「尻軽女!!」と罵倒した社長のブラック体質」を削除するわけにはいかない。


 この事件については、今後、gooの時のようなプロバイダを通しての記事削除要請や、記事削除の仮処分や提訴といった裁判沙汰になった場合に、続報する。

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2015年12月14日

書店、展示会、TV…「偏っている」クレーム続出

 平成二十七年十二月七日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「書店、展示会、TV…「偏っている」クレーム続出」


 を企画、取材、執筆しました。



5日付の毎日新聞に「JCJ 岸井氏への攻撃『許さず』」という記事がある。それによると、「TBSテレビの報道番組で岸井成格キャスター(毎日新聞特別編集委員)による安全保障関連法反対の訴えが放送法に違反するという新聞の意見広告を巡り、日本ジャーナリスト会議(JCJ)は4日、『岸井氏への不当な攻撃を許さない』との声明を発表した。JCJは『安保法に対する国民の反対の声を伝えたもので放送法違反ではない』と指摘している」という。

 この意見広告の経緯は4日付の当コーナーで報じた通りだが、「政治的に中立でないので直せ!」というクレームは最近、巷で増殖中だ。

 例えば、今年8月には、市民団体主催の「平和のための戦争展」について、福岡市が「展示予定の漫画が反原発に偏っている」などとして後援を拒否していたと判明。10月には、東京の「MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店」が、書店員の「闘います!」とのツイッターをきっかけに選書が偏っていると指摘され、民主主義を考えるブックフェアを一時中断。11月には、北海道博物館の自衛隊基地問題をめぐる常設展の内容が偏っていると抗議が寄せられ、同館が資料の一部を撤去していたことが判明している。(122日付朝日新聞朝刊「『偏り』『公平』って? 相次ぐ報道批判・書店の自粛」より)

 また、神奈川新聞では、昨年7月に安倍自公政権が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に踏み切った2週間後から続けている連載「時代の正体」に対し、「記事が偏っている」という批判が来る。これに対し、同紙は「ええ、偏っています」と答えているという。1015日付で同紙はこう記している。

 「私とあなたは別人で、考えやスタンスが同じでない以上、私が書いた記事が偏って感じられても何ら不思議ではない。つまり、すべての記事は誰かにとって偏っているということになる。

 あるいは、やり玉に挙げられるのは安倍政権に批判的な記事だから、政権の悪口ばかり書くなということなのかもしれない。

 これにも『でも、それが仕事ですから』としか答えようがない。権力批判はジャーナリズムの役割の一つだからだ。それは先の大戦で新聞が軍部や政権の片棒を担ぎ、非道で無謀な侵略と戦争を正当化し、美化した反省に基づくものでもある」

 「民主主義の要諦は多様性にある。一人一人、望むままの生き方が保障されるには、それぞれが違っていてよい、違っているからこそよいという価値観が保たれていなければならない。それにはまず自らが多様なうちの一人でいることだ。

 だから空気など読まない。忖度(そんたく)しない。おもねらない。孤立を恐れず、むしろ誇る。偏っているという批判に『ええ、偏っていますが、何か』と答える」

 また、そもそも、今回の岸井氏の件で批判の根拠とされる「放送法」は、戦中、戦前のように、政府が放送媒体をプロパガンダ目的で使うことを防ぐために制定された法律である。(125日付ジャパンタイムズより)

 放送法については、映画監督・テレビディレクターの是枝裕和氏が自身のHPで、第1条二号に「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」とあるが、ここでいう「『不偏不党』を『保障』する主体は明らかに公権力です。放送事業者に『不偏不党』を義務付けているのではありません」と言う。

 そして、同法成立期の1950124日の国会審議で、綱島毅電波監理庁長官が「放送番組につきましては、第1条に、放送による表現の自由を根本原則として掲げまして、政府は放送番組に対する検閲、監督等は一切行わないのでございます」と言った事を指摘し、「放送法のこの条文を前後も含めてもう少しわかりやすく現代語訳するとこうなります」といい、こう書いている。

 「我々(公権力)の意向を忖度したりするとまたこの間みたいな失敗を繰り返しちゃうから、そんなことは気にせずに真実を追求してよ。その為のあなた方の自由は憲法で保障されてるのと同様に私たちが保障するからご心配なく。だけど電波は限られてるから、そこんとこは自分たちで考えて慎重にね」

 安倍自公政権や、巷で偏っていると連呼するクレーマーは、この放送法の精神を学習する必要がある。(佐々木奎一)


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2015年12月13日

TBS『NEWS23』岸井成格が1面ぶち抜きで批判受ける

 平成二十七年十二月四日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「TBSNEWS23』岸井成格が1面ぶち抜きで批判受ける


 を企画、取材、執筆しました。


 けさの朝日新聞に「批判広告『偏った見方』民主・岡田氏」という記事がある。それによると、「民主党の岡田克也代表は3日の記者会見で、TBSのキャスターが安全保障関連法への反対意見をテレビ番組で述べたことに、市民団体が批判の広告を出したことについて『キャスターが自分の意見を言ってはいけない、というのは偏った見方だ』と述べ、懸念を示した。岡田氏は放送法が求める公平性は『一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体で判断すべきだ』と指摘。最近のテレビ番組全般について『自重しているのか、政府にはっきりモノを言う人が減った』と述べた」という。

 くだんのTBSキャスターとは報道番組「NEWS23」のメーンキャスター・岸井成格氏を指す。同氏は安保法案成立直前の916日放送で「メディアとして(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と発言した。

 すると、1114日付の産経新聞と15日付の読売新聞に全面意見広告が載った。それはデカデカと人間の両眼のイラスト付きで監視していることを強調した、「私達は、違法な報道を見逃しません」という見出しの広告。本文では、岸井成格氏を名指しし、番組メーンキャスターがそういうことを言うのは「政治的に公平であることなどを定める放送法に反する」と主張している。広告主は、「放送法遵守を求める視聴者の会」という市民団体だが、意見広告が載ると、自民党の礒崎陽輔前内閣補佐官(安保法制について「法的安定性は関係ない」と発言して物議を醸した人物)が、この意見広告は「極めて冷静で妥当な意見です」とツイート。安倍政権との“連携プレー”をうかがわせた。(1126日付日刊ゲンダイ電子版より)

 なお、この市民団体の発起人7人のうち、上智大智大名誉教授の渡部昇一、作曲家・すぎやまこういち、経済評論家・上念司の3氏は「2012年、当時野党だった自民党の安倍氏を『総理大臣に』と推す『民間人有志の会』発起人に名を連ねており、『広告』が安倍政権の後ろだてにしたメディア攻撃の一環」(1130日付赤旗新聞)という。

 なお、最近の安倍自公政権のメディア絡みの動向には以下のものがある。

 昨年1118日、総選挙を前に安倍首相がニュース23に出演。アベノミクスへの不満をいう街の声が紹介されると、「おかしい。(局)が選んでいる」と批判。

 同月20日、自民党はNHKと在京民放テレビ5局に選挙報道の中立性を要請。

 同月26日、アベノミクスについて報じたテレビ朝日・報道ステーションに対し、自民党は公平中立な報道を求める文書を出す。

 今年417日、クローズアップ現代で問題となっていたNHKと、コメンテーターが官邸批判をした報道ステーションのテレビ朝日幹部を自民党が呼び出し事情聴取。聴取後、自民党の川崎二郎氏は「政府は停波の権限まである」と発言。BPO(放送倫理・番組向上機構)については「お手盛りだ」と批判。同党幹部は「政府側の人間を入れる方法も」と発言。

 同月28日、高市早苗総務相NHKに厳重注意の行政指導。

625日、自民党文化芸術懇話会の参加議員が、「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなることが一番」「沖縄の2紙はつぶさないと」などと発言。(1130日付赤旗新聞、1107日付朝日新聞より)

 こうした経緯を辿り、今回、岸井氏の名指し批判となったというわけ。

 ちなみに、中国では今、フランス週刊誌の女性記者が、中国政府と政府系メディアから名指しで個人攻撃を受け、呼び出されて訂正記事を書くよう脅されている。SNSでも、その記者を「殺してやる」といった投稿が殺到している。この記者はパリで同時多発テロが起きた際、中国政府や政府系メディアが「中国もウィグル族のテロと戦う」と発言や報道している事に対し、パリのテロとは性質が違う、と指摘する記事を書いていた。 

 この現象について中国ウォッチャーのジャーナリスト福島香織氏は、新聞が一人の特派員を実名で批判するのはとても珍しいこと、ここまでメディアとネットを総動員して圧力をかけてくることは今までなかった、と述べている。(121日付TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」より)

 安倍自公政権になってから、そんな中国に日本は急激に似てきた。(佐々木奎一)
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2015年12月12日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十一

 この「京都動物愛護憲章」は、京都府と京都市による憲章で、動物愛護に関する自治体の憲章としては全国初。制定日は平成261212日。これは「1(ワン)2(ニャン)の日」という意味。

 京都市HPによると、この憲章の理念を踏まえ、平成274月に府市共同で開所する「動物愛ランド・京都」(京都動物愛護センター)を拠点として、「人と動物が共生」できる社会を目指すという。

 同センターの敷地面積は11千平方メートル。保護した犬猫の一時保管所や会員制のドッグラン(約3千平方メートル)、有料のトリミングルーム、獣医師会と連携した夜間動物救急診療所などを設けた。災害時は被災動物の保護や治療などの拠点施設としても機能する。総事業費は約6億円。(京都新聞より)

 要するに、この動物のための施設としては破格の「箱モノ」と「憲章」は「セット」になっている。

 そして、憲章は「『人と動物が共生できるうるおいのある豊かな社会』の具体的な姿を示すとともに、様々な人々がそれぞれの立場から動物愛護のあり方について自ら考え、積極的に行動するための拠り所となるもの」という。

 具体的には、「京都動物愛護憲章」には、こういうことが書いてある。

 「わたくしたちは、ここ京都で、四季のうつろいを感じながら、いきものと関わり、その命を尊ぶわが国ならではの暮らしのかたちを千年以上の永きにわたってつむいできました。そして、わたくしたちは、さらに進んで、ここ京都を人と動物が共に暮らすうるおいのある豊かなまちにすることを目指します。

 わたくしたちと同じようにかけがえのない命を持ち、わたくしたちの身近なところで共に生きている動物との関わりについて、わたくしたち一人ひとりが自ら考え、行動するためにこの憲章を定めます」

 このように憲章は、「わたくしたち」という主語になっている。つまり、市民の行動を、市民自らが規定したものとなっており、否でも応でも、この憲章のとおり行動します、と一人一人の市民が宣言したことになる。

 さらに、憲章には、こう書いてある。

 「わたくしたちは、この憲章に基づいて、様々な立場で動物と関わる中で、例えば、次のようなことに取組ます」

 そして、

 「1.動物を思いやりましょう」

 「1.動物のことを学びましょう」

 「1.動物との正しい関わりを考えましょう。」

 「1.動物との絆を最後まで大切にしましょう」

 「1.人にも動物にも心地よりまちをつくりましょう」

 とあり、それぞれの下に、箇条書きで三つずつ、具体的な行動を記載している。

 そのなかの

 「1.動物との正しい関わりを考えましょう。」

 には、こういう一文がある。 

 「周りに迷惑がかかるような動物への餌やりは行いません」

 そして、憲章の末尾、

 「1.人にも動物にも心地よいまちをつくりましょう」

 の箇条書きの最後には、こうある。 

 「地域の人々で協力して、人と猫が共生できる『まちねこ活動』に取り組みます」

 縷々述べたように、「まちねこ活動」とは、自治会の同意がないと野良猫にエサをやってはいけない、という、エサやり規制と表裏一体の制度である。

 そして、京都市では、そうやって猫にエサをやらないことが、「人にも動物にも心地よいまち」なのだそうだ。



 (続く)
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2015年12月11日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 二十

 さらに、門川大作市長は、こう答弁した。

 「このため、私は、昨年12月1日付けで犬猫等ふん尿被害対策検討プロジェクトチームを設置し、『人と動物との共生』やまちの美化、生活環境の保全等、様々な観点から総合的に実効性のある対策を全庁一丸となって検討するよう指示し、現在、鋭意取り組んでいるところでございます」

 このようにプロジェクトチームを設置して指示している、と述べている。

 つまり、このプロジェクトチームは、生みの親である公明党市議・吉田孝雄氏と、門川大作市長の「共作」ということになる。

 さらに、門川大作市長はこういう。

 「プロジエクトチームでは、飼い主のモラルの向上とふん尿の抑止と除去のそれぞれの観点から効率的に検討を進めていくために二つの部会を設置して犬のふん尿の放置を禁止している、いわゆるまちの美化推進条例をはじめ、本市においてこれまで実施してきた取組や全国各地の事例の検証を行うとともに、地域での実態やふん尿被害に関する意識等を把握するため市民アンケート調査を実施することといたしております」

 このように、吉田氏が活用するよう迫った「市民アンケート」について、市長も言及した。

 さらに、門川大作市長は、こういう。

 「これらの結果を踏まえ、京都の市民力、地域力を生かして、飼い主の意識を変革させる働き掛けやマナー違反を許さない機運の醸成、発生したふん尿の除去等、有効な方策をできるだけ早期に実施するとともに、こうした対策の実効性を高めるため条例の在り方についても検討を進めてまいります。

 こうした中、吉田議員御指摘の京都動物愛護憲章については、動物を飼っている人もいない人も、お互いの立場を尊重し合い、『人と動物とが真に共生』できる社会の実現に向け、全ての市民が共有できるものとする必要がございます。このため、憲章において、動物を最後まで責任を持って飼うことや飼っている動物が人に危害や迷惑を掛けないようにすることはもとより、飼い主として当然に果たすべき責務としてふん尿の放置により生活環境を悪化させないことを明確にうたってまいります。以上でございます」

 このように、人間中心主義の「人と動物とが真に共生」できる社会の実現に向け、「動物が人に危害や迷惑を掛けない」といった文言を、明確に「京都動物愛護憲章」に入れていく、と宣言している。

 それから約10か月後にできた「京都動物愛護憲章」は、ここでの質疑答弁が忠実に反映された。

 (続く)

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2015年12月10日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十八・十九

 吉田氏は、こう強調した。

 「参考になるのが京都市と同じ国際観光都市であるパリ市です。私は、海外行政調査団の一員として、(前年の)728日から85日までドイツ、フランス、イギリスの動物愛護政策を現地視察した折に、パリ市で取り組まれたふん害対策を学びました。(中略)刺激的な内容のポスターを作製するなど啓発の強化を図るとともに罰則を課した条例を施行し、『毎日80人の担当者が市内パトロールを実施』しています。同時に飼い主がふんを家に持ち帰らなくてもよいように、市内3万箇所に透明のビニール袋を8メートル間隔で設置して毎日収集しています」

 そして、こう迫った。

 「パリと同じことをするべきと言うつもりはありません。しかし、中途半端にせず徹底した具体策にチャレンジしていく中にこそ、市民のニーズに合った施策が形成されていくのだと痛感しました。その意味では、現在プロジェクトチームが実施しようとしているアンケート調査で市民から寄せられる生の声を、是非とも積極的に取り入れていただきたいと申し上げます」

 ここで注目なのは、「アンケート調査」を活用するよう要求している点だ。

 前述のように、プロジェクトチームの会議では「市民アンケートの実施期間の関係で教育福祉委員会への報告は4月になった」とある。これは、吉田氏の定例会でのこの発言により、アンケートのやり方の変更を余儀なくされ、当初の予定より時間がかかったため、と見られる。なお、この影響で、吉田氏の“お仲間”が議会でプロジェクトチームを追及する場面も出てくる。そのことは後述する。

 さらに、吉田氏は、こう迫った。

 「本市は26年度予算で、京都動物愛護憲章の策定を計上しました。これは平成242月議会で我が会派の大道議員と曽我議員が提唱したもので、『人と動物が共生』する社会を市民ぐるみで構築する機運が促進されると期待されています。美しいまちづくりのため、ふん害対策のマナー向上への理念を京都動物愛護憲章にどのように反映させていくとお考えでしょうか。お答えください。あわせて、京都市の地域特性に合った実効力のある条例の制定と、それに向けた具体的なふん害対策の検討に着手していただきたいと考えますが、いかがでしょうか」

 これは質問というより、要求である。

 なお、京都ボランティア筋によると、吉田氏は周囲に、「オレは猫のエサやり禁止は言っていない!」と、あたかも自分には責任はないかのように吹聴しているという。だが、自分で火をつけて燃え盛り、猫のエサやり禁止条例の制定という事態になっているのに、THEペット法塾が反対集会を開くまで、この人物は何もせず放置していた。これは不作為で、火をつけて放置するようなものであり、確信犯と言わざるを得ない。

 それと、もう一つ、指摘しなければならないのは、「集大成」と自画自賛して、犬の糞の放置に対して罰則を科す、という主張を延々としたわけだが、これは全国各地ですでに、早いところでは十年以上前からすでに始まっていることであり、なんら真新しいこともない。

 つまり、吉田氏が議会でしつこく迫り続けている裏には、「真の意図」が隠されている。そう考えざるを得ない。もしくは、全国各地で行われていることを、まるで初めて実施するべく条例をつくるかのように力説しているという、想像を絶するほど、この吉田という人物は間抜けか、どちらかであるとしか考えられないが、次の市長の答弁とその後の成り行きから察するに、前者であると筆者は判断する。

 この吉田氏の自画自賛の質問風の要求に対し、京都市の最高権力者である門川大作・京都市長は、こう答弁したのだった。

 「悠久の歴史の中で培われてきた美しいまち・京都は、市民の皆さんの門掃きにも表れるように、自らのまちを誇りに思い、他者を思いやる行動ができる品格のあるまちであります。

 しかし、犬や猫のふん尿の放置は世界一美しいまちを目指す京都の美観を著しく損なうだけでなく、生活環境の悪化にもつながる憂慮すべき事態であり、『人と動物とが共生』できる、潤いのある豊かな社会を目指す本市にとって喫緊に解決しなければならない大きな課題と考えております」

 このように、門川大作市長は、生活環境の悪化などの、人に対して迷惑をかけない事を大前提とした、「人間中心主義」の「人と動物との共生」を掲げている。前述のとおり吉田氏もこの言葉を述べている。

 ちなみに、池田教団の教祖・池田大作も「人間中心主義」を盛んに説いていた。名前だけではなく、思想も似ている。

 なお、この「人間中心主義」の「人と動物との共生」は、のちにできるエサやり禁止条例の核となる思想である。

 (続く)

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フェイスブックで広まる「フランス国旗」現象

 平成二十七年十一月二十三日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「フェイスブックで広まる「フランス国旗」現象」


 を企画、取材、執筆しました。



20日付の朝日新聞朝刊に「哀悼か仏政府支持か?FBのトリコロールに賛否」と言う記事がある。それによると、FB(フェイスブック)の最高経営責任者マーク・ザッカーバーグ氏は「テロ発生から約4時間後の14日朝、自身の写真に青、白、赤の仏国旗を重ねると、131万件の『いいね!』がついた。『パリ市民の安全と平和を願う写真を設定しよう』とのメッセージが現れ、世界に広まった。東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会も15日昼、FBの招致エンブレムを三色に染め、『いいね!』が3万件を超えた」、著名人ではレディー・ガガや、「XJAPAN」のYOSHIKIらが同調したという。

 だが、「ネット上では『レバノンでもテロが起きたのに、なぜフランス国旗だけなのか』『空爆や誤爆で亡くなる中東の人々をなぜ同様に悼まないのか』など批判が相次いだ。(中略)エジプト出身のタレント、フィフィさんは15日夜、FBでの動きについてツイッターで『世界で何が起きているかに目を向けて』と記し、自身の写真は変えていない。『テロは、中東では日常。トリコロール化(※筆者註:トリコロールとはフランス国旗の三色旗)をファッションで終わらせず、テロの背景や中東情勢を考えるきっかけにして欲しい』と話す」という。

17日付のジャパンタイムズのAP通信記事にも、パリ同時多発テロの前日、レバノンの南ベイルート郊外で、自爆テロがあり少なくとも43人が殺され、金曜日にはイラクで自爆テロがあり少なくとも21人が殺され、両事件ともISが犯行声明を出すなど中東では毎日のようにテロが起きているのに、中東以外では、ほとんど関心が払われないことや、フェイスブックがパリ同時多発テロ後に、安否確認のボタンを導入したのに対し、中東でテロが起きてもスルーしている点、フェイスブックやツイッターなどのSNSユーザーのプロフィール写真がフランス国旗になってきている事などを通し、中東の人々の目には「ダブルスタンダード」に映る、いう趣旨の記事が載っていた。(写真はニューヨークタイムズ電子版記事)


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 なお、17日付の朝日新聞の紙面ではなく電子版のみに、こんな記事も載っている。それは「パリ同時多発テロ、SNSに感じた一抹の違和感」という記事。それによるとフェイスブックがプロフィル写真の上にトリコロールを重ねられるようにしたことに、違和感を感じた、とし、理由をこう述べている。

 「一つは、これがパリで起きたテロだからこそ、世界中の注目を浴びたという面が否定しにくいことだ。パリのテロが起きた前日には、レバノンの首都ベイルート南部で連続爆発が起き、40人以上が死亡し200人以上が負傷した。今年4月にはケニアの大学がイスラム過激派に襲われ、キリスト教徒ばかり約150人もが射殺された。さらにさかのぼれば、イエメンでは3月、首都サヌアでISの自爆テロによって140人以上が死亡。9月には結婚式会場が爆撃され、130人以上が死亡した。毎月のように爆発や銃撃の起きているパレスチナは、死者数を数えることすら難しい。しかし、いずれの事件も、パリのテロほどの連帯感や同情、注目を集めることもなかった。もちろんメディアの責任も大きい」「ISが生まれる背後には、宗教問題だけでなく、国内の貧困、少数派への弾圧、国内政治の腐敗、経済格差、西側への不満といったあらゆる問題が絡み合っている。もちろん、それが何であっても無差別テロを許す言い訳にはなるはずもない。ただ、ふだんこうした問題から地理的にも心情的にも決して近くにいるとは言えない私自身を含めた世界中の人たちが、クリック一つでフランス国旗を掲げ、『気持ちはフランスと共にある』と表明することで、本来目を向けるべきこうした問題を素通りしてしまうような居心地の悪さを感じる」

 万事につけ中東と西欧の間には「ダブルスタンダード」が存在する。それがフェイスブックに如実に表れたといえよう。(佐々木奎一)


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2015年12月09日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十七

 それにしても、役人たちが罰則付きのエサやり禁止に豹変したのはなぜか。

 そのことを解き明かす鍵と見られる発言が、この日の会議では出ている。そのやり取りは次の通り。

 サブリーダー・石田信幸氏(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)

 「市民アンケートの実施期間の関係で教育福祉委員会への報告は4月になった。

 また、市長ミーティングで上局報告を行ったうえで教育福祉委員会へ報告する予定である」

 岡田博史氏(行財政局 総務部法制課長)

 「動物愛護関連で、市会における答弁の状況はどうか」

 これに対し、石田氏は、「2月市会定例会の代表質問、予算特別委員会での質疑について説明」をした。

 そして、チームリーダー・瀧本章氏(保健福祉局 保健医療・介護担当局長)が、「市長総括質疑での予想質問について説明」した。

 これらの発言のなかで、特にキーとなるのは、「2月市会定例会の代表質問」である。これは、くだんのマッチポンプ公明市議・吉田孝雄氏の質問を指す。

 のちに吉田氏は、このときのことを、「集大成と位置付けた本会議質疑」と自賛している。

 それは平成26221日の第1回定例会。

 そこで吉田氏は、こう質問した。

 「犬や猫のふん尿被害、いわゆるふん害の対策についてお聞きします。(中略)

 私は、3年前の教育福祉委員会で城陽市のふん害防止に関する条例などの先行事例を紹介して法整備の必要性を訴えたことを皮切りに、各委員会の場で議論を重ねてきました。

 その中で、昨年3月の予算特別委員会市長総括質疑において、部局の壁を越えたプロジェクトチームを作って責任の所在を明確にし、実態調査と具体的施策を協議するべきであると論じたところ、12月に庁内横断の犬猫等ふん尿被害対策検討プロジェクトチームが発足。二つの分科会に分かれて本格的な協議が開始されました。一歩前進であり,大いに期待したいと思います」

 と、プロジェクトチームの生みの親であることをアピールしたうえで、こう言った。 

 「昨年の8月、私は全国で最初に罰則付きの条例を施行した城陽市を現地調査しました。

 駅前や大型公共施設の近辺を歩きましたが、道端にふんは見当たらず、犬を連れて散歩中の方も処理用の器具をお持ちでした。見晴らしのいい箇所には幾つかの看板もありました。

 地元の議員さんとも話しましたが、ふん害に関する声は余り寄せられていないとのこと。条例は一定の効果を発揮していると感じた次第です」

 このように「罰則付きの条例」の必要性に言及した。

 さらに、吉田氏は、監視員付きの罰則条例の事例を持ち出したのだった。 

(続く)
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原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 七

 そんな菊地正士の記事「原子力と交通機関 期待される数十年後の世界」」には、こうある。

 冒頭、昨年末にアメリカのオークリッジ原子工場の博士が「原子力航空機の理論は99%まで完成されている」との注目すべき発表をした、といい、この博士は構造には言及しなかったが、一般専門家の間では、「従来の動力装置とは異なった“核ロケット”(ニュクリアー・ロケット)という特種な装置」が使われるものとみられているという。

 また、「アメリカ原子科学界は、すでに自動車の発動機に放射能ピストン・リングを適用する実験に成功しているといわれる」といい、「原子力の工業的利用は既に時間の問題となっている」といっている。

 さらに、「原子力の利用価値が高度に発揮されるものは、交通機関の動力としての応用であろう」と、話を進め、「現在発電所として設計されているのは(中略)原子力の応用としては序の口にすぎない」と言い捨てている。

 これは、前出の武田栄一・東京工業大助教の手記「原子力の平和的利用」のなかで、航空機などへの応用は技術的に困難なので、発電こそ原子力の最も手近な用途である、と言ったことを、「序の口」扱いしたに等しい。

 さらに菊地正士は、こう記している。

 「交通機関に応用された場合、これが真にその価値を発揮するのは、水上あるいは地上を動く機関よりは、空を飛ぶ航空機にあることは、想像に難くない。

 というのは、船や汽車あるいは自動車のようなものは、ある程度、完成に近いものである。ほかのいろいろの理由によって、そのスピート(中略)に制限がある。自動車が町の中を一時間何百メートルというようなスピードで走ってみたところで、人迷惑になるだけである。また、船のごときはいかにエンジンを用いたところで、水上にあるという理由によって、ある程度制限を受ける。

 これに反して、航空機は(中略)無現に進歩の可能性がある」

 そして、こう夢物語を描いている。

 「現在の船のごとく大型の航空機が、原子力によるロケット式の何億馬力というエンジンによって地球の大気層の外へ出て、一時間何千メートルのスピードで走ることも今では夢ではない。

 現在、サンフランシスコ、東京間は二十余時間を要するが、これを何十分の一かに短縮して、アメリカとの往復は、現在我々が電車で郊外から丸の内へ通うよりも気軽にできる時が来るかもしれない」

 そして、「一番の困難」は「放射線の人体に及ぼす害の対策にある」としながらも、この問題は、医学の研究で解決されるかもしれぬし、大きな航空機をつくり放射線を隔離するなどで解決できる、と楽観視した上で、こう記している。

 「何十年何百年後の人類は、必ず、そういった文明の利器の恩恵をこうむることであろう。また、その頃にもなれば、地球に住む人類にとって、この上ない魅力である地球外の天体との交通問題も、具体的な技術計画として取り上げられるであろう」

 そして、「原子力に対する恐怖解決へ」という小見出しで、こう記している。

 (続く)

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2015年12月08日

原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 六

 「まず第一が、大学教授の地位を現在のごとく恒久的なものとしないで、研究あるいは後輩の指導に実績を上げない人は、どしどし免職にすることである。(中略)

 第二には、大学の制度を変えて、現在のごとく講座の数をやたらに多くせず、これをできるだけ少なくし、一講座の定員を、うんと増加する、そして、その中の一人が名実ともに研究主任となり、その講座における研究を統率する、研究主任の、仕事のうえにおける命令は絶対であり、統制を破るものは、どしどし首にする。

 いまのように一つの大学の一学部に十近くの講座があり、十人近くも教授がいて、各々が別々なことをやっていたのでは、はなはだ能率があがらない、一つの大学に何から何まで設備される必要はないのだから、できるだけ講座の数は減らして、ある種の研究に集中するようにしなければ駄目である。

 第三に、全国の各大学の各講座の統率者が、現在の学術研究会議のようなものを組織する。

 そして、この会議が、我が国における学術界の参謀本部となり、軍部や企画院と連絡をとり、研究方針を決定し、資材の分配を行い、また教授、助教授の任免の権限ももつ、大学以外の各省や民間の研究所からも、それぞれ指導者が、この会議の会員として加わる」

 こうした言い分は、文系学部を廃止せよ、という安倍自公政権と似ている。

 そして次に、菊地は、こう精神論を述べている。 

 「今日のごとく日本の科学が未だに世界の水準に達していないのも、要するにその時代のわれわれの努力が足りなかったのである。われわれは、その責任を痛感すべきであって、いまさら自由にしておいてくれなければ能率が上がらない、などと言えた義理ではあるまいと思う。(中略)

 われわれの当面しているこの国難を克服する唯一の道は、われわれのすべてが私を捨てて、国に尽くす強い覚悟をもって立つ以外に手はないのである。いわゆる一億一心滅私奉公の精神を身に体現させる以外に手はないのである。(中略)

 国のために命をすてると、口でいうのは比較的簡単であるが、静かに自分の心に反省してみて、おれにその覚悟が十分ある、と言い得る人が、一体何人あるだろうか。ちょっと食糧の不安でも起こると、目の色を変えるのではないか。米が欠乏したら、自分が一番先に飢え死にしよう、燃料がなくなったら自分が一番先に凍死しようという覚悟が、腹からできているかどうか、よくよく反省してみることだ。(中略)

 日本の将来の運命が、科学の今後の発達に非常に影響されるところにあることを思うならば、それを託されているわれわれの責任がいかに重いかということを、痛切に感じなければならないはずである。

 特に、幾人かの人を統率して行うというような立場にある人は、敵前にあるトーチカを守る部隊長の覚悟をもって当たるべきである。

 業績が上がらないということは、敵にトーチカを明け渡すと同じ罪に相当するのである。死んで陛下にお詫びする覚悟をもって、研究に従事すべきである。業績も上げずに地位にへばりついているような真似は、到底できるはずはないのである。

 われわれ一同が、この気持ちのもとに団結すれば、どんな改革もたちまちでき上がる」

 なお、菊地正士がこの手記を載せたのは38歳のとき。つまり、若造にもかかわらず、軍部の手先になって、年配の学者たちの“首斬りの嵐”を宣告して、学術界を取り仕切っている。戦時中の原子力の研究が、いかに軍部から重宝されていたかを窺わせる。

 (続く)

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2015年12月07日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十六

 次に、簱哲也(文化市民局地域自治推進室地域づくり推進課長)が、にわかに、こう言った。

 「近隣住民にとって迷惑になるような餌やりは規制すべきではないか」

 これまで比較的リベラルな発言が目立った簱氏の言葉とは、にわかには思えない発言である。

 すると、仲俊典氏(伏見保健所保健部(伏見保健センター)衛生課長)が、

 「餌やりについて、条例での規制も検討した方が良い」

 と言った。

 これに対し、太田眞一氏(保健福祉局 保健衛生推進室保健医療課 健康危機対策担当課長)は、

 「動物愛護の観点からは、餌やりを条例で規制することは難しい」

 と疑義を挟んだ。

 すると、岡田博史氏(行財政局 総務部法制課長)が、こう言った。

 「府動物愛護条例は抽象的であることから、市で条例を新設するのであれば、内容を具体的にしないといけない」

 この岡田氏の発言は、太田氏の指摘を、完全に無視している。異様な会議である。異様な情景は、さらに続く。

 次に、簱氏は、

 「罰金は効力が無い。罰則は氏名の公表で十分である」

 と発言。

 エサやりの氏名を天下にさらそうというわけである。

 次に、サブリーダー・石田信幸氏(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)が、

 「罰則は、運用についても十分に検討しないといけない」

 と、罰則があることを前提とした発言をし始めた。

 すると、岡田氏は、こう提案した。

 「サービス事業等が巡視するといったことも検討してみてはどうか」

 つまり、巡回して餌やりを監視するというわけである。

 すると、サブリーダー・瀬川彰氏(環境政策局 循環型社会推進部長)は、こう言った。

 「それだけでは不十分である」

 次いで、チームリーダー・瀧本章氏(保健福祉局 保健医療・介護担当局長)が、こう述べた。

 「罰則の種類の中で、最も効果のあるものは何か」

 すると瀬川氏は、

 「氏名の公表が最も効果があるのではないか」

 と言った。

 これに対し、瀧本氏は、

 「罰則の運用体制については、ある程度、覚悟を決めないといけない」

 と、メンバーに覚悟を促した。

 次いで、川口伸太郎氏(環境政策局 循環型社会推進部まち美化推進課担当課長)は、

 「巡視する者は、ある程度の専門的な知識が必要ではないか」

 と、プロフェッショナルな監視員の導入を提案した。

 続いて簱氏は、

 「罰則については、抑止力を期待した形で設けることも良いと思う」

 と言った。

 「抑止力を期待」とは、つまり、罰則にビビッてエサをやらなくなる事態を期待する、という意味である。

 (続く)

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原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 五

 仁科の記事から約4か月後、1949213日付の讀賣新聞朝刊に、東京工業大助教で、のちに原子力委員会委員となる武田栄一が、「原子力の平和的利用」と題する手記を載せた。

 そこでは、原子力について、ウラニウムや中性子、核分裂、サイクロトン、プルトニウム等の解説をした上で、「発電機を回すことによって電力に変えることは容易に考えられる」「原子力の最も手近な用途は電力としてである」といい、「ウラニウム及びトリウム一キロワット時当たり八ミル(一ドル三百円として二円五十銭見当)といわれる。この数字はアメリカの発電価格に較べて若干高いが、実用性を離れたほど高価ではない」という。

 そして、発電以外には、船舶、航空機、機関車の動力として利用することも考えられるが、放射能が出るため、技術的に大きな困難を克服せねばならない、といい、ほかの分野では、生物化学、学芸科学方面でも将来は画期的収穫がもたらされることだろう、と述べている。そして、結びにこう記している。

 「最後に、我々は原子力を平和目的にも戦争目的にも使うことが出来、それがほとんど完全に同一操作により作られることを注意せねばならない。その選択は一つに人類知性の決定に委ねられている」

 要するに、「原子力発電」は「原子力爆弾」と「コインの裏表」の「イコール」にある、と明言している。

 この言葉と、4か月前に仁科芳雄が手記で述べた、科学の画期的進歩により、さらに威力の大きい原子爆弾またはこれに匹敵する武器をつくり、戦争が起こった場合には、広島、長崎とは桁違いの大きな被害を生ずるということを、世界に知らしめる、そして、その核兵器研究の「副産物」として、原子力の平和的利用がある、という論を照らし合わせると、武田栄一のいう原子力発電の真の狙いは何なのかが見えてくる。無論、それは、現代にもダイレクトに通じている。

 例えば、2012年6月20日に成立した「原子力規制委員会設置法」に、「我が国の安全保障に資する」という言葉が入ったのは、その証左といえよう。同法成立に伴い、「原子力基本法」「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」も改正され、「我が国の安全保障に資すること」という文言も入った。「原子力」による「我が国の安全保障」とは、「核武装」を念頭に置いている、と捉えざるを得ない。

 武田の記事から約3か月後、同年521日の讀賣新聞朝刊には、「原子力と交通機関 期待される数十年後の世界」と題し、菊地正士が手記を載せた。菊地正士は戦時中、大阪帝国大学の理学部・原子核研究室の教授としてサイクロトンを建設し陸軍に所属して兵器を開発し、敗戦後は1951年に文化勲章を受章する等、仁科芳雄と経歴が似ている人物。

 菊地は戦中、194121416日付の朝日新聞朝刊で「学術の新体制」と題する手記を載せている。そこには、こう書いてある。菊池が戦時中、どういう地位だったのかを感じるために紹介する。

 「科学の統制の問題が最近いろいろと問題になっているが、一部では科学研究は統制されるべきでないという意見が相当有力に行われているとのことである。(中略)『お前は何をやれ、お前はこれをやれという具合に押しつけられるのでは、到底研究はやってゆけるものでない、研究題目の選定等は全く研究者の自由にまかせてはじめて十分な発達が望まれるものである』というにあるならば、私は大いに意見がある。(中略)

 現在の如き情勢においては、科学者といえども社会の外の部門と協力して、国家目的遂行を、まず第一に念頭において進むべきであることは、論ずる余地のないところである。

 したがって、限られた人的物的の資材をもって、この難局を処してゆく上に、科学界全体を最も能率よく活動させるような一つの組織に統合することが、絶対に必要であるのはいうまでもない」

 そして、こう、首切りを迫る。

 (続く)


  ※2012年6月20日に成立した「原子力規制委員会設置法」と、同法成立に伴う「原子力基本法」「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の改正で、それぞれ「我が国の安全保障に資する」という文言が入ったことを、2015年12月18日に加筆しました。
 参考資料:衆院質問主意書(平成二十四年六月二十二日提出 質問第三一三号)
 http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a180313.htm



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臨時国会見送り、「国会正月スタート」の裏事情

 平成二十七年十一月十三日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「臨時国会見送り、「国会正月スタート」の裏事情」


 を企画、取材、執筆しました。



 今日の朝刊は「臨時国会10年ぶり見送り 首相、外交・経済を優先 通常国会前倒しで対応」(日本経済新聞)、「臨時国会見送り、首相・谷垣氏確認 通常国会前倒しで調整」(朝日新聞)といった見出しで国会の動向を報じている。

 それによると、安倍自公政権は昨日、野党が求めている臨時国会の年内召集を見送る方針を決めたという。「秋の臨時国会を開かないのは10年ぶり」。「召集見送りには『首相官邸の強い意向があった』との声が与党内にある。10月の内閣改造の直後に臨時国会を開いて、高木氏ら(※筆者註:香典を政治資金で支出したり30年前にパンティーを盗んだといわれている高木毅復興相や、選挙区内でカレンダーを配布して公職選挙法違反の疑い濃厚の島尻安伊子沖縄北方担当相など)へ追及が激しくなれば政権には大きな打撃。自民党幹部の一人は『年内召集をしないため、首相官邸が『どんどん外交日程を入れろ』といっている』と語っていた」。そして、通常国会を「例年より早く、14日にも召集する」ことで「『論戦逃れ』との批判を回避する構えだ」という。(日本経済新聞)

 要するに、年を越せばどうせ国民は忘れてしまうだろう、という戦略である。

 さらに、14日の国会スタートは、来年夏の参院選で「衆参同日選挙」の思惑もある。そのことは11日付のジャパンタイムズに詳しい。同紙の記事(時事通信配信)には、こうある。

 「5つの解散シナリオ」が自民党内でしばしば話題になっている――。今年暮れ、通常国会スタートの20161月、2016年夏、2016年暮れ、20171月の、5つのシナリオである。

 そもそも衆議院の任期は201812月まで。それがなぜ20171月までに解散がささやかれているのかというと、20174月に予定されている消費税増税が実施されれば、国民の激しい反発により、解散は難しくなるためだ。

 そして、上記5つのシナリオのうち、今年暮れと来年1月は、前回の衆院選からたったの1年後ということもあり、現実的にはありそうにない。

2016年暮れと20171月は、参院選からたったのは半年後のため、集票マシーンである選挙支援組織の過労が懸念される。

 したがって、来年夏の衆参ダブル選挙が、最もありそうである。

 このダブル選というオプションをキープするために、政府与党は、1月に国会を召集するという現在の慣習となった1992年以来、はじめて14日という早期に国会を召集しようとしている。

14日に通常国会をスタートさせて、国会法で定めた通常国会の会期「150日」で会期延長せず閉会すれば、61日に衆院を解散することができる。そうすると、衆院解散から40日以内の総選挙の日を、参院選の投票日の有力候補である710日に設定することができる。

 記事にはこのように書いてあった。ちなみに、最近の選挙の投票先をみる限り、安倍自公政権の得票数は、野党全体の得票数より少ない。つまり、野党が結集しなければ、自公政権が選挙で勝つのは必至。そうした中、にわかに共産党が安保法制を廃案にするために、野党結集を呼びかけ始めた。これに対し、小沢一郎氏の生活の党や社民党は賛同しているが、民主党や維新の党は、及び腰の姿勢である。さらに、けさの日本経済新聞によると、昨日、民主党の岡田克也代表と前原誠司元外相が会い、前原氏が「一度裸になって一つの理念の下に集まるべきだ」と民主党と維新の党を解党して再結集すべきだと言ったが、岡田氏は「いい話ができた。看板の掛け替えではだめだ」と記者会見で述べたという。

 このように野党は停滞状態にある。野党がバラバラであればあるほど、来夏ダブル選の確率は高まってくる。(佐々木奎一)


※なお、国会14日召集については、仮に衆院同日選を抜きにしても、重要な意味を持つ。そのことは、1119日付文化放送「くにまるジャパン」での政治アナリスト伊藤惇夫氏の話に詳しい。同氏は、こういう趣旨の解説をした。

 公職選挙法の第三十二条第一項には、「参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。」とある。

 今回改選になる参院議員の任期満了日は、725日。

 そこから逆算して30日以内となると、投開票日の可能性があるのは、626日、73日、710日、717日、724日。日曜日はこの5つある。普通に考えれば、このどれかを選べるように見える。

 ところが、公職選挙法をよく読んでみると、第三十二条の第二項には、「前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う。」とある。

 たとえば、国会の召集日が15日だとすると、通常国会は150日間(国会法第十条)ですから、最終日は62日になる。そうすると、「通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から二十三日以内」にかかってくる。そうすると、「参議院閉会の日から二十四日以後三十日以内」に当たる日曜日は、626日しかなくなる。

 それが、14日召集により61日が閉会日となれば、第二項にかからない。投開票日の選択肢は5つになる。


PS 公職選挙法は、六法全書のように分厚い解説書があるのだが、その中身は、民主主義のシンボルである「選挙」について、箸の上げ下げまで「官」が規定して、民衆と、民衆の代表を、しつける、という倒錯した法律である。



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2015年12月06日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十五

 次に、川口伸太郎氏(環境政策局 循環型社会推進部まち美化推進課担当課長)が、にわかに、こういった。

 「野鳥への餌やりについても人の行為であり、条例に餌やりを禁止することを項目に追加すべきである。

 また、様々な意見があると思うが、猫への餌やりの禁止についても議論の俎上にのせたい。例えば、猫の餌やりは原則禁止であるが、『まちねこ活動地域』の中では容認するといったようなことが出来れば良いのではないか」

 この川口氏の発言は、その後、そのまま実現した。予言めいたことを急に言い出したのも不審であり、政治臭がただよう。

 その後、簱哲也氏(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)が、こういった。

 「当資料では、条例とするまでの検討プロセスが不十分ではないか」

 すると、チームリーダー・瀧本章氏(保健福祉局 保健医療・介護担当局長)が、こう発言した。

 「6ページに条例の必要性について記載している」

 簱氏は、こう言い返した。

 「その部分が不十分のように思う。条例は

行政が指導するに当たっての根拠となるものといった考えがあっても良い」

 次に、岡田博史氏(行財政局 総務部法制課長)が、こういった。

 「動物愛護憲章と条例は重複する部分があるのではないか。

 また、京都府は、動物愛護憲章を検討する中で、府動物愛護条例の改正を検討しているのではないか。確認していただきたい」

 次に、こういうやり取りがあった。

簱氏「ふん尿被害の対策においては、飼い主のマナー向上は必須であり、憲章だけでなく、やはり条例は必要」 

 石田氏「条例は、『まち美化』『生活環境の保全』『人と動物との共生』の3つの観点から制定しなければならない」

 瀧本氏「『人と動物との共生』の観点は、まち美化条例と趣旨が異なり、当条例に追記することはできないと考えている」

 岩田恒幸氏(保健福祉局 家庭動物相談所長)「飼い主のマナーの向上は、動物愛護憲章を制定することのみで対応できるのではないか」

 簱氏「憲章は指導の根拠にならない。

 また、犬のふんに特化するものではなく、それ以外も含めるのであれば、新しい条例が必要である」

 辻尚信氏(保健福祉局 保健衛生推進室生活衛生課長)「条例に基づく努力規定とガイドラインの違いは何か」

 岡田博史氏(行財政局 総務部法制課長)「条例は市会も含めた市全体の意思であり、ガイドラインは執行機関のみの意思である」

 「市全体の意思」とは、つまり、役人のみの意思を超えた、市議や市長の意思である、という意味にとれよう。

 それにしても、京都市が開示しなかった資料に基づき、これまでになく疑義を呈する発言が続出している。資料に疑問を持つ者は、はじめて目を通したような言い方をしている。その一方で、その資料の作成に深く携ったような言いっぷりの者もいる。

 さらに、議論は、核心に迫っていく。

 (続く)

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2015年12月05日

海と、天地の生き物を汚染する“マイクロ・プラスチック”  一

 今から3年以上前の2012620日、筆者は、都内の有楽町で、「日本のゴミはどこへ行く?海を巡る私たちのゴミ」と題する集会に行った。そこで、22年間にわたり海洋ごみ問題に取り組み、全国各地の海岸での調査や回収活動をしている一般社団法人 JEAN事務局長の小島あずささんが、海洋生態系に深刻な影響を及ぼしている「プラスチックゴミ」について語った。

 内容は、世界中に散乱するプラスチックゴミが海に流れ、夏には海水浴場として賑わう海岸が、実は毎年プラスチックゴミだらけという現実や、鳥の胃袋にプラスチックゴミが詰め込まれていたり、アザラシの口にプラスチックゴミが巻き付き、口が開かなくなって死んでいる姿や、アザラシ.JPG魚を買ってさばいたら、胃袋からプラスチックが出てきた、海にはプラスチックゴミ・ベルトがあり、膨大なプラスチックが漂流している、といった話だった。そのときの記事は以下の通り。

http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/7992090b16d1e261848581f6afc83e8b

 この話を聞き、筆者は卒倒しそうになった。海は、もっとキレイで、生命の源として、地球を育んできたはずだ。それが人間により、ここまで汚染されていたのか…!!

 衝撃を受け、いつか深めて書きたい、と思った。

 それに前々から、自分の家から出るプラスチックゴミの多さに、何でこんなにプラスチックに満ち満ちているんだ、と疑問に思っていたのだが、上記集会に行ってから、ますますプラゴミに対する問題意識が芽生えてきた。

 そういうことを思いながら、なかなか形にすることができずに月日が流れたのだが、昨年、たまたまエゲレスの新聞「インデペンデント」に、マイクロ・プラスチック・ビーズのことが載っていた。それによると、肌表面の古くなった角質を除去するスクラブの入った『洗顔剤』『歯磨き粉』『ボデーソープ』などに使われる微細なプラスチック粒子「マイクロビーズ」が、バスルームや洗面所から下水処理施設のフィルターを通過して川や湖、海に、毎年何百万トンも流れ込み、毒性の化学物質が付着したそれを食べた魚が、魚体内に有害物質を蓄積して、食物連鎖で環境全体を汚染し、やがては人間にも深刻な影響を与えるリスクがある、と書いてあった。

 つまり、魚を通し、陸地の生き物である我々人間も汚染するということになる。前述のとおり、マイクロプラスチックは鳥の胃袋にも入っている。ということは、海を通し、天と地の生き物全てを汚染していることになる。

 無論、これはエゲレスだけの問題ではなく、日本でも同様に、各家庭でマイクロビーズを垂れ流しているはずである。

 そこで、当時売れ筋の、洗顔剤、ボデーソープ、歯磨き粉をピックアップし、マイクロビーズが入っているかを取材して執筆した。そのときの記事は以下リンクの通り。

http://www.mynewsjapan.com/reports/2060

 その後、今年に入ってから、マイクロプラスチックについて、ぼちぼち取材をはじめている。ゆくゆくは、マイクロ・プラスチックのことを本にしたいと考えている。

 そこで、その下書き原稿に当たる文を、この公式ブログで、本の折り返し地点ないし三分の二程度まで書いて、その後に大幅加筆修正、追加取材をして、本にすることとする。

 まず、つい先日、サイゾー「Business Journal(ビジネスジャーナル)」でマイクロビーズのことを企画取材執筆した原稿を肉付けする形で、筆を進めることとする。

 (続く)

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原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 三・四

 そんな仁科芳雄の、讀賣新聞4881日付の「原子力と平和」という手記には、こう書いてある。

 「「原子力は、世界に平和をもたらし、人類に幸福を与えるであろうか」

 「この時代に当って、国家という組織が発達し、不幸にもその国家間の紛争を、戦争によって解決する方法が執られることになった。

 戦争においては、一歩でも進んだ武器をもっている方が有利であることはいうまでもないから、各国とも、科学研究の成果を応用して新しい兵器を発明し、その生産技術の発達に全力を尽くす、という情勢を醸しだしたことも、当然といわねばならぬ。その結果がどうなったかということは、第二次世界大戦の結果を見れば明らかである。

 即ち、航空機の発達やレーダーの発明もその例であるが、最も典型的なものは原子爆弾の製造であって、これは驚くべき広範な領域における研究成果の総合に外ならない」

 そして、こう記している。

 「科学は人類の文化に貢献することもできるし、またこれを破壊することもできる。それは科学自身の責任ではなく、これを駆使する人の心によるものである。

 この結論は、そのまま原子力の問題に当てはまることであって、人の心のおき方によって、世界に平和をもたらすこともできれば、人類に不幸を与えることもできる。これが本文最初の課題に対する今日の回答である」

 次にこう記している。

 「それでは、どうすれば原子力が人類福祉の増進にだけ貢献し、科学の与える不幸を除くことができるであろうか。これが第二の課題である」

 そして、その課題に対する、「第一の方法」と「第二の方法」を縷々述べる。まず、こう記している。

 「第一の方法は、思想により、戦争を地球上から追放することである。それには人の心底に『戦争は罪悪である』という観念を強く植えつけるのである。そうなれば、国家間の紛争は、戦争以外の手段によって平和的に解決せられるであろうし、戦争がなくなれば、原子力は、ただ平和的目的にだけ使われることになる。

 例えば、これを動力源に使用するとか(中略)医学上の(中略)問題を解決するとか、その他いろいろの形式において人類文化の進歩を促すことになるのである」

 ここまでは、非常に平和的な物言いであるが、ここまでは枕詞のようなもので、ここから、次のように、論調が変化する。

 「しかし、この考えは、恐らく現実に即しない、というそしりを免れないであろう。というのは、今日の国際情勢を見れば、人の心がそんなに簡単に改善せられるとは、思われないからである。二度の世界大戦の結果から考えて、戦勝国民も戦敗国民も、戦争が如何に人類の悲惨(中略)であるかということを、いやというほど身をもって経験したはずである。それにもかかわらず、国際間の紛争は、簡単に理性をもって解決せられそうにはない。これは誠に了解に苦しむことであって、人の心の改革が如何に困難であるかということを示すものである。

 国際連合の原子力委員会ができ上がってから、すでに二年を経過したにもかかわらず、その目的の達成に向かっては、一歩も前進した跡を示さないのはどういうことであろうか。国際連合の方法によって、原子力を武器に使用することを禁止し、これを平和目的にのみ利用する、という、当初の試みは、放棄せねばならないのであろうか。これは、まことに残念なことである。原子力委員会が成功しないようならば、もちろん、ある人々の唱える世界国家は、一場の夢に過ぎないのである。これらの情勢を考察する時は、人の心の防波堤によって平和を確立し、原子力を、人類幸福のためにのみ使うという方法は困難なようである」

 そして、こう記してる。

 「次に、第二の方法は、科学技術の推進に全力をつくすことである。前述の通り、科学は真理探究と言う、人の本能の現れであるから、これを抑制することは不可能である。 

 もちろん、科学の成果を武器に応用することは、科学者の良心的努力によって、ある程度は防ぎ得るであろうから、それを実行することは必要である。

 しかし、前述の通り、今日の国際情勢から推して、そんな方法のみによって、科学の成果を戦争に利用させぬようにすることは、不可能であろう」

 このように、科学技術を推進して武器をつくることを示唆している。

 そして、こう述べている。 

「そこで考えられることは、むしろ、科学の画期的進歩により、さらに威力の大きい原子爆弾またはこれに匹敵する武器をつくり、もし戦争が起こった場合には、広島、長崎とは桁違いの大きな被害を生ずるということを、世界に周知させるのである」 

 いかにも、旧日本陸軍らしい発想である。

 だが、その直後に、「もちろん、それは我が国で実現させ得ないのは、いうまでもないことである」と、占領下にあるため、トーンダウンした上、世界各国の多くの人に広島、長崎の被害を見せれば平和を望む声は強まる、という自重気味の一文を入れた後、こう記している。 

「もし現在より比較にならぬ強力な原子爆弾ができた事を、世界の民衆が熟知し、かつその威力を(中略)見たならば、戦争廃棄の声は一斉に高まるであろう。かようにして、初めて原子力の国際審理は、その諸につくのではなかろうか。

 また、世界国家の実現もこれによって促進せられるであろう。

 さらに、かような研究の副産物として原子力の平和的利用の範囲と深度とは一層増大せられるであろうから、この方面において人類に貢献することも多大である」

 そして、最後にこう記している。

 「筆者は、第一の方法により、人の心に平和を愛する熱情を起こさせることは、平和確立の根本方策として、その推進の手をゆるめてはならぬ、と思う。

 それと同時に、科学者、技術者の努力によって、第二の方法を促進させる必要のあることを強調するものである。

 自分は、永続する世界平和がただちに実現するとは考えないが、以上二つの方法によって、いつの日にかは、これが達成されるという希望を捨てない。それは人類は進歩するものであるということを信ずるからである」

 要するに、「第一の方法」である「戦争放棄」の思想を広める言いながら、それは実際は非現実的なので、「第二の方法」、つまり、広島、長崎とは桁違いの原子爆弾またはこれに匹敵する武器をつくり、世界に周知させる、というのが、仁科の本音である。その発想は、「二研」時代とまったく変わっていない。

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十四

 その後、こういう発言があった。

 サブリーダー・石田信幸氏(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)

 「アンケート調査案については修正させていただき、後日メールにて送付させていただくので、各職場の職員からアンケートを回収していただきたい。

 また、市会の常任委員会である教育福祉委員会について、今年度は310日が最終との予定であり、全体的なスケジュールは前倒しでいたきたい」

 チームリーダー・瀧本章氏(保健福祉局 保健医療・介護担当局長)

 「各部会が12回終わったぐらいのタイミングで市長に中間報告をする予定である」

 簱哲也氏(文化市民局 地域自治推進室地域づくり推進課長)

 「市長には、何か条例レベルで検討する方針ということで報告するのか」

 瀧本氏「具体的な事業を検討した中で、条例が必要なものがあれば条例の改正・設置等を検討する」 

 石田氏「対策が条例という形であれば、パブリックコメントをとる等の段階があるので9月市会に付するものになるだろう。

 ただ、現在は、条例ではなく『動物愛護憲章』を制定するという考えである。

 タイトなスケジュールとなるが御協力をお願いする」

 第4回目の会議が、平成2636日午後1時から、職員会館かもがわ1階第1会議室で開かれた。

 そこでは「中間報告」という書類に基づき、話が急転換した。前回の会議では、条例にはしない方向という説明があったにもかかわらず、にわかに条例化一辺倒に豹変したのだ。プロジェクトチームの本性が現れた形だ。

 なお、くだんの「中間報告」の資料は、京都市は開示しなかった。そのため、再度開示請求してみる。

 会議では、まず、サブリーダー・土井直也氏(保健福祉局 衛生推進室生活衛生担当部長)が、資料を説明。

 次に、サブリーダー・石田信幸氏(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)がこういう。

 「条例で規制するものと施策で対応するものとに分けて考えている。

 条例は、人の行為を規制するものである。また、その規制には、実効性を伴わせないといけない。鳩等への餌やりを禁止する施策を実施するとしても、それを条例とするかは、別途検討しないといけない。尿の問題も同様である。

 よって、条例の範囲は、犬のふんの放置及び猫の屋内飼養等であると考えている」

 条例で何でも規制しようとすることに、反対している様子である。

 次に、岡田博史氏(行財政局 総務部法制課長)がこういう。 

「条例化するものについては裏づけが必須であり、慎重に検討する必要がある。

 また、その規制には市域全域を対象とするかについても検討が必要である」

 これも、戸惑いがにじみ出た発言である。

 すると、にわかに、野良猫へのエサやり禁止発言が、飛び出した。

 (続く)

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2015年12月04日

富士見坂

 今日、神奈川県立図書館へ行ったところ、図書館の出入り口から50メートル程先の、民家と木の間から、夕日が見えた。近づいて行くと、階段があるようで、二、三人上がってきた。階段前に着いた。すると、右手に、富士山が見えた。これが、富士見坂か、と思った。

 都心には富士見坂という地名は多々あるが、富士の絶景は過去のことで、今はビルに取り囲まれて、絶滅寸前に瀕している。だが、横浜では、中心地の桜木町駅付近でさえ、絶えてない。そのことは誇っていい、と思った。



富士見坂 1.JPG

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朝鮮人大虐殺と正力松太郎

 「巨怪伝 上 正力松太郎と影武者たちの一世紀」(佐野眞一、文藝春秋、20005月)には、のちの警視総監になるのは間違いなしといわれた警視庁時代の正力松太郎と、大正十二(1923)年九月一日の関東大震災直後の朝鮮人大量虐殺事件について、こういう記載がある。

 「朝鮮人と社会主義者を虐殺する引き金となった悪質なデマについての正力の発言は、相当混乱をきわめている。御手洗本を読むと、『一笑に付して打ち消さして回った』という記述があるかと思えば、

 <……この嗤うべき流言は一日の夕方ごろから、中野・淀橋・寺島の各署から警視庁へ報告された情報から始まっている。事件の衝動から人心不安なところへ、誰かが怯えた想像をもって『ありはしないか』といった話が火元となって数人の間を転々する中、いつの間にか、『あった』となり、『見た』となり、いわゆる一犬虚に吠えて万犬実に伝えるとなったものに相違ない。非常識でもあれば臆病でもあるが、警察情報となると幾分の権威をもってくるから信じられてくる。>

 と流言蜚語に一定程度警察の関与があったことを認める発言もしている。

 また、『悪戦苦闘』(※『正力松太郎・悪戦苦闘』(大宅壮一編、早川書房、195211月))のなかでは、

 『朝鮮人来襲の虚報には警視庁も失敗しました。警視庁当局者として誠に面目なき次第です』

 と、意外とも思える率直さで詫びている。

 関東大震災下における正力の混乱した言動の謎を解く上で、内務省出身で当時、東京朝日新聞営業局長だった石井光次郎が残した証言はきわめて興味ぶかい。

 当時朝日新聞の本社は滝山町(現在の銀座六丁目)にあった。建物は倒壊しなかったものの、九月一日の夕刻には、銀座一帯から出た火の手に囲まれ、石井以下朝日の社員たちは社屋を放棄することを余儀なくされた。

 夜に入って、石井は臨時編集部をつくるべく、部下を都内各所に差し向けた。帝国ホテルにかけあってどうにか部屋を借りることはできたが、その日、夜をすごす宮城前には何ひとつ食糧がない。そのとき、内務省時代から顔見知りだった正力のことが、石井の頭に浮かんだ。石井は部下の一人にこう言いつけて、正力のところに走らせた。

 『正力君のところへ行って、情勢を聞いてこい。それと同時に、あそこには食い物と飲み物が集まっているに違いないから、持てるだけもらってこい』

 間もなく食糧をかかえて戻ってきた部下は、意外なことを口にした。その部下が言うには、正力から、

 『朝鮮人が地震が起こる九月一日にむけて謀反の計画を立てていたという噂があるから、各自、気をつけろ。君たち記者が回るときにね、あっちこっちで触れて回ってくれ』

 との伝言を託されてきたというのである。

 そこにたまたま居あわせたのが、台湾の民政長官から朝日新聞の専務に転じていた下村海南だった。下村の『その話はどこから出たんだ』という質問に、石井が『警視庁の正力さんです』と答えると、下村は言下に、

 『それはおかしい』といった。

 『地震が九月一日に起こるということを、予想していた者は一人もいない。予期していれば、こんなことにはなりはしない。朝鮮人が、九月一日に地震がくることを予知して、そのときに暴動を起こすことを、たくらむわけがないじゃないか。流言蜚語にきまっている。断じてそんなことをしゃべってはいかん』(中略)

 正力は少なくとも、九月一日深夜までは、朝鮮地震暴動説を信じていた。いや、信じていたばかりではなく、その情報を新聞記者を通じて意図的に流していた。

 歴史学者の松尾尊~が書いた『関東大震災下の朝鮮人虐殺事件(上)』という論文(「思想」昭和三十八年九月号所収)に、関東大震災当時、戒厳司令部参謀だった森五六の回想談が紹介されている。これは昭和三十七年十一月二十一日、森が京大人文科学研究所で講演した内容を筆録したもので、その談話のなかの正力の言動は、完全に常軌を逸している。

 このときの森の証言によれば、正力は腕まくりをして戒厳司令部を訪れ、『こうなったらやりましょう』といきまき、当時の参謀本部総務部長で、のちに首相となる阿部信行をして『正力は気がちがったのではないか』といわしめたという。

 これが何日のことだったのかは特定されていないが、その後の事態の推移からみて、戒厳令が発布された当日の九月二日とみて、まず間違いない。最近の研究では戒厳令の決定は九月一日夜半になされた公算が大きいといわれているので、あるいは一日の夜だったのかもしれない。

 いずれにせよ正力は、少なくとも大地震の直後から丸一日間は、朝鮮人暴動説をつゆ疑わず、この流言を積極的に流す一方、軍隊の力を借りて徹底的に鎮圧する方針を明確に打ち出している。(中略)

 正力自身も認めるように、朝鮮人暴動の流言は、一部、警察当局自身から流されたものだった。この『幾分権威をもった』流言は、家財産を一瞬にして失い、すさみきった被災地の人心に、砂地に水が沁みこむように、たちまち浸透していった。各地の自警団、在郷軍人会、青年団は、竹槍や鳶口を手に手に取り、朝鮮人とみると警察につきだし、あるいは自ら手を下して虐殺した。(中略)

 九月七日、政府はようやく重い腰をあげ、『流言浮説ヲ為シタル者ハ、十年以下ノ懲役若シクハ禁錮又ハ三千円以下ノ罰金二処ス』という、いわゆる流言浮説取締令を公布した。

 治安維持令とも呼ばれるこの緊急勅令は、一見すると、九月一日以降、流言蜚語を伝播するままにまかせた政府当局が、自らの反省を込めて発令したかのようにみえる。しかし歴史学者の今井清一が『歴史の真実――関東大震災と朝鮮人虐殺』のなかで述べているように、この勅令は一面、

 <逆に流言、迫害、虐殺の真相を糾明して政府や軍部を批判するいっさいの言論報道を抑えつける>

 という目的をもっていた。震災のどさくさにまぎれて出されたこの勅令は、それから二年後の大正十四年に施行され、日本共産党など社会主義運動を弾圧する上で最強の武器となった、悪名高い治安維持法の先駆け的法令だった」


 そして、晩年の正力を描いた「巨怪伝 下」には、こういう記述がある。

 「正力は晩年、仏教の世界に急速にのめり込んでいった。よみうりランド内に、釈迦の遺髪を祀った壮厳な霊殿を建造し、聖地公園と名づけられたその敷地内に、セイロンから運んだ仏舎利塔を建立した。(中略)

 柴田は生前、正力のこうした仏教への急傾斜は、警視庁時代、オトシ(自供)の名人として何人もの人間を死刑台に送りこみ、それによって出世街道を驀進していった正力のせめてものつぐないではなかったか、と語った。

 正力の長女の梅子は、逗子の家の庭に敷きつめられた石を、なにかにとりつかれたように磨く晩年の正力の後ろ姿を鮮明におぼえている。それは朝鮮から送られてきた石で、尻っぱしょりした正力は、この石を黒ずませてはいけないと、タワシを持ち出し必死で磨いていたという。

 このとき正力の気持ちのなかには、関東大震災下で虐殺された朝鮮人に対する贖罪の思いが、あるいはあったのかもしれない。

 この頃から正力の肉体は目に見えて衰弱していった」




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人体に危険なマイクロビーズ、化粧品やソープで使用野放しの実態!米国で禁止の州も」 人体に危険なマイクロビーズ、化粧品やソープで使用野放しの実態!米国で禁止の州も

 平成二十七年十二月四日付

  サイゾー「Business Journal(ビジネスジャーナル)」の記事

 「人体に危険なマイクロビーズ、化粧品やソープで使用野放しの実態!米国で禁止の州も」

 を企画、取材、執筆しました。


  http://biz-journal.jp/2015/12/post_12717.html
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原発プロパガンダ「讀賣新聞」 敗戦、占領下 二

 放射男≠ニいうあり得ない記事の翌日、讀賣新聞はこういう見出しの記事を載せた。

 「“放射人間”大聴衆を唸らす」

 本文には、こうある。

 「研究室の街頭進出として帝都の人気を呼んだ『紀元二千六百年記念理研講演会』は十八日午後一時から九段の軍人会館で開かれたが、仁科芳雄博士の“人工ラヂウム”を嚥下する“放射人間”の実験は満場の観衆を唸らせた

 深遠な学理や宇宙の謎を極めて大衆向に見せるというので学術講演としては珍しく二千名を突破する観衆が詰めかけ、さしも広い軍人会館の一階から三階までを埋めつくして閉め出しを食った群衆が入口に列を作るという盛況で理研でも面喰った

 仁科博士の実験は『元素の人工(中略)と宇宙線』の講演と併行して始まり、先ず実験台となる仁科研究室の小使加藤弥太郎(五一)さんがコップになみなみと注がれた食塩の“人工ラヂウム”溶液を顔をしかめてグッと飲み下す、待つこと約二十五分加藤さんは立って宇宙線測定用の『ガイガー・ミューラー計数管』の上に手をかざすと突如パチパチパチパチと機関銃の様な音がマイクロフォンを通じて観衆の耳朶を打つ、加藤さんの手から放射線が飛出していることがまざまざと実証されたのだ

 次いで放射性になった銀貨や人工ラヂウムを吸い上げた八ツ手の葉、菊の葉を計数管に近づけると同じく音を立てる、天体から降りそそぐ謎の宇宙線も音に変えて“科学手品”よろしく平易な実演に観衆の拍手を浴びて公表を博した。(写真は講演会の呼び物となった加藤さん(右)の“放射性人間”の実験)(19401119日付讀賣新聞朝刊より)

  

放射人間 大衆うならす.JPG

 このように戦中の日本は、731部隊で中国人やロシア人、韓国人などを人体実験しただけではなく、自国民にも人体実験をしていた。

 そして、それを書き立てたのが、讀賣新聞である。ちなみに、ほかの大手紙である東京日日新聞(現毎日新聞)、朝日新聞は、このおぞましい出来事を報じていない。

 讀賣新聞の社主・正力松太郎はエログロ(エロチックでグロテスクなこと。扇情的で怪奇なこと。「広辞苑第六版」より)で部数を伸ばした、といわれているが、この記事は、そのことを物語って余りある。

 この一事だけでも、仁科は戦犯ものと筆者は思うが、敗戦直後の19462月、仁科は文化勲章を受章した。(1946211日付讀賣新聞朝刊)

  

文化勲章.JPG


 (続く)

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2015年12月03日

京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十三

 会議では、全局照会の結果については、「猫については野良猫に関する苦情が多い」(仲俊典氏(伏見保健所保健部(伏見保健センター)衛生課長))という意見が出た。

 次に、職員向けのアンケートのたたき台について、議論された。


  職員アンケート票.pdf


 このたたき台について、ふん尿を見かけたり被害にあった頻度を入れるべき、とか、ふんと尿を区別して聞く必要があるのか、といった話が出た。

 また、太田眞一氏(保健福祉局 保健衛生推進室保健医療課 健康危機対策担当課長)が、こう言った。

 「問16の『行政が野良猫を収容する。』は削除する」

 削除する理由は、動物愛護法に触れるからであろう。

 問16とは「犬猫等のふん尿被害を無くすための取組として何が必要であると思いますか(複数回答可)」とあり、以下の回答にチェックを入れるというもの。 

 「地域のまち美化活動の一環として取り組んでいく。」

 「飼い主のマナー向上に向けて行政が啓発を強化する。」

 「ふん尿を放置する飼い主に過料などの罰則を設ける。」

 「監視員が巡回して指導する。」
 「被害の多い公園等の公共施設に啓発看板や監視カメラを設置する。」
 「行政が野良猫や鳩等の嫌うグッズを住民に貸し出す。」

 「ペットを販売する業者に購入者へのマナー教育を義務化する」

 「行政が野良猫を収容する。」

 「その他(   )」

 「過料などの罰則」「監視員が巡回」「監視カメラを設置」など、徹底的な取り締まりを意識したワードが目立つ。

 そして、くだんの「行政が野良猫を収容する」という一文。

 これは役人が野良猫をバンバンとっ捕まえて殺処分せよ、という意味である。

 これらに多数がチェックマークを付けた暁には、京都市はどうするつもりなのかは、いうまでもない。

 (続く)

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京都市“猫エサやり禁止条例”ができるまで  エサやり禁止プロジェクトチーム 十二

 その後、サブリーダー・石田信幸氏(保健福祉局 保健衛生推進室長兼生活衛生担当部長)がこうまとめた。

 「今日のまとめとして、アンケート調査に係る業者選定は進めながら、アンケートの内容を再検討し、市職員を対象に試行的に実施したうえで、本格的に実施することとする。

 また、3回目のプロジェクトチーム会議では、全局照会の結果を報告したうえで、同じ日に各部会を開催したいと考えている。」

 「全局照会」とは、犬猫関連課に対し、以下の調査をしたことを指す。

  

犬・猫のふん尿被害に係る取組みについて(調査票)(案).jpg

 それから3週間後の、平成26115日、1330分から本庁舎F会議室で、第三回目の会議が開かれた。


机配置.jpg

 会議では、全局照会の結果を報告した。

 

   犬・猫のふん尿被害に係る取組みについて(調査結果).pdf


 この結果で注目なのは、猫のふん尿に係る被害が多い区は、伏見、右京、北区。少ないのは上京、山科、下京、中京区となっている点である。

 要するに、プロジェクトチームの生みの親・マッチポンプ公明党市議・吉田孝雄氏の選挙区・上京区は、やはり被害は少ない。猫だけでなく犬のふん尿でみても、上京区は全区中、二番目に低い。

 前出のようにプロジェクトチーム会議の一回目から、吉田氏の選挙区・上京区では犬猫のふん尿被害は少ない、と複数の職員が指摘していたが、はからずもこの調査結果でも、そのことが明らかになった。

 そもそも既述のように、吉田氏は、2011124日の京都市会で、「『糞害』は多くの方々からも声を聞いております」「何人かの市民の方に色々お聞きしますと、やはり『糞害』が出てきているということで、『何とかしてほしい』というご意見をしておられる方もいらっしゃいました」と発言。

 翌年522日の京都市会でも、「高齢者の皆さんや子供たち、また子育て世代のお母さん方、いろんな世代の方々にとっての憩いの場である公園についてですが、その中で特に『糞害』の声が寄せられています。犬や猫の糞が放置されているという問題でございます」「地域を歩いて(中略)いるときも、『吉田さん、折り入って話があるんです。犬や猫の糞尿が、昔と比べたらましやけど、それでもマナーが悪い。何とかなりませんか』というお声も頂いた」と言っていた。

 このように執拗に発言を重ねた上、その翌年四月二十三日の京都市会では、こう言っている。

 「地域で色々な方々とお会いするときとか、意見交換するときとか、あるいは色々集まる場で御挨拶して終了後に懇談するときとかに、私の方から『どうですか』って聞くんです。向こうから言われるケースは稀なんですけども、こちらから投げ掛けますと、ほとんどの方は『実は見ている』とか『近所にもある』とかというのが多いんです」

 「向こうから言われるケースは稀」ということは、自らが火をつけて問題を大きくしているということになる。

 マッチポンプたるゆえんである。

 (続く)

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2015年12月02日

フランスのIS空爆とテロ

 平成二十七年十一月二十日付、のauのニュースサイト


  EZニュースフラッシュ増刊号の「朝刊ピックアップ」記事 


 「フランスのIS空爆とテロ」


 を企画、取材、執筆しました。



 今日の産経新聞のオピニオン欄の正論というコーナーで、杏林大学名誉教授・田久保忠衛氏が「いつもながら、テレビの解説を目にしてうんざりした。中東専門家による、パリの惨劇は米仏などのIS空爆が原因との説明だ。テロには妥協の余地は全くない。911事件に見られたように北大西洋条約機構(NATO)は集団的自衛権の行使に踏み切り、米国を引きずり込まないと事態はさらに深刻になる。国際社会の総力による対決だ。それにつけても、戦後続いている日本の非力はますます鮮明になってきた」と述べている。

 たが、「パリの惨劇は米仏などのIS空爆が原因」と言っているのは、日本人の中東専門家だけではない。

16日付のTBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」で、日仏共同テレビ局フランス10の及川健二氏は、同時多発テロについて、こう語っている。

 「起こるべくして起きた、というのが率直な感情です。

 昨年、イスラム国への空爆をフランスが開始した時に、ドミニク・ド・ビルパン元首相という、イラク戦争の折に、国連安保理などでイラク戦争反対の演説をして脚光を集めた方が、こういうことをおっしゃっていたんですね。

 『空爆にフランスが参加することで、私たちはますます危険にさらされることになる。これは明白な事実だ。空爆によって世界各地に散らばるテロリストを、我が国に呼び込むことになる』

 また、反テロ行政の長を務めたアラン・マルソーさんという下院議員の方が、『軍事介入は、フランスを危険にさらすことになる。私たちはイスラム聖戦士たちの標的になる恐れがある』と警鐘を鳴らしていたんですね。

 このように一部政治家や有識者のなかでは、テロがイスラム国攻撃によって起きるというのは、懸念されていたんですね。私も警鐘する記事をいくつも書いてきたんですけども、それが現実になってしまったというのが率直な感想です」

 また、報復の空爆については、「ドミニク・ド・ビルパン元首相が、空爆について、次のようにコメントしています。『この種の空爆や軍事介入によって、テロリストの集団の除去という、私たちが期待する結果はもたらせ得ないと、我々は過去の経験から知っている。50年、60年の経験から、いや、ここ10年の経験だけでも、軍事介入はテロを根絶するのではなく、テロの土壌をつくってしまうのは明らかだ』と。

 つまり、軍事介入によって『報復の連鎖』が起き、テロリズムをむしろ、育成、醸成することになるのではないか、と私は考えています」

 では、どうすればよいのか。及川氏は「私が考えるのは、中東においてスンニ派の国が前面に立ってイスラム国に対峙していくべきなのではないか、と考えています。結局、スンニ派のイラクの空白によって、イスラム国が伸びてきたという現実がありますので、スンニ派の国々が連帯して立ちあがるべきではないか、と考えています」

 今必要なのは、「報復の連鎖」を止める手立てではないだろうか?(佐々木奎一)



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2015年12月01日

横浜市にみる歴史修正教育の実態

 平成二十七年十月四日、auのニュースサイト


EZニュースフラッシュ増刊号「潜入! ウワサの現場」で記事


「横浜市にみる歴史修正教育の実態」


を企画、取材、執筆しました。



 「歴史修正主義」という言葉がある。意味は、「1 歴史に関する定説や通説を再検討し、新たな解釈を示すこと。2 一般的な歴史認識とは異なる解釈を主張する人、またそうした言動を否定的にいう語」である。(デジタル大辞泉(小学館刊)より)

 歴史修正の動きは、教育現場でみられることが多い、とよくいわれる。。そこで横浜の教育現場で近年起きた事件を掘り下げてレポートする。

 高校の教科書の定番「詳説 日本史B」(山川出版社刊、2012年発行)は、関東大震災(192391日)の混乱の情景を囲み記事で紹介している。そこにこういう一節がある。

 「地震と火災の大混乱で、『朝鮮人が暴動をおこした。放火した』との流言(りゅうげん)がとびかい、政府も戒厳令を公布して軍隊・警察を動員したほか、住民に自警団をつくらせた。関東全域で徹底的な『朝鮮人狩(が)り』がおこなわれ、恐怖心にかられた民衆や一部の官憲によって、数千人の朝鮮人と約200人の中国人が殺害された」

 これは「朝鮮人虐殺」として日本の歴史に刻まれている。その表記を巡り、近年、横浜市で事件が起きた。

 横浜市内の市立中学校では、教科書以外に、「副読本」と称する、市教育委員会が作成した冊子を授業で使っている。それは「わかるヨコハマ」という縦20cm、横15cmA5判の冊子。

 教科書の場合、「教科書検定」制度によって、文科省の審査に合格しなければ世に出すことはできない。だが、「副読本」は、自治体の判断で、国の審査を経ず自由に「準教科書」の扱いで教育現場で使うことが許されている。つまり、使い方によっては教科書検定制度を無視した「抜け道」に成り得る。

 この「わかるヨコハマ」は2009年度に発行し、市立中学一年生全員に配布している。


わかるヨコハマ(アマゾンより).jpg

 そこには朝鮮人虐殺について、「自警団の中に、朝鮮人や中国人を殺害する行為に走る者がいた」と書いてある。「徹底的な朝鮮狩り」という前出の山川出版の表現に比べ、極めてマイルドで、虐待がなかったかのような表記である。しかも、山川出版には、官憲も朝鮮人を殺したと書いてあるのに比べ、副読本には、自警団のみがやったかのようにしか記載されていない。この副読本で教わると、歴史的事実を曲解する恐れが強い、と言わざるを得ない。そういう教材で横浜の中学生は教わっている。

 そうした中、2012年に、にわかに副読本が改定された。

 「東京湾岸・相模湾一帯は大きな被害を受けた。東京や横浜のほとんどが壊滅状態になり、火災と余震に襲われ続けた市民は不安にかられてた。この混乱のなかで、『朝鮮人が井戸に毒を入れる、暴動を起こす』などというデマ(根拠のない噂)が流された。2日、政府は軍隊の力で治安を維持するため東京に戒厳令を適用した」

 ここまでは前年と同じで、そのあとに以下の一文が加筆された。

 「デマを信じた軍隊や警察、在郷軍人会や青年会を母体として組織されていた自警団などは朝鮮人に対する迫害と虐殺を行い、また中国人をも殺傷した。横浜でも各地で自警団が組織され、異様な緊張状態のもとで、朝鮮人や中国人が虐殺される事件が起きた」

 この記述は、山川出版をはじめとする歴史教科書からみれば、ごくごく標準の内容である。

 だが、この動きを産経新聞が問題視した。12625日、同紙は一面で「『軍や警察 朝鮮人虐殺』 横浜市教委、書き換え 中学副読本、事務局独断」という見出しで報じている。リードには「歴史認識に関わる改訂にもかかわらず、一部の事務局職員の判断で行われた。今後も恣意(しい)的な“修正”が相次ぎかねず、文部科学省の検定を経ない副読本の課題が浮かび上がった」とある。

 本文には、「市教委によると昨年、旧版の記述について市立中の元社会科教諭から『誤った見解』と繰り返し修正を求められ、これを執筆者に伝えた。書き換えは監修する市教委事務局の社会科指導主事の判断で行われた」とある。

 この記事から約1か月後の2012719日、横浜市会で自民党の横山正人市議が、このことを取り上げた。

 すると、市教委の山田巧教育長は、「指導主事が改訂に当たっての決裁をとるときに課長の承認で済ませてしまった」と言い、「震災全体の被災状況ですとか横浜市の状況をわかりやすくするといったことを意図して改訂」したが、「結果として、その表現ですとか文脈、構成などによって誤解を招くような内容」があった、「虐殺という言葉は非常に強い、一定の主観が入った言葉だと考えておりますので、この部分については、例えば従前の表現に戻すといったことで改訂していきたい」といい、「2013年度版では改めて」もとの表記に直すと明言した。

 さらに、改定した暁には、「今年度、既に中学校1年生に配っております2012年度版は回収した上で、来年度1年生になる子と来年度2年生になる子と、2年度分の『わかるヨコハマ』を配付していきたい」と述べた。

 その後、「虐殺」という表記に改定した職員は懲戒処分で「戒告」となり、実際に回収して改訂版を配布した。

 そこで筆者は、横浜市教委に対し、このときの一連の経緯を記した内部文書を情報公開請求した。すると44枚の文書が開示された。

 例えば上記の市会から約2か月後の2012925日に、各市立中学校長に通知した文書には、こうある。

 「横浜においては朝鮮人等に対する迫害と虐殺に軍隊や警察が関与したとの資料は見つかっておらず誤解を招きかねないので、この点に留意して指導すること」。

 「中学生の心身の発達段階を考慮し、『虐殺』という語句については、『殺害』という言葉に置き換えて指導すること」



市教委は市立中学校長に通知した.jpg


 また、虐殺というワードを消した13年度改訂案には、「2012年度版は東京の状況についての記述が詳しすぎたので、改訂版では横浜の状況に重点を置く」「2012年度版は朝鮮人殺害の記述が焦点となる印象がもたれていたが、改訂版では震災での被災の状況、復旧・復興の状況についても既述する」「<具体的内容>・東京での、軍隊、警察による関与は既述しない。・『殺害』『迫害』の語句は用いず、『殺害』と既述する」

 また、懲戒処分文書によると、「戒告」処分をうけた職員は、指導部指導企画課長・A氏。処分発令日は2012928日。処分理由は「担当者から改訂内容について報告を受けた際、改訂箇所の表現をよく確認せず、文脈や構成に誤解を招く部分を含んだまま原稿内容を確認するとともに、文書による起案・決裁の指示を欠いた」とある。

 ちなみに、副読本「わかるヨコハマ」は、これ以降、今も同様の表記のまま使われている。(佐々木奎一)

posted by ssk at 23:13| Comment(0) | 記事

日記 歴史教科書

  今日は、「戦争法(安保法制)と憲法・教科書問題を考える」と題する、小林節・慶応大学名誉教授の講演や、横浜市の教科書問題を語る集会に行ってきた。主催は横浜教科書問題市民・有識者会議。
衝撃的だったのは、ここ十数年の横浜市の教科書採択の経緯である。
 筆者はこの前、教科書の歴史修正について調べたところ、横浜市が教科書の副読本で、朝鮮人虐殺事件について事実を歪曲しているのを知り、取材執筆したのだが、今日、横浜市の全体像を知り、愕然とした。この地では、全国随一のひどい教科書採択がまかり通っている。
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日記 原発プロパガンダ「讀賣新聞」一

 原発プロパガンダ「讀賣新聞」を執筆し始めた際、こういうことがあった。
 その日、午後三時頃から執筆し始め、18時過ぎに仕上げた心地になり、夕食前に原稿に目を通した。その結果、これはNGだ、と思い、原稿をビリビリに破らんばかりに、紙ゴミ置き場に捨てた。まるで何かの小説を演じるよように、原稿用紙を破り捨てた心地がした。実際は破ってはいないが。
 この時、うちのカミさんは、筆者のそういう姿に、多少戸惑っているように見えた。何より筆者自身、文筆の道に入り丸十五年経つが、自分の原稿を100%捨てて一からやり直したのは、これが初めてだった。
 それほど最初の原稿は納得できなかった。深層心理では、このテーマで、一つのけじめをつけようとしているのかもしれない。
 その後、予期せぬ事態もあり、一回目の原稿は、自分の中では、おもしろいと思えた。ただ、カミさんには言ったのだが、常にこういう感じでは書けないことだろう。どうしても資料的な面が多く成らざるを得ない、と思う。そんなわけで、気負わず進めたい。
posted by ssk at 02:22| Comment(0) | 随筆